「大教授ビアス様の名は、宇宙の果てまで鳴り響いている。その名を慕ってはるばるやって来た俺を、ぜひ弟子にして頂きたいとお願いしたのだ」(第20話)
概要
第19話より登場する、ギルド星出身の天才宇宙人。
甲殻類、もしくは爬虫類を思わせる緑色の体表が特徴で、大教授ビアスに弟子入りするために地球へと訪れ、失態続きであったドクター・オブラーを蹴落とす形で武装頭脳軍ボルトの幹部の座に収まった。
他の幹部達と同様にその性格は高慢そのもので、また自らが「宇宙の天才」である事に対して強い自負を持っており、時にドクター・ケンプ達「地球の天才」を侮るような素振りを見せたこともある。
一方で、程なくしてビアスの門下にブッチーが加わると、出身の星こそ違えど同じ「宇宙の天才」であることから彼と行動を共にすることが多くなり、ギルドス個人としての活動はほとんど見られなくなった。また友情という感情を「宇宙人には理解できない」と切って捨てながらも、最初の中間成績発表(第31話)の際に2人して下位に甘んじた際には「俺達はただ活躍する場が少なかっただけだ」と励まし合った事もある。
主な武器として「キババックル」という二本の牙を装備しており、これはブーメランのように投擲武器としても使用できる。また両手からはビームを放つこともできる他、初登場の際には「十字架剣」と呼ばれる特殊な剣を用い、サイセイヅノーにエネルギーを与えたりバイモーションバスターを防いだりなど、様々な超能力を駆使したこともある。
さらに、ギルド星人の持つ不滅の生命エネルギーを利用し、ガードノイド・ガッシュの手を借りずとも、ギルドカオスファントムエネルギーを放射して自力で頭脳獣を生み出せるという、地球の人間には真似のできない能力も披露している。
「造られた」天才
前述の第1回中間成績発表の時こそ、81点という惨憺たる結果であったギルドスだが、その後2度目の中間成績発表(第37話)ではケンプ達を抑えて500点でトップに躍り出るなど、目立たないながらも「宇宙の天才」の名に恥じぬだけの実力を示していたのも事実であった。
しかしそれもほんの束の間の事でしかなく、物語も終盤戦に差し掛かった頃に実施された3度目の中間成績発表(第43話)では、あろうことかドクター・アシュラと同点の800点で3位タイに転落。それも無理からぬことで、この間ケンプやマゼンダが自己改造によって、それぞれ大幅なパワーアップを果たすという一定の「成果」を上げていたのに対し、当のギルドス(と、ブッチー)はと言えばインセキヅノーを生み出してライブマンを一時苦戦させた以外には目立った活躍はなく、前述した順位に甘んじるのも当然と言えば当然の話であった。
・・・が、理屈がどうであれギルドスがこの事実に納得できるはずもなく、採点に対する不満から、
「地球一の天才か何か知らんが、地球なんてこの宇宙の片隅にあるちっぽけな星にしか過ぎないんだ。
それに比べ俺達は、宇宙の天才なんだぞ。そんな俺たちに点数を付けたり命令したり、おこがましいと思わぬか!?」
と、かつては尊敬していたはずのビアスを侮るような姿勢をあからさまに示すようになった。これに対してビアスもまた挑発に及び、ギルドスはそれに乗る形で頭脳獣・ギルードヅノーを独力で作り上げ、ライブマンの各個撃破に及ぶことで自らの実力を誇示せんと目論んだ。
その手始めとしてグリーンサイこと相川純一に狙いを定め、無限の再生能力を有するギルードヅノーと共にこれを追い詰めていくが、不屈の闘志で向かっていく純一との戦闘に決着をつけられぬまま、破壊されるギルードヅノーを何度も蘇らせている内に、その異変は突如としてギルドスの身体に現れた。
「ギルードヅノーよ!蘇れ!・・・何故蘇らん!? 何故だ!? 私の生命力は不滅のはずなのに何故!?」
バイモーションバスターで倒されたギルードヅノーの残骸に送ったはずのエネルギーが届かず、困惑するギルドスに追い打ちをかけるかのように、彼の身体が前触れもなく爆発を起こし、その皮膚の下から現れたのは――生物とはおよそかけ離れた機械の身体であった。
その様は、ヅノーベースにて戦闘の様子をモニターしていた他の幹部達に並々ならぬ驚愕と困惑を与えたが、それ以上に当のギルドス本人がこの事実に衝撃を受けていたことは言うまでもない。
「知らなかった・・・私の身体の中がこんなになっていたとは・・・何故? 何故だ・・・私は宇宙一の天才、不滅の生命力を持つギルド星人ギルドスではなかったのか・・・?どういうことなのか・・・」
「ビアス!教えてくれーっ!!」
切り札であったギルードヅノーも巨大化の末に呆気なく倒される中、ギルドスは我が身に降り掛かった異常事態を呑み込めぬまま、侮っていたビアスに事の真相を問いかけつつ崖から転落、そのまま爆発四散したのであった。
その様子を目の当たりにしたライブマンは、ギルドスがケンプ達の競争相手としてビアスに作られた存在ではないかと推察していたが、次話で程なくしてビアス自身もブッチーに対して、その推察を裏づけるかのような種明かしに及んでいる。
全ては千点頭脳到達の「本命」たるケンプ達を奮起させ、その成績を向上させるための手立ての産物に過ぎず、ギルドスが拠り所としていた「ギルド星出身の宇宙の天才」も「不滅の生命力」も、その一切が人為的に植えつけられた偽りの記憶でしかなかったのである。
備考
デザインは荻原直樹が担当。前述した皮膚のディテールについては、デザイン段階では明確に甲殻類をイメージしたものとされている。また、デザイン作業の段階では普通に宇宙人の幹部であるという想定であり、ビアスが作ったロボットであるという設定は後付けであることが後年のインタビューにて言及されている。
退場回となった第43話の放送日は1988年(昭和63年)12月24日で、大晦日の休止を挟んで翌1989年(昭和64年)1月7日に放送予定であった第44話が、昭和天皇の崩御に伴って一週順延となったため、結果としてこの第43話がスーパー戦隊シリーズの昭和最後の放映回となり、同時にギルドスが昭和で最後に死亡したスーパー戦隊シリーズの悪の幹部ともなった。
関連タグ
シャダム中佐、ガラ中佐、ザイドス少佐:いずれも『五星戦隊ダイレンジャー』の登場人物で、ギルドスと同じように死の間際まで自分の身体に隠されていた秘密を知らなかったという共通項を有する