あらすじ
幼い頃、あやかしに攫われ額に妖印を刻まれたことで、一族の人間たちから“傷モノ”と虐げられてきた菜々緒。
予定されていた白蓮寺家の若様との婚姻も従姉妹の暁美に奪われ、妖印を隠すため猿面をつけさせられて、惨めな生活を送っていた菜々緒はある日、紅椿家の若き当主・夜行と出会う。
とある事件により面が外れ夜行に素顔を見られてしまう菜々緒だが、夜行はその美しさと霊力の高さに興味を持ち――。
(公式HPより引用)
概要
原作者、友麻碧と作画担当、藤丸豆ノ介による漫画であり、副題に「虐げられた私が、皇國の鬼神に見初められた理由」が付いている。
舞台は大正時代に日本をモデルにした和風ローファンタジーの世界であり、不幸なヒロインが結婚を機に幸せになっていくシンデレラストーリーとして描かれている。
小説版も発売されており、原作(漫画版)とは一部展開が異なっている。
登場人物(CVはボイスコミック版にて)
主要人物
CV羊宮妃那
本作の主人公かつヒロイン。18歳。
生まれながら強大な〝陰の霊力〟の持ち主で、その霊力の高さを本家の人間に買われたことによって、分家出身でありながら14歳の時点で次期当主である、白蓮寺麗人の許嫁に任命され、15歳になったら婚姻を結ぶ予定であった。
だが、麗人から貰った簪を無くし結界の外に出たため猩猩に襲われた。
その後、額に妖印(×印)を刻まれたことにより周囲から、『傷モノ』と呼ばれ迫害を受けることになり、麗人との婚約も解消されて猿のお面を着けながら劣悪な生活を送り、周囲からの暴力と暴言に堪えながら日々をやり過ごしてきた。
そのため、麗人から貰った簪をいつか絶望し心が折れた時に唯一自分が逃げることができるとして肌身隠さず持っていた。
そんな中、紅椿夜行に強大な霊力と、その霊力が込められた料理の腕を買われて、紅椿家に嫁ぐことになり夜行から村から連れ出され、劣悪な場所から救い出した夜行を慕い始める。
立場を妬む暁美や、再び正妻にしようと執着する麗人に精神的に追い詰められていくが夜行に勇気を貰い、蹴落とそうとして屋敷に乗り込んできた暁美を言い負かし、自身をつけ狙っていた麗人の呪術を食らいそうになったが反撃するなど精神面もはるかに成長した。
夜行から救い出された後は、因習的な村で使用人(半ば奴隷)暮らしから解放されてからは、世間知らずな面が多く目立っていたが徐々に慣れ始めている。
また、家事全般は使用人暮らしとしての生活で鍛えられており、料理の腕はかなり好評で中でも「鳥汁」が絶品で夜行のお気に入りの好物になった。
(その他にもぼた餅や握り飯を振舞うなど。)
甘いもの好きでプリンや、チョコレートにはかなり、感激を受けた。
夜行とは相思相愛の夫婦になるが、元婚約者であった斎園寺しのぶから敵意を向けられる。
CV梅原裕一郎(PV版)
退魔の一族である紅椿家の若き当主。25歳。
代々、紅椿家の血を引く者に現れる、吸血体質の男性であり『椿鬼』と呼ばれている。
悪しきあやかしから、国を守る退魔の国家機関『皇國陰陽寮』の壱番隊隊長を務めており、皇國の鬼神(皇都の英雄とも言われている)と、評されるほどの実力者。
高い霊力を持った、女性を見つけて伴侶にするべく、白蓮寺家に訪れた際に麗人や暁美に虐げられていた菜々緒と出会い彼女と婚姻を結んだ。
前述の通り、吸血体質でもあるため霊力を持った伴侶から生き血を吸わなければ、弱体化することから霊力が高かった、菜々緒を娶り、彼女との結婚は打算だと言い切る一方で、打算だからこそ、必ず菜々緒を幸せにすることを菜々緒に誓った器量の良い好漢。
やや粗暴な性格だが、人一倍正義感が強く、また菜々緒を虐げてきた麗人を敵視し、女である暁美も敵として容赦ない一面を持ち合わせる。
白蓮寺の村から連れ出した後、村で虐げられてきた孤独な菜々緒を憐み、それと同時に彼女の優しさに触れ、より一層幸せにしようと固く決意する。
