「二つの我が一つになる時、新たな進化の時!」(第43話)
概要
約6500万年前、地球に激突した巨大隕石の中に付着していたアメーバ状の生命体で、邪命体エヴォリアンの神。肩書きもズバリ「邪命神(じゃめいしん)」。一人称は「我」。
自らを「あらゆる次元を統べる神」と名乗り、ダイノアース征服後にアナザーアース(地球)にも侵略の手を伸ばした。
エヴォリアン構成員の口から度々その名前は登場していたが、アバレンジャー達が存在を知ったのは終盤になってからだった。
肉体を持たないため、定期的にリジェの体に憑依し神託の形で配下である使徒達に命令を下し、失敗した使徒には制裁の電撃を食らわせる。
自らが「虫ケラ」と蔑む竜人を依代にするしか無い現状を忌々しく思っており、戦力生産の中核たるミケラとヴォッファの両雄が、揃いも揃って気分屋なために戦力を安定的に創造しない上に、怠け癖もあるサボり魔なので、デズモゾーリャ自身が定期的に制裁(という形の催促)を行わないと侵略計画が停滞してしまう悩みも抱えている。
しかし目的のための手段は問わないようで、配下の使徒達が考案した作戦を却下したり否定したりすることは基本的に無く、生み出されたトリノイドやギガノイドは常に期待を寄せて送り込んでいる(覚醒を果たした時に作られたナナクサルンバも期待して送り込むつもりだったが、ミケラから「祝賀用であり侵攻用ではない」と言われた際には流石に言葉も無く激怒していた)。半強制的ながらもミケラとヴォッファをアナザーアース出張に向かわせリフレッシュさせた事もあり、部下のモチベーションを維持するアメとムチの使い分けには余念が無かったりする。
その他にも、アナザーアースに先遣隊として3体のトリノイドを送り込んで人間として潜伏させ、それぞれの作戦を遂行させるよう指示を下す等、策謀家としてかなり狡猾な一面も持つ。
リジェに憑依する以前は本拠地である侵略の園最奥にある生命の樹に宿っており、枝を自分の手足のように動かすことができた。リジェに憑依して以降も樹を操る能力は有しており、デズモゾーリャの活力に応じて生命の樹が発光する場面もあり、憑依先が変わった現在も生命の樹とは深い繋がりを保っている。
デズモゾーリャは「究極の生命体」とも呼ばれ、相応の肉体を手に入れて完全復活すれば、その瞬間に地球中の全てに邪命因子が撒き散らされ、全ての生物はデズモゾーリャの一部になると言われている。そのため、デズモゾーリャの復活(究極の肉体の完成)もエヴォリアンの目標の一つとなる。
復活には及ばない仮の肉体であっても強大な力を発揮することが可能であり、劇中では3度も憑依先を変更し、その度にアバレンジャーを大いに苦しめた。
死後もトリノイドの残党サウナギンナンがギンジフ星人カザックと共謀して復活を企てたり、10年後には大サタンの魂と共に宇宙大恐竜ボルドスを誕生させる等、エヴォリアン壊滅後も強い影響を残した。
アナザーデズモゾーリャ
実は隕石が地球に激突した際、地球がダイノアースとアナザーアースに分離したように、デズモゾーリャもまた魂が二つに分離してしまっていた。この内アナザーアース側に渡った方の魂を、ミケラは「アナザーデズモゾーリャ」と呼んだ。
ダイノアースの魂がリジェに宿ったのに対し、アナザーアースの魂は休眠状態のまま宿主を転々としており、アナザーアースの歴史に様々な影響や混乱を及ぼしていた。
現代では仲代壬琴に憑依しているが、本人にその自覚は無かった。ダイノアース側のデズモゾーリャのように壬琴を乗っ取って操ることはできず、そのためには壬琴の中のデズモゾーリャを目覚めさせる必要があった。
