概要
アニメ版『ゾイド-ZOIDS-』もしくは上山道郎の漫画版『機獣新世紀ZOIDS』に登場するキャラクター。
天才的なゾイドの操縦技術を持つ冷酷な少年。
彼の「レイヴン」という名はコードネームであり本名ではない。
アニメ版
CV:斎賀みつき
両親はオーガノイドの研究に没頭しており、そのせいで息子と接する機会は少なかった模様。ただし自身らの息子に愛がなかったわけではなく、研究が落ち着いたら家族でピクニックに行こうと提案している。
バン・フライハイトやヒルツとは運命的な因縁があり、両親はヒルツが差し向けたアンビエントにより殺害されてしまい、そのショックで記憶喪失になっていたところをバンの父ダンに保護されたが、彼もまたオーガノイド争奪戦の末戦死してしまう。
二度もオーガノイドに振り回された影響でゾイドへの復讐心は残っており、ギュンター・プロイツェンに拾われて「レイヴン」のコードネームを与えられ彼の私兵となり、ゾイドを憎む復讐鬼と化した。シャドーも力ずくで従えたオーガノイドであり扱いもぞんざいだが、オーガノイドに対していい思い出がない彼の経歴からすれば、そうなるのも当然と言えるだろう。
自己中心的な性格に成長したせいで社会的常識や協調性に欠けているが、バンに天才と言われる操縦技術を誇り、身体能力も無印編でヘリック共和国の兵士たちをバンとフィーネの目前でまとめて徒手格闘で瞬時に沈黙させているほど。しかも、バンと共に断崖絶壁を難なく登り切っている。
- ただし、共和国兵はシャドーを目撃したことを報告している一方で、バンとフィーネはこの時点ではシャドーを視認していないため、レイヴンがやったのかシャドーがやったのか不明瞭な部分もある。
操縦技術は初登場時でも
という常軌を逸した戦闘能力を披露している。しかもこの時はシャドーによる戦闘補佐はない。
戦い方も非常に残酷で合理的であり、以下の様に残虐だけでなくリスクを無視したり自暴自棄とも思える戦い方をすることもある。
- ヘッドショットにフォーカスしてパイロットごと敵を殺害するのは当たり前
- 乗機のセイバータイガーを殺すことを何とも思わずにシールドライガーのEシールドを強行突破しようとする
- メンタルと情緒が不安定で自失状態にあってもゴドスで基地を壊滅させる
- ダークホーンの口にガトリング砲を咥えさせて使用する
- ジェノザウラーで荷電粒子砲を使用した際にはアンカーを犠牲にしてでもブレードライガーを破壊しようとする
- ジェノブレイカー脚部アンカーが破壊され荷電粒子砲が撃てなくなったと思いきや、ウィングスラスターでの空中制御だけで反動を制御して発射、大部隊を焼き尽くす
- ジェノブレイカーのレーザーチャージングブレードでジェノザウラーの荷電粒子砲を封じて喉を貫く(※余談)
なお、どのような原理でダークホーンに咥えさせたガトリング砲を使用していたのかは作品世界における謎の一つでもある。
また基本的に暴力的な一方で見境がない訳ではなく、敵組織か復讐対象でない限り相手から攻撃を仕掛けてこなければこちらから危害を加えてはおらず、自分を保護してくれたグスタフの運転手(CV:チョー)に対しては普通に接しており、ジェノブレイカー入手後も町や村を襲うといった民間人を巻き込む事もしていない。
第一部(少年編)
初登場時はセイバータイガーを乗機としており、一度はバンのシールドライガーを完膚なきまでに敗北に追い込み、ジークをも瀕死にまで追い詰める。
そして帝国の共和国奇襲の際、基地を破壊して回っていた際に再度激突。同乗していたロブ・ハーマンのサポートを受けたバンの駆るシールドライガーとの一騎打ちに敗れた。だがその執念はすまさじく火山を利用した策を決行する最中、再度戦うもすでに満身創痍だったセイバータイガーは戦いの中で崩壊してしまう。
その後はジェノザウラーを駆りルドルフ殿下を連れて姿をくらましたロッソとヴィオーラのアイアンコングを大破、さらにはバンのシールドライガーを絶命させる。また、その一方でデスザウラー復活のためにゾイドコア確保の部隊と共に共和国の基地を襲撃し軍事用ゾイドからコア強奪も行い、甚大な被害も与えている。
だが復活進化したブレードライガーと再戦時、ゾイドの高い戦闘能力に加え操縦技術で追い詰めるもライガーのブレードは荷電粒子砲を切り裂けることに気づいたバンの決死の反撃に敗退、その後は消息不明となるが…
第二部(ガーディアンフォース編)
なんと生きていた。ただし、自暴自棄状態で各地を彷徨っている状態であった。それでもゾイドへの憎しみは深く、軍のゾイドを強奪・それを使って基地を壊滅に追い込んでいた。
だが、止めに来たバンと相対したことで復活、リーゼとヒルツ経由で新たなジェノザウラーを手に入れ、後にそれが進化したジェノブレイカーを新たな乗機とする。
この各地での破壊活動の数々からデスザウラーに変わる新たな脅威とされ、ブレードライガー(バン機)、ディバイソン(トーマ機)、ライトニングサイクス (アーバイン機)やほか帝国・共和国の部隊に追われるも幾度も大敗や壊滅に追い込む。特に一度自身を敗北に追いやったバンへの執着は凄まじいほど。
だが、バン搭乗ブレードライガー+対ジェノブレイカー用特殊徹甲弾搭載ガンスナイパー部隊との戦いの最中、突如として悲劇に見舞われる。ヒルツのデススティンガーの荷電粒子砲に巻き込まれたレイヴンはシャドーに助けられるが、シャドーは自身の限界を超えてジェノブレイカーを強化していた多大な負荷から落命し石化してしまう。
