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ドクター・アシュラ

どくたーあしゅら

ドクター・アシュラとは、特撮テレビドラマ『超獣戦隊ライブマン』の登場人物の一人。
目次 [非表示]

「偉大なる大教授ビアスのお力で、俺の眠っていた才能が目覚めた。

 俺は自らを生体改造した。そして、ドクター・アシュラとなったのだ」(第12話)


演:岡本美登


概要編集

第1クール終盤より登場する、武装頭脳軍ボルトの幹部の一人。

その正体は暴力集団・ニューマフィアのボスであった毒島嵐頭脳獣さえも強引に従わせるだけの腕力と野性味、そして「天才」という存在への強いコンプレックスに目をつけた大教授ビアスによって直々に教育を施され、短期間でその才能を開花させられた嵐は、記事冒頭の台詞にもあるように自己改造を施し、ボルト4人目の幹部へと変貌したのである。


両手の指を使わなければ、1桁の足し算すら満足にできなかった嵐に対し、才能を開花させたアシュラは数学や語学、それにコンピューターの操作等様々な分野で抜きん出た実力を発揮できるようになった。電脳テクノロジーはその中でも得意中の得意分野であるようで、作中では自ら開発した分身システムを駆使し、手下である分身体・シュラー三人衆を作り出したり、後述のように頭脳獣・ハッカーヅノーの能力を利用してコンピューターから知識を得る等といった形で、その才能を表出させている。

一方で、ドクターとなる以前からの肉体派な面も健在であり、どちらかと言えば人間心理を巧みに突いた陰湿な作戦を繰り出すケンプマゼンダ達とは異なり、真っ向から敵を力でねじ伏せる戦い方を主体としている。戦闘においても頭脳獣やシュラー三人衆を仕向けるのみならず、自らも直接敵と刃を交えるのを好み、「カットアッシャー」と呼ばれるブーメランを武器に、シュラー三人衆との連携攻撃や「アシュラリバースアタック」という急降下攻撃を得意とする。


このように、智勇両面に秀でた天才に変貌したかに見えるアシュラだが、才能が開花する以前から抱いていた優秀な人間への憎悪やコンプレックス、それに暗黒街の帝王を夢見ていた頃の意識や凶暴性は完全には抜けきっておらず、ボルトへの加入当初は銀行強盗を働いたり、前述したコンプレックスを逆手に取った勇介の策にハマって自滅したりといった、およそ天才というには疑問符の付く行動も散見された。

またビアスの教育の影響により、そうしたコンプレックスの裏返しとして「天才である」ということへの強いこだわりを抱くようにもなったが、このこだわりは前述した「真っ向勝負を好む」という一面との二律背反を引き起こし、最終的にアシュラの命取りともなった。


「嵐を呼んだ」男編集

アシュラの登場は、それまで純然たる「エリート集団」であったボルトの幹部達に、様々な形で動揺と影響を与え、「千点頭脳」を目指す彼らの競争心を一層煽り立てる格好となった。

中でもその煽りをモロに喰らったのがドクター・オブラーである。アシュラの参入によって激化した競争について行けず、やがて自滅に近い形で脱落を迎えたオブラーであるが、一方で登場当初から何かと因縁があったアシュラとオブラーは、物語最終盤にて思わぬ形で再び相対することとなる。

また、天才であるがゆえの選民思想や、他者に対する気遣いの欠如が目立つボルトの幹部の中にあって、どちらかと言えば例外とも言える振る舞いも折に触れて示しており、自分から抽出した「優しさと愛する心の遺伝子」から生まれたレイ(ツインヅノー)を自ら破壊する形になって悲しむマゼンダに、レイの形見となったペンダント(大原丈がレイに贈ったペンダント)を渡す心遣いを見せたり、コミカルさの目立つブッチーとも、口癖を真似たからかいを交えつつ掛け合いに及んだこともある。


・・・と、このように組織内部の競争や人間模様に、様々な形で「嵐を呼んだ」アシュラであったが、肝心の自身の成績・活躍はと言えば必ずしも芳しいものではない。

物語も後半に入ると、アシュラが単独で作戦行動に出る機会も大幅に減り、それも影響してか度々行われてきた中間成績発表でも、常に5人の幹部の中で真ん中辺りが定位置となる(※)など、千点頭脳を目指しての競争において次第に後れを取る格好となっていた。

