ビデオテープ
びでおてーぷ
メディアとしては1950年代に誕生し、民生用(一般ユーザー向け)は1970~80年代にVHSとベータマックスの二大規格が覇権を争ったことから急速に広がった。
1980年代には後にバブルデッキと呼ばれるバブルラジカセ同様の多機能機種が主流だったが、バブル崩壊後はデフレデッキと呼ばれるシンプルなものが登場した。
画質の低さ、劣化の激しさ、時間移動の難しさが技術的限界で解決できず、2000年代以降は光ディスクとハードディスクに取って代わられた。だが、その直後に動画配信サービスが発達・普及したこと、世代の移り変わりでテレビ離れが進んだことにより、録画・メディア視聴機器そのものの売り上げが下落傾向にある。
一般的に高周波信号を扱うため磁気ヘッドの付いたドラムを斜めに高速度で回転させ、高周波信号を記録するために必要な磁気ヘッドの移動速度とテープ使用効率を高めたヘリカルスキャン方式を用いている。
オープンリール (統一I(とういついち)型など) 家庭用(白黒のちカラー)
初期はテープ幅は同じ(音声記録オープンリールの倍幅(1/2インチ)だが、各社ばらばらの記録方式でレコーダーが違うと再生できない代物だった。そこで各社の記録方式を統一した統一I型が販売され芸能人や一部の富裕層の映像記録媒体になった。テープも1時間で数万円の代物なのでおいそれとは買えなかった。NHKすらビデオの初期は使いまわしが主であり(プロ用なのでもっと高価)番組によってはアーカイブがなく探している。
U規格(Uマチックなど)
初めてカセットに収められたビデオテープ。
19mm(3/4インチ)テープを使ったローディングの形がUの字に似ていることから名づけられたと言われる。
音質・画質の高さはプロに愛され、今世紀初頭までアナログ・デジタル含めマスターメディアとして用いられた。Electronic News Gatheringではアナウンサー、カメラ、場合により照明の3名程度で済むため生中継以外での取材にタクシーが使えるので人件費、取材費節約になった。
その裏で雲仙岳事故など取材クルーとそのタクシードライバーが巻き込まれることも。
ベータマックス
通称ベータビデオ。12.6mmテープが約16cm幅のカートリッジに収められている。VHSとの壮絶な規格戦争が半ば伝説になっているが、登場順はこちらが先。
VHS
上記ベータを研究し打倒ベータを目的に開発された後発規格。12.7mmテープが約19cm幅のカートリッジに収められている。家庭用アナログビデオテープのデファクトスタンダード。ビデオカメラ用のVHS-C、高品位録画用のS-VHS、デジタル録画用のD-VHSなどの姉妹規格がある。
8ミリビデオ
名前の通りの8mmテープが10cm程度の幅のカートリッジに収められている。そのサイズから主にビデオカメラ向けとして利用された。高品位録画用のHi8、デジタル録画用のDigital8といった姉妹規格がある。
かつて磁気テープではなく映像フィルムテープとしても8ミリという規格があったが、名前の由来は同じ(8mmテープ使用)。
- バンダイ「撮っちゃOh!」は本体にビデオテープカートリッジを挿入する必要が無く、映像を電波で任意のビデオデッキに飛ばしてワイヤレス記録するという時代を先取りし過ぎな商品だった。アナログテレビのRF出力を使用するため、映像を記録せずそのまま監視カメラや定点カメラとしても使用可能。
- 1988年頃から2000年代中盤にかけて販売されていたVHSの末尾にはコピーミスや不正コピーがないか、末尾にみんなの幼少期のトラウマ(!?)として定番(!?)の品質管理用の信号と題して試験用の正弦波の音声が記録されていたものが存在した(バンダイ(現在はナムコと合併)が最初に取り入れ(NHKでは此の時代からのもあった)、1990年代よりJVC(現在はケンウッドと共同化)が時間短縮させた改良版を取り入れた(特にディズニーやベネッセの作品では其方だった))。2008年にBDが普及した事によってあまり知らない世代の人やもっと知りたい人は品質管理用の信号の記事も見てね☆
- 民生機のプロ機の応用はVHSやβのころよりタレントに持たせて無茶な演出では壊される事を前提に撮影されだし、今やGoProはNHK,民放問わず使用されている。
- ビデオテープはテープ、もしくはデッキ内部の機械部分の劣化が進むと、テープがデッキに絡んでしまう現象が起こりやすくなり、テープを取り出せなくなる問題が発生する。ビデオ最盛期を過ごした世代はこれをビデオがワカメになると呼び、その発生を恐れた。特に、巻き戻しなどが繰り返されたレンタルビデオ(テープ自体が経年劣化している)などで発生しやすいとされる。個人保存の録画やダビングテープでは余計に発生しやすいので、2024年現在に残っているものを再生しようとする際には注意が必要である。ただし、構造的には単純であるので、光ディスクの1990年代初期製造の個体が製品寿命で再生不能となっていても、ビデオテープは(最適な条件下での保存に限られるが)2024年現在でも再生可能であったという例もある。