また当初、菜々緒の霊力が高かったことから娶ったが、内情酷く虐げられてきた彼女を憐み、また同時に好意を持っていた。
菜々緒と出会う前に、斎園寺しのぶという公爵令嬢と婚約していたが、吸血体質であることを知られてしまい、破談となっている。
その後、自身を忌み嫌っている母親の朱鷺子の当てつけで、
しのぶは兄である鷹夜と婚約している。
華族の夜会で妖が出現し、襲われたしのぶを助けたことで彼女から、異常な執着をされることになってしまう。
白蓮寺家
陰陽五家に名を連ねる一族。序列は四位。
(その下にも陰陽後八家などが存在している。)
皇都から離れた所に居住しているため因習めいており、菜々緒を「傷モノ」として迫害していた。
CV江口拓也
白蓮寺家の次期当主。
菜々緒の元許嫁で、現在は暁美と婚姻を結んでおり一人娘である、琴美がいる。
当初、許嫁同士だった菜々緒を可愛がっていたが、猩猩に攫われ傷モノになったことから、態度を一変させて「猿臭い」と罵り、縁談を破棄する。
その後、正妻となった暁美共々、菜々緒を手酷く虐げてきた。
見かけこそ、好青年の色男だが白蓮寺家の因習に染まりきっている身勝手な人物であり、差別意識が高く、傷モノとなった菜々緒に嫌悪感を表していた。
また、暁美を正妻にした理由も「顔や性格は好みではなかったが料理が美味しかったから」という、散々な理由である。
(だが実際、料理に関しては菜々緒に作らせていた。)
自身も虐げていたのにもかかわらず、猿面が外れた菜々緒の美しい素顔を見てからは手の平を返し、菜々緒を娶った夜行に対し「無理やり、菜々緒を連れ去った」と妄執。
菜々緒がまだ自分を想っていると思い込み、菜々緒を正妻に戻そうと企む。
だが親族たちからの忠告を無視し、独断で行動を起こして躍起になり、菜々緒を追いつめて愛情を告白し自分の元へと戻ってくるように説得するが、当然の如く菜々緒が拒否。
最後の手段として、家系の呪術を使い4年間の記憶を消そうとしたが、菜々緒から反撃に遭い目論見が潰れ夜行に制裁を下された。
その後、独房に収監されていたが保釈金を支払われたことから、釈放され村に戻ることになったが行き過ぎた行動を起こした罪により、厳重に監視される羽目となった。
(その後、漫画版では屋敷に連れ戻されても菜々緒を連れ戻そうと、乱心していたが、咎めた清人と揉み合いの末、清人を負傷させ、一家共々散々な末路を送っている。)
CV戸松遥
菜々緒の従姉妹。
菜々緒が麗人の婚約者候補から外れたため、新たな婚約者となりその後、正妻となった。
お淑やかに振舞うが、本性は自己中心的で傷モノとして落ちぶれた菜々緒を嬉々として蔑んでいる。
村の中で唯一の美人と謳われており、表ではお淑やかな妻を振舞うが、内情は狡猾で自惚れている。
また非情な癇癪持ちであり、菜々緒に幾度なく暴力を振るったりなどしていた。
(そのため、菜々緒の背中には無数の彼女から受けた折檻の傷が残っていた。)
人一倍悪知恵が働くという一面を持ち、菜々緒に「食い扶持を与えてあげる」という名目で完璧な料理を作らせて自分の手柄とし、妻としての立場でありながら、娘の世話も一切せず使用人をいびるなど内情黒い噂が絶えなかった。
夜行に娶られた菜々緒を激しく敵視し、菜々緒を精神的に追い詰めて自身の精神を安定させていたが、現状は変わらず、妻としての立場を軽んじたことから麗人から正妻の座を降ろされるという事態になったため、夜行の屋敷にうまく乗り込み、正妻にしてもらおうとすべての責任を菜々緒に転嫁し、夜行に色仕掛けをするなど救いようがない浅ましい行動を起こす。
だが夜行と菜々緒に拒絶され、また夜行から「自分よりも霊力が高く上に行く菜々緒が気に食わず、簪を盗み結界外に放り込み傷モノとさせた張本人」であることを、暴露される。
事件の真相を知った夜一郎と彼の側近である妖に連行されると言った自業自得の末路を送った。
そのため、終盤ではいつまでも独房に収監されている。