シャドーを奪われたことで、どれ程忌み嫌われても付き従ってきたシャドーが、己の奥底の不安と孤独を埋めていたことに気付き、レイヴンの心に大きな変化をもたらした。
シャドーすら捨て駒として扱う彼の奥底には孤独を恐れながら孤独を抜けられない、弱い心もあったのだ。
そしてヘリックシティの戦いで、シャドーを死に追いやったヒルツに反旗を翻し満身創痍のジェノブレイカーでデススティンガーと対峙するも、デススティンガーに一方的に倒された。かろうじて生き延びた彼はリーゼからシャドーが回収され復活している可能性があることを知ったレイヴンは彼女と共にゾイドイヴのもとに旅立つのだった。
だがイヴポリス入口で再会したシャドーは、ダークカイザーに洗脳されかつての相棒にすら牙をむいた。
どうにか必死の訴えと施設崩壊の危機に記憶を取り戻し共に脱出するのだったが、デススティンガーのコアと一体化したヒルツがダークカイザーを取り込み自身がコアとなって破滅の魔獣デスザウラーが完全復活。
バンと共に立ち向かうもその圧倒的なスペックに蹴散らされてしまい、ついにはグラビティカノンの重力崩壊すら押し返してしまう。だがバンが一かばちかのグラビティカノン突撃を決行、発射直前にデスザウラーのシールドへ穴を開けるべく荷電粒子砲で援護、復活したシャドーと合体した全力の荷電粒子砲で見事シールドを破壊しデスザウラー撃破に貢献するのだった。
漫画版
本名はジョイス・チェン。
名家・チェン家の若君だが、やはり残虐な戦闘狂である。
初登場の際にも、ウインドコロニーに住む少女チロル(アニメ版に登場したヘルキャットの幽霊とは別)のペットの小型のオリジナルゾイドの「ボニー」を虐殺している。
なお、アニメ版とは異なり、こちらではシャドーにはパートナーと思われておらず利用されているだけである。
こちらでは、双子の兄のドニー・チェンが登場するが、性格は真逆で常識的な人物である。巨大な天空都市型の超大型オリジナルゾイドの「ホウライ」が愛機に該当する。ホウライもジークと同じく、人型の「魂」を持ち、気軽に人間と会話ができる。
幼少時は、とある理由から養子に出されており、実の兄の存在も知らなかった。この時はまだ心の優しい素直な少年であり、義理とは言え暖かい家族に恵まれて幸せな毎日を送っていた。
ある日、義理の姉の遺跡の探索の手助けになればと、作業用のオリジナルゾイドであり、レイヴン自身も信頼していた「ノア」に遺跡のデータを挿入した。しかし、ノアを操縦している最中に、何らかの理由で自分が挿入したデータにウィルスが紛れ込んていたことでノアが暴走し、自分を乗せたままノアは家族を惨殺してしまった。
そのトラウマと自責の念に耐えられず、精神の均衡を保つためにも「ゾイドそのもの」が憎しみの対象となり、ゾイドを殺すことに愉悦を覚えただけでなく、ゾイドとの絆を保つ人間すらも嫌悪の対象になっていた。上記の通り、初登場の際に「ボニー」を殺した理由も、人間と仲良くしていたことが一因である。
最終回ではバンに自らの過去を知られて「2度とこんなことが起こらないように全てのゾイドを殺す、それの何が悪いっていうんだ!」と非道を正当化しバンに訴えかけるも彼から「俺の父ちゃんもゾイドに殺された。だけどいくらゾイドを憎んだって父ちゃんは帰って来ない。お前の父ちゃんや母ちゃんや姉ちゃんもきっと天国で悲しい思いをしてるんじゃないのか?」とバンとの精神世界での対話の末にゾイドへの復讐心は氷解し和解する。
惜しむらくは、アニメ版と異なり漫画版はこのタイミングで打ち切られてしまったことか。
搭乗ゾイド
余談
- 様々な判断材料から、アニメ版におけるレイヴンの両親はオーガノイドの調査のためにウインドコロニー近くにいたと思われる。つまり、フライハイト家とは似た様な理由でご近所さんだったことになる。
- ※終盤でイヴポリスのジェノザウラーに対して行った攻撃は、かつて自身がバンに敗れた戦法を思わせる表現になっている。
- 意外にもバンとの初対面のシーンは、レイヴンが積まれた藁の上で昼寝をしているというのどかな場面になっている。
- ブレードライガーのEシールドをジェノザウラーの荷電粒子砲とパルスレーザーガンの併用で突破した場面は、「Eシールドは異なる周波数の光学兵器に弱い」というバトルストーリーの設定を思わせる描写になっている。
- PS2用ソフト『ゾイドタクティクス』では専用カラーの凱龍輝に搭乗する。
- 主人公とは立場も性格も逆の、いわゆるライバル的な立ち位置のキャラクターであるが、アニメ、漫画、ゲーム版のいずれの作品でも元々は悪人でなく最後には改心する主人公の味方となるのは共通である。
- 意外な様だが、とある場面でレイヴンの乗るセイバータイガーがギャグの様な恰好で転倒しており、これは『ゾイド新世紀/ゼロ』にてチーム・タイガースによって間接的に再現された。
関連イラスト
関連タグ
ジェミー・ヘメロス…声が同じ。
ブレード、ザイリン・ド・ザルツ、ドレイク:レイヴンの後輩かつ同ポジション。ブレードに至っては関連媒体も含めれば、レイヴンと同じく、ジェノザウラー、バーサークフューラー、凱龍輝に搭乗しているライバルキャラクターである。