概要
別名北アルプスとして有名な飛騨山脈中の立山連峰の一峰で、富山県の上市町と立山町に位置する。
日本百名山の一つで、標高は2,999mとほんのわずかだけ一万尺に届かない。
長い年月をかけて氷河に削りとられた鋭い山容と深い谷を持つ岩山であり、その岩場はロッククライミングの名所でもある。
一般人が立ち入る事ができる通常の登山ルートの中では、日本で一番難しい山と言われている。
古くから山岳信仰の聖地とはされていたが、1907年(明治40年)に地図制作のため陸軍の測量技師・柴崎芳太郎一行が登りきるまで公式上の登頂成功記録がなかった。
ただしその際に、おそらく平安時代の修験者の物と見られる錫杖などが山頂で発見されている。
登頂への道のりがあまりに危険であるため、10〜5月の雪山の時期には富山県の条例により登山届の提出が義務付けられており、この期間無断入山した者は罰金の処分がある。
もちろん雪のない夏季でも以下のように危険な山であるため、任意でも登山届は必ず出す事が望ましい。
登山にあたっての注意
登山上級者には憧れの山の一つであるが、切り立った岩場が多く滑落での死亡事故も多く発生している。
登山ルートには鎖が渡してあるためエイドクライミングをしなくても山頂に到達できるが、最も一般的なコースである別山尾根ルートでも下山時に「カニのヨコバイ」と呼ばれる難所があり、足元の見えない岩場を横移動しなくてはならない。
上記の動画の2分を過ぎたあたりで「ここに足をつけばどうってことないっす」と撮影者が言っているが、この山で経験のある上級者以外からしてみれば「お前は何を言っているんだ」レベルの難易度である。
さらに、このあたりのわかりやすい難所を抜けた後でうっかり気を抜いて滑落する遭難者も少なからずいるようである。
滑落すると最悪で100m以上落ちて生還が絶望的になりやすいとされる。
その他のルートは切り立った岩場が連続し、スキルや体力、経験に乏しい者は登頂自体が困難である。
人気の別山尾根コースであっても登山初心者にはまずおすすめはできず、ある程度体力づくりをして、難易度が低い登山の経験を十分積んだ上で挑戦する山であるのはまず間違いない。
街中のボルダリングスタジオで岩登りの感覚を養うトレーニングもする事でより無難となる。
装備はしっかりしたものを用意し、特にヘルメットは必ず装着すべきである。
いきなり単独登山はしないようにし、初挑戦の際には経験者など慣れた人に同行してもらうのが望ましい。
もちろん天候や登山道の状況を事前に十分下調べをし、夏といえども天気が崩れた際には即時登頂を中止して撤退すべきである。
また例年のお盆休み時期には登山者数が急増しやすくなり、山小屋も予約が必要なため行程は十分な余裕を持って計画を立てるのが望ましい。
関連作品
『劒岳 点の記』
外部リンク
・立山 剱岳 滑落事故 登山ガイドが伝えたい5つの遭難防止策
登山ガイドの上田洋平による、剱岳登山にあたっての心構え。