(その後、漫画版では厳罰の代わりに琴美を取り上げられ、自身は村から強制的に追い出される形で追放された。)
白蓮寺家現当主。
息子である麗人が、将来美人になるであろう菜々緒に絆されないように麗人から、嫌われる呪いが込められた猿のお面を、菜々緒に着けることを強いた人物。
だが、このきっかけにより麗人の暴走を起す発端となった。
(その後、漫画版では菜々緒を連れ戻そうと乱心している麗人を止めようと揉み合いの末、麗人に負傷させられる。)
白蓮寺家当主の正妻。
猩猩に妖印を付けられた菜々緒を猩猩と同一視しており、麗人の側室にすることすら、嫌悪感を示して反対しているほど差別意識が高い。
(その後、漫画版では麗人の騒動の一件から心身を病み、病床に臥すこととなった。)
白蓮寺家のご隠居。
麗人の祖父であり、椿鬼のことを知っていたので紅椿の嫁を生贄のようなものと言い放ち、菜々緒の素顔を見て連れ戻そうと躍起を起こす麗人を咎めた。
(その後、漫画版では没落後暁美を村から追放したが、麗人と清人の喧嘩から起きた、ボヤ騒ぎに巻き込まれ避難しようとした際、足を骨折してしまった。)
麗人と暁美の娘。
赤子で、物語序盤で妖蟲に齧られていたところ、菜々緒に救われる。
(また暁美は、育児が面倒だったためほぼ乳母に、世話を任されていた。)
暁美を追放したのち、親族に親権が渡ることとなったが白蓮寺家が没落した後には、幸臣の叔母である藤堂マリアによって引き取られた。
- 他家に嫁いだ女性
白蓮寺の一族の女性。
本名は不明。
麗人の間者として、嫁ぎ先の情報を横流ししており、側室に降格された暁美が悪天候の中、紅椿家の屋敷がある方向に向かっているのを見たと報告する。
その後、過去の所業や当主夫人となった菜々緒に、暴行を加えようとした罪で、陰陽寮の独房に入った暁美と面会し、無様な落ちぶれようを嘲笑した。
そして、庁舎の廊下で菜々緒とすれ違いざまに、軽くぶつかった際に、意味深げな言葉を彼女に残してその場を立ち去る。
(その後、菜々緒が麗人にひと気がない部屋へと拉致されて、呪符を貼られていたことが発覚したことから、貼った張本人であると考えられる。)
だが、暁美を嘲笑していたことや麗人に報告した際の様子や菜々緒に残した言葉から、麗人、白蓮寺家自体への忠誠心は微塵もなかったと考えられ、むしろ彼らが暴走して破滅するように誘導していたと考えられる。
菜々緒を一族の者のように、傷モノとして見下す様子は一切なく、菜々緒からはどこかで見かけたことがある程度でしか覚えられていなかった。
白蓮寺家が断罪されて、間者として働いていた一族の女性たちは嫁ぎ先から離縁を突きつけられるなど、悲惨な末路を送るが彼女がどうなったのかは不明である。
紅椿家
陰陽五家のトップに君臨する退魔の一族。
華族としての爵位は子爵。
代々紅椿家の血を引く者に現れる吸血体質の者は『椿鬼』と呼ばれている。
夜行の父親であり皇國陰陽寮の局長を務めている隻眼の偉丈夫。
息子想いの良き父親であり、夜行を心から想ってくれている、菜々緒のことも甚く気に入っている。
CV戸松遥(pv版)
夜行の母親。
皇家出身の女性であり、長男である鷹夜を溺愛する一方で筋金入りの箱入り娘であることから差別意識が異常に高い。
当初は夜行にも愛情深かったが、赤子だった夜行に噛みつかれたことが原因で、酷く夜行を差別し嫌悪同然な態度を夜行に向け、長男の鷹夜を溺愛する。
また、夜一郎とは正反対に純潔な血筋が汚れる恐れから、傷モノである菜々緒の事も白蓮寺家の人々の様に蔑む。
そのため、前述通り夜行から嫌われている。
しのぶが夜行に執着して暴走し始めると彼女は自滅すると断言し、嘲笑している。
夜行の兄であり、紅椿家の長男。
夜行の元婚約者・斎園寺しのぶを、自身の婚約者にしている。
戦闘力は無いが、勉学に長け数多くの霊具(霊力で稼働する道具)の開発している。
母親に溺愛されて育ったため母親想いの性格をしているが、母の悪影響を強く受けているため、迷うことなく朱鷺子の意見に賛同し肩入れしている。