そして物語終盤でギルドスとブッチーが相次いで脱落するに至り、アシュラはただ一人減点され最下位に転落。ケンプやマゼンダには成績で大きく水をあけられ、ビアスからも「数字は正直だ。もはやそれだけの才能しかないということ」と見切りをつけられるという屈辱を味わわされてしまう。

アシュラ自身は知る由もなかったが、彼もまた先に散っていった「宇宙の天才」達と同様に、本命たるケンプとマゼンダを奮起させ、彼らの成長を促すためだけに用意された存在に過ぎないことは、この時期に至っての唐突な減点からも明らかであった。12個目の千点頭脳を得るというビアスの目的達成が現実味を帯びてきた中にあって、アシュラの存在意義は最早なきに等しいものとなりつつあったのである。


とはいえ、この状況下にあってもなおアシュラは「天才である」ことへの拘りを捨てきれず、頭脳獣・ハッカーヅノーを使って日本各地のスーパーコンピューターをハッキングし、その能力を吸い取ることで自らの頭脳を強化するという起死回生の一手に打って出る。

阻止しようとするライブマンの動きを読み、的確に攻撃を仕掛けるなど、その手法はケンプ達を焦燥させ、ビアスさえも瞠目させるものであったが、戦いの中でレッドファルコンから「頭で戦うことだけに集中し過ぎ、肉体で戦うことを疎かにした」と看破された末、コンピューターの計算を超えた「勇気」の前に手痛い一撃を喰らってしまう。

シュラー三人衆までも失い、それでも自分のやり方に間違いはないはずと信じてヅノーベースのコンピューターをハッキングするも、点数に変動なしという非情な事実を突きつけられた上、偶然にもビアスの目的にまつわる機密情報にアクセスしてしまったことが災いし、ビアスからの攻撃を喰らって作戦に使用していたトラックもろとも吹き飛ばされるという、敢えない結末を迎えたのであった。


・・・が、事はこれで終わりという訳ではなかった。


「嵐だと?・・・どうなっちまったんだ!? 俺はもう、ドクターアシュラじゃねぇのか!?」


奇跡的に一命を取り留めていたとはいえ、その姿はアシュラではなくかつての毒島嵐――元の計算すら覚束ないあの嵐へと戻ってしまっていた。

こうしてドクター・アシュラは「死んだ」ものの、嵐のビアスに対する怒りと闘志までは死んでおらず、落とし前をつけるべく最後の戦いへと臨むこととなるのである・・・。

この最期に関しては『戻れる道のあった尾村とは違い、自分は陽の当たる道をもう歩めない』と考えていた故の行動と言えるだろう。

おそらくアシュラになる前から自分のやって来た罪の重さに関しては理解しており『ビアスと共に世界を征服する事で再び陽の当たる道を歩く』というのが本音だと思われる。

彼は計算こそ苦手だったが自身や周りの状況等はキチンと理解していた、それ故にビアスの誘いに乗りドツボにハマっていったと言えよう。


(※ 最初の発表の際には155点で3位であり、2回目の発表時こそ450点で2位につけるも、その後はギルドスと同点の800点で再び3位に後退し、最終的には600点に減点されるに至っている)


備考編集

デザインは新貝田鉄也郎が担当。制作サイドからは忍者っぽい、肉弾戦をするキャラという程度の発注が出されていたようで、(実際のデザイン作業について)後は好きにやらせてもらったと後年のインタビューで述懐している。


演者の岡本美登は後年の雑誌でのインタビューにおいて、「東映プロデューサーの鈴木武幸から髪の毛を剃ることを要望され、剃るのは可能だが童顔に見えると答えたところ、長髪のキャラクターになった」と証言している。


関連タグ編集

超獣戦隊ライブマン 武装頭脳軍ボルト


ヒラメキメデス:『炎神戦隊ゴーオンジャー』の登場人物の一人。彼もまたアシュラと同じミスで敗北を喫するも、一方でこの敗北が大幅なパワーアップに繋がったという相違点も見られる

ギエン:『未来戦隊タイムレンジャー』の登場人物の一人。アシュラと同様に、本来はまともに数も数えられなかった者が改造手術によって天才的な頭脳を手に入れる、という共通項を有する


アルジャーノンに花束を:アメリカのSF小説。人為的に天才となりながらも、それゆえに周囲や変化した自分自身に翻弄され、やがて得たはずの知能さえも失っていく青年の姿を描いた、ある意味ではアシュラの原型ともいうべき作品である

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