『直せるの?』『もちろん!』『ガンダムやっつけられる?』『楽勝!』
機体データ
型式番号 | MS-06FZ |
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所属 | ジオン公国軍首都防衛大隊、突撃機動軍第7師団、同サイクロプス隊(バーナード・ワイズマン機、編入前に放棄した機体を独断で修復・運用)、同マルコシアス隊G小隊(リベリオ・リンケ機)、旧ジオン公国軍残党 |
製 | ジオン公国軍グラナダ工廠 |
生産形態 | 量産機 |
頭頂高 | 17.5m |
本体重量 | 56.2t |
ジェネレーター出力 | 976kW |
推力 | 79,500kg |
センサー有効半径 | 3,200m |
装甲材質 | チタン合金セラミック複合材 |
武装 | MMP-80マシンガン(197mmグレネードランチャー装着可能)、ヒートホーク、ハンドグレネード3発、ザクバズーカ |
機体解説
型式番号MS-06FZ、正式名称は『ザクⅡ最終生産型』。型式番号末尾のアルファベットから『ザクⅡFZ型』と呼称されることもある。
ジオン公国突撃機動軍のマ・クベ中佐(当時)が提唱し、一年戦争末期に発動した『統合整備計画』に基づいて開発されたザクⅡ。
一年戦争開戦を経て得られた、あらゆる実戦データを元に改修が施されている。
各部装甲は一新され、頭部モノアイレールは両端の支柱を撤去、胸部はF2型以上に直線的な形状に変化しており、その重厚さは後のザクⅢを彷彿とさせる。
頭部は通常タイプや指揮官機用のブレードアンテナ装備タイプの他に、近代ドイツ軍のヘルメットを模したフリッツヘルム、あるいはBタイプと呼ばれる頭部が存在しており、首都防衛大隊には加えてブレードアンテナを装備した機体も確認されている。
サイドスカートは左がMMP-80マシンガンのマガジンケース、右がハンドグレネード専用マウントラッチとなっており、これらの武装はデフォルトで携行することが想定されている模様。(リベリオ機は左右共にマガジンケースとなっている)
スラスター出力はF型の70%増し(数値が判明している一年戦争のザク系列機の中では最高値)となり、短時間ではあるが重力下でのホバー走行が可能となった。
ただし、搭載する推進剤の量は変わらない為、稼働時間は半分程に減少している。
この改修によって、ビーム兵器こそ使用できないが、本機のカタログスペックはゲルググに迫る程にまでパワーアップ、実戦においてもドムやジム・コマンドに匹敵すると言われた(これは計画の推進によって、ジオン側の工業規格を連邦側に合わせることが可能になったためで、劇中でも本機の修理時にジムタイプのジャンクパーツが流用されている)。それでいて、素人でも扱えるF型譲りの素直な操作性もそのまま受け継いでいる。
これだけ大規模な改良が施されたにもかかわらず、自重はF型と全く変わっていない。これは、装甲材質をジム同様にチタン・セラミック複合材へ変更した事で重量軽減が果たされたためである。
計画が提唱された0079年2月時点で設計プランは存在していたようだが、ジオニック社より出向してきたザクの開発者の一人であり高機動型ザクⅡ開発を推進しているエリオット・レム少佐との対立、戦局の膠着と共に立案される新型機の開発、大手兵器メーカーの確執等、ジオン国内の内紛や戦局に振り回された結果、機体の完成はゲルググの量産が開始される戦争末期までずれ込んでしまった。そのため前線に配備された機体は少なく、首都防衛大隊や戦後のジオン残党軍等で少数が確認される程度にしか量産されなかった。
戦局に影響を与えるだけの性能を持ちながら、効果的に運用されなかった機体ではあるが、劇中で11歳の少年に過ぎないアルフレッド・イズルハと共同で墜落機を稼働状態まで修理しバーナード・ワイズマン伍長が搭乗した機体が、相討ちという形ながらガンダムタイプを撃破した事は周知の事実であり、本機もまた遅すぎた名機だったことを証明しているが、いずれにせよガンダムを倒したザクとして、その人気が衰える事は決して無い。
ザクなのに主人公機!?