そのため、臆面もなく夜行を毛嫌いし、また傷モノということから、菜々緒に対し血が穢れるからちゃんとした本妻を迎え、菜々緒を側室にするべきと提案を持ちかけるなど、母同様蛇蝎の如く菜々緒の事も見下していたが、菜々緒の霊力を直に感じ取った際、その霊力の高さに驚愕している。
その後、夜行に執着し始めたしのぶに婚約破棄を告げられ、さらにしのぶと夜行が婚約という記事が出回ると、菜々緒への今までの態度を改めて、花嫁として認めると母親に肩入れしていたのは、紅椿家で孤立させずに暴走を抑えるためだと告白する。
母親が絡まなければ、話の分かる勤勉な人物であり、菜々緒は白蓮寺家から支配されていたかつての自分と重ねている。
夜行の四つ下の妹で、黒条家に嫁いでいる。
夜行との仲は良好な模様。
髪を三つ編みをしており、巫女のような服装をしている。
妹の夜桜とともに、漫画版15話更新のお知らせにて現在の姿で登場している。
夜行の九つ下の妹で、海外留学中。
夜行との仲は良好な模様。
髪をハーフツインテールにしており、ブレザーの制服ような服装をしている。
姉の小夜子とともに、漫画版15話更新のお知らせにて現在の姿で登場している。
翠天宮家
陰陽五家の一つに名を連ねる一族で序列は三位。
陰陽医療の名門。
夜行の親友で四番隊所属。
藤堂マリアの甥に当たる。
花嫁を探す夜行に白蓮寺家に訪ねに行くことを勧め、同時に妖に拐われ、「傷モノ」となった少女の存在がいる噂を、話す。
その後、菜々緒と婚姻を結んだ夜行に、祝いの言葉を贈りつつも「白蓮寺家の花嫁には気をつけろ」と、忠告をする。
翠天宮家の当主で幸臣の父。
様々な医学を習得し、陰陽寮付属病院で医師として勤務している。
猩猩に、つけられた傷を診察しに来た菜々緒を気遣い、迫害していた白蓮寺家の人々のことを「迷信を信じる時代遅れ」と断言する。
その後は、菜々緒の主治医として良き相談相手の一人となっている。
斎園寺家
華族の中でもトップである公爵家。
陰陽寮に多額の寄付をしていることから、虎の威を借る狐の如く振る舞うしのぶに下手なことは出来ないと、夜行や緑川を悩ませている。
公爵家の令嬢。
社交界の花形として白薔薇のような見目麗しい容姿の持ち主。
武井と言う糸目の男性を従者にしており、困ったことがあったら頼っている。
身分の高い家柄の人間らしく、物腰丁寧な振る舞いをする一方で、蝶よ花よと甘やかされて育てられた為、性格は非常に傲慢で強欲であり白蓮寺家の人間と大差ない人間性をしている。
(彼女の母方の祖母である香代が、白蓮寺家の血を引いているため菜々緒や麗人、暁美たちとは遠縁の親戚にあたる。)
また、上記の通り周囲から容姿を褒めそやされていることを自身も自覚しており、自惚れている。
それ故に、醜悪を嫌う夜行からはあまり好かれておらず、婚約者である鷹夜からも「話が全然合わない」と酷評され、しのぶ自身も鷹夜に対して関心が無い。
夜行の元婚約者だったが、夜行が吸血体質であることから破談となった。
(首筋を押さえ夜行に怯える場面があったことから破談と繋がった。)
今は、鷹夜の婚約者となっているが、夜会にて妖に襲われて助けられたことがきっかけで再び夜行に好意を持ち、彼に深く執着するようになる。
(その際一度は、鷹夜に助けを求めたが、当の本人は朱鷺子と共に避難していたため、愛想をつかす。)
菜々緒が、壱番隊の面々に握り飯を振る舞おうとした際にその場に現れると、菜々緒が用意した握り飯を押し退けて床に落とし、自ら持参した高級な料理を机に置くといった異常な行動をしている。
夜行から菜々緒を「妻」として紹介され、自身に婚約者がいながらもアプローチをするというあるまじき行為をしている。
しかも、夜行と結ばれたい一方で、吸血されるのは痛いし嫌だからと言う理由で、「菜々緒を側室にして吸血行為を一任させる」と、いった無礼極まりない傲慢な提案を臆面もなく菜々緒に告げていた。
