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「私はムスカ大佐だ」

これから記事の閲読を祝って、諸君にムスカのデータを見せてやろうと思ってね

職業政府の特務機関(情報部)
階級大佐
年齢28歳(または32歳)
一人称私(わたし)
CV寺田農 / マーク・ハミル(英語吹替版)

流行りの解説は嫌いですか?

飛行石を探索する任務を帯びた特務機関の所属。政府の密命を受けて軍と協同しラピュタの調査をしていた。

キャリア組と思われ、28歳(または32歳)という年齢で大佐にまで昇進している。この若さと後述するような性格からか軍の指揮官であるモウロ将軍には快く思われておらず、「青二才」と評されている。

これは僅かだが心ばかりの人物像だ。見ておきたまえ。

表向きはやや慇懃無礼ながらも極力荒事を避けるなどおとなしく紳士的だが、その本性は目的のためには仲間すら裏切る冷酷な性格。

教養に優れ、複雑な暗号を解読したり、旧約聖書ラーマヤーナに通じている。特務機関の情報網を駆使してか調査や情報収集にも長けており、それまで会った事のなかったシータの秘密の名を突き止める程。

また、暗闇の中シータの髪留めだけを狙って撃つなど、射撃の腕にも長けており、決して背広組の文官なだけではない事が窺える。

愛銃はエンフィールド No.2 Mk.I。中折式のリボルバーで、装弾数は6発。わずか数秒で再装填を完了していることからも、銃の扱いに慣れていることが窺える。ちなみにこの銃は『ハウルの動く城』など別の宮崎作品にも登場する。

普段は分かりにくいが、風で前髪がめくれると生え際が若干後退しているように見える。立場上やはり苦労も多かったのだろうか?

また、常に色付きの眼鏡、またはサングラスをかけており、その下の目は金色(アニメ本編では淡いブラウンで塗られている)である。劇中で一瞬眼鏡を外すシーンがあるが、なかなかのイケメンでもある。

その人気は滅びぬ、何度でも蘇るさ!

いわゆる「憎めない悪役」の多いジブリ作品では希少なガチ外道であり、主人公サイドと和解も改心もする描写のない一貫した悪役である。

後述の複数の台詞もミーム化するレベルで人気を誇り、インターネットを中心に(時にネタキャラとして)極めて高い人気を持ち、インターネット黎明期からコラージュ絵や、音声・映像MADに使われたり、Flashアニメにもなっている(ただし、スタジオジブリ著作権保護方針から、コンテンツに含まれる音声・映像などにより積極的な削除対象となっているため、注意を要する)。

実際、ジブリ映画に登場する個人キャラクターとしては唯一ウィキペディア内に個別記事を持つキャラクターであり、その高い人気が窺える。

2024年末に放送されたドッキリGPにて「秒でハシゴの上から『バルス』」にてムスカ(似の男)が、ハシゴの上に登ってきたターゲットを「バルス」と言いながら生け簀の海に突き落とすドッキリをした(スタジオからは「言われる側」等とツッコミを言われた)。なお、このドッキリは「ドッキリで歴史を学ぶ」の「楠木正成の作戦」のドッキリの流用である。ムスカを知っている人ならニヤリとくるセリフを言うのだが、最初のターゲットであるハナコ菊田竜大は「(ラピュタ)見たことないからわかんない…」らしく、ムスカネタは分からなかったようである。

見せてあげよう、ムスカの動画を

最高のネタバレだと思わんかね?

以下に、作品の重要な内容を含む記述があります。閲覧の際にはご注意ください。

シータ「あなたは一体誰!?」

ムスカ「…私も古い秘密の名前を持っているんだよ、リュシータ…。私の名はロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ

その正体はシータと同じ古代ラピュタ王族の末裔。

シータと同じく、古い秘密の名前を持っている。

真の名前はロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ

「ウル」はラピュタ語で「王」を意味し、彼がラピュタ王族・パロ家の末裔である事を示している。

なお、シータの名は「リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ」。

「トエル」はラピュタ語で「真」を意味するが、この言葉がムスカの秘密の名前にはない。代わってある「パロ」という言葉はラピュタ語での意味は不明。ただ現実のギリシャ語でパロは「従属」を意味する事から、恐らくこれがネタ元の一つで、意味も似たようなものであろう。つまりシータの方が正統な王位継承者第一位(ムスカは第二位)とされる。

