ジュリオ・飛鳥・ミスルギ
じゅりおあすかみするぎ
CV:鳥海浩輔
ミスルギ皇国の皇太子で、物語冒頭で「神聖皇帝ジュリオ一世」として皇帝に即位した青年。
アンジュリーゼやシルヴィアの兄で、腹心に近衛長官のリィザ・ランドッグがいる。
普段は温厚な振る舞いをする人物であるが、その内面は傲慢で欲深い野心家で利己的で自惚れの強いナルシスト。
この世界に於ける「普通の人間」は一般的にノーマを嫌っているが、その中でもジュリオは誰よりもノーマを毛嫌いしており病的なまでの選民意識すら持っている。
また掠り傷を受けただけで直ぐに取り乱すなど、性根が臆病かつ小心な人物である上に、物事を自分に都合の良い形でしか解釈しようとしない稚拙な面もあり、それが後に大きな失態へ繋がる事も少なくない。
事実、自身の妹であるアンジュがノーマである事を公表した事で、他の国との印象はあまり良いとは思われず、中には「罪人の一族」と呼ばれてしまうのであった。
自らの目的の為ならば平然と他者を切り捨て、血の繋がった家族ですら徹底的に破滅に追い込んだ上で嘲笑いながら殺そうとする等冷酷非道な行いに喜びを見出している快楽主義的な面も持ち合わせている。しかも性質の悪い事にこういったジュリオの行いを咎める者はいないどころか、むしろ熱狂的な支持を得ており、両親がそれぞれ死亡して、咎めようとする者が完全にいなくなったジュリオの暴走は、完全に歯止めが利かなくなってしまっている。
身内の多くを切り捨てた中で、シルヴィアに対してだけは深い愛情を持っているが、それもただ単に、自分にとって都合の良い存在だからに過ぎないのかもしれない…。
また、リィザとのシーンから無邪気な一面を見せた。
両親がノーマであるはずのアンジュへの期待の大きさを偏愛として不満に感じており、アンジュへの憎しみを大きくしていた。
そしてアンジュがノーマだという事実を利用し、彼女を追い落として自らが皇位の座についたのが1話の始まりである。
自らが皇位の座につく為にアンジュがノーマだという事実を利用し、16歳を迎えた彼女の洗礼の儀の際に、全国民に対してそれを大々的に暴露して彼女を追放した上、母のソフィアを死に追いやり、彼女の真実を隠してきた父親であるジュライを国政を私物化したと断罪、拘束して廃位に追い込み、自らを「新生皇帝ジュリオ一世」として皇帝の座を手に入れた。
以来、第9話まで登場しなかったが……。
ここから先は本編に関する重要なネタバレになりますので、ご注意ください。
皇帝の座を手に入れただけでは満足出来なかったジュリオは、父・ジュライを国民を欺いた罪人として処刑する。
また、アルゼナルで生き続けているアンジュを目障りに思った結果、彼女が大切にしていたシルヴィアに猿芝居をさせて脱走させる事を画策。アンジュの侍女であるモモカ・荻野目を使者として送り、アンジュをミスルギ皇国にまでおびき出した後、シルヴィアを囮に捕らえて市民達の前で晒し者にした上で公開処刑を行おうとするも、タスクの介入によって失敗。アンジュが一矢報いる形で放った手裏剣により左頬を斬り付けられ負傷した挙句、自身が処刑したにもかかわらず情けない悲鳴を上げて父親の名を呼ぶ醜態を晒す事になった。
その後、世界を裏から支配するエンブリヲの「世界を創り直す」という言葉に喜々と賛同するも、ジュリオは「世界を創り直す」事を「ノーマを殲滅する」という自分の都合に良すぎる曲解をしアルゼナルに軍を派遣して自ら指揮を執る形でノーマの大量虐殺を展開する。
当然この暴虐極まりない行いは、エンブリヲから事実を聞かされたアンジュの激怒を招き、彼女の怒りに呼応する様に、真の力を開放させたヴィルキスの猛攻撃によって戦力の大半を喪失、更にはアンジュに銃撃されて負傷し脅された結果、彼女の要求をあっさり呑んだ上に彼女に皇族の復権をさせるなどして命乞いするなど名君であった父ジュライに遠く及ばない程の情けない醜態をさらす。
