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障害の内容
医学用語上は「精神遅滞」を用い、学校教育法上の用語としては「知的障害」とよばれる。
かつては「精神薄弱」とも呼ばれたが法改正により使われなくなった。
法律上の定義としては先天性か幼少期の病気などで起こる障害をさし、成人してからの事故・病気にによるものや老人になってからの認知症によるものは含まない。
具体的には、以下の3つの要件が全て揃っている事で、知的障害と見なされる。
- 知的能力が低い事(IQがおよそ70以下)
- 適応能力が低い事(意思伝達、自己管理、家庭生活、社会的対人的技能、地域社会資源の利用、自律性、発揮される学習能、仕事、余暇、健康、安全などの項目のうち、複数の能力に障害がある場合)
- 発達期に遅れている事(何が原因かは関係なく、18歳までの発達期に現れている事が条件。発達期を過ぎてから知的や適応能力が低下した場合は、知的障害とは見なされない)
原因や障害の程度は多岐に渡り、ダウン症等の染色体異常や出産時のトラブルによる脳の酸素不足などが知られるほか、原因不明なものもあるので、詳細は専門書・専門サイト等をあたっていただきたい。
特徴
人によってそれぞれ障害の特性が異なるが、障害が重度の場合、衣服の着脱や入浴、食事など生活支援が必要。知的障害者の多くが自閉症などの発達障害を持っており、身体障害などをあわせもつ者もいる。
軽度の知的障害だけの場合、コミュニケーションや家事といった身支度ならば出来る為、自他共に気づかないままでいることも多く(軽度であれば発達障害の方が圧倒的に分かりやすい)、療育や本人の努力により社会との折り合いをつける事で、健常者と同じように就職(障害者雇用が多いが、仕事内容や本人の特性によっては一般と同じ枠で雇用されることもある)するか、障害者向けの作業所、施設等で穏やかに暮らして行けるケースも多い。
もっとも全般に学力は低く落ちこぼれがちで、義務教育を普通学級で終えたとしても、大学はおろか障害者を対象としない普通高校への入学は困難である人が大多数である。また、時間の認識や金銭感覚に問題を抱え、社会生活でトラブルを起こす場合も多い。
特に軽度やボーダー(後述)の場合、診断がついていないことや、周囲が認識していないということも珍しくないため、「学力が低い」「授業をサボっているだけ」と誤解され、十分なケアを受けることができず苦労することがある。学業成績が低いことや特徴的な言動などからいじめ・虐待に遭ったり、騙されたり犯罪の手先などとして使われたりと悲惨な境遇に落ちていく者も少なくない。
基本的に「完治」するものではないが、虐待・病気などで一時的にIQが低く判定されるような状態にあった場合はその後のリハビリで回復することがある。
いずれにしろ、発達障害同様その知見や療育に関するノウハウは時代により認識の差も大きく、早期に最新の知見を持った専門家による療育に繋げることが大事である。
生まれつき遺伝病や重複障害を持っている者が多い上、好き嫌いが激しく、好きなものしか口にしない、運動もしないなど、好ましくない生活習慣を身につける傾向が強く、若くして健康を害し早世する人も多い。
「知的障害者=犯罪者予備軍」という訳では必ずしもないが、刑務所に入っている受刑者は、ボーダーを含む知的障害者も少なくはない。これに加え、弱い立場にある知的障害者、特に女性は性犯罪の被害者になりやすい。男性の場合も、自制心がないことが原因で性犯罪の加害者となることもしばしばである。
児童精神科医の宮口幸治の著した『ケーキを切れない非行少年たち』では、医療少年院で矯正を受けている非行少年の中には、軽度の障害(知的障害・発達障害)を抱えているような少年たちも多数見られたと述べられている。彼ら・彼女らは適切なケアから洩れてしまったため非行に走ってしまい、自分の犯行について「反省する」ための能力が低い(記憶力が低かったり、自制心や想像力に乏しかったり)ということも言及されている。
