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スーパー耐久

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すーぱーたいきゅう

スーパー耐久とは、日本で開催されているモータースポーツであり、日本における「偉大なる草レース」として知名度の高いレースシリーズでもある。

概要

日本国内において市販車をベースにしたレースとしてはSUPERGTもあるが、こちらは「外観だけ市販車に見せかけたプロトタイプカー」や「魔改造と呼んで差し支えのない市販車」ばかりが跋扈するカテゴリに対し、スーパー耐久は「市販車をベースにオリジナルに限りなく近い形を維持したまま製作されたレース車両」が多く参加するシリーズで、SUPERGTでは数を減らしてしまったプライベーターチームが数多く参戦するレースとして人気を博している。

近年では国内外でも人気のあるグループGT3TCR規定などのメーカー謹製のレース車両も参戦可能になるなど、バラエティに富んだ車両が見られる数少ないレースでもある。

特徴

耐久レースの名を冠する通りレース時間が3~5時間とSUPERGTやスーパーフォーミュラと比較しても非常に長い上、1回のレースでエントリー台数が60台を超える事が殆どであり、スポーツランドSUGO岡山国際サーキットなどピット割が困難になるレースでは上下2クラスに分けた2レース制を採用することもあり、その場合は午前中からレースが始まったり、2日間に分けて開催する場合もある。

1チームに3~5人のドライバーが登録されるが、「F1やSUPERGT、スーパーフォーミュラの出場経験者(=プラチナドライバー)」に対する乗車制限(1チームの全プラチナドライバーの合計運転時間上限、ジェントルマン以外のAドライバーへのピットストップペナルティなど)など、クラス間での均衡を図られている。

2018年からは年に一度、富士スピードウェイにて24時間耐久レースが開催されている。こちらはドライバーの人数を増やしたりすることも可能だが、深夜帯の騒音軽減の為の消音器の装着と、メンテナンスタイムとして20時間以内に10分以上の点検作業が義務付けられる(使用するタイミングは各チームに一任されており、トラブル発生時の修理の際にメンテナンスタイムを使う事も可能)。

この24時間レースでは、パドックエリア以外に火気使用制限が無い事を利用して、観客がキャンプ道具を持ち込んで、キャンプ飯を作ったり寝泊まりをする光景が見られる事から、一部駐車場をオートキャンプ区画としてチケットを販売している。

当時の国内モータースポーツとして珍しく、決勝レース中継がYoutubeで無料配信されるようになったのも特徴のひとつ(2017年~)。

JGTCル・マン24時間での優勝経験もあり、「ハコ使い」としての顔を持つレーサー・福山英朗が解説を歴任し、2024年現在はMC・数野祐子、ピットレポーター・MC平田、レポーター・中嶋絵美が担当する。

SuperGTやスーパーフォーミュラといったトップカテゴリーにありがちなガチガチの実況解説と比較して「ゆるいレース実況」を自称することもあり(配信の裏で配信スタッフの指示やカフの上げ忘れは日常茶飯事、時にはMC陣のレース飯がカメラに映る)、さもすれば荒れ果てる要素の多いレース配信の割にコメント欄までゆるくなりがちなのもこのレースならでは。

シーズンのハイライトとなる富士24時間レースでは「5枠を使って24時間(正確にはスターティンググリッドから優勝インタビューまでの約28時間)をぶっ通しで配信する。」上記のキャンプ風景や放送席にドライバーや実況者、他サーキットのMCまでも参加する文字通りの「お祭り騒ぎ」となる。

歴史

元々は『N1耐久シリーズ』というレースシリーズで、その名の通り市販車から安全装備の装着のみが認められた「グループN(N1)規定」のツーリングカー(※純粋な2座席のみの車両は特認を受けなければ参戦不可)で争われていた。

その後、冷却装置の強化を始めとする「弱点を補う改造」が認められ『スーパーN1耐久』に、エアロパーツの追加などを認可する過程でレギュレーションがグループNの範囲を外れる(所謂N2規定)ことから、『スーパー耐久』と改称された経緯がある。

