アッグ
あっぐ
型式番号 | EMS-05 |
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所属 | ジオン公国軍 |
開発 | スウィネン |
生産形態 | 少数生産機 |
頭頂高 | 15.6m |
本体重量 | 64.4t |
出力 | 不明 |
推力 | 不明 |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
固定武装 | 大型ドリル×2、レーザートーチ、カッター×2 |
EMS-05「アッグ」は『機動戦士ガンダム』の模型企画『MSV』に登場するジオン公国軍の兵器。モビルスーツ(MS)だが戦闘能力をほぼ持たず、MSVでは大型土木工作機と表現されている。
開発はアッガイのメーカーでもあるジオニックの子会社、スウィネンが担当したとされる。
ジャブロー侵攻を目的として開発された特務モビルスーツ(MS)「アッグシリーズ」のひとつ。ジュアッグ、アッグガイ、ゾゴックと共同で作戦行動を取ることを前提に開発されており、地下の岩盤を掘り進んで地球連邦軍本部ジャブローへの侵攻ルートを切り開く用途で使われる。その後はジュアッグが砲撃支援を行い、基地に侵入したアッグガイとゾゴックが近接戦闘を行う想定だった。
他のアッグシリーズとは異なり水陸両用機ではなく、歩行が不可能なホバーユニットからなる脚部を持ち、水面や陸上を滑走して移動する。
TVアニメでジャブローが舞台となる29話周辺で登場する予定だったが実現せず、後に空前のガンプラブームを受け、「ジオン軍モビルスーツ (試作メカ)」の一つとしてキット化(いわゆる旧キット)。その後のMSV展開に組み込まれ、詳細も設定された。
元は設定集の『機動戦士ガンダム・記録全集4』の所謂「トミノメモ」で、アッガイの成立過程として描かれた没デザインの一つ。富野由悠季(富野喜幸)がラフデザインを描き、大河原邦男がクリーンアップをしているが、他のアッグシリーズやMSV登場機と同様、デザイン成立の過程で当時のモデラーの意見も取り入れられているものと思われる。
特徴的な球形の胴体の左右へ、直にフレキシブル・ベロウズ・リムが生えて両腕となっているビックリドッキリメカ風の外見。両腕先には大型ドリル、腕の基部(肩)上面には回転ノコギリ状のカッター(別名ロック・グラインダー)、前面にはゾゴックに近い人眼形状のモノアイと、口吻のようなレーザートーチを持つ。背面にはノズル1基を持つ小型のバックパックを装架。
球体下の股間ブロックを介して、左右2基のホバークラフトユニットを配置。このホバーユニットは1基あたり3個のファンと2個のパワーサプライのほか、かかとにあたる後方に推進用の大型ノズルを装備する。脚部にも見えるホバーユニットだが、可動部は股間ブロックとの接続基部にしか無く、歩行脚としての機能は持たない。
本機が「岩盤を掘り進む」と言っても、歩行機能を持たず踏ん張りながら前進することは不可能で、掘り上げた土砂も処理できないことから、シールドマシンやモグラのように地中を掘り進むことはかなり厳しいと考察されている。ただし上面カッターで、ある程度の土砂は処理出来たとも言われる。
このため、ジャブローに散在する地下洞の間の岩盤を破砕し、巨大空洞内にある連邦軍本部への侵入ルートを削孔することが任務だったと推測されている。レーザートーチはシャッターなど基地の金属施設を溶断する装備か。
本機はあくまで作業用で戦闘を目的とした機体ではないため、固定武装は搭載されておらず、戦闘力は無いに等しい。しかし一年戦争ではジャブロー地下からの侵攻プランが棚上げされた結果、本来の目的で使用される事はなく、「アッグ武装型」のように武装を施して実戦に投入された。
ただし、その巨大ドリルを用い、高い格闘戦能力を誇るゲームもある。ドリルだから仕方がない。
カラーリングは作業用然としたオレンジ・ホワイト・グレー、武装型はブルーとイエロー。
映像
他のアッグシリーズと共に『機動戦士ガンダム』第29~31話に登場する予定だったが没になってしまったことは、昭和のビルドファイターズこと漫画『プラモ狂四郎』でもネタにされている。後に漫画、ゲームなどの作品で登場する事はあったが、映像化されることは無かった。
また、ゾゴック、ジュアッグ、アッグガイら他の没メカが『機動戦士ガンダムΖΖ』、『機動戦士ガンダムUC』などで次々と映像作品への登場を果たす中、アッグただ一人はその機会に恵まれなかった。
しかし、『機動戦士SDガンダム』にてカメオ出演で映像化した他、『ガンダムビルドファイターズ』第9話にて念願の再登場を果たす。ただその役回りは、チナのベアッガイⅢの練習台(しかもほとんど動かない)というものだった。残念!