アナザーデズモゾーリャは壬琴に天才的な才能と不死身の肉体を与えたが、それにより何をしても達成感が得られず、他者との絆も持てなかった壬琴の精神は歪んでいき、アバレキラーの力を手に入れて以降「ゲーム」と称した数多くの悪行に手を染めるようになっていった。人間をバーミア兵に変える邪命因子を浴びても何も起こらなかったのも、アナザーデズモゾーリャの影響であった。
過去にアナザーデズモゾーリャに憑依された歴史上の人物はいずれも異常な才能と破壊を好む性向を示しており、彼等も邪命神から与えられた才能により人生を歪められた結果、デズモゾーリャの思惑通りに力を求め破壊を齎していたのだと思われる。
劇中の動向
本編開始前
巨大隕石に乗って地球に到来したデズモゾーリャはダイノアースで目覚め、エヴォリアンを結成。無数のアノマロガリスを使った「闇の二百日」で緑豊かだったダイノアースを砂漠の星に変え、侵略を始めた。
アスカ達が子供だった頃には既にダイノアースは制圧され、竜人族はレジスタンスとして逃げ隠れしながら暮らすことを強いられていた。
その後、大人になったアスカ達は侵略の園へ攻め込む作戦を決行したが、デズモゾーリャは進入してきたマホロとミズホを逆に捕らえ、幻覚を用いて二人を洗脳し破壊の使徒ジャンヌと暗黒の使徒ガイルトンに変え、更にジャンヌには次元の扉を開く黎明の使徒であるリジェを産ませた。
デズモゾーリャはリジェを自らの嬰児と称し、周囲もジャンヌとデズモゾーリャの娘だと認識していたが、実際はマホロが既に身籠っていたアスカとの子供にデズモゾーリャが憑依したというのが真相であった。
リジェ憑依期
ダイノアース征服後、アナザーアースにも侵略の手を伸ばしたデズモゾーリャは、最初の侵攻をガイルトンに任せると同時に、自身の肉体を作るために先遣隊のトリノイドを潜伏させた。
同時にアナザーアースに恐怖を振り撒き侵略することを目論み、定期的にリジェを通して指示を伝え侵略計画を遂行させた。しかしアバレンジャーの奮戦により侵略計画は遅々として進まず、使徒達に制裁を下す頻度も増していった。
加えてリジェを依代にし続けることにも限界が生じており、デズモゾーリャは不調に陥り、それに引っ張られるようにリジェの体も弱っていった。苦痛に呻く中デズモゾーリャは、使徒達に肉体の完成を急ぐよう求めていた。
しかし、デズモゾーリャの呻き声のせいで眠れなくなったリジェが不満を爆発させてアナザーアースに出奔してしまい、挙句に彼女が連れ帰ってきた壬琴によってエヴォリアンを乗っ取られる災難に見舞われる。
デズモゾーリャの不調に伴いリジェを通じて神託を伝える頻度も減っていき、状況を打開するべく6500万年前の隕石に内包されアナザーアースに渡ったデビルストーンを回収して復活することも企てたのだが、ハゲタカライチの作戦が失敗しデビルストーンが失われると同時にリジェは昏睡に陥り、デズモゾーリャも暫くの間休眠状態となる。
リジュエル憑依期
リジェは大人化してリジュエルとなり目覚めたが、デズモゾーリャは変わらず休眠していた。
壬琴とリジュエルの専横に嫌気が差したミケラとヴォッファは、壬琴達に隠れてデズモゾーリャ復活を画策し始める。
ミケラはアナザーデズモゾーリャに着眼し、レインディアサンタの作戦でアナザーデズモゾーリャが壬琴の中に潜んでいることを突き止めた。
