「知れたこと!」「最後に生き残るのは!!」「悪!!」
「許さぬ!!」「その愚かな腐った心根底から叩き滅ぼしてやるわ!!」
「うぬぬほ…………北斗神拳であるがゆえにその男達を凌駕したというのか!!」
「たとえ天地逆となってもおのれの道は変えぬ!!」
CV:内海賢二(TVアニメ)/大倉正章(TVアニメ版)(少年期)
石塚運昇(北斗無双)/金本涼輔(真北斗無双)(少年期)
前田剛(DD北斗の拳2)
玄田哲章(リバイブ)
公式サイトでの解説
【流派】北斗琉拳
【技】闇琉霏破、凄妙弾烈、死環白など
修羅の国・第一の羅将で、ラオウとトキの兄にあたる。少年時代にヒョウの従者としての宿命を背負わされたことを恨み、ヒョウの記憶を奪う。成長すると武の掟が支配する修羅の国を作り上げて国を統治。ケンシロウが修羅の国にやってくると、自ら出陣してケンシロウを打ち破る。その後も策を講じてケンシロウを追いつめるが、シャチに計画を狂わされたうえ、最後は再戦を挑んできたケンシロウに敗れ、ヒョウとともに絶命した。
概要
修羅の国第一の羅将(羅将皇魔帝)で、自らを“新世紀創造主”と称す支配者。
人々から魔人・魔神・魔王と呼ばれ恐れられている。TVアニメ版におけるラスボス(原作ではボルゲがラスボス)。
さらにサヤカという妹(ラオウ・トキの妹か姉かは不明)も居るので四兄妹となる。
悪の帝王
ありとあらゆる情愛を否定しており、愛に揺らがぬ唯一のものである悪を信奉している。
彼が興した「強さだけが価値を持ち、情けや愛は唾棄されるもの」とされる修羅の国はまさに彼の思想を体現する存在である。
目的のためなら手段を選ばない冷酷さを持ち、ヒョウとケンシロウを相打ちさせるために実の妹であるサヤカすら道具として殺害している。
その事について「妹だからこそ兄のために死ぬのは当然」「許しは請わぬ、感謝もせぬ」と言い切り、涙を流すどころか策略の成功を確信した際には彼女の形見を踏み壊し高笑いすら浮かべてみせたほど。
さらに正面きっての戦いにおいても圧倒的な実力を持ち、北斗神拳究極奥義・無想転生を使ったケンシロウを惨敗させた唯一の拳士。
狡猾さと実力を兼ね備えたその強さで、『北斗の拳』の事実上最後の強敵として君臨している。
屑星への反逆者
少年の頃から非凡な拳才を持ち皆に慕われる英雄の素質を持っていたが、時折増長した態度を取ることから度々「我らは北斗の屑星」と本家を立てるよう折檻を受けていた。
彼が本家を脅かすことを危惧したジュウケイによりラオウとトキを人質に取られ、本家の嫡男であるヒョウを立てるため公衆の面前で無様に命乞いをするという屈辱を強要される。
これによって人望を失ったカイオウは英雄としての道を閉ざされ心中に北斗宗家への憎悪が芽生えはじめた。
さらに幼いケンシロウとヒョウが火事の現場に取り残され、カイオウの母が火事に飛び込み命と引き換えに彼ら二人を救うという事故が起こってしまう。
母を失ったカイオウはますます北斗宗家への憎悪を募らせ、全ての情愛を否定する決意を固めてしまう。
心の痛みを感じる毎に自らの身体に傷を負わせ、傷の痛みで心の痛みを消していった。
宗家への激しい憎悪から宗家の血筋であるヒョウとケンシロウを陥れ、北斗宗家の血筋を根絶しようとしており、さらに天帝の血を引くリンをさらい己の子を産ませることで自らの呪われた血を洗い清めようともしている。
屑星という言葉は彼にとって拭い難いトラウマとなっているようで、兄である自分を差し置いて北斗神拳を学ぶことができたラオウ・トキに対しても「ならばこの地に残されたオレは弟たちに劣る屑星だったと言うかあ!」とコンプレックスを剥き出しにしている。