そこに、エンブリヲがラグナメイルのヒステリカと共に現れ、ジュリオはすぐさまアンジュを殺すよう懇願するも、行き過ぎた行動はエンブリヲからも見限ることになり、最後はヒステリカのディスコード・フェイザーによって乗艦ごと木っ端微塵に吹き飛ばされるという自業自得な最後を遂げるのであった。
アンジュがノーマである事を暴露しアルナゼルへ送り込み、アンジュの家族を大きく狂わせた張本人で、数々の非道な行いをし、後先考えずに省みない身勝手さと卑劣さ、立場が不利になると皇族の誇りすら捨ててでも惨めに命乞いする卑屈さにアンジュから「生きる価値も無いクズ」と吐き捨てられた彼ではあるが、彼の存在が無ければアンジュが隠された世界の真実とドラゴンの秘密が知る事が出来なかったのは、何とも皮肉過ぎる話とも言える。
アンジュ自身も怒りに任せて殺そうとしていたが、兄を死に追いやったことと最期まで分かり合えなかったことを少し悔やんでおり、以降エンブリヲを兄の仇として敵視するようになる。
更に、モモカがリィザに対してドラゴン側と仲間になったとは言え目的の為に彼を操ってアルナゼル襲撃を許した事を言及され、落とし前を付けるよう諭した点も彼だけが一概に悪者でないとある意味で救われたと言えるだろう。
ジュリオは父母を死に追いやった上でミスルギ皇国の帝位を簒奪したり、「傲慢な野心家でナルシストでヘタレ」と、どうしようもない悪党としか言いようのない人物ではあるが、一方でジュリオによって抹殺されかけた長妹アンジュリーゼ(アンジュ)は「最後まで解り合う事が出来なかった」として複雑な表情を見せたり、ジュリオを利用していたはずのリィザにも思う所があった様子を見せている為、(ノーマに対する差別意識はともかく)ジュリオには悪辣とも言い切れない一面もあった事が窺える。リィザに甘えていた時の言動から察するに、「両親からの愛情に飢えていた」という可能性も否定はできない。
実際、アンジュ自身も第1話前半の時点ではノーマの根絶を検討しており、もしも立場が違っていたらならばジュリオと同じ事をしていた可能性が有る。そういう意味では「ジュリオもまた、歪んだ世界の価値観の犠牲者であった」とも言える。
また、ノーマを迫害対象に仕立て上げ、ノーマ達にマナの源であるドラグニウムを体内に持つドラゴンを狩らせ、自らの思いのままの世界を構築したのはエンブリヲなので、「ノーマを殲滅する」というのは(善悪は別にして)神として振る舞っていた彼の所業を否定するに等しい行為であり、ジュリオはこの事を理解していなかった。故に自ら墓穴を掘っていたのである。その意味で言えばジュリオは「『エンブリヲを否定する』という部分だけは、アンジュと共通していた」と言える。
スパロボでは
スーパーロボット大戦Vで、NPCとして初登場。概ね原作通りの役回り。
今回は他の始祖連合国首脳陣が登場しない為、原作以上にエンブリヲの腰巾着の印象が強い。
スーパーロボット大戦Xでも、NPCとして登場。
ミスルギの皇帝となってからはアル・ワースへ召喚された異界人たちを戦力として招き入れ、他国への侵略や自軍部隊への攻撃を行っており、『V』以上に嫌な印象が目立つ。そのため、他作品のキャラからより辛辣な評価をされた。
ミスルギ決戦まで生き延びているが、リィザが城内に潜入していたアンジュを自分の元へ誘導して、彼女が裏切られたことに動揺したところに、駆け付けたエンブリヲにその場で引導(SEから指を鳴らして、剣で刺す音という流れ)を渡されて、原作と違ってジュリオの遺体が残っている。
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