概要
富山県立山町の富山地方鉄道立山駅と、長野県大町市の扇沢のバスターミナルを結ぶ。
飛騨山脈(北アルプス)の立山と黒部ダム有する黒部湖をケーブルカー、バス、トロリーバス、ロープウェーで横断する。
1971年(昭和46年)6月1日全線開業。
総延長は37.2kmで最大高低差は1,975mに及び、世界有数の大規模な山岳観光交通路である。
毎年冬季(11月半ば~翌年4月半ば)までは通行止めと営業休止となるが、4月初旬から立山駅ー弥陀ヶ原間が折り返しの形で先行開業する。
立山のへの登山ルートとしても利用される。
ルート
- 電鉄富山駅~立山駅 富山地方鉄道立山線(普通鉄道)
- 立山駅~美女平駅 立山黒部貫光立山ケーブル(交走式ケーブルカー)
- 美女平駅~(ブナ坂~滝見台~上ノ小平~)弘法~(追分~)弥陀ヶ原~(美松~天狗口~)天狗平~室堂駅 立山黒部貫光立山高原バス(路線バス)
- 室堂駅~大観峰駅 立山黒部貫光立山トンネルトロリーバス(無軌条電車(トロリーバス))
- 大観峰駅~黒部平駅 立山黒部貫光立山ロープウェイ(ワンスパン式ロープウェイ)
- 黒部平駅~黒部湖駅 立山黒部貫光黒部ケーブル(交走式ケーブルカー)
- 黒部湖駅~黒部ダム駅 (徒歩連絡)
- 黒部ダム駅~扇沢駅 関西電力関電トンネル電気バス(パンタグラフ集電式蓄電池バス))
- 扇沢駅~信濃大町駅(~長野駅) アルピコ交通・北アルプス交通扇沢線(大町アルペンライン)(一般路線バス)
トロリーバス
途中立山トンネルを通過する際は、現在日本で唯一営業しているトロリーバスを利用することこれは架線とパンタグラフを用いて電車のように集電しながら走るバスであり、法律上は「無軌条電車」という鉄道路線として扱われている。
長野側の関電トンネルでも長らく利用されていたが、2018年11月に廃止されて2019年4月より充電式電気バスに転換された。
残る立山トンネルの方は置き換えなどについては未定としている。
雪の大谷
室堂付近の立山高原バス走行路・大谷地区において、開業間もない4月頃は冬からの積雪が積もりに積もり、数十mにも及ぶ。
春の開業に向けてブルドーザーなどで除雪を行い走路が確保されるが、その時雪を削りきった道路と周囲とでは積雪分の高低差数十mの差が出来ており、その雪の壁の間をバスが走り抜けるという絶景となる。
立山ロープウェイのワンスパン方式
立山ロープウェイは、その走路1.7kmに渡って途中に全く支柱が設けられていない。
これをワンスパン方式というもので、景観確保のみならず冬季に雪崩によって支柱が破壊されないように採用されたとされる。
裏ルート?(黒部ルート)
アルペンルートと並走するような形で、別ルートで黒部に入る通称「黒部ルート」という区間が存在する。
富山側から富山地方鉄道本線の宇奈月温泉駅まで行った後黒部峡谷鉄道に乗り換えて終点・欅平まで行く。ここまでは一般の乗客でも行くことが出来るが、この欅平から先にも実は線路が伸びており、その路線を辿ることで黒部ダムに至ることが可能である。
ただし欅平から黒部ダムまでの大部分の区間は関西電力の事業専用線であり、一般客が乗車するには「黒部ルート見学会」への事前申し込みが必要である。黒部から先は扇沢までアルペンルートと同じ行路を辿る。
仙人谷ダムと黒部ダム
それぞれ黒部川の上流部に設けられたダムである。
黒部ルートを通ると、仙人谷付近では仙人谷ダムを見ることが出来る。
仙人谷ダムは黒部川第三発電所の、黒部ダムは同第四発電所の発電目的として作られたが、前者は高温岩盤を経由したために爆発事故が発生したり、作業場が流れるなどの建設中の事故が多発した。
後者も前述の破砕帯を経由したことによりこれまた出水事故が発生するなど、それぞれの建設には多大な犠牲者を出している。
しかしながら前者は戦時中の全国の電力確保のため、後者は終戦直後から続いた近畿地方の慢性的な電力逼迫を解消するため、当時の日本発送電とそれを引き継いだ関西電力が総力を挙げて建設を行った。
こうして過酷な自然環境下の秘境の山奥に日本有数の巨大ダムが完成し、今日も近畿地方の電力を補っている。
なおダム建設の際に建設された歩道が登山道として残されているが、人が一人しか通れないような丸太橋や柵もロープもない断崖絶壁が続くので一般の素人は決して立ち入ってはいけないレベルである。
関連項目
:ルート付近に生息している。