概要![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
2012年からル・マン24時間、および同年誕生したWEC(世界耐久選手権)の最高峰であるLMP1クラスにプロトタイプレーシングカーで参戦していたトヨタ自動車は、まず『TS030 HYBRID』を投入。
直前の規則変更に苦慮しつつも強豪アウディと渡り合い、複数回の勝利を挙げた。
そしてポルシェも参戦する2014年の新規定導入に合わせて投入したのが本車である。
メカニズム![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
TS030との最大の違いは駆動方式。TS030は元々4WDにすることもできたが、参戦直前で「モーターの回生・力行は前後輪どちらかのみ」とされ、より難しいリアモーターの制御のノウハウを蓄積するためにあえて2WD(後輪駆動)を選択した。
これが規則改定で前後輪両方で駆動できるようになり、晴れて4WDとなった。
吸気リストリクターによる吸気流量規制ではなく燃料リストリクターでの燃料流量規制が導入されたが、重量増加を嫌ってターボではなく自然吸気のまま排気量を300cc拡大して3.7リッターエンジンとなった。
バッテリーは日清紡製のスーパーキャパシタを継承。EoT(技術的均衡)のテーブルは2/4/6/8MJ回生から選択するが、トヨタは6MJ回生を選択した。
これによりエンジンが520馬力、モーターが480馬力で合計1,000馬力のモンスターマシンが登場した。
外観はTS030はなだらかだったが、本車はヘッドライト部分が大きくなり、「出目金のようだ」と言われることもある。しかしそのおかげで光量は大きくなった。
2014年![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
ル・マンでは中嶋一貴のアタックにより7号車がポールポジションを獲得。
2012年ル・マンでクラッシュして以来印象の良くなかった彼だが、同年富士で堂々たる優勝、そしてこのポールポジションで一気に株を回復させた。
決勝でも7号車が首位を走るが、電気系統のトラブルにより無念のリタイアとなった。
シーズンを通しては8号車が4勝を挙げる活躍で、アウディ・ポルシェを打ち破ってのドライバーズ・マニュファクチャラーズ選手権の2冠を達成。これらは50年以上興亡を繰り返してきたスポーツプロトタイプのFIA世界選手権の歴史上、アジアの自動車メーカーとして初の快挙であった。
またトヨタとしても、1999年WRC以来の世界選手権タイトルであった。
2015年![編集](https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424)
アウディ・ポルシェは一説にはF1並みと言われる大金を投じて開発戦争に突入。
彼らは前年にル・マンで中嶋が出したタイムよりも5秒も速く走り、これにトヨタは全くついていけなかった。
年間ランキングは8号車が5位となっているが表彰台は3位を2回取るのがやっとであり、フル参戦組ではアウディ2台・ポルシェ2台の後ろなので実質最後尾だった。
富士での連勝も3で途絶えてしまった。
この反省を基に、トヨタはTS050を開発することとなる。