参戦可能車両は「JAF・SRO・FIA・WSCの何れかで公認を取得した2座席以上の車(それ以外は特認)」と幅がかなり広く、改造範囲もN1規定よりやや広く取られているもののエンジン本体は市販車のものから消耗品以外の変更が許されておらず(バランス調整や部品の搭載位置の一部変更は可)、モノコックはアルミやカーボンなどの軽量素材の使用・外板の薄肉化等も認められない為(ドアや空力部品等は市販品であれば使用可)、市販車の名残を色濃く残すレース車両の様式が今日まで受け継がれている。

2018年にはスーパー耐久としては10年ぶり、開催地の富士スピードウェイとしても半世紀ぶりの24時間レースが開催された

2024年開幕戦に合わせ、同年5月31日より運営組織をスーパー耐久機構(STO)から、『モータースポーツの健全な育成・発展・振興を図るため自ら企画・運営するイベントや派生する事業を行い、もってモータースポーツ、自動車産業、モビリティ社会に寄与すること』を目的に新設した一般社団法人スーパー耐久未来機構(STMO)へと移行予定。

STO理事長・桑山晴美の推薦からトヨタ自動車会長の豊田章男が「モリゾウ」名義でSTMO新理事長に就任、スーパー耐久の運営は引き続きSTO所属メンバーが継承、現場指揮も副理事長に就任予定の桑山晴美が務めていくことになった。

クラス分け

FIA(国際自動車連盟)やその関連組織によってホモロゲートされた車両を除いて、原則的に排気量と駆動方式によって大別される(ガソリンターボ車は排気量に1.7のターボ係数をかけた数字でカテゴライズ。)

ST-X

グループGT3規定に準拠したクラス。

世界的に隆盛を極めているGT3カテゴリから比較すると参戦チームは多くないものの、非常に多くのメーカーが出揃っている。

プラチナ・ジェントルマンとタイム差のあるドライバーが混在することから、出走順によるピット戦略も見どころになっている。

直近の参戦車両:

レクサス・RC-F GT3

日産・GT-R GT3

ホンダ・NSX GT3

メルセデス・AMG GT3

アストンマーチン・ヴァンテージ GT3

ポルシェ911 GT3R

マクラーレン・720S GT3

ST-Z

グループGT4(SRO-GT4)規定に準拠したクラス。競技専用車ながらアマチュア向けの低価格車両で、スパ24時やニュル24時などでも採用されているカテゴリ。

日本では同規定を採用する大きなレースが殆ど存在しないこと、2021年からは日本車勢として初のGT4マシンであるスープラGT4が投入されたこともあり、参戦チーム数はスーパー耐久全体でもトップクラス。

直近の参戦車両:

トヨタ・GRスープラ GT4

メルセデス・AMG GT4

ポルシェ・718ケイマン GT4 MR/CS

BMW・M4 GT4

アストンマーチン・ヴァンテージGT4

アウディ・R8 LMS

ジネッタ・G55

日産・Z GT4

マクラーレン・570S

ST-TCR

世界スポーツコンサルティング(WSC)が制定するツーリングカー規定、「TCR」規定に準拠したクラス。

新設当初はアウディ・RS3フォルクスワーゲン・ゴルフホンダ・シビックタイプRなど参戦メーカーが多かったが、同規定のレースシリーズ「TCRジャパン」の開催以降は参戦台数が減少傾向にある。

…が、近年ではそのTCRジャパンもエントラント減少に歯止めが掛からず、逆にクラス分けによる共存ができるスーパー耐久に参戦するチームが散見されるように。

ST-Q

2021年シーズンから新設された、スーパー耐久を運営するスーパー耐久機構(STO)が認めた「メーカー開発車両、または各クラスに該当しない車両」がカテゴライズされる。この出自から同クラスは賞典外となる。

