解説
ジオン公国軍MSが装備する、使い捨てタイプの対MS用ロケットランチャー。
シュツルムファウストとはドイツ語で疾風(sturm)+拳(faust)を意味する言葉で、形状や武器としての特性は第二次世界大戦の頃の旧ドイツ軍の対戦車兵器「パンツァーファウスト」をモデルとしている。
弾頭が大型のため大抵のMSを一発で撃墜可能であり、ルウム戦役ではシャア専用初期量産型ザクがマゼラン級戦艦を撃沈する威力を見せている。ただし、自動追尾機能を持たないため命中率は低く、MSのような機動力の高い目標へ命中させるにはかなりの技量が求められる。
だが、構造がシンプルな分、低コストで大量に生産できるため、配備は全軍に行き渡り、戦後もジオン残党の多くが使用している。
初登場は劇場版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」。
本作ではギラ・ドーガがシールド内に搭載するロケットランチャーとして登場した。誤解されがちだがシュツルムファウストの初出は本作であり、一年戦争時代から運用され続けていたという設定は後付けである。
続くOVA「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」ではケンプファーの武装として登場。スカーレット隊のジム・コマンドを2機同時に葬り去った。他にもリック・ドムⅡが使用しているシーンがあり、設定上はザクⅡ改も装備可能だったらしい。
その後の作品でも「機動戦士ガンダム MS IGLOO」「機動戦士ガンダム0083 スターダストメモリー」や「機動戦士ガンダムUC」で、ヅダやザクF2型、ドム・トローペン、ギラ・ズールなどが運用。果ては携行武装を持たない前提で設計されたゾゴックまでもが携行しており、ジムⅡを撃破している。
なおシュツルムファウストは、本家パンツァーファウストとは異なり(モビルスーツが)片手で扱うことができるサイズである。
手に持って使用するだけでなく、ケンプファーでは両脚のラッチに装着した状態から発射するなど半固定のランチャーのように使用されることも多い。ギラ・ドーガのものもシールドから直接発射が可能である。
またパンツァーファウストがクルップ式無反動砲(発射方向と反対のガス圧で反動を抑える)であるのに対し、こちらはロケット(弾体自体が推進力を持つ)ランチャーであり、どちらかというとRPG-7に近い。
ギラ・ドーガが使うタイプは同じパンツァーファウストでもパンツァーファウスト3をモデルとしており、RPG-7などと同じ弾頭の露出したバズーカのような形状をしている。更に改良型であるギラ・ズールのものは弾体後部に四枚の安定板、発射機にグリップサイトが追加され、命中率向上が図られている。
連邦軍のモビルスーツでは、ゼク・ツヴァイも同様の兵器を使うことがあるが、ジオン軍での呼称を嫌って「クラブ(棍棒)」という呼び方をする。
余談
- ギラドーガの旧キット及び一部書籍では「スツルム・ファウスト」と表記されていたが、現在は「シュツルム・ファウスト」で統一されている。
- 別の世界観コズミック・イラである機動戦士ガンダムSEEDシリーズでは、デストロイガンダムに搭載されている手の形をしたビーム砲が「シュトゥルムファウスト」という名称で登場する。詳細はそちらを参照。