劇中においてムスカは、ラピュタ王家はもともと一つだったが、地上に下りた際に二つに分かれたと語っている。

その時のそれぞれの一族の末裔がシータとムスカであり、シータが本家、ムスカが分家の子孫にあたる。

二つに分かれた両家とも地上に降りた当初はゴンドアの谷で生活していたが、その後パロ家は産業革命期にラピュタ帰還という宿願を果たすため農耕生活からの転身を決意し、トエル家と決別して谷を去ったのである。

結果、トエル家は一介の農家として土着していき衰退の一途を辿る一方、パロ家は産業革命を利用して着々とその勢力を拡大し、現在では上下関係が完全に逆転してしまうという皮肉な現状となった。ちなみにこれは宮崎駿の古巣東映動画長編アニメと虫プロテレビアニメの関係と似ている(宮崎は強烈な虫プロ嫌いで有名)。

表向き軍に協力するふりをしながら、己の野望とパロ家の宿願を果たすべく王家の末裔としてラピュタに帰る機会を狙っていた。

かつて全地上を支配したラピュタに再び王として君臨し、ラピュタの持つ強大な力を手にする事を目論む。

トエル家は飛行石と呪文のみを受け継いできたのに対し、パロ家は飛行石もそれに関する呪文も伝わっておらず、代わりにラピュタに関する詳細な伝承・情報を古文書の形で継承していた。ただ、この古文書に飛行石に関する情報が全く無かったわけではなく、作中のムスカの言及から古文書には「聖なる光=活性化した飛行石」と、それが何らかの呪文で起動するといった程度の記述はあった模様。

ちなみに、劇中終盤でムスカが読んでいる手帳はこの古文書を現代語の翻訳と合わせ書き写したものである。飛行石は基本的には本家の血を引くシータにしか反応せず、同じ王家の末裔とはいえ分家出身のムスカが持っても何の意味もなかったが、中盤に飛行石がシータの呪文によって活性化したことによってムスカは飛行石を扱うことが出来るようになった。また、飛行石の生成に関する情報などは両家ともに失われているようである。

パズードーラ一家による妨害を受けるも、飛行石を手に入れてラピュタへ向かう。

ラピュタに到達すると、古文書から得た情報を元に自分のみが知る通路で中心部に到達。

モウロ将軍を見限り、将軍と部下諸共空中から放り出し、ラピュタの超兵器やロボット兵ゴリアテを墜落させる。

しかしその光景をゲームに熱中するかのように笑う中、一瞬の隙を突かれてシータに飛行石を奪われる。

その後シータを追い詰めるものの、飛行石はパズーの手に渡り、飛行石奪回のためシータを人質にとる。

3分間の猶予を与えたが、シータとパズーの唱えた滅びの言葉バルスによってラピュタの自壊が始まると同時に飛行石が超強力に発光しそれを直視してしまったことで視力を失い、崩落していくラピュタ諸共海中へ「ゴミのように」落ちていくという因果応報な末路を迎えた(ラピュタが崩壊していく様子をよく見ると、瓦礫に混じって落下していくムスカがしっかり描写されている)。

次は余談だ

名前の由来はラテン語で「ハエ」(musca)。

絵コンテによるとこの人はハエ等の小さい虫が嫌いだそうであり、中心部に到着して「黒い石」に刻まれたラピュタ文字の解読を試みた際もまとわりつく小虫をかなり嫌がっていた。

2001年に出版された『ジブリ・ロマンアルバム 天空の城ラピュタ』によると、未来少年コナンに登場したレプカは彼の子孫であるとの事である。これはラピュタが元々は「未来少年コナン2・海底世界一周」というコナンと同じ世界観のアニメの企画が原型になっていたためであり、その残滓的な裏設定(あるいは没設定)といえる。

レプカも冷酷な野心家で高い知性を持つ点でムスカと共通しており、似た役回りを持っている。宮崎駿によると初めはレプカの先祖として強調するため、初期の設定画では軍服を着ていたり、顔がレプカそっくりだったりしていた。

彼の予告通り、トエル家同様に、パロ家のラピュタも滅びることはなかったのである(上述の経緯のように、この設定が本編でも生きているかは微妙ではあるが)。

劇中では同じラピュタ王家の末裔であるシータとの絡みが多く、パズーと関わる場面はあまりないが、ラピュタへの帰還を一族の悲願とし、その実現のために古文書の解読や権力の獲得など人生を掛けて邁進してきたムスカは、奇しくも「ラピュタへの到達と存在の証明」を目指していたパズーと同じ夢を持っていたと言える。実際パズー(とシータ)は歓喜、ムスカは狂喜といった雰囲気ではあったが、ラピュタに辿り着いた彼らはいずれも心から喜びを露わにしていた

