概要
前作「スーパーロボット大戦F」からセーブデータを引き継げる。1999年にPSに移植された。
「第3次」「EX」から話がつながっているが「UFOロボグレンダイザー」「勇者ライディーン」は参戦作品から外れており、「第4次」にて新規参戦した作品でも外れているものがある。
逆にトップをねらえ!など完結編から参戦し、ストーリーに大きく関わる作品もある。
開発スケジュールの関係上分割しなければならなくなった為この形になったとされる。
前作未入手のνガンダム、ゴッドガンダム、エルガイムMk-Ⅱ、真ゲッターロボ等の後継主役機は本作にて参戦。
「F」が無くても収録されている「F」のクリア時のセーブデータで遊べるが、「F」で立てたフラグ関係が完結編で引き継がれる為、完結編収録のセーブデータでは立っていないフラグが存在する。結果、イベント等で出せないものがどうしても出てしまう為、遊びつくすのであれば結局は「F」からのプレイが必須となる。
いわゆる他のゲームでいえばDISC2にあたる作品であるのだが、当時の価格ではFと完結編の両方を揃えるとなると定価で合算すると約13600円もかかっていた。これはロムカートリッジであり原典である「第4次(SFC)」の定価12800円より800円高い。ちなみに「第2次」「第3次」「EX」をリメイク収録したコンプリートボックスよりも高くなる計算でもある。
こういう事もあってか、後年のゲームアーカイブスに至るまで同梱販売を頑なに行わず、それぞれ単品としてリリースしている(プロデューサーの寺田氏がゲーム雑誌のインタビューで「Fと完結編をそれぞれ買ってくれたユーザーへの最低限の礼儀として、この作品のセット販売はしない」と語っていた事も影響しているのかも知れない)。
開発担当のウィンキーソフトはこの作品ならびにコンプリートボックス以降にDSの魔装機神リメイクまでスパロボの開発から離れてしまった。
ゲームバランスについて
本作は計算式の都合上ダメージがインフレしやすく、ファンから(非常に高い回避補正を持つ)NTにあらずんば人にあらずとまで言われるほどだった。
更に確率ゲーにありがちな「〇〇%は信用できない」が本作にもばっちり当てはまるため、高い能力値補正を受けるNTや聖戦士であっても、アムロ・カミーユ・ショウといった主役級以外は「能力値が"やや劣る"」という感覚以上に信用できない。
コウ・ウラキなどガンダムシリーズのオールドタイプ、エルガイムやガンダムWのパイロットはNT能力を持たない上に素の能力も控えめで、「当てられず・避けられず・攻撃を喰らえば即死」といった事態に陥りやすい。搭乗機体や精神コマンドに有用性を見出だせなければ戦力的な採用価値は殆どなく、時には役立たずや産廃と言われる有様だった。
所謂スーパー系のパイロット達もこれと似たような境遇に置かれており、精神コマンドを使わなければ攻撃を「当てられず・避けられず」、装甲を改造しても「攻撃を喰らえば大ダメージ」。地形適応と攻撃力に恵まれた真ゲッターロボ・ガンバスター・ダンクーガといった機体に乗る者だけがボスキラーとして運用される以外、揃って2軍落ちということも珍しくない。スーパー系冬の時代であった。
…のだが、実のところこの「NTにあらずんば人にあらず」には多分に誤解が含まれている。
本作のダメージ計算式はパイロットの気力による影響が非常に大きく(攻撃力・防御力共に最大1.5倍。)、装甲と気力を上げれば被ダメージを激減させることが可能。それら2つの要素が適切に上昇していれば、大方の雑魚戦は「鉄壁」に頼る必要すらなくなる。
要するに本作の被ダメージバランスは、装甲に加えて気力が上がった状態を基準にしていると考えられるのだが、実際にプレイしてみると気力の影響が大き過ぎて、初期状態(気力100)ではダメージが膨れ上がってしまう。
そのため、「攻撃を食らう→数千ダメージ→装甲を改造してみる→数千ダメージ→避けるしかねえ→NTにあらずんば人にあらず」と考えるプレイヤーが続出した。
先述の通り、被ダメージは装甲と気力の上昇によって大きく変動するため、回避を見込めないパイロットを運用する際は意識的な気力の上昇が必要になる。
特に回避率の低さを理由に戦力外通告を受けがちなリアル系パイロット達には重要で、敵の攻撃を十分に耐えられるならそもそも攻撃を避ける必要がないため、回避の低さは大した問題ではなくなり、むしろ避けないことが「攻撃を受ける=気力が上昇する=自分の攻撃力と防御力が上がる」長所となり得る。