ミケラ達はアバレンジャーに敗れた上にトップゲイラー達にも離脱され苛立っていた壬琴を口車に乗せ、ギガノイド第11番「不滅」の体内に壬琴を取り込んだ。アナザーアースにもあった生命の樹と「不滅」を融合させ、壬琴の中に潜むアナザーデズモゾーリャを覚醒させる作戦であり、成功すればリジュエル体内のデズモゾーリャも同時覚醒する筈であった。だがミケラ達がジャンヌ(マホロ)を一切警戒せず計画に引き入れた事が災いし、作戦内容はアバレンジャー側に漏れていた。
一時は壬琴の中のアナザーデズモゾーリャが目覚めたのだが、凌駕とリジュエルの説得によって壬琴が自我を取り戻し、「不滅」がオオアバレンオーに倒されたため失敗に終わる。
しかし作戦自体は失敗したものの、一瞬アナザーデズモゾーリャが目覚めた影響でリジュエルの中で休眠していたデズモゾーリャが本格覚醒に至る。以後はリジュエルの意識が封じられ、デズモゾーリャが直接指示を出すようになる。
最初にアナザーアースへ潜り込ませたトリノイド・ドラゴンドランの計画が整ったため、ドラゴンドランこと出雲蘭の信奉者である100万人の人間を生贄にして新たな肉体を作り上げる作戦を実行。デズモゾーリャ自身もリジュエルの体で赴き、アバレキラーを圧倒し追い詰めたのだが、壬琴を殺すことを拒んだリジュエルの意識が抵抗したためにトドメを刺し損ねる。
5人揃ったアバレンジャーにドラゴンドランが倒されたことで肉体は崩壊したのだが、デズモゾーリャは既に次の肉体に目を付けていた。
ミケラ達とは違い節穴ではないため、帰還直後にジャンヌがアバレンジャーへ情報を流す現場を押さえたが、ジャンヌが文字通りに自らの命を懸けたため一旦不問にしている。
依代であるリジュエルからはその後も必死で抵抗されていたが、デズモゾーリャは彼女の精神を無理矢理捻じ伏せ、遂にその体を完全に乗っ取った。
リジュエル強化体 デズモリジュエル
(下イラストの真ん中が、デズモリジュエル)
復活前の下準備としてジャンヌを伴いアバレンジャー抹殺に赴いたデズモゾーリャだったが、ジャンヌ(マホロ)を不問にしたのはアバレンジャーの最期を見せ付けるためであり、アバレンジャーと対峙すると同時にマホロを拘束し、目の前でデズモリジュエルとなる。
額の赤い装飾からの光弾や胸部から放出する電撃といった強力な攻撃や、あらゆる武器と技を弾く強靭な肉体でアバレンジャー4人を圧倒し、変身解除に追い込んだ。
だが、5人揃ったアバレンジャーの猛攻に怯み、5人のダイノガッツを浴びせられ、謎の少女(カスミ)がリジュエルの体に戻ったために彼女の体から追い出された。
これによりリジュエルは本来の姿である赤ん坊になったが、代わりにデズモゾーリャはマホロの体を乗っ取り、侵略の園に撤退した。
デズモヴォーラ
しかし既に竜人の器を見限っていたデズモゾーリャは、ミケラとヴォッファを融合させた上で憑依しデズモヴォーラとなった。マホロを生命の樹に縛り付けた後にアナザーアースへ渡り、新たな肉体創造を画策。
赤い雪を降らせて人々の悪の心を増幅・暴走させ、そのエネルギーを使って復活させたバクレンオーを新たな肉体にすることを企んでいた。
阻止するべく駆け付けたアバレンジャーと応戦し、様々な幻覚で惑わし頭部からの電撃や右腕の触手等を武器に攻め立て、これまでほとんど無敗だったアバレマックスをも圧倒する戦闘力を見せ付けたが、自身の半身が憑依しているために不死身となったアバレキラーに苦戦する。
だが隙を突き壬琴を捕らえてバクレンオーに乗り込み、完全体になるべく壬琴から半身を吸い上げにかかった。
