概要
愛称はバーニィ(Bernard Wiseman)
年齢は19歳。
サイド3出身。
9月の高校卒業とともに召集令状によって徴兵された。
入営したバーニィは資質を認められ、MSパイロットの養成を行う航空学校のモビルスーツ科に航空学生として入学。
切迫する戦時下のため養成期間はひどく短く、訓練部隊での錬成を終え、グラナダ基地を拠点とする突撃機動軍第七師団隷下のMS部隊に配属される。
学徒動員兵と思われがちだが、短期間の訓練で仕上げられてしまっているだけで、一応はれっきとした正規軍人・正規パイロットである。
初戦でサイド6リボーコロニーに潜入したが、搭乗するモビルスーツMS-06FZ ザク改は被弾しコロニー内の森林公園内へ墜落してしまう。
この時にザクを追いかけてきた現地の小学生アルと知り合い、所持するカメラに収められていた映像ディスクと自分のジオン階級章を交換することで偶然得た情報から、ニュータイプ専用の新型ガンダムであるガンダムNT-1がサイド6に搬入された事実がジオン軍上層部の知るところとなる。
その後、ガンダムNT-1奪取の任務(ルビコン計画)を帯びたサイクロプス隊に、戦死したアンディの補充要員として編入され、隊長のシュタイナー以下、ミーシャ、ガルシアらと共に作戦に従事する。
与えられた任務は情報収集とは言いながら、その実は隊にまとわりつく少年アルの監視(お守り)であった。
バーニィが未熟な新兵とも知らずパイロットへの憧れに目を輝かせるアルに対し、つい見栄を張って「あと1機でエース」と嘘を吐いてしまう。
その後、アルの自宅付近で監視任務に就いていた際に隣人の女性クリスに泥棒と間違えられバットで殴り倒されるが、それをきっかけに彼女とも知り合いになり、互いに好意を抱くようになる。
アルと共に不審な民間の工場へ潜入捜査した結果、遂にガンダムNT-1の在処を発見する。
サイクロプス隊は変装して基地に潜入し奪取(破壊)工作を行うが、バーニィの不用意な一言から正体が露見し、隊は彼一人を残して全滅する。
ルビコン作戦の失敗を知ったジオン軍上層部は、クリスマスにサイド6への核攻撃を企図する。
表向きにはサイド6でバーを営むスパイ、チャーリーの勧告を聞き、自分一人でコロニーからの脱出を考える。
アルは必死に引き止めるがバーニィの決意は固く、半ば喧嘩別れのようなかたちで港へと向かった。
機の到着までバーで待っていたところ、電話で話す女性の話し声が耳に入る。
女性は浮気をされた男と話しているらしく、バーニィは自分とアルの関係に重ねる。
女性の言った「嘘を押し通す根性もないくせに」という言葉に強く胸を打たれ、死んでいったサイクロプス隊の面々への思い、「このコロニーが好きだから」とリボーコロニーに残ることを決めたチャーリー、アルやクリスを守りたい想いが湧き上がり、出航寸前で思いとどまる。
「ガンダムと戦ってみたくなった」と話し、撃墜され放置されていた自分の機体(ザク改)をアルと協力し修理(この時、ザク改を修理するバーニィとアルの姿はさながら本当の兄弟のようで微笑ましいものがある)、友軍の核攻撃を中止させるため、タイムリミット内でのガンダムNT-1破壊に単身挑む決意をする。
結局、核攻撃を企図したジオン艦隊は途上で地球連邦軍に遭遇、交戦後に投降したため、サイド6への核攻撃は回避される。
バーニィはそれを知らないままガンダムNT-1をコロニー内の森に誘い出してゲリラ戦に持ち込み、完全破壊には至らなかったが、ヒートホークでガンダムの頭部を切断して中破・戦闘不能に陥らせた。
しかし、同時に自身はNT-1のビームサーベルで機関部を直撃される。
「もう戦わなくてもいい」と駆け寄るアルの眼前でザク改は大爆発を起こし、バーニィは壮烈な戦死を遂げる。
任務の目標であったガンダムNT-1を操縦していたパイロットは、実は互いに惹かれ合ったクリスだったのだが、この事実を最後まで知らないままであった。
無駄なことであると笑えばいい、だが青年は誰よりも少年の未来を守りたかったのだ…。
バーニィのビデオレター
彼がNT-1との決戦へと向かう前に、アルに遺したビデオレターは0080屈指の名シーンとして有名。
ディスク媒体に入っているのはアルに向けたメッセージ(事実上の遺言)で、劇中ではこの部分だけが確認できる。
同時に渡したビデオの方はジオン軍による核攻撃があることを証言する内容となっており、これによって自身が敗北した際には住民の避難が行われることを期待していた。
また、アルへ向けたメッセージは「俺は多分死ぬだろうが、その事で連邦軍の兵士やガンダムのパイロットを恨んだりしないでくれ。彼等だって俺と同じで自分がやるべきだと思ったことをやってるだけなんだ。」「無理かも知れないけど、他人を恨んだり、自分の事を責めたりしないでくれ。」というものだった。
