概要
「少年B」として森口悠子に告白された渡辺の共犯者。元テニス部。第四章『求道者』の語り部。
父親と母親(下村優子)、2人の姉がいる5人家族であり、長姉は既婚者で、次姉は東京で暮らす大学生(映画版では母と単身赴任中の父、東京で暮らす大学生の姉がいる4人家族)。
一見平凡ながら幸せな家庭に育ち、クラスメート達の間でも人懐っこく穏やかな人物と見られていた。裏では叔父のように優秀であることを求める母親に対していつも「期待を裏切っている子供」だと劣等感を持っているため、後ろ向きで卑屈な傾向があり、自分に都合が悪いことに対してのとらえ方が非常に曲がっている。母親は取り柄のない彼を「優しい」と思い込むことで自分の理想を彼に託そうとしていたが、本人はそれに気付いており、それをとても嫌がっていた。
周囲に不満を抱き、ノートに「死ね」と殴り書きしているところを渡辺に見られ、犯行に誘われる。自身は渡辺と友達になりたいと思っていたが、当の渡辺は下村のことを「能無しの癖にプライドだけは高い」と思っており、激しく嫌っていた。
実は、森口の娘である愛美を故意に殺害した犯人(実行犯)であった。森口やクラスメイトも故意に殺人を起こしたとは気づかれていない(渡辺は事件後の彼の態度から、故意に殺人を犯したのではと推測していた)。渡辺が電気ショックで気絶させた後「人間の失敗作だよ」と罵られたことから故意に殺害し、渡辺が成功できなかった殺人を成功させ、一時期、優越感に浸っていた。
森口に復讐を告白され、エイズ患者の血液を飲んでしまったことに気付くと「家族に感染しないように」潔癖症の「自分が生きている証を認識するため」不潔症になる。また、クラスメイトに制裁されるのを怖れ、2年から不登校かつ引きこもりになり、新任の寺田良輝等が原因で徐々に壊れていった。また、母親が自分の体を洗った上、髪を切ったことから「自分は死んだようなものだ」と思い込み、コンビニの食品に自分の血を撒いて無関係の人を巻き込もうとするなど、狂気に取りつかれていった。更に愛美を故意に殺害したことを母親に告白したことが原因で母親に殺害されそうになるが、母親が放った言葉に渡辺への劣等感を刺激されて怒り狂い、逆に母親が持っていた包丁で母親を刺し、階段の下に突き落として殺害してしまう。
母親を殺害した後は(お望み通り?)警察に逮捕され、施設に送られる。精神的ショックによって自分が何者かということさえもわからなくなり、過去の記憶を自分のものと思えず、延々フラッシュバックする記憶の中に映る自分を「馬鹿な少年」と思っている。
余談
母が毒親であるという哀しい一面の持ち主だが、幼い子供(森口の家族)を殺し優越感を得た時点で読者及び視聴者からはほぼ同情されない。
(当然だが)直樹と優子が起こした騒動によって下村家は無様に家庭崩壊してしまう(長姉は流産しかけて入院し、父親はうつ病同然の状態に陥る。唯一何も異常事態が起こらなかった次姉は直樹の釈放を図ろうとするが無駄足だった。)。
ちなみに次姉曰く直樹の心の弱さは父親譲りらしい。
関連タグ
似てるキャラクター
- 山田ヒカリ(イジメ返しシリーズ):「その作品における復讐の最初のターゲット」「毒親の被害者」「主人公を陥れようと躍起になるが逆に復讐されて壊れてしまい母を殺害して逮捕され心が破綻する」…と、共通点が多い。だが、食べ物には困らなかった直樹と違い、彼女は食べ物に困っていたうえ金が無いのを理由にいじめられていた過去がある為、直樹、ハンス、恵と知の父よりは同情しやすい。
- ハンス・ウェスターガード、恵と知の父(アナと雪の女王シリーズ、竜とそばかすの姫):直樹に似て「表向きは普通そうだが実は救いようのない本性の持ち主」繋がりのクズな大人達。ハンスとは「毒親の被害者で主人公を陥れようと躍起になるが失敗して因果応報な終焉を迎えた」という点が共通し、父とは「自身より年下の人間(彼の場合は自身の子供及び家族)を虐げた」という点が共通している。ハンスはきっちり罰せられたのに対して、父は(一方的に暴力を振っておきながら)罰(逮捕)を受けてないどころか痛い目を見る事すらないまま逃げた為、ある意味直樹やヒカリやハンスより胸糞である事が分かった。ただし、両者が犯した罪は直樹やヒカリが犯した殺人ではなく殺人未遂であった。