概要
父親は日本人初のF1フルタイムドライバーで、バブル期のF1ブームにアイルトン・セナと組んだこともある中嶋悟。弟はやはり元レーシングドライバーの中嶋大祐。
小林可夢偉とはトヨタの若手ドライバーの育成機関であるtdp(トヨタ・ヤングドライバーズ・プログラム)の同期である。
「親の七光」と呼ばれることを嫌い、父の所属するホンダではなくトヨタのドライビングスクールでのし上がった。
GP2でルーキーオブザイヤーを獲得した後、F1へは2007年のブラジルGPから名門チームであるウィリアムズでデビュー。後に2016年のワールドチャンピオンとなるニコ・ロズベルグとコンビを組んだが、同チームの長い歴史で他に1人しかいないノーポイント者という不名誉を得てしまっている。
トヨタのF1撤退でシートを喪失した後、2011年に国内レースに復帰し、2012年からはWEC(世界耐久選手権)にてトヨタLMP1のエースとして活躍。2014年に世界3大レースの一つであるル・マン24時間のポールポジションを獲得して以降は名誉を回復。2018年には同レースの総合優勝とWECチャンピオンを掴み、ル・マンは2020年まで3連覇。FIA殿堂入りを果たした。
なお2016年ル・マンでは23時間57分走って残り3分でリタイアという、モータースポーツ史に残るドラマの主役となっている。無線での彼の「I have No Power!!」の叫びは、生で聞いた者は一生忘れられないだろう。
フォーミュラニッポンとその改称であるスーパーフォーミュラの両方でチャンピオンを獲得した、数少ないドライバーでもある。
また一時はSUPER GTでもチャンピオンを争い、WEC/スーパーフォーミュラ/スーパーGTの3カテゴリで連続優勝を挙げるという獅子奮迅の活躍を見せていたこともある。
2021年末、まだまだこれからと思われていた36歳でレーシングドライバーとしての引退を電撃発表し、以降はトヨタのチーム運営(TGRヨーロッパ副会長)に関わっていくこととなった。父も弟も30代でドライバーを引退していたため、血筋といえばそうなのかもしれないが…。
しかし2022年、WECのリザーブドライバーとして登録されていたニック・デ・フリースがF1チームのスクーデリア・アルファタウリのレギュラードライバーとして契約を結んだため、2023年シーズからは(リザーブとしてではあるが)再びプロトタイプカーのステアリングを握ることとなった。(そのデ・フリースは2024年からTOYOTA GAZOO RacingのWECレギュラードライバーとして活躍中)
性格はカメラの前では常ににこやかな表情を絶やさないが、実は可夢偉に負けないほどの負けず嫌いである。また国内レースの解説として出演することもあるが、実直な物言いをすることで人気がある。
2014年10月のグランドジャンプPremiumでは、村上もとか原作・千葉きよかず作画により、彼をモチーフとしたキャラが主役の描き下ろし漫画『眠れぬ虎』が掲載された。
親同士がライバルで名前が同じ「カズキ」の二世ドライバーである星野一樹とは親世代の影響で話題に上がることも多いが、幼少期の交友こそあれデビュー時期も経歴も異なるため意外にも一緒にレースで走ったことがなかった。
そんな中、2023年スーパー耐久のドライバーラインアップで3人の「カズキ」が揃ったチームIMPULにおいて監督兼Dドライバーの星野一樹が冗談交じりに
『3人カズキが揃いました。富士24時間だけドイツのカズキさん乗ってくれないかな』
とSNSに書き込んだ所、たまたまスーパーフォーミュラの開幕戦に訪れた中嶋一貴がこの発言を元に富士24時に乗れないかと打診。
中島サイド(TGR)の了承と、星野が日産サイドの了承を取り付けた結果、
「『4人のカズキ(うち1人は競合メーカーの重役)』が1台のZをシェアしてレースに出る」
というファンからしてみればたまらない共演が実現したのだ。
スーパー耐久富士24時間にビッグサプライズ! 中嶋一貴がナニワ電装TEAM IMPUL Zをドライブへ
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