「よーし、一つ街に繰り出すか! いつの時代も、金がなきゃ始まらねぇ!!」(Case File.1)
概要
演:千本松喜兵衛(声は大友氏による吹替。人間態を演じた千本松氏自身もトゥモローリサーチの大家役として出演している)
囚人No.35723 圧縮冷凍年数:1000年(宣告された直後に逃亡)
30世紀の大物マフィア「ドン・ドルネロファミリー」のボスで、警察に追われる生活にうんざりしたためわざと逮捕されたが、刑務所ごと20世紀に逃亡し、金儲けのために暗躍する。金儲けが目的なので世界の破壊や人類の支配を望んでおらず、逆に世界の破滅を止めようとしたこともあるなど、悪の組織のボスとしては珍しい人物。
命の恩人でもあるギエンには少々甘い。だがそれが彼の暴走を招き、結果的に命取りとなる(後述)。
中盤からは人間態をとり(CF21で初披露)、金城銅山(きんじょう・どうざん)と名乗って20世紀で暗躍する。
ファミリー内のトラブルを嫌う親分肌な性格。自身の幼馴染であるアーノルドKがギエン、リラと不穏な雰囲気になった際には、わざとタイムレンジャーに負けるように仕組みファミリーから追放した。これは暗殺されるより圧縮冷凍される方がマシという判断からであり、ファミリーの平穏と友人の命を同時に守ったと言える。
また悪の組織のボスではあるが特別に戦闘力が高いわけではなく(と言っても素手の一撃で、時間保護局のロボットを破壊しているが)、CF1でタイムレンジャーに撃退されており、それ以降は直接戦闘に関わることは少ない。強さよりもカリスマと強かさでファミリーをまとめあげている存在である。
金への執着
金への執着心は愛しているとまで言われるほどで、無いと熱を出してしまう体質を患っている。
当初こそ地球のてっぺんに自分の城を立てると語っていたが、これに深い意味はなく、稼いだ金もレストランやリゾートで豪遊したり次の金儲けの資金源にしたりしている。
Case File1(本編における話数表記。以下「CF」と略す)でギエンやリラ達と共に街を派手に襲撃したのも20世紀の現金を持っていないためで、それ以降派手な破壊活動は行っていない。むしろ破壊によって経済ルートが破綻してしまうと、ドルネロも困るのである。
要するに金の持つ輝きと重み、それを動かすことで生み出される新たなる金儲けそのものに快楽を覚える、根っからのマフィア気質な人物である。
そのためリラの浪費癖には頭を悩まされているが、一方で過去に自身を捨てた末に金で買い戻した母(ドルネロ自身はその怪人態のベースとなった種族の父とヒューマノイド種族の母を持つハーフ)の面影を感じるために強く言えないジレンマを抱えている。
一応「ドン」を名乗りファミリーを束ねる立場に居るものの、特に彼等の主人と言うわけではないので、幹部であるギエンやリラも、部下というより対等な付き合いの仲間という関係。金儲け目的で解凍する囚人達もドルネロ相手に忠誠は誓っておらず基本ため口だが、本人は気にしていない。
それどころかアジトに顔を出ししっかりと金をファミリーに納めててさえいれば、たとえ違法カジノや闇金経営、インチキカウンセリングやカルト宗教の経営、果ては遊んでたり寝る等、囚人達が好き勝手に行動していても黙認している。また、結婚詐欺師バーベラの稼ぎが芳しく無くても「随分細かい稼ぎだな」とだけ述べるに留める等、ノルマ等は特に設定されておらず、部下に対しては寛容な面も見せている。
一方で爆弾製造犯D.D.ラデスのように、良心の呵責によって協力を拒んだ囚人には容赦なく抹殺指令を下す等、締める場面ではきちんと締めている。
ドルネロ「えー願いましてはー……ぬおああああああああああ!!!!! なんということだあああああ!!!!!!」
ギエン「どうしたドルネロ。また悪い病気が出たか?」
ドルネロ「見ろおおおおおおお!!! 今月分の収支をおおおおおおお!!! 全部真っ赤かだああああ!!!!」
リラ「ドルネロ、あんた家計簿なんかつけてたの?」
CF17では実は家計簿をつけているというマメな部分を見せた(その際そろばんを使い、眼鏡をかける)。上記のやり取りの後にギエンから「銀行でも襲えばいいじゃないか」と言われた際には、
