概要
飛騨山脈(通称北アルプス)中南部にある山で、標高は3,180m。
長野県松本市、大町市、岐阜県高山市の境に跨り、作家・登山家の深田久弥によって日本百名山の一つに選定。
同じ山脈では奥穂高岳(3,190m)に次ぐ2位の高さで、日本国内でも5番目の高山である。
その名の如く槍の刃が天に向かうような、遠くからでもすぐにわかる三角形の尖った頂を有し、「日本のマッターホルン」とも呼ばれる。
北アルプスでは穂高岳や立山と並んで最も名が知られている山であり、穂高岳との間の尾根は「槍穂高連峰」という呼び名を持つ。
山体は主に石英斑岩によって構成されている。
氷河の浸食によって形成されたカール地形に囲まれており、東西南北に尾根や谷間が発達していて高瀬川や梓川、蒲田川などの水源地でもある。
夏でも谷間に雪渓が残る箇所があり、森林限界を越える標高約2,500m以上の斜面にはシナノキンバイやチングルマなどの高山植物のお花畑が多い。
歴史的に日本の近代登山の先駆けとなった山のひとつで、登山を趣味とする者にとっては憧れの名山である。
明治時代に日本アルプスと名付けるなどをしたイギリス人達によって世界にも紹介され、小説家芥川龍之介も現在でいう高校の学生時に登頂を果たしている。
ただし、現在記録が確認されている限りで初登頂とその後の数回の登頂を遂げたのは江戸時代後期の修行僧の播隆(上人)であり、それ以前に山の肩の稜線部分までは地元の猟師達が立ち入っていたとされる。
登山コースは多くの数があり、いずれも高い標高での隘路、登山口からの長距離、ロッククライミングなどのポイントがある。
それでも登山道や山小屋はよく整備されており、比較的安全な夏から秋の初めにかけて主に中上級者の登山客で賑わう。
一大山岳リゾート地である上高地からもアクセスが可能でコースも「最も一般向き」とされてはいるが、往復約40kmを通常2泊3日で歩いて踏破する必要があるのでそれなりの経験と装備、コンディション作りが必要である。
山頂直下に大型の山小屋があり、申し込みによるテント泊も可能である。
童謡『アルプス一万尺』の1番の歌詞に出る「小槍」とは槍ヶ岳の峰の一つの事であり、29番ある歌詞の中で穂高岳と共にその名がたくさん登場する。
実際に画像や動画を見ればすぐ確認ができるが、小槍にはとても歌詞中の「アルペン踊り」ができるようなスペースはない。