機体データ
型式番号 | MSM-08 |
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所属 | ジオン公国軍→スタンパ・ハロイのMSコレクション(ZZ)、ジオン残党軍(UC) |
生産形態 | 試作機 |
頭頂高 | 18.2m |
本体重量 | 77.4t |
全備重量 | 107.3t |
出力 | 1,688kW |
推力 | 97,400kg |
固定武装 | アーム・パンチ、頭部ブーメラン・カッター×10、腹部ブーメラン・カッター |
概要
MSM-08「ゾゴック」は、MSVに登場するジオン公国軍の水陸両用モビルスーツ(MS)。厳密にはMSVが初出ではなく、他のアッグシリーズと共にMSV展開の先駆けとなった『フィルム未登場メカ・シリーズ』の一つで、後にMSVに組み入れられた。あまりにも特徴的な外見からマニアックな人気を誇る。
当初はアニメ機動戦士ガンダムに登場する予定だった没デザインのひとつ。後に機動戦士ガンダムΖΖおよび機動戦士ガンダムUCに登場しているほか、ゲームや漫画作品でも活躍している。
機体説明
一年戦争時に地球連邦軍総司令部ジャブローを攻略すべく、アッグシリーズとの連携運用を想定して開発された。水陸両用機としては異例の高い陸戦性能を示したズゴックをベースに、より陸戦を重視して再設計されている。
胸部(頭部?)に巨大なモノアイおよび人の眼形状のモノアイスリットが配された特徴的なデザインで、アッグシリーズに共通する独特なセンサー部を持つ。四肢はズゴックに類似した形状だが、手首は太い下腕部に収納されているのか、伸縮式のフレキシブル・ベロウズ・リム(直訳すると「柔軟な蛇腹状の四肢」)で構成されており、最大20メートル程度まで伸縮できたとされる。上腕部および大腿部は原典のMSVおよびZZでは、縦にパネルラインのある一体化した筒型に見えるが、UC版ではズゴックに類似したフレキシブル・ベロウズ・リムで構成されている。
アッグシリーズでは、アッグがジャブローへの侵入路を削孔し、ジュアッグの砲撃支援を受け、アッグガイと共に近接戦闘を行うことを想定されていた。この中ではゾゴックは近接格闘性能が特に重視された設計で、頭部にブーメランカッターと腹部にワイドカッター、伸縮式のロッドアームによるアームパンチを装備しており、一般的な射撃兵器は持たなかった。
このような独特な武装を装備する理由は、特務MSであるが故に隠密性を重視して、発火・発光する兵器の装備を避けたためとの説もある。このため陸戦用としても水中戦用としても中途半端な機体になったが、そもそもアッグシリーズの全機において、水中航行能力は補助的、あるいは持たない割り切った設計となっていた。
このMSから得られたデータを元にガッシャの開発が進められたとされる。
カラーリングはよく知られた赤・白・黒の三色で塗り分けられたもののほか、ジャブロー攻略戦機とも呼ばれるMSV展開で画稿が描かれた、量産型ズゴックに類似する青~緑系統のカラーがある。他にはZEONOGRAPHYでほぼ量産型ズゴックと同様の配色で立体化されている(下記参照)。
武装
アーム・パンチ
スクエアカットされた拳(当初の設定では、スクエアカットされているのは指先)を腕部の伸縮機構も使って敵機に高速で打ち付け、MSの装甲を貫通する威力があった。指は4本のものと5本のものが存在し、MSV時の旧設定準拠では5本、UC版では4本。
しかし、クロータイプのズゴックやアッガイなどと比べると水の抵抗による破壊力の低減などが問題になるため、水中での使用は困難であった。通常のマニピュレーターとしての使用も可能で、UC登場機は下記の手持ち武装を使っていた。
ブーメラン・カッター/ワイド・カッター
頭頂部に10基がマウントされた斬撃用の武器。頭部から直接射出するほか、頑丈なマニピュレーターで保持して格闘武器や投擲武器として使用できた。一説にはガンダリウム合金装甲を貫通する威力を持つとされ、MSV設定では唯一の射撃武器となる。
腹部の設定にはゆらぎが多く、頭頂部と同じブーメラン・カッター、あるいはブーメラン・カッターを小型化したワイド・カッターが装備されているなどとされる。
バリエーション
ユニコーンVer./残党軍仕様
『機動戦士ガンダムUC』に登場、名前はHGUCのキットから。
