概要
飛騨山脈(北アルプス)の中北部、長野県大町市と富山県富山市に位置する。
標高は2,924mで日本三百名山と信州百名山に指定。
名前の「野口」は、大町市の野口集落に由来し、「五郎」とは山頂付近の様子から「大きな岩がごろごろと堆積した場所」に対する俗語「ゴーロ」に更に当て字をしたものである。
まるで人名のような山名となり、後述のような事例も発生した。
山小屋として山頂より少し下の2,870m地点に「野口五郎小屋」がある。
野口五郎氏との関係
近隣の黒部五郎岳から取った「黒部五郎」との二択だったようであるが、より標高の高いこちらを選んだとされている。
ところが野口氏が国民的な著名人となってしまったために、一部の人達で野口五郎岳の方が「野口五郎を記念してその名を取った山」であると勘違いした人がいたとも言われている。
なお野口五郎や黒部五郎の名が当初より芸名候補となった理由として、「雄々しく逞しい歌手になるように」という理由もあったようである。
また同氏が飛騨山脈に近い岐阜県美濃市出身である影響も大きかったとされる。
裏銀座縦走
高瀬ダム横のブナ立尾根登り口を起点とし、烏帽子岳から野口五郎岳、鷲羽岳や双六岳から西鎌尾根を経て槍ヶ岳へ至る登山道の名称である。
中房温泉から燕岳や大天井岳を経て槍ヶ岳へ至る「表銀座コース」に比べ行程が長く、総合的な難易度は増すが登山者が少ないため静かな山行を楽しめる。
双六岳・三俣蓮華岳から枝分かれして富山方面に向かえば、黒部五郎岳にも到達出来る。
地形図上は長野県の富山県境を北から南に渡るコースである。
立山黒部徒歩ルート
黒部川に沿って、黒部峡谷鉄道欅平駅から仙人谷までは水平歩道、それより上部黒部ダムまでは日電歩道という、日本発送電の遺した登山ルートが存在する。
これらを総称して「下廊下」とも呼ぶ。
生易しい名前とは真逆の上級者用登山ルートであり、道中は人二人のすれ違いも困難な隘路が崖沿いに渡って延々と続いており、落ちたら死ぬ。
特に水平歩道より日電歩道はより危ないとされるが、水平歩道の終点である仙人谷には特に何も無く、動けなくなっても関西電力の人間に救助を求める事くらいしか出来ない。
なお上廊下」や「奥廊下」もあるがこれらは超上級者用登山コースであり、沢登りの技術も必要となる。
奥廊下も走破して黒部川源流部まで遡った後、鷲羽岳から野口五郎岳、三つ岳などを経由して七倉ダムに至り、更に下ると扇沢に出ることが出来る。
これが立山黒部アルペンルートを事実上徒歩で走破するコースであるが、全行程を攻略するにはおよそ4~6日以上が必要だと言われる。
もちろん高度なワンゲル技術と基礎体力が無ければ命の危機に陥る。
このルートに足を踏み入れるのはもはや冒険家レベルの者達なので、一般者は素直に公共交通(アルペンルート)を利用すべきである。