概要
爆竜カルノリュータスとカスモシールドンが「爆竜合体」して完成する、悪の戦闘巨人。
初出は劇場版『爆竜戦隊アバレンジャー DELUXE アバレサマーはキンキン中!』で、TVシリーズにも物語の終盤で登場している。
見る者に刺々しい印象を与える頭部と大きく横に張り出した胸飾りなどを除けば、青や紫などの寒色を基調とした、アバレンオーの色違いとも言える見た目ではある。が、出力・スピード共にアバレンオーはおろかキラーオーさえもはるかに凌ぐ身軽な動きで敵を翻弄する。
武器は、2体の爆竜の尾を結合させた「ダブルテイルソード」と、カスモシールドンの頭部をそのまま用いた「カスモシールド」を装備しており、同様の武装を有するアバレンオーとは異なり、この二つを手にした状態がバクレンオーのデフォルトの姿となっている。
爆竜コンバインの能力も備えており、作中ではアバレンオーのティラノテイルドリルを強奪し、バクレンオーの右腕として武装している。
「悪の戦隊ロボ」としては珍しく、再登場時も含め終始一貫して戦隊側と敵対しており、そのまま倒される形で退場したという点では他の同種の存在とは一線を画したものとなっている。
作中での動向
劇場版
バクレンオーを構成する「2匹の青い爆竜」が封印されてから1万5千年後の現代(2003年)。エヴォリアンは長きに亘って氷山の中で眠りについていたこれらの爆竜達を、自分達の侵略活動に利用すべく氷山ごとアナザーアースに送りこむことを画策し、その際封印に使われていたバクレイザーが破損した事で、2体の爆竜は南極で復活を遂げた。
その後、破損したバクレイザーは、その片方である本体が次元の流れ者ガルヴィディによって奪われており、ガルヴィディはこの2体の爆竜を東京に誘導する一方、自身も王女フリージアに扮してアバレンジャーと接触を図り、彼等を巧みに誘導することでもう片方の刃をまんまと入手する事に成功した。これによりバクレイザーは再び元の姿へ戻り、さらに時同じくして東京に2体の爆竜が上陸したことで、ガルヴィディは当初の目論見通り彼らをバクレンオーへと合体させることに成功する。
合体後、ガルヴィディに操られるまま胸部の口から吐き出す猛烈な吹雪で爆竜達を凍り付かせ、東京までも南極さながらの酷寒の環境へと変貌させたバクレンオーは、相対したアバレンオーを圧倒する。さらにアバレンオーの左腕(ティラノテイルドリル)を奪って右腕に装備すると、アバレンオーに「爆竜必殺ツインドリル」を食らわせ大破寸前にまで追い詰めた。
しかし、アスカによって凍っていた爆竜達が解凍されると、彼等の攻撃でティラノテイルドリルを取り返され、さらに一時的に共同戦線を張ったアバレンオーとキラーオーが、キラーアバレンオーへと合体したことで完全に形勢が逆転。爆竜ブラキオサウルスや他の爆竜達との連携により、キラーアバレンオーが繰り出す「爆竜マルチコンバイン」、必殺技の「フライングドリルスピン」の連続攻撃を喰らい、胴体を貫かれて爆発四散した。
同作におけるバクレンオーの存在は、後述のTVシリーズへの登場時にスケさんの口から「2003年の日本に記録的な冷夏をもたらした原因」として語られることともなった。
TVシリーズ
「この肉体に相応しいものが、アナザーアースにただ一つだけ残されていた。蘇れ、呪われた肉体よ!!」
登場話:第48話「ファイナルアバレゲーム」
TVシリーズ終盤にて思わぬ再登場を遂げたバクレンオーは、デズモゾーリャが「最強の肉体」「最高の器」として、劇場版で倒された後東京湾に沈んでいたままのバクレンオーの遺骸を、アナザーアース人達の悪の心を集める形で蘇らせたものとして位置付けられている。
本来なら邪命体の細胞を除去できるダイノガッツを持ち合わせているはずの爆竜がこのような形で復活させられたという事は、この時点で肉体構造は邪命体のそれに置き換えられていたとも、また本来の爆竜としての意識は完全に消失していると推察されている。
実際に劇場版とは異なり、右拳にカスモシールドンの頭を合体させ左腕をドリルとした、アバレンオーと同様のスタイルとなっている辺りからも、少なくとも見た目こそほぼほぼ同一ながらも、劇場版でのバクレンオーとは実質別個の存在であることが窺える。
前述のプロセスを経て復活・出現した後、仲代壬琴を捕らえた状態でデズモヴォーラが搭乗すると、壬琴の体内にあったデズモゾーリャの分身を吸収しその上で、バクレンオーを肉体として完全な邪命神に変貌しようと目論み、これを止めようとしたアバレンオーやマックスオージャをも軽く一蹴してみせた。
が、自らのこれまでの所業を「俺の一部」として肯定しつつ、自分の中の「バケモノ」と戦い続けると言い切った壬琴が振り絞った、そしてレッド達からも受け取ったダイノガッツによってデズモゾーリャの分身が消失し、変身したアバレキラーの脱出を許してしまうと、彼に促される形で放たれた爆竜電撃ドリルスピンとマックスクラッシャーを受け爆散、今度こそ完全なる最期を迎えたのであった。