しかしアバレンジャーのダイノガッツが壬琴に与えられると形勢逆転し、壬琴のダイノガッツに焼き尽くされ半身は消滅した。アナザーデズモゾーリャの最期の言葉は「助けてくれ!早くここから出してくれー!」であり、とても邪命神の半身とは思えない余りにも情けない断末魔であった。
アバレンオーとマックスオージャにバクレンオーを破壊されると自ら巨大化し、アバレンオー達を打ちのめした。しかし最期はキラーオーの反撃に遭い、爆竜必殺デススティンガーで倒された。
デズモゾーリャは死亡し、その野望も潰えたのだが・・・。
侵略の園・究極体 デズモゲヴァルス
しかし、デズモゾーリャの残留思念だけはしぶとく残っており、本拠地であった侵略の園その物を新たな体とし、デズモゲヴァルスと化した。
生前の意思は完全に失われ、怨念の赴くままにアナザーアースへと攻め込む。
大量のアノマロガリスを生み出し、本来は究極の力が必要となる「闇の二百日」を無理矢理起こし、ダイノアースのようにアナザーアースも滅ぼすべく猛威を振るった。
マホロを引き続き体内の生命の樹に縛り付けており、救出のために体内に進入したアバレブラックとアバレイエローを、生命の樹の触手と暗黒の鎧の幻影で迎え撃った。
アバレンオーの体をも貫き得る巨大なランスが武器であり、更に中央の眼から電撃やアバレンオーすら持ち上げる光の触手を放つ能力も有する。胸部からは山を消し飛ばす程の威力のレーザーを発射する。
アバレンオーとマックスオージャを同時に相手取って圧倒する戦闘力を誇り、一度は操縦するアバレッドとアバレブルーを変身解除に追い込む。
しかしマホロは救出され、ダイノガッツを燃え上がらせ再変身を果たしたアバレンジャーの猛攻に怯み、とどめにアバレンジャーと爆竜達のダイノガッツを浴びて遂に倒された。
しかし執念深いデズモゾーリャがこのまま素直に斃れる筈も無く、死の間際にアバレンオーとマックスオージャを吸い寄せ、最期は2体を道連れにしようと自爆して果てた。
だが、爆発寸前に凌駕に影響された幸人の「いや、踏ん張るな!踏ん張っちゃ駄目だ!」に乗った凌駕が吸引力を逆利用してアバレンオーのドリルで地中に潜っていたため、アバレンオーとマックスオージャ及び操縦者の二人は無事だった。
デズモゲヴァルスの爆散により、遂にエヴォリアンは滅びた。
余談
名前の由来は恐らく『デス(死)+コスモス(秩序整然とした宇宙)orコズミック(宇宙のように無限な)+ゾウリムシ』ではないかと推測される。
『特捜戦隊デカレンジャーVSアバレンジャー』で、デズモゾーリャではなくアバレキラーが復活した原因は、サウナギンナンが復活者を指定する際に「デズモゾーリャ」と指定せずに「エヴォリアンで一番強い奴」と指定したためである。
上記の通り何度も復活するボスではあったが、しつこいだけで最強ではないと見なされたのか、アバレキラーこと壬琴が体内のアナザーデズモゾーリャをダイノガッツで消滅させた実績からアバレキラーのほうがデズモゾーリャより強いと見なされた可能性もあるが…
また、アバレキラーが有名になり過ぎたせいで相対的に影が薄くなってしまったが、本編以前のダイノアースでの戦いにおいて、捕らえたマホロに対してやらかした内容は「アスカがマホロ救出を諦めてナユタに心変わりして逃げたような幻覚を見せて心を折り、お腹にいたアスカとの子供を触手で引きずり出して邪命因子を植え付けリジェにする」という鬼畜の所業である。そのため事実を知ったアバレンジャー達もリジェ/謎の少女(カスミ)の父はデズモゾーリャなのかと勘違いしていた。