概要
幼い子供や傷病人、障害者、高齢者といった、自力で衣食住や生活に必要な金銭、安全の確保といった、身の回りの世話(セルフケア)ができない者に対し、保護者がその責任を履行しない(※具体的には、監護すべき相手を無視する、必要な食事や衣服を与えない、病気や怪我になっても病院に連れて行かない、清潔で安全な住環境を用意しないなど)加害行為の一種。
特に児童に対してのネグレクトは「育児放棄」や「育児怠慢」などと呼ばれる。
現代において「(児童への)ネグレクト」と呼ばれる現象は、積極的ネグレクトと消極的ネグレクトの二つに大別される。
- 積極的ネグレクト…保護・監護(世話)のできない明確な理由がないのに責任を放棄しているケース。保護者の自分勝手な事情で面倒を見ていない状態。
- 消極的ネグレクト…経済的に困窮し仕事で忙殺されている、保護者自身が病気や障害(特に精神疾患や知的障害)を抱えており手が回らない、養育に対する知識がないなどの理由で、結果的にネグレクトに至っているケース。
特に消極的ネグレクトは「社会構造の問題」という側面があり、必要な人に必要な支援や情報が届かないために起こる、ある意味では保護者となる側もまた社会によるネグレクトの対象となっているともいえる。一方、本来なら支援できるはずの児童養護施設や病院、介護施設といった機関・施設に「頼らない」ことは保護者側の問題でもあり、一概に「支援しない側が悪い」とも「支援にたどり着けない側が悪い」とも言えない。
動物虐待としてのネグレクト
適切な知識を有さない飼い主が、当該動物を管理できなくなり、多頭飼育崩壊や遺棄に至ってしまう事案もネグレクトと呼ばれる。
ただし、飼い主が急に病気になった、亡くなった、事故や災害により急いで避難しなければならなくなったなど、飼い主に責任のないものは含まない。
関連タグ
医療ネグレクト:医療水準や社会通念に照らして、その子どもにとって必要かつ適切な医療を受けさせないこと。
セルフネグレクト:元々自分で身の回りのことができる人が、それを行わなくなってしまった状態。