ただし、ケーキを切れない非行少年たちに関しては、医療少年院と名前がついた診療所での取材であり、情報が不十分ではないかとする専門家の懐疑的な意見もある。
ボーダー
知的障害の診断基準である、「概ねIQ70以下」には達していないが、IQは正常値より低く、知的障害同様の行動傾向が強く見られる人、障害特性により日常生活で困難を抱えている人のことを「ボーダー(境界知能)」、「グレーゾーン」などと呼ぶ。
明確に障害者として診断されているわけではないので、普通学級で勉強していたり、(障害者雇用枠ではない)一般雇用で働いたりしている人もいる。しかし、療育手帳(障害者手帳)が申請できず福祉のサポートが受けられない、本人の能力や特性が健常者中心のコミュニティでは噛み合わず、生きづらさを抱えているという人は多い。
軽度の障害者同様、未診断の状態で、ある程度日常生活を送っていることも珍しくないが、彼らも一定の支援が必要である。
知的障害や発達障害を描いた作品、作家
Wikipediaにおける「障害を扱った作品の一覧」も参照のこと。
- ヤジとボク(手塚治虫)…タイガーブックスの4巻において収録されている短編作品
- どんぐりの家(山本おさむ)…劇場アニメ化されたことでも有名であり、このアニメ版を見て重度知的障害者の社会を知った一般人も少なくない
- 格闘探偵団(小林まこと…「1・2の三四郎2」の続編。4・5巻に自閉症児(知的障害も併発)「タッ君」が登場。本作の自閉症描写は、自閉症児保護者からみてリアルとの事。
- 光とともに…(戸部けいこ)…自閉症児(知的障害も併発)の息子を題材に、家族の葛藤や子供の成長を描く。特別支援学校や支援施設、当事者や家族への綿密な取材のもと執筆されている。
- 個人的な体験(大江健三郎)…大江の息子「光」が脳ヘルニアが原因の知的・発達障害であり、彼が生まれた直後の実体験を元に書かれた小説。
- アルジャーノンに花束を(ダニエル・キイス)…主人公が知的障害を抱えており、手術により知能が変容していく様子が綴られている。
ブラックジョークとして障害者を描いた作家も少なくない。犯罪者予備軍であるなどとの世間の偏見を反映したものが多く、大方封印作品となっている。
- 藤子不二雄A・・・藤子不二雄Aブラックユーモア短編のうち、『ぶきみな5週間シリーズ』の『毛の生えた楽器』(愛蔵版で『禁じられた遊び』に差し替え後、未収録。作中に登場する原住民への差別的な表現が問題になったものと見られる。また、当の『禁じられた遊び』についても、知的障害児の登場するシーンが後年の版で全面的にカットされている。この知的障害児は登場人物を殺害するという設定であった)
- 山野一・・・休刊と復刊をたびたび繰り返しているカルト的な人気のある漫画雑誌ことガロにおいてガロ系と呼ばれる鬼畜物を題材とした作品を手掛けることが多い作家。どぶさらい劇場などで知的障害の要素がある過激な作品を多数手がけている。元妻は故ねこぢる。
- 佐藤正・・・『燃える!お兄さん』(用務員や知的障害持ちの人間に対する差別的な描写が多数。一部エピソードは単行本未収録)
- 知るかバカうどん・・・同人作家兼本家ユーザーの一人。短編同人作品において知的障害を含む数多の悪趣味な鬼畜作品を手掛けている。
※そのほか、本来そのように設定されていないキャラクターについて、匿名掲示板などで知的障害持ち(池沼という蔑称で呼ばれる)とするレッテル貼りが見受けられる。しかし、基本的には言いがかりに過ぎず、製作者側が明確に言及しない限りはこのような表現は避けるべきである。
著名な知的障害者
山下清…幼少期に重い消化不良が原因で、軽度の知的障害・言語障害を負う。