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知的障害

ちてきしょうがい

IQ(知能指数)が69以下とされる人のこと。読み書き、計算技能、記憶力といった知的能力が低い。
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概要編集

医学用語上は「精神遅滞」を用い、学校教育法上の用語としては「知的障害」とよばれる。

かつては「精神薄弱」とも呼ばれたが法改正により使われなくなった。


法律上の定義としては先天性か幼少期の病気などで起こる障害を指し、成人してからの事故・病気によるものや、老人になってからの認知症によるものは含まない。

具体的には、以下の3つの要件が全て揃っている事で、知的障害と見なされる。

  1. 知的能力が低い事(一般にIQが70未満とされる)
  2. 適応能力が低い事(意思伝達、自己管理、家庭生活、社会的対人的技能、地域社会資源の利用、自律性、発揮される学習能、仕事、余暇、健康、安全などの項目のうち、複数の能力に障害がある場合)
  3. 発達期に遅れている事(何が原因かは関係なく、18歳までの発達期に現れている事が条件。発達期を過ぎてから知的や適応能力が低下した場合は、知的障害とは見なされない)

原因や障害の程度は多岐にわたり、ダウン症等の染色体異常や出産時の病気による脳の酸素不足、日本脳炎風疹、先天性梅毒等感染症によるものが知られるほか、原因不明なものも多いので、詳細は専門書・専門サイト等をあたっていただきたい。

遺伝の影響については現在「多少の関係性や可能性はあるが、原因が遺伝だけと特定することはできない」という状態であり、親が知的障害を持っていても子は正常知能かつ定型発達というケースも少なからずある。しかし、親が脳機能に影響を及ぼす遺伝性疾患など因子を持っていることもあり、これを「遺伝する」と称する場合もある。


厚生労働省の調査によれば、有病者数は全人口の1%(また別の調査機関では2〜3%とも)である。


特徴編集

人によってそれぞれ障害の特性が異なるが、言語能力や字の読み書き、計算(特に時間や金銭の取り扱いなど)、記憶力や判断能力といった情報の処理能力が全般的に低い。言語理解を苦手としていることから、自分の意志を的確に言葉で伝えたり、会話から相手の意志を正確に汲み取ったりするような、他者とのコミュニケーションを苦手としていることも多い。

また、知的障害者の多くが自閉症などの発達障害を併発しており、対人コミュニケーションや情緒面のコントロールなどの面で発達障害の特性による困難を抱えている場合もある。

脳の器質性障害や内臓疾患、身体障害などをあわせもつ者、またこれらに由来して知的障害が起こっている者もいる。


障害の程度にもよるが日常生活・社会生活を送る上で、家族や医療機関・教育機関・行政からの支援を受ける必要があることが大半であり、日本を含めた多くの国々で福祉の対象となっている。


知能の発達段階や生活能力に応じて、軽度・中度・重度・最重度の4つに分けられる事が多い(※各都道府県の療育手帳や医療機関によって異なる場合があるため、あくまで一般的な基準である)。

軽重を決めるにあたっては知的能力そのものはもちろんだが「生活に適応できる能力を持っているか」という部分も重視されており、IQ自体は軽度相当でも、生活における困難が大きい場合は中度以上と診断される(逆に、中度相当でも生活能力が高いため軽度扱いになる)ケースがある。


障害が重度の場合、一人での衣服の着脱や入浴などが難しく、日常生活もままならないため、常に家族や福祉施設等による保護監督・支援が必要となる。情緒面の発達が未熟なため気持ちや行動のコントロールがとても難しく、決まった挨拶や簡単な受け答え以上の複雑なコミュニケーションも苦手としている。

最重度の場合、ほとんどの人にてんかんや視覚・聴覚障害といった重度の神経障害や身体障害が見られ、自分で体を動かすのも困難である。知的能力の部分だけを見ても、言葉を理解して発することが難しく、自分で意思や欲求をうまく表現できない(ごく簡単なものであれば生活訓練で身につけられることもある)ため、仮に身体的な障害がなくとも自力での生活は不可能に近く、身の回りのことは常に介助が必要である。