曰く、「側室には寛大」、「時々夜行を貸してあげる」だとか。
しのぶ付きの従者。
糸目と長髪が特徴的な男性。
妖や式神を見下しており、度々侮辱するような発言をしている。
- 斎園寺公爵
しのぶの父親で、大蔵大臣。
既に妻を亡くしている。
それ故に、娘であるしのぶを蝶よ花よと甘やかしており、彼女が、傍若無人な振る舞いをする原因となっている。
伯爵夫人の綾小路香代には、頭が上がらない。
綾小路家
伯爵家の華族。
斎園寺家とは親族にあたる。
陸軍の軍人。
しのぶの母方の従兄弟。
軍と陰陽寮が対立関係であること故なのか夜行のことを敵視している。
だが、夜行本人だけではなく、陰陽寮の面々からも綾小路家の子息として扱われることなく、あしらわれてしまっている。
皇都で、夜行と菜々緒に遭遇した際には夜行が婚姻を結んだことを信じていなかったが、菜々緒の美貌を見て動揺している。
夜行と菜々緒が既に、婚姻を結んでいることを陰陽寮の関係者以外で知っている数少ない人物でもあり、しのぶがよりによって夜行に惚れ直してしまうなど不憫な立場になっている。
伯爵夫人。
真澄としのぶの祖母。
白蓮寺家の血を引いているが慈悲深い女性。
道端で転倒して動けなくなっていたところを菜々緒に介抱され、彼女と親しくなる。
皇國陰陽寮
弐番隊隊長で、後八家に属する緑川家の分家の三男。
口減らしに陰陽寮へぶちこまれたそう。
背が低く、見た目が少年のように幼いが30歳である。
二つ名は皇國の番犬。
銃と式神を用いた戦闘をしている。(式神との契約で一生独身との事)
夜行の元上司(副隊長)であり、今は隊長同士ではあるが夜行から尊敬されている。
部下の栗宮と紅椿家の屋敷に訪れた際には、菜々緒の美貌や料理に籠められた霊力に感銘を受けた。
蓮太郎の式神で狼の女性の式神。
鈴がついた首輪をつけている。
蓮太郎を愛しており、彼に一生独身でいる契約を結ばせた。
とにかく嫉妬深い式神で、彼に近づく女性をことごとく噛み殺そうとする。
弐番隊連絡係で緑川の部下。
上司の蓮太郎とともに紅椿家の屋敷に訪れた際には菜々緒の美貌に見惚れ、料理に籠められた霊力に感銘を受けた後、若奥様と慕うようになる。
八番隊隊長で幸臣の叔母。
バツイチでニ児の母で、怪力の持ち主。
二つ名は皇國の聖母。
麗人が、錯乱してボヤ騒ぎを起こした際に、彼が菜々緒に呪術を使おうとして失敗した挙げ句、自分に返ってきたことで気が触れたと分析し、菜々緒の霊力の高さに関心を寄せている様子を見せている。
没落した白蓮寺家で孤立していた琴美を引き取った。
夜行の式神たち
夜行の式神。
夜行の戦闘に同行しており、彼の側近的存在。後鬼とは夫婦。
(夜行曰く、かかあ天下らしい)
夜行の式神。
夜行の屋敷で女中頭の役割をしており、菜々緒を女主人として献身的に支えている。
前鬼とは夫婦。
(よく紅椿邸でも、痴話喧嘩をしている。)
夜行の式神。
猫耳がついた、女性の見た目をしているが声が男性。
菜々緒から「猫さん」と、呼ばれている。
その他の人物
- 扇を持った令嬢
しのぶが交流している同世代の令嬢の一人。
だが、しのぶに対抗心を持ってるのか、たびたび嫌味や皮肉のような言葉を言っている。
しのぶの回想では良い家柄の男性と結婚しており、「これで貴女と同格」だと言い放っている。
茶会で夜行との仲は、上手く言っていると浮かれながら嘘を吹き込んでいたしのぶに対して「親戚が白蓮寺から嫁いだ若奥様と夜行をカフェで見かけた」、「仲睦まじい様子だった」と、指摘するが側室には寛大だとアピールし出したしのぶから「貴女とは違う」(そんなこと気にするなんて心が狭い)と煽られて憤慨してしまう。
- しのぶの従姉妹
しのぶが交流している同世代の令嬢の一人。
父方か母方の従姉妹なのかは不明。
扇を持った令嬢を煽った、しのぶの態度を見かねて注意すると夜行とのスキャンダル記事は書かせたものかと追及し、自分たちも紅椿家からの制裁を食らうのではないかと怯えて、しのぶに苦言を提するが悪びれることもなく、開き直って公爵家の権力を盾にする発言をした彼女に凍りついた。