バリアやシールド防御も活かしやすくなるため、それらを持つ機体やパイロットは見た目以上に硬い。
また、命中率は運動性の改造や、燃費の良い武器による手数等でカバーできる場合が多い。
敵ユニットは運動性の高さに反して限界反応が低いものが非常に多く、この頃はNT等の補正は計算式に掛かるのではなくステータスに直接加算される方式のため、たとえNTであろうと限界反応が低いとすぐに回避が頭打ちになる。終盤になるとこれが特に顕著で、ヴァルシオンやバラン=シュナイル等を除けばボスクラスの敵ですらほぼ例外なくこれに引っかかるため、運動性を改造しておけば命中率の心配はほとんどなくなったりする。
もちろん、機体・パイロットには向き不向きがあり、気力を上げたところで攻撃を受け切るのが困難だったり、運動性を上げたところで満足な命中率を出せないケースもあるが、その一方で評価が大きく変わる者も多数存在する。
本作で戦力的に不遇扱いされがちなエルガイム勢・ガンダムW勢・マジンガー勢等は攻撃を耐えられれば低燃費な武器が猛威を振るうし、運動性の初期値が低いスーパー系の機体全般も強化次第で命中率を確保出来る。
彼らは気力の戦闘における影響の不透明さや、「装甲はあってないようなもの」「リアル系は避けるもの」「NT以外は攻撃が当たらない」「宇宙Bは役立たず」といった思い込みや先入観、あるいは各人のプレイスタイルによって、実態よりも過小に評価された例と言える。
手っ取り早く気力を上げるには「気合」や「激励」といったSP消費の大きい精神コマンドを用いなければならず、装甲の数値を高めるにも相応の資金や強化パーツが必要なため、大量の「耐える機体」を運用するのは難しい。
しかし、回避と最大火力以外の価値を持つ彼らの実力を見直せば、「NTにあらずんば人にあらず」とは一味違った感覚のプレイが楽しめるだろう。
ただし、この気力による攻防の強化というのは当然敵にも当てはまる。
ネームドキャラは性格が強気以上が多いため、雑魚を撃墜していくと攻撃する頃には気力150に達しているということも珍しくない。
ボスクラスは性能が非常に高いので、気力150時の攻撃力・防御力は凄まじい。
このため本作では敵の気力を下げる精神コマンド「脱力」の価値が非常に高く、使えるキャラを複数人育てておくとボス戦の難易度が大きく下がる。
今プレイするには戦闘スキップが無くてキツいとか全体的に動作が遅いとかはまた別の話。
なお、後の作品では能力値の上昇、習得精神コマンドの見直し、運動性が命中率に関わらなくなる、底力の効果が強力になる等、今作で不遇とされた面々の強さも分かりやすく改善されている。
シナリオについて
ある意味ゲームバランスより問題なのがシナリオである。
どういう事かと言うと中盤から(自軍の)スーパー系の登場人物がほとんどストーリーに絡まないどころか主人公ですら登場しない。
それも宇宙世紀ガンダムの登場人物だけで話が進んでるんじゃないかと錯覚するレベルである。
これはメインライターだった阪田雅彦氏が体調を崩したため、脚本が途中から堀川和良氏に変更となったのが影響していると言われているが、真相は定かではない。
エンディングに関しては、敵勢力との決着をつけ大団円となるグッドエンドのほか、「第4次」と同様に敵勢力との和解を果たせず終わる「全面戦争エンド」、伝説巨神イデオンのストーリーを再現してゲームオーバーとなる「イデエンド」、新世紀エヴァンゲリオンのストーリーを再現し、それまでの物語や伏線を全て放り投げて終わる「未完のシ者」が存在する。
参戦作品
★マークはシリーズ初参戦作品。
★新機動戦記ガンダムW EndlessWaltz (ユニット2種のみ)
真ゲッターロボ(原作漫画版)
伝説巨神イデオン(※)
トップをねらえ!(※)
※:前編ではカラオケモードと次作予告のみの為、実質的な初参戦は本作から。
その他
- 今は亡きケイブンシャから出された攻略本が、使えないユニット・キャラや存在感のない敵に対し容赦のないコメントでカルト的人気を誇っている。他のケイブンシャ製スパロボも結構独特なレビューがされているので、古本屋で探してみるのもいいだろう。また、同社からは本作に登場する味方ロボットの紹介ビデオが発売されており、ナレーションは神谷明が担当。他にも本作の開発現場レポートや永井豪、石川賢へのインタビューが収録されている。
関連タグ
スーパーロボット大戦F (前作)
スーパーロボット大戦コンプリートボックス (次々作)
スーパーロボット大戦α (新シリーズ)