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大型ショート

おおがたしょーと

乗合・貸切バスの、車体サイズ・シャーシ構造を基にしたカテゴリーの一つである。
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概要編集

車体長は約9mと中型車並ながら車幅は大型車並の2.5mとしたバス。大型短尺とか9m大型とも呼ばれる。ただし中型車が普及する1970年代後半までは、全長9.2m~9.7mクラスのやや大型のもの、また全幅を2.3mに抑えた車種もこのカテゴリーに含まれるなど、必ずしも厳密な規格ではないことに注意されたい。


2019年現在は地方のバス会社を中心に、定員30名弱の小口の貸切用(観光バス)として細々と製造が続いている。かつては路線仕様車も販売されていたが、需要の減少で2000年代半ばには全てのメーカーで製造が終了している。なお、1970年代以降路線車としての主な得意先は国鉄バス程度であり、あとは各社が必要に応じて少数を導入する程度であった。(主に市街地等の狭隘路を走行するが、同時に収容力も要求される路線)

また自動車教習所に於いては長らく9m車が使用されてきたが、2007年の法令改正で(バスでは)11mクラスのフルサイズ車の使用が定められたことも製造終了の一因となった。


そもそも全長9m前後・全幅2.5m以下というカテゴリーは、「キャブオーバーバス」から始まる箱型バスのルーツとも言え、そのサイズは高度経済成長以前極めて劣悪だった(地方では幹線国道ですら未舗装・各所に隘路があるのが普通)日本の道路環境に適合しており、当時の路線バスの「標準的」なサイズでもあった。また事業者によっては厳しい道路環境から全幅が2.3mクラスのナローボディを採用したり、さらにナローボディを全長8m程度にまで短縮したものまで導入されていた。

しかしながら1960年代に入ると、大都市周辺を中心に幹線道路の整備が進行したことにより、全長10~11mへの大型化が一気に進行して、販売の主力は完全にそちらに移行した。また1970年代になると地方郊外の道路舗装も進んだことから大型車並みの足回りを備える必要性も無くなり、シャーシ・アクスルが軽便ながら経済性に優れる中型車が一気に普及した。さらに地方の過疎化で大型ショート車を要する路線が廃止に追い込まれるケースが相次いだ。

そのような事情から後に「大型ショート」と、まるで大型車の亜種のような扱いをされるようになった経緯がある。


いすゞの大型ショート編集

路線用大型ショート車の最大手。古く1950年代から後の大型ショートに相当するリアエンジンバスを多数販売し(BA系→ECM/K-EDM系)、全長10m超の大型車が主流になった後もモノコックボディ時代の末期まで車体幅が2.3mの「ナローバージョン」(K-EDM430N)の製造を継続、さらにBA系の時代には全長8mクラスの短尺車(BA01N)までラインナップされていた。国鉄バスや国際興業を中心に全国の事業者へ導入され、スケルトンボディに移行してからもキュービックLTエルガLTを製造・販売していた。エルガLTにはバリアフリー対応のワンステップバスも設定されていた。2005年に製造終了した。

日野の大型ショート編集

日野自動車の大型ショートは、1955年にセンターアンダーフロアエンジン・BD系(9.6m)の短尺バージョンとして設定されたBK系が源流である。その後9m車は1961年にBT系に移行するが、1967年に後継のリアエンジン車のRD100系が登場したため、1969年に製造は終了する。

RD100系は排ガス規制によるエンジン改良で、RD300/K-RD301と変遷を経て1984年まで製造され、スケルトンボディを持つRK系のP-RK172AAへ引き継がれた。

なおRK系はレインボーRJ系のシャーシを用いて幅広のボディを架装していたので、「9m大型車」というよりは「2.5m幅の中型バス」という方が正しく、また前輪のトレッドが狭いことなど外観的にも極めて特徴のある車だった。

この後の1986年に大型系のシャーシを持つP-RT/RU17系が登場してRK系と併売され(1990年まで)、U-RU3H系、KC-RU1J系とモデルチェンジを繰り返し、2000年には大型車であるブルーリボンのモデルチェンジに合わせてボディスタイルがブルーリボンシティと同じものに変更された。いずれもツーステップバスのみの設定で、自家用も含め2002年に製造を終了。

路線用として最末期のモデルを導入したのは北海道中央バスだけである。

三菱ふそうの大型ショート編集

三菱ふそうは大型ショート車の市場で最も勢力が小さい。まとまった数を導入した事業者は少ないが、豊鉄バスがふそうの大型ショートの一大ユーザーとして知られている。型式にMMが一貫して含まれるのと型式の付番法則が中型車のエアロミディに則っているのが特徴で、1988年~1993年まで中型車のブランドであるエアロミディMMを名乗っていた。なお、スケルトン移行直後の路線車(呉羽車体)はファンの間で「ヒラメ」という愛称があり、その車体が発展的に10m~11mクラスのの大型車(P-MP118系)にも架装された例が少数見られる。

ツーステップバスのみの設定で2004年製造終了。

日デの大型ショート編集

日産ディーゼルもモノコック時代から大型ショート車を製造していたが、1973年から1986年までの間は製造していなかった。

事業者からの注文が少なく、発注があってから型式認定を得ていたという話もあるぐらいだが、バリアフリー対応のワンステップバスが設定されており、国内メーカーでは最も遅い2007年まで販売が行われていた。

観光バスの大型ショート編集

貸切用の観光バスでは現在も大型ショート車が製造・ラインナップされている。

セレガハイデッカーショートガーラHD-9エアロエースショートタイプMMが主な車種で、小口貸切輸送に使われる。車幅2.3mの中型車に比べて座席の横幅を広くでき、居住性が良いことが現在も製造が続く理由である。

なお、輸入車では「全長9mの二階建てバス」(ネオプラン・スカイライナー)という、トンデモ仕様の車すら存在する。

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