また、結果としてムスカは「ラピュタ帰還」という夢を果たし、その直後に身を滅ぼす形となったが、後のあるジブリキャラ自分の夢ばかりを追いかけ続けてその他を顧みなかった果てに、夢を叶えたのとほぼ同時に最愛の妻を喪った上に、ついには実を結んだ夢が後に多くの人命を奪い国をも滅ぼすという人生の悲劇に見舞われており、一種のオマージュといえるのかもしれない。このほかにもジブリ作品にはキャラの立場や善悪を問わず、他者を顧みずに自身の夢や目的、野望を果たそうとした者は最終的に破滅や何かしらの被害、夢そのものの頓挫などの悲劇に見舞われることが多い。

前述の彼の顛末を考慮すると、端から見ればこれだけの才能や実力を持っているなら、ラピュタにこだわりさえしなければある意味人生の勝ち組だったと言えなくもない。…しかし、ムスカの劇中での台詞や様子を見るにラピュタに辿り着き、ラピュタ帝国の王族として復活する事こそが彼と彼の一族の悲願だったと推測できるため、安易に他の人生もあったと言い切れるものでもない。

また、仮にあのまま軍人として、あるいは教養の高さから学者や研究者などに転身し生きたとしてもムスカの性格ではどの道、似たなような顛末を迎えていた可能性が非常に高い。結局はラピュタに関わろうが関わるまいがムスカ自身の歪んだ性根をどうにかしない限りは明るい未来など待ってはいなかっただろう。

物語終盤ではシータに対して「当分、2人っきりでここに住むのだからな」と発言しており、どうやら2人でラピュタ王家を再興することを目論んでいた様子(小説版ではシータを拉致していた際に、2人だけになった時に「私の祖先もかつてあの谷にいた。私だけは君の味方だ。悪いようにはしない」と甘言を口にしていたりする)。シータとの関係性(正統な継承者である本家の娘と継承権を狙う分家の男)を考えると、その辺りの企みは同じ宮崎駿作品の某キャラ達に酷似しているが、ムスカにもあの気があったりするのだろうか…?

ただし、(裏設定あるいは没設定かつ、直系とは明言されていないのだが)子孫とされるレプカの存在を踏まえると、作中ではすでに結婚して子供がいた可能性もあり、当分というのも「シータの力を用いてラピュタ王家を復活・ある程度復興させるまで」だとすれば、シータの年齢的にも必ずしも二人の間で子供をもうけることを直近の目標としているとは考えにくい(そもそもラピュタ帝国を再建し、世界を統べる王になるというムスカの野望が実現すれば、女性との交際や結婚なども幾らでも思い通りに出来る)。

瞳が淡い色であること、室内でも常にサングラスをかけていることから、もともと眩しい光に弱かった可能性がある。このため「バルス」で放たれた光で(※パズーとシータが瞬間的に目を瞑っただけでその後の視力に影響がなかったこともあって)一時的に少し見えにくくなったのではなく、強い光に耐えられずその場で視力を完全に失ってしまった可能性がある。

ムスカを演じた寺田農のインタビューによれば、アフレコの時点で絵が間に合っておらず、演技に大変苦労した(実際、シーンによってはムスカの喋り方が若干棒読み気味である部分もあり、寺田氏がアフレコに慣れていなかったということを差し引いても、収録に相当苦労していたであろう様子がうかがえる)ことから宮崎駿と揉めてしまい、当初は『ラピュタ』も見ておらず、一時は経歴紹介からも意図的に外していたほどであったという。その後映画をきちんと見直し、ムスカという役についても理解を深めたが、その後もアフレコには苦手意識があったという。→参考

代表的な台詞を聞きたまえ。君はラピュタ王の前にいるのだ。

個別記事が存在する、あるいはミーム化している台詞は太字

  • は床に伏せていたまえ」

劇中冒頭、ドーラ一家の襲撃を受けて。一見男性が女性を守るというムスカにしては紳士的な行動に見えるが、彼の本性を考慮すればその時点で死なれては困るためにとった行動と思われる。

