概要
『プチフラワー』(小学館)1992年5月号に掲載された萩尾望都の漫画。
お互いを愛したくても愛せない親子の葛藤と確執を、シュールなファンタジー要素を絡めて描いた短編(読み切り)である。
テレビドラマ
1996年4月から6月にかけて、テレビ朝日系列局(一部系列局除く)にて月曜20時台に放送された。出演は菅野美穂、榎本加奈子、川島なお美、草刈正雄ほか。
読み切り漫画のドラマ化ゆえにかなりオリジナルの要素が加えられた。
初回こそ7.9%と、当時のテレビ朝日の月曜20時台にしてはこんなもんだろ、と言う成績だったのだが、その後は徐々に数字を上げていく。そして最終回では20%近い数字をたたき出し、何と「水戸黄門」第24部(TBS系列局)や「HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP」(フジテレビ系列局、ただし一部系列局除く)や「世界まる見え!テレビ特捜部」(日本テレビ系列局他)に勝ってしまった。
あらすじ
青島リカは、周囲から見ると普通の少女なのだが、リカ本人には鏡に映る自分の姿が、子供の頃からイグアナにしか見えない。
母親の青島ゆりこの目にも、リカの姿が醜いイグアナにしか見えず、どうしても娘を愛することができずにいた。しかし次女のマミは普通の人間の赤ちゃんに見えるため、ゆりこはマミだけを溺愛し、リカには冷たく接し続ける。
リカは自分がイグアナだから母親にも愛されず、恋愛もできず、幸せになれないと思い込んで成長していくが…。
エピソード
萩尾望都自身が苦しんだ、母親との対立に取り組んだテーマである。
漫画という表現を母に認めてもらえず、また常に姉や妹と比較されては怒られて育ったため、母親への反発心を抱えたまま漫画家としてデビューしたが、自身の作品にどうしても「母親」を登場させることができなかったため(作中では常に母親は不在であるか、死亡する)、心理学を学んだり、親殺しをテーマとした作品を描くなど、親からの解放を模索していく。その延長にあるのが本作となる。