概要
ジオン公国が統合整備計画に則りゴッグを再設計した水陸両用型モビルスーツ。
一年戦争においてジオン軍の水陸両用MSの先駆けとして量産化されたゴッグは重装甲を持ち、メガ粒子砲を搭載していた。
しかしジオン公国軍の地球侵攻作戦に伴い一刻も早い投入が求められており、開発に十分な時間が掛けられなかったため、完成した機体は重量過多による低い機動性やメガ粒子砲の収束率が低いなどの問題点を抱えていた。
それでも実戦においてズゴックとの共同運用が有効であることが確認されていたため、統合整備計画において再設計されることとなった。
他のMSと同じく、操縦性向上のためのコクピットの統一化、コストダウンを目的としたユニット化や武装のオプション化が行われた。
また、軽量化による運動性能の向上と新型ジェネレーターの搭載による高出力化が行われた。
これら多くの改良により継承されたのはゴッグの機体概念のみで、実際は全くの新設計と言える機体が完成した。
ズゴックEと共通のオプション装備として機体背部にジェット・パックを搭載することができる。
これは化学燃料式のロケットであり、機体自身のスラスターと併用することで一気に水中から飛び出し、離水、攻撃するといった高い強襲能力を持たせることができる。
これらと機体の小型軽量化によってゴッグに比べて総合的な戦闘能力や運動性が飛躍的に向上した。
しかしその反面、ゴッグの最大の特徴でもあった防御力は大きく低下しており、ジムのマシンガンに装甲を撃ち抜かれて撃破された例もある。
なんともないことないぜ。
水中での航行には他の水陸両用MSと同様に熱核水流ジェットを使っている。
航行時には腕を縮めて折りたたんだショルダーアーマー格納し、脚部も縮めることで抵抗を軽減させ水中航行能力も高くなっている。
またその際、モノアイスリットは下部からせり上がるシャッターで覆われる。
ジェット・パック基部にはサーチライトが設置されている。
機体がロールアウトしたのは一年戦争末期であり、生産数が限られていた。
ただし、これには異説があり、高い完成度と生産性のため、多くが量産されズゴックEと共に運用されたともいわれる。
いずれにしても本機は水陸両用MSの傑作機と言っても過言ではなく、後のネオ・ジオンによる地球侵攻の際にカプールの開発の参考となった。
武装
ビームカノン
両腕部内蔵のメガ粒子砲。エネルギーCAPの採用により連射も可能となった。
ハンド・ミサイル・ユニット
ビームカノンの砲口に装備されたミサイル。航行時の抵抗を軽減するために覆っているフェアリングは発射時に三方に展開、ミサイルの発射と同時にそれに伴う排煙圧によりパージされる。
バイス・クロー
ベース機のアイアンネイルよりも小型だが、爪の部分に関節部を設けたことでvise(万力という意味)という名の通り、物を掴む動作に特化している。
魚雷発射管
頭部に装備された武装。魚雷と銘打っているが、地上でも発射可能。
120mmマシンキャノン
腹部に内蔵された実体弾兵装。劇中未使用であり、しかもゲーム作品などでは省略されることが多い。
劇中での活躍
『機動戦士ガンダム0080』第一話で、サイクロプス隊のミハイル・カミンスキー、ガブリエル・ラミレス・ガルシア、アンディ・ストロースが搭乗。隊長のハーディ・シュタイナーが乗るズゴックEに率いられて地球連邦軍の新型MSの奪取もしくは破壊の任務遂行のため、連邦軍北極基地を攻撃する。
サイクロプス隊員の高い技量もあって守備隊のジム寒冷地仕様を翻弄するが、アンディ機が新型MSを搭載して発射秒読み段階に入ったシャトルを発見。僚機の到着を待っていては間に合わないと判断し単独で突出してしまい、ミサイルの発射態勢に入ったところを集中攻撃され、アンディも戦死した。
登場するゲーム作品
「ギレンの野望」シリーズと「ガンダム・ザ・バトルマスター」に登場。
特に「ザ・バトルマスター」では伸縮する腕部を用いたトリッキーな打撃技、肩関節を軸にして機体を縦に一回転させるMSならではの変則サマーソルトキック、脚部裏のバーニアを吹かせて噴射炎を浴びせる蹴りなど、原作以上にスタイリッシュな動きを見せるため必見である。しかも妖艶な美女がパイロットを務めている。
ガンプラ
1/144スケールでOVA展開当時の旧キット及びHGUCで発売。
前者においては傑作が多いと評される『0080』シリーズキットの中でも「オーパーツ」と評されるレベルの完成度だった。
余談
SDガンダムOVA『夢のマロン社宇宙の旅』ではゴッグカラーのハイゴッグが登場。
『ガンダムビルドファイターズトライ』でもゴッグカラーのハイゴッグのガンプラが登場している。