概要
中編版と長編版がある。
1959年、アメリカの雑誌『ファンタジイ・アンド・サイエンス・フィクション』4月号にて、中編が発表。翌年のヒューゴー賞短編小説部門を受賞。
1966年に長編が発表され、ネビュラ賞を受賞した。
アメリカ、カナダで映画化され、日本では舞台や登場人物を日本に置き換えたテレビドラマが放送された。
形式
主人公チャーリー・ゴードンの一人称で、主に経過報告という形で書かれる。当初は簡単な言葉や単純な視点のみだが、物語が進むに従って変化していく。
あらすじ
知的障がいのため、幼児並みの知能しかないチャーリー・ゴードンは、他人を疑うことを知らず、誰にでも親切であろうとする心優しい青年だった。
妹に性的な暴行を働いたと家族に誤解され捨てられた彼は、叔父の友人が営むパン屋に住み込みで働きながら、知的障がい者専門の学習クラスで勉強に励む日々を送っていた。
ある日、学習クラスで、彼の担任である女性教授アリス・キニアンから、開発されたばかりの脳手術を受けるよう勧められる。そして動物実験として先に手術を施されたハツカネズミの「アルジャーノン」の、自分を上回る驚異的な頭脳を目撃する。そうしてチャーリーは人間の被験者第一号に選ばれた。
手術によって天才的な頭脳を得たチャーリーは、学ぶことの喜びを知っていく。しかしその一方で、自身がおかれていた境遇や、自分を見下していた周囲の本心に気付いてしまう。そして彼の心はその知能に追いつかず、次第に周りを見下し始めて孤立していった。
そんな中、チャーリーが世話していたアルジャーノンに異変が起き、それを自ら調査する過程で自分達が受けた手術の重大な欠陥を知ってしまう。手術は確かに知能を上昇させるが一時的なものにすぎず、人格の形成が追いつかずに社会性が失われてしまう事、上昇した知能はピークを迎えると徐々に失われ、最悪の場合手術前より低下してしまうというものだった。彼は失われていく知能の中で、必死に退行を食い止める手段を探すが見つけられず、遂に元の知的障害者に戻ってしまう。
ウォレンにある障がい者の収容施設で生活する決意をした彼は最後の経過報告日誌に、これを読むであろう教授に向けて、寿命が尽きてしまったアルジャーノンの死を悼み、暗にやがて花束を添えることが出来なくなる自身のこともメッセージに書いて物語は締めくくられる。
『ついしん。
どーかついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやてください。』
関連タグ
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