その朝 トーマ・ヴェルナーは
郵便局で一通の 手紙を出した
まぢかに春
雪は水音をたてて くつの下でとけた
概要
少女漫画の金字塔と呼ばれる傑作漫画。
ドイツのギムナジウムを舞台にした少年達の物語で、「人はいつ愛に気付くのか」がテーマである。
文学的小説を思わせる繊細な心理表現、美しい風景が流れ奥行きを感じる映画的描写が特徴。
これまでに舞台化、映画化されているほか、萩尾望都ファンを公言する森博嗣により小説化されている。
あらすじ
ある雪の日、13歳のトーマ・ヴェルナーは陸橋からとび降り、自殺した。
翌朝、ユリスモール・バイハン(ユーリ)のもとに遺書が届く。
”ユリスモールへ さいごに
これがぼくの愛 これがぼくの心臓の音
きみにはわかっているはず”
親友オスカーの手助けで学校から抜け出したユーリは、トーマの墓の前で遺書を破り捨てる。
これがぼくの返事だ!
きみになど支配されやしない!
そこへ、トーマとそっくりな転校生、エーリクが現れ……。
主な登場人物
トーマ・ヴェルナー
中等科4年・13歳
学園のアイドルで、「フロイライン」(独語で”おじょうさん”)と呼ばれ皆に愛されていた。ユーリのことが好きで、彼を救うために自殺する。
ユリスモール・バイハン
高等科1年・14歳
通称ユーリ。敬虔なキリスト信者で、クラス委員と図書委員を兼任している優等生。ギリシア系で漆黒の髪をもつ。トーマが死んでから呼吸困難の発作と悪夢に苦しめられる。
オスカー・ライザー
高等科1年・15歳
寮でユーリと同室のクラスメート。酒と煙草を嗜む不良だが兄貴肌で、皆に親しまれている。ユーリのことを深く想っており、いつも心配して見守っている。父親に捨てられ、家庭がない。
エーリク・フォン・フリューリンク
高等科1年・14歳
トーマと瓜二つな転校生。明るく素直で、感情が豊か。子どもっぽい言動が多いため、オスカーに「ル・ベベ」(仏語で”赤ちゃん”)とあだ名される。マザコンを発端とした心の病気を抱えている。
アンテ・ローエ
中等科4年・13歳
トーマの(上辺だけの)親友。オスカーに憧れており、彼に近づくためにトーマやユーリを利用するが、そのせいで嫌われる。弱い者をまもろうとする気持ちが強い。
バッカス(左)
高等科4年・18歳
陽気で頼りにされている最上級生。毎週土曜の午後にお茶会を開き、トーマやアンテ、エーリクを招く。下級生をいつも見守っており、オスカーとは特に仲がよい。
サイフリート・ガスト
バッカスの元同級生で、事件を起こし放校となる。悪魔的に頭が切れ、神を否定する内容のレポートを書いた。ユーリにあるトラウマを植え付ける。
関連イラスト
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