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センシティブな作品

概要

1957年生まれ、愛知県出身。

元・国立大学の助教授にして小説家の男性。制作する小説はミステリーを主としている。

大学教官時代は、建築学科で、とくに材料系を扱っていた。自身のホームページでは、工学博士としての専門分野を「粘塑性流体の数値解析」としている。

そのため、著作の中に、研究者として出版した『建築材料-その選択から施工まで』や『C言語によるマトリクス演算』、『C言語による有限要素法入門』などがある。

2005年に、大学を自主退官した。

1996年、『すべてがFになる』で第一回メフィスト賞を受賞しデビュー。2008年の春に、売り上げ累計1000万部を達成している。またAmazon.co.jpの2000-2010年売り上げ数TOP20にランクインした。

2008年ごろ「あと15作しか長編小説は執筆しません」と発表し、ファンを絶望の底に叩き込んだが、現在予定の15作よりも増えている。

親交のある編集者からの依頼を受けて、予定になかった作品も執筆しており、予定はあくまで予定にすぎないことが明らかになっている。

2008年の発表の中で、「少しずつ間隔をあけて、どんどんさきへ伸ばすかもしれません」とも述べているので、予定した構想は順調に消化しており、今は「どんどんさきへ伸ばしている」状態なのであろう。

「拘らないこと」を座右の銘としているので、ようするに臨機応変なのだ。

なお、氏は同人作家としても長く活動しており、一部の著作でも氏の描いたイラストを見る事ができる。自作品の二次創作について「どうして喜多先生×浜中君とか接点のないカップリングを作らないの?僕に遠慮したでしょう?」と発言する猛者でもある。

小説の作風

理系ミステリー」…?

デビュー作、『すべてがFになる』にて「理系の大学生と教官」、「当時珍しかったコンピュータ用語満載の文章」、「いきなり7は孤独とか言い出す天才プログラマ」を出したために、「森博嗣は理系ミステリー」と呼ばれるようになった。

また新本格ミステリー作家としてカテゴライズされがちであるが、作品の半分以上がミステリーではない。

このように、森博嗣を特定のジャンル作家として捉えるのは、S&Mシリーズ以降は不可能になっている。

特徴

作品の多くに共通しているのは、「他の文章作品からの引用がある」「タイトルが日本語と英語」であることが挙げられる。

他の文章作品からの引用は、プログラミング言語の解説本(「すべてがFになる」で「オブジェクト指向システム分析設計入門」/青木淳)や哲学書(「τになるまで待って」で「存在と時間」/ハイデガー)や歴史的名著(「εに誓って」で「シッダールタ」/ヘルマン・ヘッセ)などがあり、本編のテーマと関連するよう選ばれている。

タイトルについては、何百という候補から絞って決定し、フィックスした後に小説を書き始めるため、非常に拘って付けられている。

日本語タイトルについては

・見た目の形が良いか

・即座に理解できない文になっているか

・斬新であるか

という基準で決定しているらしく、そういった基準を持たない英語タイトルは、その作品の本質的テーマであったり、日本語タイトルに呼応して意味をなしていたりするようになっている。

タイトル付けの見事さは、森博嗣の大きな魅了の一つであろう。

また非常に速筆な作家として有名である。

ブログによれば、1日あたりの執筆時間は、2時間から3時間であるが、続けて15分ほどしか書かない。

このペースでおよそ2週間かけて一作書き上げるそう。

インタビューで、「頭の中で展開される場面の情報量はもっと多く、かろうじて何分の一かをキーボードで文章にしている」と語っている。

カタカナの記法

森博嗣といえばお馴染みの、カタカナのルールがある。

例:「バッタ(batter)」「コンピュータ(computer)」「エッセィ(essay)」「ミステリィ(Mystery)」「エラー(error)」

このように、erやorで終わる単語には、長音記号を付けない。エラーのように長音記号を無くすと2文字になる単語は付ける。yで終わる単語はィとする。というのが森博嗣独自のルールである。

よくJISや理系専門書・論文の書き方に準拠している、と言われるが、yをィにするのは森博嗣独自ルールであるし、現在では長音を省かない理系専門書も多い。

装丁

装丁とは、本の表紙や帯、目次欄などのデザインのこと。

装丁への拘りも強く、スカイ・クロラ以降、装丁家として非常に有名な鈴木成一氏に装丁デザインの殆どを依頼している。

四季シリーズGシリーズではアートワークを映画監督で装丁家でもある樋口真嗣が担当している。

作風

シリーズごと、作品ごとに、多様なスタイルをとっている。

S&Mシリーズでは、非常に印象的な一節を、数十ページ毎に挟み込むことで、テンポよく話を進める、といった書き方をしている。これに魅了されてファンになった、という人も多いのでは、と思う。

また元々、S&Mシリーズでは「犯人の動機を描かない作家」と言われることも多かったが、後期のGシリーズでは、さらにミステリーでありながら、推理シーンが無かったり、あっても犯人が誰であるか、が特定されなかったりする。

また二重人格オチや、「現実とは、現実とは何か、と考えた時にだけ現れる幻想だ、普段は現実なんて存在しない。」といった犀川助教授の台詞から窺えるように、固定観念や読者の認知的隙を突くような文章、ストーリー構成が多い。

短編や詩的文章も得意としており、先述のような「短いセンテンスで印象的な文章を書く」のが得意な作家と言えるだろう。

詩集に「魔的」や、ベスト盤的短篇集「僕は秋子に借りがある」などがある。

その他

趣味はものを作ることで、作家になったのも子供の頃の夢である、鉄道模型の自作などを行うためだった。

2008年の作家活動縮小宣言後は、新たに数百メートルもレールをひけるような土地を買ったり、ジャイロ・モノレール技術を100年ぶりに復活させたりなど、工作少年の日々をおくっているようである。

とくにシェイ式の蒸気機関車がお気に入りらしく、ブログでの、シェイ式機関車を手に入れた森博嗣の熱狂ぶりにニヤニヤしたファンも多い。

西尾維新が、崇拝する作家の一人として森博嗣を挙げている。森博嗣との対談の中で、「森博嗣と対談するために作家になったと言っても過言ではない。」「帯の違いだけで同じ作品を2冊買ったことがある。」などのエピソードを語ってる。

主な著作

ミステリー作品では同じ世界観を共有している。

作中の時系列はVシリーズS&MシリーズGシリーズ四季シリーズ百年シリーズ

刊行順はS&MシリーズVシリーズ百年シリーズ四季シリーズ

VシリーズS&Mシリーズ百年シリーズ(の2作目まで)はそれぞれ単独で読め初心者にオススメだが、Gシリーズ四季シリーズはある程度氏の著作を読んでからの方が望ましいと言われる。

外部リンク

魔改造の夜:キックスケーター25m綱渡り:Oスズの技術者が森博嗣『ジャイロモノレール』を読み込んで挑戦。魔改造の夜

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