アルは後にガンダムのパイロットを知る事になるが、(形の上ではあるが)サイクロプス隊の生き残りとして最後の『命令』を守り通し、誰一人と恨むことも、責めることもしなかった。
最終的にこのビデオレターは記者の手に渡っているが、その後どのように使われたかは不明である。
「もし運良く生き延びて戦争が終わったらさ、必ずこのコロニーに帰ってくるよ。会いに来る。約束だ!」
「これでお別れだ。じゃあなアル、元気で暮らせよ。クリスによろしくな」
戦争の終わりが近づき、他のクラスメイトは無邪気に騒ぐ中一人で落ち込み、涙ぐむアルに周りのクラスメイトは事情を知らないながら慰める
「戦争が終わるからって悲しまなくてもいいじゃない、どうせまたすぐ戦争は起きるんだから」
何も知らない無邪気な励ましに対し、戦争の本当の姿を一人知るアルは、バーニィとの出会いと関わりと別れを経て「戦争は退屈な日常を変えてくれるような刺激的で楽しい出来事ではない、絶対に起きてはならない悲しいものである」と子供ながら一回り精神的成長を遂げるのであった…。
最期
上述のとおりラストではNT-1にコックピットごとサーベルで貫かれて戦死するのだが、その死に様はミンチより酷いものだったらしい。
なお、小説版では最後に奇跡的に病院で意識を取り戻した、と生存する内容に変更されている(これは著者の強い意向により、苦悩の末あえてこうしたと後書きでは綴られている)。
バーニィの嘘
潜入作戦中に正体が露見したのは、バーニィのジオン訛りを問われた際に「シドニー生まれのシドニー育ちで、故郷は今頃雪景色だろうな」と嘘をつき、オーストラリア訛りだとごまかしたことによる。
しかし南半球のオーストラリアにあるシドニーは日本を含む北半球とは季節が逆で、劇中の12月は真夏にあたる。地球の四季に疎いコロニー生まれのバーニィが、平静を装うべくついつい余計な一言を言ってしまったために起きた過ちである(「シドニー生まれのシドニー育ち」でやめておけば特に不自然ではなかった)。
ただ、後に展開された『機動戦士ガンダム0083』において「コロニー落としは連邦軍の本拠地であるジャブローを狙ったが、妨害で軌道がずれてシドニーに落下、街は消滅しシドニー湾となった」と設定されたため、このバーニィの発言は二重の意味で間違ったものになってしまった。
バーニィを問い詰める連邦兵の「オーストラリアは、今は夏だぞ!」という発言も、そもそもシドニーが消滅していたら出てこないニュアンスであり、『0080』展開当時はコロニー落としが地球のどこにどういった被害をもたらしたか明確に決まっていなかったが故の矛盾である。
無理矢理に解釈するなら、「コロニー落としによって故郷が消滅してしまい心を病んだ青年が現実を受け入れられず妄言を口走った(という演技をした)」が、連邦兵もそれに乗っかった上で嘘を看破したと考えられなくもないが、後付設定が過去作品の描写と矛盾してしまうのはよくあることなのであまり気にしないでおこう。(その場合むしろ慌てず「そんなわけないじゃないか!」と笑いながら言えていれば逆に色々と事情を察し見逃してくれたかもしれないが)
ちなみに嘘を言う時に目を逸らす癖があり、隊長のシュタイナーが瀕死の重傷を負った際に「ガンダムは破壊した」と嘘をつくが、一瞬で看破されてしまっている。
「バーニィ…嘘が…下手だな…」
この「癖」は前述のビデオレターでは意図的に入れられており、これを意識して見返すとバーニィの「本音」が見えてくる形となっている。(嘘を言う瞬間必ず目が明後日の方を向くようになっており、嘘を言う前に大袈裟に体勢を変えるなど視線が逸れるのを本人もなんとか誤魔化そうとしている様子が見える)
備考
ガンダムタイプのモビルスーツ(量産機である陸戦型ガンダムを除く)を、「量産型」モビルスーツで撃破または戦闘不能にさせた数少ない人物である。
劇中では未熟さを露呈する場面も多いが、一応正規の養成がされた最後期のパイロットであったため特務隊の任務も最低限こなす事ができた。
リボーコロニー内で小破稼動不能となったザク改を同コロニー内で破損・投棄されたジム・コマンド等から部品を調達し、完調状態に修復し自ら計画した作戦を決行するなど、一定の整備手腕を見せている。
ゲリラ戦を仕掛け、ガンダムの行動を封じ込めた戦術からも顕著と言える。
学徒兵とされる場合もあるが、それはゲーム等での設定や、ゲルググ量産型のパイロットの多くが学徒兵であったとする設定との混同であろう。
『機動戦士ガンダム ギレンの野望シリーズ』では、初期状態では頼りない能力値であるが、高いパラメータの伸び率を持っているため、育成すれば優秀なエースパイロットとしての活躍が期待できる、いわば大器晩成型のキャラとなっている。
『SDガンダム GGENERATION ギャザービートシリーズ』では、必ずと言っていいほどクリスに説得される、もしくはクリスに助けられてクリスと共に連邦軍に味方するというストーリーになっているが、DSではプレイヤーが序盤はジオン陣営ということもあり、逆にバーニィがクリスを説得するような流れで二人ともア・バオア・クーから離脱し、後に揃ってエゥーゴに加入することになる。