概ね原典のMSV版を踏襲した形状だが、カトキハジメの手で怪獣的なスタイルがマッシブでカッコ良くリファインされた。原典との差異は、排熱機能を重視して腹部のワイド・カッターはダクトに換装されていること、手指が4本になっていること、グフ系のヒート・ソードを把持し、腰後部に設けられたマウントを介してシュツルムファウストを2基装備していることが挙げられる。これらの変更は戦後、地球上のジオン残党軍の手によって改修されたものとされる。
また、上腕部と大腿部は明瞭にフレキシブル・ベロウズ・リムで描かれており、差し色がオリジナルのイエローからライトグレーに変更されている。
pixivのイラストを見るとこちらのデザインの方が一般的になっており、ヒート・ソードやシュツルムファウストを装備した姿で描かれることも多い。
突撃用改造ゾゴック
漫画『機動戦士ガンダムアグレッサー』に登場。作中内での名称は「作戦用ゾゴック」。
頭部と肩部に装甲を追加して突撃用の前面耐久力を強化し、左腕はズゴックのものに換装されている。こちらも右手指は4本で、グフ系のヒート・ソードを携行装備している。
本機はジャブロー攻略戦にて基地侵入後、機体の核融合炉を意図的にオーバーヒートさせて自爆し、基地へ致命的一撃を与えることが目標となっている。
上半身のみズゴックと同色の青に塗られている。ちなみに、設定されているけど曖昧だった腹部のワイド・カッターを披露している。
活躍
機動戦士ガンダムΖΖでは
スタンパ・ハロイのコレクションの一機として屋敷にディスプレイされており、スタンパの搭乗したアッグガイと共に出撃するが、Ζガンダムに手も足も出ないまま行動不能にされた。恐らく他のスタンパ・ハロイ所有機と同様に全天周囲モニターのコクピットに換装され、機体そのものがレプリカ品とも言われる。
機動戦士ガンダムUCでは
ヨンム・カークス率いるジオン残党部隊としてトリントン湾岸基地襲撃に参加。
迎撃に当たったジムⅡを味方機との連携でヒートソードで串刺しにして仕留め、返す刀でもう一機のジムⅡをシュツルムファウストを直撃させて連続撃破するなどの活躍を見せたが、後半でバイアラン・カスタムに味方のカプールを盾にされ、片腕を破壊されて苦戦していたところに駆けつけたゼー・ズールに装備していたヒートソードを渡して後退した。
アニメではその後の描写はされていないが、外伝漫画「『袖付き』の機付長は詩詠う」ではトリントン基地からの撤退に成功し、カークス隊基地へ合流したことが描かれた。基地を襲う海賊たちとの戦闘でも出撃し、片手を換装してマラサイのビームライフルを発砲したり、ヒートソードでハイゴッグを撃破するなど主戦力として活躍。友軍と共に基地からの脱出を果たしている。
最後までパイロットの容姿および名前は不明。
ゲームでは
ゲーム「戦場の絆」では格闘カテゴリーで登場。
より陸戦を重視して開発されたという設定を反映してか水中でも機動性は上がらないが、戦功ポイントを溜めると射撃武装を一切廃しアームパンチのみで戦うという、正面きっての攻撃や撃ち合いの乱戦には不利になってしまいながらも連邦のガンダム・ピクシー以上に漢のロマン溢れる機体へと変貌させることができる。
同じくゲーム「Gジェネレーション」シリーズでは、ジオン水泳部の一員として水陸両用モビルスーツにカテゴライズされている。
しかし原作の再現なのか肝心の水中の地形適性が低く「水中戦も一応は可能」程度に留まるため、陸戦用機体と割り切って運用するのが無難である。
「機動戦士ガンダムUC」に登場したジオン残党軍仕様の機体は性能が一回り強化されており、原作通りヒートソード(ゲームでは「ヒート・サーベル」名義)とシュツルムファウストを装備している。
とりわけシュツルムファウストが高威力で、凡庸な性能の原型機に比べて火力が上がって使いやすくなっているものの、水中の地形適性の低さは相変わらずなので、引き続き純陸戦用の機体として運用したいところ。
立体化
ガンプラでは旧キットの1/144および1/100スケールとHGUC(ユニコーンVer.)の1/144スケールで販売された。HGUC版はヒートソード、シュツルムファウストが付属し、UC版解釈である4本指とダクト化した腹部形状を持つ。
後にプレミアムバンダイにて、HGUC版のカラバリキットとしてジャブロー攻略戦仕様が発売された。
また、2006年に完成品フィギュアが「ジオノグラフィ(ZEONOGRAPHY) #3009a 量産型ズゴック[ゾゴック・アッグ]」同「#3009b シャア専用ズゴック」として、ズゴック・アッグとコンパチの商品が発売されている。前者の#3009aはコンパチ仕様のためか、量産型ズゴックに類似したオリジナルカラーとなっている。公式