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概要

S中学校1年B組の担任で作品の主人公語り部森口悠子が、娘を殺した生徒とそれに加担した生徒に復讐を施したことを告白し、退職に伴いそのクラスの引継ぎの後任として2年B組の担任となった新米の数学教師。学生時代のあだ名は「ウェルテル(良=well、輝→テル)」であり、愛読書でもある小説『若きウェルテルの悩み』にも掛けて「別に悩んでいるわけじゃないぞ」と、自身のネタにしている。当然ながらも、クラスの1年前に起こった事件を知らない。

人物

森口の夫で自分の中学時代の担任教師でもあった「世直しやんちゃ先生」こと桜宮正義に憧れ心酔し、自身も教師を志望した。桜宮を尊敬しているが、行き過ぎているところがあり、不良時代の桜宮の(タバコを吸うなどの)不良行為を真似るなどしていた(いわゆる「取り入れ」<同一化>であり、桜宮のいきさつを自分のことのように感じ取っている)。なお、森口は、桜宮を尊敬している生徒に対して、「桜宮を見習うなら、教師になってからの彼だけにしてほしい」と言っており、ウェルテルは過剰に取り入れてしまった結果、後述するような末路をたどることになってしまう。

いわば、金八先生に憧れて教師になったようなケースと同じである。

新米にして熱血教師であるが、その善良的な分だけ余計にタチが悪い。(教師としての経験が浅いとはいえ)森口とは違って子供(生徒)の個人の感情や行動に鈍感であり、それらを理解せずに(悪い意味で)クラス内を平等にまとめようとする。この単純かつ浅はかな行為が生徒の反感を買い、クラス内でのいじめ問題の深刻化に拍車をかけることになってしまう(生徒の1人・北原美月の分析による)。だが、それ以前に自身の性格にも問題があり、先述の桜宮と自分を同一化していることに自己陶酔しており、「生徒のことを親身になって考えているように見えて、実際には自分の思い通りにならないと気が済まず、すぐさま自分に注目するように授業内容の範疇から外れた行動を起こす「独り善がりな偽善者」、「親切の押し売りをする勘違いジコチュー男」、いわゆる「KY」である。」

そのため、美月のあだ名「ミヅホ」が「ミヅキのアホ」の略称である悪いあだ名であることも知らずにそのあだ名で呼んでいた。このことや下村直樹を(自身の悪気無しで)再起不能に追いやったことで、作品終盤で断罪されるハメになる。また、孝弘が授業中にケータイの電源を切り忘れて鳴ったことに対して理不尽なまでに説教するという自意識過剰ぶりも目立つ。

恩師の桜宮の葬儀にも参列しており、その妻でS中学の1年B組の元担任森口にも接触し、彼女に自身の愚かな性格を復讐に利用されてしまい、下村を追い込むことになった。なお、森口はそれを「指導方法の提案」と称しており、同時にクラスの情報を仕入れていた。

最終的には下村の母親からも「バカ教師」の烙印を押され、美月も警察の取り調べで「下村を追い込んだのは良輝先生のせいです」と告発された。原作小説ではその後も教師を何事もなかったかのように続けているなど反省している様子がうかがえなかったが、映画版ではその部分が不適切と判断されたのか、下村を追い込んだことに対する自責の念から教師を休職していたなど、奇麗にまとめられている。

このように救いようのない人物として描かれているが(とは言ったものの彼をバカ呼ばわりした直樹の母も森口に嫌がらせをしたりなどこちらも負けず劣らず救いようがない。)、少しフォローすると、過去のクラスの事件を知らなかったとはいえ、「愚かな性格をいいように利用された哀れな犠牲者(=スケープゴート)」ともいえるであろう。

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寺田良輝
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