概要
本作のグラフィックは2Dだが、登場する機体は「モーションパーツシステム」により体の各部分を独立して描写しており、機体の動きに伴って体の各部分が干渉し合い、ガシャガシャと動く重量感を表現している。
また、登場機体のサイズは原作の設定にほぼ基づいている。
例えばRX-78ガンダムとνガンダムでも設定通り身長差があり、中ボス的存在としてゲームに登場するビグ・ザムやサイコガンダムMK-Ⅲ、ノイエ・ジール等は、接近した状態では画面に足しか見えない事態もある(設定に絶対な訳でもなく、クィン・マンサは設定より小さい)。
また、ビグ・ザムはそのサイズ故に移動そのものが攻撃になるが、方向転換すらできない、νガンダムがフィン・ファンネルを打撃武器として使用・攻撃をする等、本作は単なるガンダムの格闘ゲームの枠を越えて、特異なゲーム性と世界観を確立している。
登場する機体はサイコガンダムMk-Ⅲを除いては、既存のガンダムシリーズから採用しているが、世界観はゲームオリジナルである。
原作では登場時期に10年以上の開きがある機体も、本作の世界観においては技術的な差は存在しない設定となっている。
また、各機体に搭乗するパイロットも本作オリジナルのキャラクターである(詳しくキャラ説明は後述)。
キャラクターデザインは重田敦司。
海外展開
日本国内では2作のみで終了した本シリーズであるが、北米では『Gundam Battle Assault』(中身は『ガンダム・ザ・バトルマスター2』)のタイトルで発売された。
この海外版は北米等では好評だった為、Gundam Battle Assaultシリーズとして独自の展開を続けており、その一部は日本にも逆輸入されている。
日本版と異なり、北米版では各MSのパイロットは、原作のキャラクターと同一人物が操縦している設定である。
バトルマスターのオリジナルMAであるサイコガンダムMk-Ⅲはヴァルダー・ファーキル(Battle Assault)、ウルベ・イシカワ(Battle Assault 2)がパイロットになっている(言うまでもないが、ヴァルダーもウルベもそれぞれの原作では実際に乗ってはいない)。
ナツメ開発・バンダイ発売である為か、日本で発売されたSFCソフト『新機動戦記ガンダムW ENDLESS DUEL』の必殺技が『Gundam Battle Assault2』におけるガンダムエピオンの必殺技に採用されている(オーラを纏った後に方向を決めて突進する突進技)。
シリーズ各作品
ガンダム・ザ・バトルマスター
プレイステーション用として1997年6月20日発売。
本作の音源はCD-DAを採用している為、サウンドトラックとしても機能する。
ガンダム・ザ・バトルマスター2
プレイステーション用として1998年3月12日発売。
Gundam Battle Assault
2000年11月6日発売のバトルマスター2の北米版(前作『バトルマスター』は海外版が存在しない為、Battle Assaultシリーズとしては第1作となる)。
パイロットがバトルマスターオリジナルキャラクターから、原作のキャラクターに変更された他、ハンマ・ハンマが削除された代わりに現地で人気が高かったウイングガンダムが追加された。
ガンダムバトルアサルト
プレイステーション2用ソフト『機動戦士ガンダム』の購入者特典として限定通販された作品。メッセージが英語のまま日本仕様のプレイステーションで動くようにローカライズされている。
Gundam Battle Assault 2
北米のみで2002年7月17日に販売された『Battle Assault』の続編(プレイステーション用)。
『機動武闘伝Gガンダム』と『新機動戦記ガンダムW』の機体が追加されている。
SIMPLEキャラクター2000シリーズ THEバトル
2002年10月10日発売。
『Battle Assault 2』を日本向けにローカライズして『機動武闘伝Gガンダム』と『新機動戦記ガンダムW』の2本に分割し、2000円の低価格ソフトとして販売した作品。
「Gガンダム」は「ガンダムW」の、「ガンダムW」は「Gガンダム」のデータをロードすれば、互いの最初に選択できる機体が使える様になるが、一方でしか出現しない機体も存在する。『Battle Assault 2』では必殺技を使う時にパイロットのカットインと(原作北米版の)声優の台詞が入るが、本作では低価格ソフト故に声優の起用はなく、それらの演出はカットされた。
Gundam Seed Battle Assault
2004年8月10日発売のゲームボーイアドバンス用ソフト。
『機動戦士ガンダムSEED』をテーマとしている。日本未発売。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY
2004年11月25日発売のゲームボーイアドバンス用ソフト。
キャラが倍近く(『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』を主に)追加して発売された。
Gundam Battle Assault 3 Featuring Gundam Seed
2004年12月7日発売のプレイステーション2用ソフト。
Gundam Seed Battle Assaultと同様に『機動戦士ガンダムSEED』をテーマとしているが、今作は3Dグラフィックとなっている。
ストーリー
世界観はオリジナルで「1」は他のガンダムシリーズには見られなかった太陽系以外の地球外惑星が舞台となっており、「2」は荒廃した地球が舞台になっている。
- ガンダム・ザ・バトルマスター
