「は…はやまったわ許せヒョウ!! お前の深き心このジュウケイ見抜けなかった」
「よいか うぬはあくまでもヒョウの従者! ヒョウのために生きヒョウのために死ぬ下僕なのだ!!」「わきまえよカイオウ二度と許さぬぞ!!」
「われらは北斗の屑星 主を越えることは許されぬ!!」
CV:宮内幸平(テレビアニメ版)
公式サイトでの解説
【流派】北斗琉拳
ケンシロウやラオウ、トキをリュウケンの許に送った人物。かつて北斗琉拳の秘めた魔力に心を狂わされ、妻子を殺害した過去を持つ。また、北斗宗家に伝わる秘拳のありかを知るヒョウの記憶を奪っている。修羅の国にやってきたケンシロウに秘拳を伝えるため、ヒョウの記憶を取り戻そうとする。しかし、実はヒョウの記憶を奪った張本人はカイオウだったことをヒョウとの戦いの最中に知り、最後はヒョウの手にかかって死亡した。
概要
『修羅の国編』から登場した北斗琉拳の先代伝承者で、カイオウ・ヒョウ・ハン・シャチの師匠(大老)。北斗宗家の血をひかぬ自分達を宗家を超える事を許されぬ北斗の屑星と見做し、宗家の血縁でないカイオウに理不尽な弾圧や暴力を行使し続けた。これにより宗家出身のヒョウはカイオウに深い負い目を抱くようになり、結果として彼らに根深い自己否定と劣等感、北斗宗家への憎悪を抱かせることになった。
かつて北斗琉拳の闇に魅せられ魔道に堕ち、妻子を自ら殺害した過去を持つ。
そのまま北斗神拳の道場に殴りこみをかけるが、リュウケンによって秘孔を突かれ正気を取り戻す。
顔の傷は、その際に付けられたものである。
その後、世界が終末戦争へと突き進み祖国が強大な軍事国家に蹂躙されると戦乱の続く世を危惧しやはり世を治める力が必要と考え、幼き日のラオウ・トキの兄弟にまだ赤子であったケンシロウを託し、船でリュウケンの元に送った。
しかしそれでも不安は消えず思い余って禁を破り、三人の弟子に北斗琉拳を伝授するが、結果的にその弟子たちが多くの死者と修羅の国を生む羅将へと成長してしまった。
その後は悔恨の念に包まれながらカイオウによって意図的に流布されたものと知らず『ラオウ伝説』を信じ、ひたすらラオウが修羅の国に戻る日を待ち続けた。
その間に、力を望むシャチの懇願を聞き入れ彼に北斗琉拳を伝授している。
しかし、修羅の国に渡って来たのがラオウではなくケンシロウである事を知り、自らのまいた種を刈り取る為命を捨てる事を決断。
カイオウ打倒の切り札である北斗宗家の拳をケンシロウに伝授させる為、彼の実兄でありかつて自分が記憶を奪った弟子でもあったヒョウの記憶をよみがえらせようとした。
しかし、カイオウによって記憶を復元するヒョウの破孔にはあらかじめ細工がされていたため記憶は戻らず、北斗琉拳滅亡を図ったと誤認して激怒したヒョウに惨殺された。
「許せ・・・・この大馬鹿者を!!」
悲劇の張本人
既に成人になっていたシャチに短期間(回想場面のシャチの容姿が現在とほぼ変わらない事から推察すると、修業期間は長くても数年足らず)で北斗琉拳を伝授し、群将クラスの上級修羅と互角に戦えるまでに育て上げた手腕からすれば技術面では優秀な師匠であったと思われる。
しかし、北斗宗家を尊重するあまり幼いカイオウの素質を正当に評価せず寧ろ北斗宗家を脅かすものとして危険視し、ラオウとトキを人質に取り、北斗宗家の血を引くヒョウとの試合で八百長を強要した。
これによりカイオウは弟弟子達の信頼を失い、幼い誇りは引き裂かれ、英雄への道を閉ざされた。
更に、カイオウの母がヒョウとケンシロウを救う為に命を落とした際には悲しみに暮れるカイオウを慰めず「宗家のために死んだのだから誉めろ」と鈍い言葉を浴びせて再び彼の心を傷つけた。
これらの向こう見ずな行動で思いやりのない仕打ちの数々が結果としてカイオウに北斗宗家を憎悪させ、魔神誕生と修羅の国建国のきっかけを作り出してしまった事を考えれば、精神面では師匠には程遠いと断じざるを得ない。
一度はケンシロウに救出され、姉の元に帰る様に言われたにもかかわらず修羅の国に残ったせいでカイオウに拉致され、結果として多くの人々を死に追いやったリンと並び『修羅の国編』における悲劇の張本人であったと言えよう。
ゲームでの扱い
セガサターン用のアドベンチャーゲームでは、原作終了後の話にも拘らず生存し修羅の国の沼地で隠遁している。(しかも髪が黒々として原作より若く見える)原作では果たせなかったケンシロウとの対面を果たした。ケンシロウに千数百年前の北斗の密盟について語り、北斗無明拳と北斗琉拳の二つを相手にする事もまた北斗神拳伝承者の悲しき宿命であると告げる。
スーパーファミコン用RPG「北斗の拳5」では北斗の女人像を守護していたが魔皇帝に敗れ、主人公と出会って直ぐに絶命した。
蒼天の拳でのジュウケイ
『蒼天の拳』では、幼い少年の姿で登場。
戦禍により死亡した妹の遺体を抱えて流飛燕が身を隠す教会に現れる。牧師(に扮した飛燕)に供養を頼むと共に、自らも希望を失いその場で自害しようとするが、拳志郎に静止され救われる。物語の鍵となるである『羅龍盤(選ぶべき道に迷ったときにどっちに進むべきか裏表で示してくれる)』を託され、その後はエリカらとともに教会に定住した様子。
…結果論ではあるが、拳志郎がジュウケイを救ってしまったばっかりに後のカイオウの悲劇が起きたと言えなくもないのが何とも言えないところである。せめて羅龍盤の使い方を知っていれば……
おまけにエリカとのかかわりができたために「ジュウケイの妻とはエリカだったのでは?」という憶測までできる。そうだとしたら色々と報われない…
なお、本作には北斗琉拳の前身とされる北斗劉家拳の伝承者・劉宗武が登場するが、今のところ彼との関わりは描かれていない。
余談
幼い弟子2人の心身を踏みにじり、禁忌を破って独断で北斗琉拳を伝承させ(ヒョウの記憶封じもおそらく独断)、間接的とはいえ修羅の国を作る一因となって多くの命を失わせ、カイオウが流布した『ラオウ伝説』にまんまと騙され無為に時を過ごし、ラオウの死とケンシロウの到来を知らされようやく重い腰を上げた時には全てが手遅れで呆気なく絶命・・・と、はっきり言ってまともな事をしていない。これらを踏まえて読者からの評価は低く、罵りの目で見られているのが現状である。