用語
- 大和皇國
大正時代の日本をモデルにした架空国家。
あやかし(妖怪)と陰陽術が存在している。
開国から約50年の月日が経ち人々は西洋文化を取り入れながら文明開化を謳歌している。
- 皇都
物語の舞台となる架空の都。
五行結界の内側に位置している対あやかし防衛の要の地。
開国を境に取り入れた西洋文化で発展している都会であり、夜な夜な華族(貴族)が夜会を開いている。
- 五行結界
悪しきあやかしから人々を守る結界。
中心に陰陽大神宮が存在している。
強力ではあるが万能ではなく、弱いあやかしが結界を通り抜けて侵入してくる時がある。
五行結界の外は当然あやかしのテリトリーなので、故意に五行結界の外に人を追い出す行為は重罪とされる。
- 陰陽五家
五行結界を編み出した陰陽師の名門五家で五行の属性と序列が設けられている。
皇都を中心にした五芒星の位置(北、北東、南東、南西、北西)に居を構えている。
五家の他にも下に藤堂家を筆頭にした陰陽後八家が存在していて、さらにその下に陰陽後々二十八家が存在しており、下位の家門は虎視眈々と序列を上げるべく下剋上を狙っている。
- 白蓮寺家
陰陽五家の一角。
序列は四位で五行属性は木。
皇都から北側の位置に点在していて、呪術を得意としている。
霊脈に恵まれた山間で暮らしており、開国の影響で高い霊力を持った女性が産まれにくい時代でありながら、霊脈の影響で霊力の高い女性が産まれやすいので、他の陰陽家に嫁がせて得た結納金で潤っていることが夜行から語られる。
恵みある村でもあるが、その一方で、閉鎖的な田舎社会であるが故にあやかしに対する嫌悪感と差別意識が高すぎるという悪しき因習が根を張っていて、人に友好的なあやかしと妖印を刻まれた人間すら穢れとして蛇蝎の如く嫌う差別問題が幅を利かせており、その風習から菜々緒は迫害されてきた。
また、田舎らしく都会に憧れている娘が多いのも特徴。
- 紅椿家
陰陽五家の一角。
序列は一位で五行属性は火。
皇都から北東の位置に点在していて、退魔を生業とする武家。
当主は後述の戦闘力に秀でた椿鬼が務めるしきたりがある。
白蓮寺家とは対照的に皇都の一角で暮らしているのでハイカラな設備が整っていて、人間に友好的なあやかしを式神にして使用人にしている。
皇家と盟約を結んでおり、紅椿の血を絶やさないように霊力の高い皇家の女性は紅椿家に嫁いでいる。
- 椿鬼
紅椿家の吸血体質を引き継いだ男性への呼称。
開国以前、大椿鬼という大妖怪がいて、その大椿鬼から人々を守るべく当時の紅椿家の当主が我が身に大椿鬼を封印したが、その結果、代々紅椿家の一部の男性は霊力の高い女性の血を定期的に摂取しなければ生きていけない体として生を受ける羽目になる。いわゆる半妖。
一応メリットとして高い戦闘力を得るという恩恵があるが、吸血行為に耐えれる精神を持った女性は極わずかであり、妖印を刻まれた人間と同様に心無い者から化け物扱いされてしまう。
- あやかし
魑魅魍魎の化け物。妖怪。
基本的には人間の敵なのだが、人間に友好的なあやかしも存在している。
開国以前は人間と持ちつ持たれつの関係を結んでいて共存できていたのだが、開国の折、大半のあやかしが開国に反対した。
それがきっかけで人間と敵対する道を選び、開国後も争いを続けている。
霊力の高い人間を好み積極的に襲う。
- 妖印
あやかしが自身の所有物に付ける目印。
妖気が生じる傷跡が消えずに残る以外に不都合は無いのだが「妖印を刻まれると血が穢れる」、「その血に触れると穢れが伝染る」といった迷信が存在していて、理解の無い者や差別的な白蓮寺家では信じられている。
そのせいで、妖印が刻まれた菜々緒は迫害の憂き目に遭ってしまう。
陰陽医療でも治すことはできないが、妖印を刻んだあやかしを倒せば治すことができる。