種々様々な参戦事由・目標を持ったチームと車両が混在する、世界的に見ても珍しいカテゴリになっている。

参戦チームゼッケン番号・参戦車両参戦年主な特徴
ROOKIE Racing#28 ORC ROOKIE GR SUPRA2021年シーズン2020年シーズンに参戦していたGRスープラGT4をベースとした開発車両
ROOKIE Racing#32 ORC ROOKIE COROLLA H2 comcept2021年第3戦富士~2022年第1戦鈴鹿燃料を水素に置換した水素燃料エンジン車
MAZDA SPIRIT RACING#37 MAZDA SPIRIT RACING Bio comcept DEMIO2021年第6戦岡山100%バイオ由来の次世代バイオディーゼル燃料を使用したディーゼルエンジン車
ENDLESS SPORTS#3 ENDLESS AMG GT42022年シーズン2019~21年でST-Zクラス3連覇を果たしたAMG GT4を使用した、ブレーキシステムとサスペンション等の開発車両
ROOKIE Racing#28 ORC ROOKIE GR86 CNF comcept2022年~23年植物由来のカーボンニュートラル燃料を使用+小改良したGRヤリスのエンジンを搭載するGR86
ROOKIE Racing#32 ORC ROOKIE GR COROLLA H2 comcept2022年第2戦富士~第7戦鈴鹿2022年第1戦鈴鹿まで使用していた#32と同一車両(外観をGRカローラに更新)
MAZDA SPIRIT RACING#55 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio comcept2022年第1戦鈴鹿~第6戦岡山上記#37と同一車両(外観をMAZDA2に更新)
MAZDA SPIRIT RACING#55 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio comcept2022年第7戦鈴鹿~100%バイオ由来の次世代バイオディーゼル燃料を使用したディーゼルエンジン車
Team SDA Engineering#61 Team SDA Engineering BRZ CNF comcept2022年~植物由来のカーボンニュートラル燃料を使用するBRZ
NISMO#230 Nissan Z Racing Concept2022年第2戦富士カスタマーレーシングカー開発+植物由来のカーボンニュートラル燃料を使用するフェアレディZ(RZ34型)
Max Racing#244 Nissan Z Racing Concept2022年第2戦富士~第7戦鈴鹿#230と同じ骨格を使用するフェアレディZ(RZ34型)のカスタマーレーシングカー開発車両(ガソリン燃料仕様)
MAZDA SPIRIT RACING#12 MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF concept2023年第4戦オートポリス~植物由来のカーボンニュートラル燃料を使用するロードスター(ND型、エンジンは2L)
ROOKIE Racing#32 ORC ROOKIE GR COROLLA H2 comcept2023年シーズン~※液化水素を使用した水素燃料エンジン車
ROOKIE Racing#32 TOYOTA GR Yaris2023年開幕戦鈴鹿~※※車両開発 兼 液化水素エンジンカローラの代走(試作パーツ・レース用ATミッション等のテスト車両)
NISMO#230 Nissan Z Racing Concept2023年シーズン機能系パーツ開発+植物由来のカーボンニュートラル燃料研究用車両
ホンダ・レーシング#271 CIVIC TYPE R CNF-R2023年第2戦富士~植物由来のカーボンニュートラル燃料を使用するシビックタイプR(FL5型)
ROOKIE Racing#28 ORC ROOKIE GR86 CNF comcept2024年~2023年まで参戦していたGR86のG16Eエンジン化・カーボンニュートラル燃料対応車両
Team SDA Engineering#61 SUBARU HIGH PERFORMANCE X FUTURE CONCEPT2024年第3戦オートポリス~VB型WRXをベースとした、EVを含む次世代市販車に向けた技術開発車両

※23年開幕戦鈴鹿は車両火災の影響により欠場。本参戦は第2戦富士24時から。

※※液化水素GRカローラとの入れ替えで第3戦SUGO以降もスポット参戦

ST-1

後述の「ST-2~5」のいずれも該当しないクラス。かつてはインタープロト車両やホモロゲーション取得前のレース車両が参戦することもあった。

概ねST-2とST-3の排気量を上回る車両が登録される傾向があるが、同時に該当する車両が少なく、車両開発のコスト高からより上位のST-X・Zに移行するチームもあり、参戦チームは少なめ。