「ダメだ! ドカンと収入があったらその分派手に使っちまう! 今の俺達に必要なのは安定した収入だ!」
と答えている……安定した収入を欲しがるマフィアのドンなんて彼ぐらいだろう。
このほかにも20世紀のメロドラマを見て感動して泣いてしまう一面も見せた。
これだけ人間味があり、金にこだわるドルネロだが、一方で「本当にこの世の全てを金で解決できる」とは考えておらず、上記の母親についてをリラに話した際にも「ここ(胸)に空いちまった穴だけは、いくら金つぎこんでも埋まらねえ。絶対にな」と寂しげに語っていた。
劇中では、タイムレンジャーに邪魔されることが多かったが、実際にはそれ以上に収益を得ており(逆にタイムレンジャーに妨害されたことで収入を得たこともあった)、当初の目標を達成できた敵組織としては、世界征服を成し遂げたマシン帝国バラノイア同様に、成功した稀有な敵組織といえよう。
余談
名前はアメリカの通貨単位「ドル」から。また、後半の「ネロ」はイタリア語で『黒』である事から、合わせて「黒いカネ=違法な金銭」の意味合いもあると思われる。
企画当初ではティラノサウルスがモチーフになる予定だったらしい。ちなみにのちのマフィアのボスのドグラニオ・ヤーブンのモチーフはティラノサウルスに採用されている。
関連タグ
T-800:未来から来たキャラ繋がりで、大友氏が元祖ターミネーターのテレビ朝日版吹替とVHS吹替で演じていた。
ドグラニオ・ヤーブン:マフィアのボスであるスーパー戦隊の首領繋がり。こちらは色々な意味でドルネロとは正反対な悪役。
レッド総帥:悪の組織のボスの側近ポジの部下に惨殺された悪の組織の首領繋がり。
邪電王ジャビウス1世:大友氏が「電磁戦隊メガレンジャー」で担当したスーパー戦隊の首領繋がり。元人間だった側近ポジの部下に殺されるという共通点がある。
闇王ギル:大友氏がVSシリーズ「ゴーゴーファイブVSギンガマン」で担当したゲスト怪人。呪士ピエールに捨てられたキャラだったが、自作のVSシリーズ「タイムレンジャーVSゴーゴーファイブ」では逆に(ドルネロが)ピエールを拾うという、立場が正反対のキャラを演じている。
ギンジフ星人カザック:同じくVSシリーズ「デカレンジャーVSアバレンジャー」で担当したゲスト怪人。マフィア(ヤクザ)キャラという点がドルネロと共通しているからなのか、デズモゾーリャを復活させた暁には「カザックファミリーを作ってやる」という台詞が出ていた。
以下ネタバレ
駆け出し時代、ギエンに匿われ命を救われたことがあるが、その際にギエンが重傷を負ってしまう。サイボーグ手術で命をつなぐも、その影響でギエンは本来の純朴な人格を失い、破壊を求める享楽的な人格となってしまった。
それでも過去の恩義から、ギエンを強く諫めることはせず容認していたものの、その行動が世界を滅ぼす物だと知り粛清を決意する。
しかし最期は、ギエンと対峙し追い詰めるも銃の引鉄を引けず、返り討ちに遭ってしまった。
「俺としたことが……オメェを撃てなかったか……」
既に死に体であるところに、竜也と、かつて殺した捜査官一家の生き残りであるユウリと対峙する。
圧縮冷凍された囚人達の送還を頼んで息絶えようとするが、そこにユウリが詰め寄る。「自分がかつてドルネロが『殺せ』と命じた捜査官一家の生き残り」だと語るユウリに、こう答える。
「覚えてねえなあ。そんなことは飽きるほどやってきた」
因縁のあるタイムレンジャーに対する自分なりの最後の悪あがきなのか、それともマフィアのボスとして散々悪事を働いてきた自分への皮肉なのか……
その言葉を聞き激昂するユウリを無視し、あらためて囚人達のことを頼むと、
「俺もおしめぇか……リラ……もう一度顔を見たかったぜ……」
「おめぇ……俺のおふくろにそっくりだって知ってたか……」
と、言い遺し息絶えた。
ドルネロを逮捕し法の裁きを受けさせる事を使命としていたユウリにとって、その死に様は大きな喪失感を与えるものであった。
上記のようにその行いは外道の極みではあるが、最後まで悪党を貫いたその生き様や、良くも悪くも人間臭さが溢れ出た性格に少なからず共感するファンも多い。