  • 「手こずらせたな」

シータ(とパズー)をかなり苦労して漸く捕獲した兵士達に対して。

この台詞の後にモウロの失態を口にする。

  • 「流行りの服は嫌いですか?」

シータに着替えをたくさん出しながら。尚、シータはパズーの安否が心配でそれどころではなかったため、その台詞に対する返答はなかった。

  • なら安心したまえ。あの石頭は私のより頑丈だよ」

冒頭の飛行船でシータに後ろから瓶で殴りつけられたことに対しての皮肉も込められている。

シータに要塞の地下に保管されている壊れたロボット兵を見せつけながら。

  • 「こいつが空から降ってこなければ、だれもラピュタを信じはしなかっただろう」

さらっと流されているが、ムスカの経歴と彼の一族の悲願を考えると字面以上に重い意味を持った台詞であることがわかる。

  • 「君はラピュタを宝島か何かのように考えているのかね?」

この台詞の後シータにラピュタが平和にとってどれだけ危険な存在かを説明する。

パズー以外には誰にも話したことはないはずのシータの秘密の名前と、それの持つ意味を説明。

  • 「君を誤解していた。許してくれたまえ」

パズーがシータを海賊から守ってくれていたことを知った際に。

  • 「君も男なら、聞き分けたまえ」

シータとの突然の別れを受け入れられないパズーに対して。

  • 「これは僅かだが、心ばかりのお礼だ。とっておきたまえ」

パズーに手切れ金として金貨を渡しつつ。尚、パズーがもらった金貨はぶっちゃけ普段の仕事の給料分より高い。

  • 「私はムスカ大佐だ。ロボットにより通信回路が破壊された。緊急事態につき、私が臨時に指揮をとる」

実際はどさくさに紛れて自分で回路を切り、部下が繋ぎ直している。

  • 「馬鹿共にはちょうどいい目くらましだ」

ラピュタでモウロ将軍達が財宝取りに走っていったのを見届けて。

  • 「これはこれは、王女様ではないか…!」

シータのおさげをつかみながら。

  • 「一段落したら全て焼き払ってやる!」

ラピュタの地下にはびこる木の根に対して。

  • 「読める、読めるぞ!」

石碑を解読。

  • 「お静かに」
  • 「言葉を慎みたまえ。君はラピュタ王の前にいるのだ。」
  • 「これから王国の復活を祝って、諸君にラピュタの力を見せてやろうと思ってね」

立体映像でモウロ将軍らの前に登場。

ラピュタ底面からエネルギー弾を放って。

  • 「君のアホ面には、心底うんざりさせられる。何をするっ!?

モウロ将軍に対して吐き捨てた瞬間、シータに手を噛まれて。

  • 死ねぇ!

モウロ将軍達を空中から追放。

  • 「私をあまり怒らせない方がいいぞ。当分二人っきりでここに住むのだからな」

自身に必死に抵抗するシータに対して。

  • さっさと逃げればいいものを。はっはっは、私と戦うつもりか?
  • 「最高のショーだと思わんかね?」
  • 「見ろ、人がゴミのようだ!!

ゴリアテで抵抗する兵の残党に対してロボット兵の数に物を言わせ、ゴリアテを撃墜。轟沈していくゴリアテと落ちていく兵士を見ながら。

早足でシータを追いかけながら。

  • 「ラピュタは滅びぬ、何度でも蘇るさラピュタの力こそ人類の夢だからだ!!」

シータに人間は土から離れては生きられないと説かれて返した台詞。この時にシータの三つ編みを銃で撃ち抜いた。

  • 次は耳だ跪け!命乞いをしろ!!小僧から石を取り戻せ!!!」

三つ編みを撃ち抜かれた後もそれでも怯まないシータに対して。

この間に拳銃の弾を再装填している。

  • 「時間だ、答えを聞こう」

実際には3分も経過していない。尚、英語吹き替え版では1分に変更されている。

滅びの呪文で強い光を放った飛行石に目をやられて。

マハーバーラタに記載されているインドラの(此方もインドラの矢と呼ばれる事がある)の誤りではないかという指摘もある。

ちなみに、後年国語における表現技法の代表的なものがこの中にある台詞でほぼ覚えられると有志によりTwitterに記載された

(例:倒置法→「見せてあげよう。ラピュタの雷を。」

比喩法 →「見ろ、人がゴミのようだ!!」etc.)

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