一方で軽度(IQが比較的高く、身体障害や神経障害、行動障害を持たないか軽度である)の場合、日常会話のような複雑でないコミュニケーションや簡単な家事といった自分の身支度ならば出来るうえ、文字の読み書きや簡単な計算など勉学の面もある程度はわかるため、環境によっては自他共に気づかないままでいることもある。


早期に診断を受けて障害やその程度がわかっていれば、適切な療育や本人の努力により社会との折り合いをつける事で、健常者と同じように就職(障害者雇用が多いが、仕事内容や本人の特性によっては一般と同じ枠で雇用されることもある)するか、障害者向けの作業所、通所型サービス等を利用して保護者から自立して暮らして行けるケースも多い。

しかし、全般に学力(学業成績)は低く、一般的な教育機関では落ちこぼれがちで、義務教育を普通学級で終えたとしても、特別支援学校ではない高校、さらに上の専門学校や大学などへの入学は困難である人が大多数である。

インクルーシブ教育実践校」(リンク先は神奈川県)として、義務教育課程を特別支援学級・学校で終えた生徒を一般クラスの一員として受け入れている高校もあるが、実施は全国単位ではなく、実施している学校も限定されており、学内の環境やサポート体制もまちまちである。


また、社会人になっても時間の認識や金銭感覚に問題を抱え、社会生活でトラブルを起こす場合も多い。

特に軽度やボーダー(後述)の場合、明確な診断がついていないことや、周囲が認識していないということも珍しくないため「勉強をサボっているだけ」と誤解され、十分なケアを受けることができず苦労することがあったり、学業成績が低いことや特徴的な言動などからいじめハラスメントに遭ったり、悪い仲間に騙されたり犯罪の手先などとして使われたりと悲惨な境遇に落ちていく者も少なくない。

また、家庭や勤務先、支援施設等で「ストレスのはけ口」として虐待を受けるケースや、逆に感情のコントロールが苦手で暴力を振るう側に回るケースも存在する。

こういった事態を防ぐため、特別支援学校/学級や療育施設、各種支援施設では、自立した社会生活が送れるよう生活訓練も重点的に行われている。


基本的に「完治」するものではないが、虐待や病気などで一時的にIQが低く判定されるような状態にあった場合は、その後のリハビリで回復することがある。


いずれにしろ、発達障害同様その知見や療育に関するノウハウは時代により認識の差も大きく、早期に最新の知見を持った専門家による療育に繋げることが大事である。


「知的障害者=犯罪者予備軍」という訳では必ずしもないが、刑務所に入っている受刑者は、ボーダーを含む知的障害者も少なくないと考えられている。これに加え、弱い立場にある知的障害者、特に子供や女性は性犯罪の被害者になりやすい。男性の場合も、自制心がないことが原因で性犯罪の加害者となることもしばしばである。


児童精神科医の宮口幸治の著した『ケーキを切れない非行少年たち(※)』では、医療少年院で矯正を受けている非行少年の中には、ボーダーやグレーゾーンを含む知的障害・発達障害を持つ(あるいはそのような傾向が見られる)少年たちもいたことが綴られている。

彼ら・彼女らは適切なケアから洩れてしまったため非行に走ってしまい、自分の犯行について「反省する」ための能力が低い(上記の通り学習能力や記憶力が低かったり、自制心や想像力に乏しかったりする)ため犯罪を繰り返してしまう可能性があるということも言及されている。


※ただし、『ケーキを切れない非行少年たち』に関しては、医療少年院と名前がついた診療所での取材であり、既にある程度「治療」が必要だと判断された人物に偏っているのではないかとする専門家の懐疑的な意見もある。