バトルオペレーション2にて
そんなアッグだが、ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』にて武装強化版が200コスト(低コスト)スタートの強襲機として実装を果たしている。
[ML装備]と称されて、頭頂部にミサイルランチャーを増設し、左腕もミサイルランチャーに換装している武装型仕様。だが、本機の最大の特徴はなんと言ってもドリルを使用した格闘攻撃にある。単純な威力の高さに加え、すべての攻撃が多段ヒットし、ギガドリルブレイクの如く敵機を粉砕する、低コスト界屈指の超火力を誇る。
SDガンダムスカッドハンマーズにて
アムロとの対決後生き残ったランバ・ラルが、「ドムです」と騙され乗り換えてしまう…のだが、このアッグは何を考えたのか特注のチューンがなされたカスタム機であり、ハッキリ言ってドムどころがゲルググより強い。ホントに無茶苦茶強い。
アッグ武装型
型式番号はEMS-05と変更なし。
『MSV』に登場。戦闘能力が皆無に近いアッグに、オプションの4連装ミサイル・ポッドを2基または3基装備した仕様。
パイロンを介して上面に角型ポッドを、両腕に大型ドリルから換装した丸形ポッドを装備可能。MSVの画稿にある、片腕のみを換装してブルーとイエローに塗装された機体が知られる。戦闘力は強化されている、と言うか持たされているが、それでも自衛にすら不十分だったとされる。
ゲーム『SDガンダム スカッドハンマーズ』では、マ・クベに騙されたランバ・ラルがドムと勘違いして本機に搭乗するという役回りで登場する。
- 微妙な役回りが災いしてか、ガンプラとしては旧キットが1/144と1/100で販売されているのみで、アッグガイと同じくHGUCでは未発売。
- ジオノグラフィ(ZEONOGRAPHY)「#3009a 量産型ズゴック[ゾゴック・アッグ]」「#3009b シャア専用ズゴック[ゾゴック・アッグ]」として、ズゴック・ゾゴックとのコンパチの完成品フィギュア製品が2006年に発売されていた。通常のアッグとアッグ武装型が再現可能で、前者#3009aは武装型とほぼ同じブルーとイエローで塗装されている。ただし、コンパチフィギュアとしてカトキハジメの手で若干のアレンジ・ディテールアップされている。参考
- 1/300スケールで統一された精巧なカプセルフィギュア「S.O.G.(STRATEGY OF GUNDAM) Extra.II」に、「EMS-05 アッグ」がラインアップされている。
- アッグを生産した「スウィネン社」は、90年代に創作されたネットの非公式ファン設定が『機動戦士ガンダム公式設定集 アナハイム・ジャーナル』から公式に取り入れられたもの。
- しばしばファンの間では「これはモビルスーツなのか?」との疑問を持たれる機体で、MSVの書籍でも「同機がいちおうモビルスーツに分類されているのは運用上の問題からで、実体は大型土木工作機でしかなかった。」と書かれてしまった。諸元もはっきりせず、連邦軍のボールのように反応炉すら搭載されていない懸念もある。ただし派生機のアゾックがメガ粒子砲をドライブ出来るため、他の水陸両用機と同程度の出力は持つようである。
- ヅダと同系列のEMSナンバーに本機の特異な形状は、資源衛星の採掘作業機に由来するという説を取る資料もある。