物語がジオン軍を主役、フィーチャーしている、バーナード・ワイズマンがもう一人の主人公の立ち位置な事から、世間一般的に本機を「機動戦士ガンダム0080ポケットの中の戦争」の主人公機、アレックス(ガンダムNT-1)をヒロイン機として見る傾向が強い。これらの事からOVA作品とはいえ、映像作品のガンダムシリーズで初めて主役を務めたザクでもある。(オールスターゲームのガンダムVSガンダムシリーズでもアレックスを差し置いて他の主人公機達と共に肩を並べている)
武装
MMP-80マシンガン
統合整備計画において開発された射撃兵装。
120mm口径だったザクマシンガンと比べて口径は90mmと縮小しているが、対モビルスーツ戦を意識しており、速射性が向上している。
また、銃身下部にはオプションとしてグレネードランチャーを装備可能。
ヒートホーク
ザクの代表的装備である手斧。
本機も引き続き装備しており、ガンダムNT-1を相討ちながら撃破する決定打となった。
ハンドグレネード
右サイドスカートに3発装備された手榴弾。
使用時には柄が伸長しポテトマッシャーのような形状の投擲形態になるが劇中では披露せず、敷設型のトラップとして利用された。
ザクバズーカ
ザクⅡの標準兵装の一つである280mmロケットランチャー。
トリントン基地を襲撃したジオン残党が使用。
関連動画
立体物
1/144スケールにはOVA展開当時のもの(旧キット)とHGUCが存在する。
旧キットでは付属品と武装にBタイプの頭部とMMP-80マシンガン、ハンドグレネードが付属する。
関節部にポリキャップを使用しているものの可動範囲は旧キットの域を出ないが、他の機動戦士ガンダム0080のキット同様成型色による色分けはこの時点で極めて優秀。
初期生産分の説明書には「お便り待ってま~す」と言い両手にハガキを掲げるリアル頭身のザクⅡ改が描かれていた。
HGUCでは旧キットの付属品に加えヒートホークが追加されている。旧キットで1発ずつ別パーツだったハンドグレネードは3発一体成型となっている。
スライド引き出し式の股関節と開いた左手パーツで再起動した直後に上体を起こしてアルを掌に乗せる印象的なポーズが再現できるが、右のハンドパーツが銃持ち手しか無い、劇中に比べかなり細身になっているなどの弱点もある。
プレミアムバンダイ限定で発売されたユニコーンVer.は劇中に合わせ成型色が濃くなっており、高機動型ザクⅡのランナーを流用したザクバズーカが付属している。そのため余剰パーツでザクマシンガンや2本目のヒートホークも組める。
左の銃持ち手や右の穴あき握り手なども余剰パーツとして付属しており、規格が合わず少々の加工が必要ではあるものの、ザクⅡ改本体側の手の甲のパーツを移植することで通常版のハンドパーツのレパートリーの少なさをある程度改善できる。
2019年7月にはRE/100にて、ザクⅡ改としては初の1/100スケールでの商品が発売された。
このシリーズでは初のポリキャップレスキットであり、MMP-80マシンガンとヒートホーク、ハンドグレネードが付属し、ヒートホークとハンドグレネードは差し替えで伸縮や展開ギミックを再現。また、頭部は通常版、Bタイプに加えブレードアンテナ付きのものが初めて商品化された。
現状このシリーズでは最後の一般販売品だが、ほとんど再販されていないため現在中古品の価格はかなり高騰している。
SDガンダムフルカラーシリーズにもラインナップされていたが現在は入手困難となっている。
余談
『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』企画始動当初はジムD型、ズゴックE、リック・ドムⅡ、ゲルググJ同様に、デザイナーの出渕裕氏が時代に沿ったリファインとして描き下ろした普通のザクⅡ(要するに後の「EndlessWaltz版」のようなもの)とされていたが、OVAリリース直前に模型展開の都合でバリエーション機として設定された経緯を持つ。
そのためOVAの展開と同時期に発売されたムック『MS ERA 0001〜0080 ガンダム戦場写真集』に描かれているザクⅡは一年戦争開戦前に撮影されたものまで全てザクⅡ改の姿となっている。
このデザインについて出渕氏は後年さすがにやりすぎだったと語っている。
ちなみにスーパーロボット大戦シリーズの一部作品においては、シャア専用ザクがザクⅡ改の色変え(もしくはそれに角を付けたもの)として登場した事がある。単にザクⅡ改のグラフィックを流用したが故の産物であり、「シャア専用ザクⅡ改」として登場したわけではないのだが、企画当初の設定を踏まえると「あり得たかもしれないシャア専用ザクの姿」とも言える。