クロスドライブではメモリアルセッションというおまけ要素でポケットの中の戦争がダイジェストで展開されるのだが、大きく結末が変わっておりNT-1の破壊に成功した上でバーニィが必ず生還するレアアースとなっている。
ザクヲタク
ウィンキーソフト製作のスーパーロボット大戦ではザク好きという設定が付与されており、原作がマイナーであることも手伝ってバーニィ=ザクという図式が成り立っている。もちろん、OVA中でそんな設定はどこにもない。
ただし、「EX」でギラ・ドーガの入手に喜び、「ザクはあくまで趣味であり、より良い機体があるのならそちらを使う」とも言っている(逆を言えば「バーニィの趣味=ザク」ともとれる)。
「第4次」ではジェガンとザク改の二択を迫られる場面があるが、性能の問題でジェガンを選ぶ事も出来るなど、少なくとも第4次までは公私混合はしていなかった(シリーズでは参入時の搭乗機は常にザクであるが)。
…で、問題なのは「F」で、この作品では公私混同なんてレベルで片づけられないくらいのザク好きになり、資金難を解決するためにザクを含めた不要な機体を廃棄する時には必死で反対し、1機だけ残したザクを綺麗に磨いていた、挙句の果てにシャア専用ザクを広大な宇宙の中から勘だけで拾ってきてしまうわけのわからなさを発揮したため、その印象が残ったプレイヤーが多かったものと思われる。後にバーニィが整備してクワトロに返却したが、クワトロにとっては既に過去の記憶、遺産であり、今は見つけた者の手に渡るべき…とシャア本人から公認で譲り受けた。この赤ザクは装甲こそ薄いものの武器は底々の威力を持ち、運動性だけならνガンダムやWガンダムゼロといったエース機と互角以上である。
Gジェネシリーズでも、バーニィをザクに乗せるとちょっとした台詞が追加されることがある。ただし、宇宙世紀外に登場するザク系統……ボルジャーノンやザクウォーリア等に乗せた場合は特殊台詞が無い模様。
ザクヲタク以外のポジションとしては、「第3次スーパーロボット大戦」ではホワイトベースの女性陣をビーチでいきなりナンパしているチャラ男として登場していた。
なお、『第4次スーパーロボット大戦』ではエピローグでクリスと結婚、私立探偵になったとされている(機動戦士SDガンダムのドラマCD「こちらマッケンジー探偵社」が元ネタと思われる。なお当のドラマCDにバーニィは出演していない)。
ちなみに、肝心のパイロットとしての能力であるが、ウィンキーソフト製作時代のいわゆる「旧シリーズ」のスパロボでは、ニュータイプパイロット偏重のゲームバランスであったことも手伝い、相方(?)のクリス共々MSパイロットとしては中の下程度の地位に長いこと甘んじていた。
長い冬の時代は「F」&「F完結編」で最高潮に達し、ゲームバランスや精神コマンドのラインナップの悪さも手伝い、完全にいらない子扱いであった(これは他のオールドタイプキャラや脇役NTキャラも同様であるが)。
しかし、バンプレスト製作に移行後のスパロボ作品では、ゲームバランスそのものが抜本的に見直された影響もあって、シリーズを重ねるごとに能力値が「使える」レベルに調整されている。
とりわけ「IMPACT」や「GC」&「XO」ではクリス共々十分に一線級と言って良い能力値にまで引き上げられており、同時に会話シーンやイベントにおける出番も多くなっているなど、ウィンキー時代に比べると扱いは非常に良くなった(W主人公の1人という役割になっている)。
特にIMPACTではボスキラーというべき能力となっており、序盤にメタスを使ったレベル上げをしてEZ-8に乗せてやれば鬼神の如き活躍を見せてくれる。
GCやXOはクワトロ・バジーナが参入時に百式以外の自分の機体も持って来てくれるので機体に恵まれない事も無い。
なお、バンプレスト製作以降の作品では「ザクヲタク」設定は鳴りを潜めているが、旧シリーズのヲタっぷりがあまりに印象的だったのか、時折それっぽい小ネタが仕込まれるのがお約束と化している(例として「ザク系MSに搭乗させて戦闘した時のみ、専用の特殊なセリフを喋る」など)。
また、第2次スーパーロボット大戦αではヒイロ・ユイ(こちらはガチのリーオーマニア)が敬意を抱いていると思われるセリフがあった。
関連タグ
ガンダム 機動戦士ガンダム0080 0080 ポケットの中の戦争
アルフレッド・イズルハ クリスチーナ・マッケンジー サイクロプス隊
ザクⅡ改 ガンダムNT-1 サンタクロース アドバルーン 爆弾
ベルナルド・モンシア…次回作の登場人物。実は名前の綴りが同じ「Bernard」。
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