中〜重度の知的障害者は、生まれつき身体疾患や重複障害を持っていることが多い上、多くは発達障害特有の感覚過敏や「こだわり」により好き嫌いが激しく、好きなものしか口にしない、運動もしないなど、好ましくない生活習慣を身につけてしまい、若くして健康を害し早世する人が多い。健常者に比べ認知症の発症率は高く、また発症年齢も若い。


社会への適応やコミュニケーションに対するストレスから、二次障害としてうつ病などの精神疾患を発症することもしばしば見られる。


境界知能、知的ボーダー編集

知的障害の診断基準ではないがIQは70-84と正常値より低く、知的障害同様以下の行動傾向が強く見られる人、障害特性により日常生活で困難を抱えている人のことを「境界知能(知的ボーダー)」、「グレーゾーン」などと呼ぶ。

境界知能に当たる人は全体の約14%、おおよそ7人に1人の割合で存在するとされる。日本の学校のクラス編成で一般的な35人のクラスであれば約5人が該当することになるため、決して珍しい方ではない。


明確に障害者として診断されているわけではなく、日常生活や学校の勉強にも(普通の人よりも困難が大きいが)全くついていけないというほどでもないことが多いので、義務教育の普通学級や一般の高校以上の学校で勉強していたり、(障害者雇用枠ではない)一般雇用で働いたりしている人もいる。

しかし、「基準に達していない」という点から、知的障害者として療育手帳(障害者手帳)が申請できず、福祉のサポートが受けにくい。本人の能力や特性が健常者中心のコミュニティでは噛み合わず、生きづらさを抱えているという人は多く、彼らにも一定の支援が必要である。


一部インターネットでは「境界知能」が「愚かに見える人、話の通じない人」などを指す形で、障害の実態に伴わない揶揄・蔑称として用いられているのが確認されている。


知的障害や発達障害を描いた作品、作家編集

Wikipediaにおける「障害を扱った作品の一覧」も参照のこと。


ブラックジョークとして障害者を描いた作家も少なくない。犯罪者予備軍であるなどとの世間の偏見を反映したものが多く、大方封印作品となっている。


  • 山野一・・・休刊復刊をたびたび繰り返しているカルト的な人気のある漫画雑誌ことガロにおいてガロ系と呼ばれる鬼畜物を題材とした作品を手掛けることが多い作家。どぶさらい劇場などで知的障害の要素がある過激な作品を多数手がけている。元妻は故ねこぢる
  • 佐藤正・・・『燃える!お兄さん』(用務員や知的障害持ちの人間に対する差別的な描写が多数。一部エピソードは単行本未収録)
  • 知るかバカうどん・・・同人作家(pixivユーザーでもある)の一人。短編同人作品において知的障害を含む数多の悪趣味な鬼畜作品を手掛けている。

※そのほか、本来そのように設定されていないキャラクターについて、匿名掲示板などで知的障害持ち(池沼という蔑称で呼ばれる)とするレッテル貼りが見受けられる。しかし、基本的には言いがかりに過ぎず、製作者側が明確に言及しない限りはこのような表現は避けるべきである。


著名な知的障害者編集

  • 山下清…画家。幼少期に重い消化不良が原因で、軽度の知的障害・言語障害を負ったとされる。(※)
  • 大江光…音楽家。先述の大江健三郎の長男。

※文献によっては「吃音と発達障害」「言語障害」などと紹介されている場合もあり、知的障害を持たない(山下が生きた時代を考えると、研究が未発達なことから発達障害と知的障害が混同されていた可能性が高い)という意見もある。しかし、小学生の頃通っていた普通学校にて学習の遅れがあったというエピソードや、兵役免除の事由が「知的障害」とされていることを踏まえ、本記事では「当時の検査基準では軽度の知的障害だと判断された」として紹介する。

山下はいわゆる瞬間記憶能力に相当するような優れた映像記憶力を持っていたとされ、また行動から自閉症傾向が見られることを含め、サヴァン症候群であったのではないかという見解もある。


外部リンク編集

知的障害(精神遅滞)(e-ヘルスネット)

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