車両解説
インディカーやスーパーフォーミュラなどのオープンホイールやプロトタイプカーでも実績のあるイタリアのダラーラによるカーボンモノコックのシャシを採用し、アウディ製の2L直列4気筒エンジンを搭載する。
車両デザインは同社のオートバイと同じくザルツブルクのキスカデザインが担当しており、自動車ではあまり見られない奇抜なオープンカースタイルを持ちながら強力なダウンフォースを発生させるカウルデザインをしている。
こんな姿をしているがれっきとした公道走行可能車である。
一方で、その外観から察する通り屋根がないどころかメーカーオプションで雨用の幌すら設定されておらず、風防のないグレードでは走行風が顔に直撃する、エアコンもオーディオも、果てはトランクスペースすら存在しないという、文字通り『走ること』のみに割り切った趣味車である。
また車体の構造上「乗降用ドアがない」という問題もあり、乗り降りする際には太いモノコックを跨ぐ必要がある。
高温多湿、豪雨もあれば酷寒にもなる日本でも(ほぼ屋内保管前提となるが)オーナーはいるものの、やはり環境やホスタビリティに難のある同車はウケが悪いようで、累計販売台数は3桁にも満たないという希少車である。
競技車・サーキット専用車など
上記から「走ること」に振り切った車両であるが、オリジナルのモノコックを使用したクローズドボディのレースカー「X-BOW GT4」、アウディ製2.5L直列5気筒エンジン・レース専用設計のロングボディを採用した「X-BOW GT2」も製造している。
この他、GT2のベース車両になったサーキット走行専用の「X-BOW GTX」、GT2の公道走行可能車の「X-BOW GT-XR」が開発されている。
ただし、シャシ設計はオリジナルのX-BOWから変えられていないことから乗降用ドアを新設することは出来ず、フロントガラス・サイドガラス・ルーフパネルが一体となって車両上面にせり上がる『キャノピードア』を採用しており、なかなか変態度合いが高くなっている。
(公道走行可能なキャノピードアを採用している量産車は殆どなく、イギリスのキットカー「スターリングノヴァ」程度で残りはコンセプトカーのみ)
日本でもホンダカーズ東海が「カーズ東海ドリーム28(現:KsフロンティアKTMカーズ)」のエントラントとして2019年にはX-BOW GT4を、2021年からはX-BOW GTXでスーパー耐久に参戦。特にGTXは日本導入初号機であり、導入初年度の富士24時間レースでは次々と優勝争いから脱落していく上位クラスを後目に「総合2位・クラス優勝」を果たすなど驚異的な戦績を残している。
関連タグ
VTホールディングス:日本の正規輸入元・エスシーアイの親会社。後にケータハムの株式を買収し連結子会社化・共にエスシーアイで取り扱いを行うことに。(ホンダカーズ東海の前身もVTホールディングス)