ラオウに言った「犬ならば生涯主人に仕えもしよう、だが俺は犬ではない」という言葉のように彼は自らを屑星と定めた宿命へ反逆し、自らこそが覇者となるというその在り方は、救世主に倒される恐怖の覇王という宿命を背負わされたラオウと奇しくも似たものとなっている。
失われし北斗の長兄
最終戦争の激化とともに救世主を生み出すべく日本へと伝承者候補を送る際、その性情の苛烈さから北斗神拳を学ぶことを許されずヒョウとともに祖国(中国奥地)に残され、後にジュウケイより北斗琉拳を学び伝承者の一人となる。
最終戦争後は同じ伝承者であるヒョウやハンと協力し、弱肉強食の掟が支配する修羅の国を創り上げた。
ラオウとは拳王を名乗り拳王軍を旗揚げした後に一度だけ再会しており、決別の証として修羅の国に「ラオウという男が海を渡りこの国を救う」という伝説を流布した。
修羅の国建国以前より伝わる北斗神拳の救世主伝説が下地にあったためか伝説は民衆に受け入れられ、修羅たちはラオウ襲来への備えを行い、カイオウの素性を知るジュウケイですらこれを信じていた。
ラオウ伝説は自らの支配体制を構築する為の手段であると同時に反逆者を燻り出し殲滅するための策略でもあるようで、虐げられ続けた民衆にとってラオウ伝説はただ1つの未来への希望となっていたためか、ラオウ伝説に乗じて立ち上がった反逆者たちはラオウの死を知らされると途端に瓦解している。
修羅の国を作り上げた張本人である彼の政治手腕が窺えるエピソードである。
普段全身にまとっている甲冑は表向きは吹き出す魔闘気を封じるためとしているが、その真の目的はラオウ伝説に信憑性を持たせるためにラオウに似た自らの素顔を隠す事にあった。
現在では額から頬にかけて∧型の傷がついているので容易に見分けがつくが、少年時代は結構似ている。
カイオウは事情を知らないラオウに対し愛憎入り混じる感情を向けていたが、ラオウは実は彼の受けた屈辱のことを知っており、彼の悲しみを理解して誰よりも彼を尊敬していた。
「カイオウはいつまでも俺の心の中で英雄でなくてはならないのだ」とも発言しており、もしかするとラオウは彼の背中を追って天を握ろうという野望を抱いたのかもしれない。
心弱き最凶の英雄
初戦ではリンを奪還する為城にやってきたケンシロウを迎え撃ち、闘気の扱いに劣るケンシロウを圧倒。北斗神拳の究極奥義無想転生をも破って完膚無き敗北を与えた。
北斗宗家の滅亡を宣言し、瀕死のケンシロウを公開処刑しようとしたがシャチとその父赤鯱の妨害に遭い、処刑は中断。
赤鯱と配下の海賊達は皆殺しにしたが、その隙にシャチは瀕死のケンシロウを抱えて下水道を通って場外に脱出。すかさず追撃してシャチをなぶり殺しにしようとするが、瀕死のはずのケンシロウの身体から闘神の形を取って発現した北斗宗家の血に圧倒されて魔闘気が萎縮しケンシロウとシャチのとどめを刺し損ね、逃亡を許してしまった。その為、一度見た奥義を体得出来るケンシロウに琉拳の極意を見切られてしまう。
魔闘気をも委縮させる北斗宗家の血を根絶やしせぬかぎり最強の魔神であるはずの自分がいつまでも怯え続けねばならず自らの時代が訪れぬ事を痛感したカイオウは、ケンシロウとその生き別れの兄ヒョウとの相討ちを画策。
ヒョウの恋人であり自らの妹でもあるサヤカを殺し、その罪をケンシロウに着せる事で闇落ちさせてケンシロウにぶつけた。しかし、その目論見はシャチの活躍で失敗したどころかヒョウが記憶を取り戻しケンシロウの仲間になってしまったために頓挫。赤鯱同様、親子そろって小虫の分際で身の程知らずにも自分の邪魔をし続けたシャチに激怒しその命を狙うことを決める。
北斗宗家の秘拳の鍵となる女人像の前でシャチの片腕片足を奪っていたぶり尽くし、更にシャチの恋人レイアをも殺そうとするが、女人像の力を得た瀕死のシャチに阻まれた。
