曖昧さ回避
概要
物凄くざっくり言えば「戦争している兵士が弾丸に当たって死ぬこと」である。古い言い方であれば討死もほぼ同義。
もちろん、弾丸のみならず砲弾や爆撃、地雷による爆死や敵の銃剣やナイフ・刀などの刃物による刺殺・斬殺、搭乗していた軍用機が敵機に撃墜されての墜落死や、乗船していた艦船が敵艦に沈められての溺死、拠点壊滅で敵兵の虜囚になるのをよしとしない大将や司令の自決…なども戦死になるが、キリが無いのでここでは割愛させていただく。
一般的には軍人や軍属に適用され、民間人の死亡は原則的に含まれないが、国や地域、組織によっては民兵などに対しても戦死と認定することもある。
これまた国や地域、あるいは軍隊や組織の性質にもよるが、「勇ましく戦って死ぬ」という定義上、軍人や戦士、闘士といった者たちにとっては名誉なこととされ、二階級特進や遺族への恩給の支給など、戦死以外の死に方に比べると手厚い対応が為されることが多い。
一応「敵陣に果敢に突撃して果てる」のも「怖気づいて逃げ出す際に地雷を踏んで消し飛ぶ」のも同じ「戦死」ではあるが、仲間を庇ったり大手柄を立てた末の戦死者には勲章や褒賞が追与されるなど、「戦死に至るまでに何を為したか」などで対応が変化することもままある。
戦病死
軍事行動中に病死することは「戦病死」と呼ばれ、戦死とは区別されることが多い。
「勇ましく敵に向かい華々しく散る」イメージがある「戦死」に対し、「敵も倒せず病気で衰弱して死ぬ」イメージがつきまとう「戦病死」は不名誉とされる風潮が強い(旧日本軍などは特に)が、兵站技術や医学が発達していなかった近世以前は戦病死者が戦死者を上回ることが珍しくなかったとされる。
事実、敵味方の攻撃でインフラは破壊され、不衛生な環境は伝染病を引き起こし、治療も平時に比べると満足なものはとても行えず、戦闘によるストレスは兵士たちの神経を擦り減らし、暑い戦地は熱中症やマラリアが、寒い戦地は凍傷や低体温症が付きまとい、補給の乱れは飢餓を引き起こす…と、戦地では弾に当たって戦死するよりもはるかに戦病死のリスクが大きかったのである。
ちなみに、これは近世以前に限った話ではなく、太平洋戦争における日本兵の死者のうち、半数以上は餓死か病死(つまり戦病死)である、という説もある。
とりわけ餓死は戦争末期に各所で頻発したとされ、有名なガダルカナル島の戦いにおける日本兵の「生命判断方法」である、
「立つことの出来る人間は、寿命30日間。身体を起して座れる人間は、3週間。寝たきり起きれない人間は、1週間。寝たまま小便をするものは、3日間。もの言わなくなったものは、2日間。まばたきしなくなったものは、明日。」
…を鑑みるに、太平洋戦争における「戦死<戦病死」の説もあながち間違いとも思えない。
加えて、この場合の「戦病死」は「戦死」以上に悲惨なものであったことは、おそらく想像に難くないだろう。