派生作品への登場
『オール爆竜爆笑バトル』
講談社の『テレビマガジン』の応募者全員サービス品であるオリジナルビデオ。
爆竜バキケロナグルスがMCを務める『爆竜そっくりショー』に、ティラノサウルスとトリケラトプスのそっくりさんとして、カルノリュータスとカスモシールドンが登場。登場早々にバクレンオーへと合体するとアバレンオーをドつき始め、現場を混乱状態に陥れてしまう。
そしてトドメを刺そうとドリルを振り上げたところで、爆竜スティラコサウルスが救援に駆けつけ、合体したマックスリュウオーの繰り出す「スーパーバキバキアッパー」を喰らって空の彼方へと吹っ飛ばされた。(倒されたかは不明。)
同作では、バキケロから「バクレンさん」と呼ばれていた他、合体状態は前述のTVシリーズと同様のスタイルとなっている。
関連タグ
マッドネス・ウェザー:『轟轟戦隊ボウケンジャー』に登場する敵怪人の一体。デザインモチーフとしてバクレンオーが採用されている
トバスピノ(スピノダイオー):『獣電戦隊キョウリュウジャー』に登場する巨大戦力の一つ。同じ恐竜スーパー戦隊における、劇場版の敵として登場した存在という点でバクレンオーとの共通項を有する。他方で合体パーツの一部は味方側の戦力で、中核を担うトバスピノ自身も、後にTVシリーズにおいて味方として再登場したという相違点も見られる
氷河鬼:『爆竜戦隊アバレンジャーwithドンブラザーズ』に登場する敵怪人。公式な言及こそなされていないものの、そのネーミングや出で立ち、氷を吐き攻撃することなどからデザインモチーフとしてバクレンオーを採用していると見る向きもある
プトティラコンボ:『仮面ライダーOOO』に登場するライダー、およびその形態の一つ。恐竜をモチーフとし、氷属性の持ち主という点で共通している。
仮面ライダーザイア:『仮面ライダーゼロワン』に登場するライダーの一人。モチーフの組み合わせがカルノタウルスとトリケラトプスという、バクレンオーと近似したものとなっている。
バリッドレックスゲノム:『仮面ライダーリバイス』に登場するヒーロー、およびその形態の一つ。こちらも恐竜をモチーフとし、氷属性の持ち主という点で共通点が見られる一方、こちらは当初から明確に主人公ライダーの強化フォームとして位置付けられているという点で相違している。
劇場版限定戦隊ロボ
ガオナイト←バクレンオー→デカレンジャーロボフルブラストカスタム
スーパー戦隊シリーズ劇場版ラスボス
合体宇宙忍猿アシュラザール→バクレンオー→キラータンク
※漫画版のネタバレにつき注意!!
『爆竜戦隊アバレンジャーDELUXE 外伝 若草のフリージア』
作画:和田龍
脚本:荒川稔久
『特撮エース』(角川書店)のVol.001から002にかけて掲載された漫画作品。題名からも分かる通り劇場版の外伝、前日譚として位置付けられている。
同作では、バクレンオーを構成する2体の爆竜のバックボーンについてもより深く掘り下げられており、彼等が本来は凶悪な爆竜などではなく、かつてはアバレンジャーのパートナー爆竜同様に優しい心を持ち、禁断の地「キユフク」(※)で平穏に暮らしていたことが語られている。
そんな彼等の運命を狂わせたのが、古代のダイノアースに存在していた永世中立国「サクアスイータ」である。
戦乱の世での生き残りを図り、サクアスイータの国王は究極の武器の素材となる「吹雪石」を採掘すべく、心ならずもキユフクの麓に棲息していた彼らを唆して採掘に当たらせたのだが・・・
この吹雪石には「触れたものの心を凍て付かせ、周囲一帯を氷の世界に変えてしまう」という呪いがあると言い伝えられており、採掘に利用された末に証拠隠滅の為に生き埋めにされた2体の爆竜は吹雪石の呪いによって邪悪な爆竜へと変貌、バクレンオーへと合体して王都「アーズ・マハユ」とサクアスイータを壊滅に追いやるに至った。
劇場版で2体の爆竜が言語能力を持ち合わせていなかったのは、この呪いで本来の自我を失ってしまったためであると言え、またTVシリーズでデズモゾーリャがバクレンオーを「呪われた肉体」と称していたのも、こうした経緯を指していたのではないかと考えられている。
この時バクレンオーに立ち向かったのが、「サクアスイータ」の王女であるフリージアである。当初は父を喪った怒りからバクレンオーと干戈を交えていたフリージアは、やがてバクレイザーを通して彼等の声を聞いたことで、2体の爆竜が人々のエゴによって振り回された、ある種の「被害者」であることを知るに至り、自らの命と引き換えに吹雪石の魔力を封じ込めると、彼らの心に寄り添うように眠りについた。
・・・以上が、同作で描かれた2体の爆竜が封印されるに至った経緯であり、ここから物語は劇場版の冒頭へと続いていくのである。
(※ 「雪吹く」のアナグラム、さらに言えば「吹雪」に由来したネーミングと推察される)
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