直近の参戦車両:

トヨタ・GRスープラ

KTM・X-BOW GTX

BMW・M2CS racing

ポルシェ・911カップカー

アストンマーチン・ヴァンテージGT8R

ST-2

排気量2401~3500ccの四輪駆動車で争われるクラス。2018年からは前輪駆動車も追加された。

このクラスはベース車からして該当する車両が少なく、永らくランサーエボリューションインプレッサの2強が鎬を削り合っていた。

一時期はインプレッサすらフル参戦しなくなりランエボワンメイクの様相を呈していたが、2018年シーズンレギュレーション改定によりFF+ディーゼルターボのアクセラが参戦。2019年にはFK8型シビックタイプRがスポット参戦し、2020年にはGRヤリスが初参戦するなど、少しずつ勢力図が変わりつつある。

2022年シーズンからは排気量下限が変更された。(2021年までは2001~3500cc)

直近の参戦車両:

三菱・ランサーエボリューション

スバル・インプレッサ

スバル・WRXSTI

マツダ・アクセラSKY-D

ホンダ・シビックタイプR(FK8/FL5型)

トヨタ・GRヤリス

ST-3

排気量2401~3500ccの後輪駆動車で争われるクラス。

下位クラスの扱いを受けて入るものの全体的に排気量が大きく、駆動部品も四輪駆動車より少ないことからラップタイムではST-2を上回ることが少なくない。

国内外を問わず該当車輌は少なくないはずだが参戦チームが慢性的に少なく、特認車両を含めても参戦車両もあまり多くはない。

2022年シーズンからは排気量下限が変更された。(2021年までは2001~3500cc)

直近の参戦車両:

トヨタ・マークX GRMN

トヨタ・クラウンRS

レクサス・RC350

日産・フェアレディZ(Z34型)

ST-4

排気量1501~2500cc(駆動方式不問)の車で争われるクラス。

このクラスと下のST-5は給油装置が携行型のクイックチャージャーに限定され、給油タワーを使用した給油設備は使用できない。

当初はホンダ・インテグラタイプR(DC5型)の事実上ワンメイクであり、その後もシビックタイプR(FD型・FN型)やS2000などが参戦していた。

このクラスは該当車輌が減少傾向ではあったが、トヨタ・86スバル・BRZが登場するやホンダ車を次々と駆逐してしまい、一時期は86のワンメイクになってしまったこともある。

現状、排気量上限がGR86/2代目BRZに近いことから性能面での優位性がある一方、初代86/BRZやロードスターRFでは最低重量が軽いことから燃費面・タイヤライフでのメリットがある。

2023年からは排気量上限が2500ccに拡大された。(2021年までは1501~2000cc、2022年のみ上限が2400cc)

直近の参戦車両:

ホンダ・インテグラタイプR(DC5型)

トヨタ・86/GR86

スバル・BRZ

マツダ・ロードスターRF

ST-5

排気量1500cc未満(駆動方式不問)の車で争われるクラス。

このクラスに限り「生産されてから10年以内の車両」のみ参戦可能という条件があり、レース中の給油量にもピットイン1回につき20Lと制限がある。

トヨタ・ヴィッツホンダ・フィットなどのコンパクトカーや、特認車両のマツダ・ロードスターも参戦しており、最下級カテゴリながらもスーパー耐久で一二を争う参戦チーム数を維持している。

直近の参戦車両:

トヨタ・ヴィッツ

トヨタ・ヤリス

ホンダ・フィット

マツダ・デミオ&マツダ・2

マツダ・ロードスター

関連タグ

モータースポーツ 耐久レース

SuperGT スーパーフォーミュラ…日本国内を代表するサーキットレースシリーズ。スーパー耐久はツーリングカーに相当する。

スーパー耐久公式サイト

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