あくまで自分を拒絶しケンシロウに与する北斗宗家の亡霊達の思惑を粉砕するため敢えてケンシロウに女人像の封印を解かせ、母の墓標に赴きそこでケンシロウを葬り去ることを決める。
ケンシロウとの最終決戦を前に、「幾ら悪を極めても悪で情愛は支配できない」と告げるリンに対し、「悪こそが情愛を支配翻弄できる」事を実証するためにケンシロウの眼前で一切の情愛を失っていつ覚めるとも知れない眠りにつき、目覚めた時に最初に見た者に情愛の全てを捧げる破孔・死環白を突いて愛馬(黒王号並みの巨体を誇る)に乗せ解き放った。
母の墓所におけるケンシロウとの決戦では地の利や北斗神拳の弱点を突いた容赦ない策略を用いたが悉く破られ、戦いの中でケンシロウにより彼ら兄弟が北斗宗家の分家筋の血筋であったことが明かされる。
何故己が北斗宗家を憎悪し抹殺を図ったか悟ったカイオウは祖先の怨念をも背負い自らの体に染み付いていた「宗家の拳」を繰り出すが、女人像の内部にあった聖塔に封印されていた「宗家の拳の受け技」を伝授されたケンシロウには通用せず、更にその口から衝撃的な事実を告げられた。
およそ2000年前、北斗宗家は天帝の盾となり暗殺拳を振るっていたが、北斗宗家の拳は極められた拳故に受身の技も極められ、既に実戦での戦闘力をなくしていた。それ故に無敵の暗殺拳が切望され、創始されたのが北斗神拳だったのである。
北斗神拳は戦いの中で奥義を見出していく拳であり、(つまり、無限に進化し続ける拳法なので無敵の暗殺拳となりえた)、北斗琉拳は魔闘気と呼ばれる圧倒的な闘気で空間を歪め敵を幻惑し、受け技を流す事を極意とする拳であった。(つまり、幻惑を除けば北斗宗家の拳同様進化しない拳法であり、幻惑が通用しなくなれば無敵の暗殺拳ではなくなる)
受け入れがたい事実を突き付けられて逆上したカイオウはケンシロウに殴りかかるが、逆に両の拳ばかりか脚まで破壊されて(アニメ版では魔闘気まで封じられ)最早打つ手が無くなってしまった。
進退窮まり形振り構わず母の眠る地に取り縋って最後の一撃を放つ力を乞うと、願いが通じたのか突如噴出した間欠泉に身体が押し上げられ、落下する勢いを利用して最後の一撃を放ったがケンシロウには届かず反撃の決定打を食らってついに敗北。
生まれて初めて敗北したカイオウは母を喪った哀しみに耐えられず悪に走った自らの心の弱さを悟り、暴虐を重ね続けた自分にまで情けをかけるケンシロウの限りない優しさに触れ、人の心を取り戻す。
リンの記憶と情愛を奪った事を始め、己の所業を後悔していたところ、バットと瀕死のヒョウが黒王号に乗って駆けつけてくる。下馬し自分のところに寄ってきたヒョウに恋人サヤカの敵を討つため、自分にとどめを刺すよう促した。
ところがヒョウはそんなカイオウを恋人の仇と恨むどころか、自分が弱かったせいでお前を歪めてしまった、許して欲しいと謝罪した。全てを知ってなお自身を思い遣るヒョウの優しすぎる心に触れたカイオウは「また幼き頃に戻って共に遊ぼうぞ」と捨て去ったはずの涙を流す。
そのまま自らの腕の中で事切れたヒョウの亡骸を抱えると、「さらばだケンシロウ」と告げ、共に母の墓標の溶岩に埋まり最期を遂げた。
愛を捨てて悪となった彼が真に求めていたのは、自らを正してくれる愛を有する漢だった。
ラオウ・サウザー同様、彼もまた愛を見失い、愛に彷徨った哀しい男なのである。
二次創作での扱い
『北斗の拳イチゴ味』の「修羅の国人物名鑑」では「確かに強いが器はラオウに劣る」とバッサリ書かれていた。
関連イラスト
関連タグ
関連人物
北斗宗家の血筋
北斗分家の血筋
羅将
カイオウ ヒョウ ハン
その他