近未来、環境破壊や人口増加などにより、地球に人類が存在する余地が無くなり始めた。そこで国際共同体は新たな惑星の開拓・移民へ乗り出す事を決定、数世紀後には人類が多くの植民惑星で生きるようになり、あらゆる産業や農業も行われ、軍設備までもが建設された。だが経済が安定し始めると各惑星間に亀裂が生じ始めた。星間戦争を阻止するため、惑星間規模の行政決定権を持ったノマード議会が設立される。
ところが地球外世界は秩序だつにはまだ早かったのか、今度は各地で略奪や破壊などが多発し治安が悪化。そして人々は過去の戦争で運用された兵器・モビルスーツを自衛の為の武器として求めるようになったが、今度は高額で取引されるモビルスーツまでもが略奪対象になってしまう。
そんな問題に対してノマード議会は犯罪者に多額の懸賞金をかけてモビルスーツパイロットに討伐を任せると言う手段に出る。高額の報酬を求めて戦うモビルスーツパイロットたちは、いつしか「賞金稼ぎ」と呼ばれた。
ある日、ノマード議会軍の超感覚化ウィルスの被験者であったマリア・ニコルスが新型モビルアーマーを奪取して追撃に来た議会軍部隊を返り討ちにし、更にはならず者たちを仲間にして海賊団を結成した。
それに対してノマード議会は軍事費を割いてマリアとその部下2名、そしてその愛機である3機のモビルアーマーに莫大な賞金をかけて、軍関係者のみならず民間にも公表し、捜索と捕獲に当たらせる事にした。
それぞれの思いを胸に、賞金稼ぎ達の熾烈な戦いが始まった。
- ガンダム・ザ・バトルマスター2
A.W.376年、大量の隕石の落下により地球は壊滅した。その大災害を人々は「焔の審判」と呼んだ。
それから数年後、運び屋のグロリア・チェンバレーはある日、廃墟に落下していた宇宙船近くで謎の少年・ピクシーを拾う。宇宙船にあったメッセージで謎の女性から「連絡があるまでピクシーを保護し続ければ毎月報酬を支払う」との指示から、グロリアはピクシーの保護を決めた。
しかし、突如として政府軍はグロリアに対して賞金を懸けられ、それによって襲い来る賞金稼ぎや政府軍を相手に、グロリアは自衛用のモビルスーツで応戦に当たる。だが実はピクシーには重大な秘密が隠されており、そしてこれには「焔の審判」を引き起こしたとされる月面都市が関わっていた……。
登場キャラクター
バトルマスター1と2の人物のみ記載。
2で搭乗機体が変更された人物も居るが、条件を満たすと1の機体も使用できる。
1の登場キャラ
軍人家系に生まれ、自身も強制され軍人になった。最初は乗り気ではなかったが上官パークウェスト(レイチェルの婚約者)やロイドの影響で、次第に軍人として戦うようになっていった。ロイドを慕っていた。
軍の機体であったサイコガンダムMkⅢ強奪事件を担当していた上官パークが殉職、彼に代わってサイコガンダムMkⅢの行方を追う任をかせられる。
バトルマスター2では、軍によって指名手配されたグロリアの捕縛任務にあたっている。
元軍人で、数多くの戦争で勝利しており軍神と呼ばれる程の実力者。マリアが起こした事件で責任を感じて辞職した。パークウェストとは面識があった。
実は、バトルマスター1のラスボスでもあるマリア・ニコルスの父親であり、彼女を超感覚化ウィルスの被験者にした張本人でもある。1と2共に物語の裏に少なからず関与している模様。それ故に、娘のマリアをはじめとして何人かの他のキャラから恨まれている。
搭乗機体はΖΖガンダム(フルアーマーZZガンダム)。
軍の戦争孤児収容施設に入れられていたが、超感覚ウイルスの適性があった為にその被験体にされてしまう。
実験施設で出会った女性(=マリア・ニコルス)から実験の真実を教わり、彼女の導きで施設から逃亡した。
その後、機械工場に身を隠しつつそこで働く。
それ以降、他の孤児達を引き取って育てる為、賞金稼ぎになる。また、バトルマスター2のセリフから推察すると、MSハンターも兼ねているようである。
バトルマスター2の時点での年齢は14歳だが、その若さの割りにはかなりの情報収集能力を持ち、レジスタンスや軍の情報も彼女の前では素通り出来ないらしい。ただ、これが超感覚ウイルスによる能力の為なのかどうかは不明である。
尚、搭乗機体のZZガンダムはフルアーマー装備で固定されているらしく、作中ではアーマー部分のパージや変形ができない。 ……どころか、1ではフルアーマー装備の一切の使用ができない……って、これではアレじゃ……?。
搭乗機体は1ではνガンダム、2ではハンマ・ハンマ。
アジア系の賞金稼ぎ。戦いを生きがいとしており己が『絶対的な正義』と信じてやまない勘違い系の熱血漢。
武術の心得があり、人が住めないような極寒の地でも暑苦しく平気でいられるようである。
師匠の祖父が居るらしいが、1・2共にゲーム内で姿は疎か情報が出てこない。
後述のキャロル・ヨンファンに惚れているが、基本彼女にいいように扱われている様子。
キャロル・ヨンファン
搭乗機体はハイゴッグ。
彼女に関する詳細はこちらを参照。
搭乗機体はジ・O。
大手武器ブローカーの箱入りお嬢様。
婚約者であるパークウェスト(マーキュリーの殉職した上司)の仇を討つ為に、父親のMSを勝手に駆り出す等、お嬢様キャラにしては暴走気味な女性である。
「MSの性能だけで勝てる」と思っている様子。
1では『復讐の為に望まぬ戦場に身を置く、悲壮感に満ちる女性』だったが、2では(骨子こそ変わらないが)『戦いになるとテンションが上がるお転婆』と、性格が微妙に変わっているような印象がある(恐らく、後述のマリアとの差別化が原因かも知れない)。
尚、後述のシナプスの設定から、彼に勝利した際に専用のセリフが流れる。
搭乗機体はサザビー。
貧しいスラム街の出で、ゴキゲンな音楽を愛するMSハンター。
それなりに名が知れたハンターのようで、グロリアとも互いに知り合いである様子。
貧しい故にか報酬にうるさいが、報酬は故郷に仕送りしている……ってそんなパイロット、他にも居たような……?。
搭乗機体はGP02A。
核搭載のMSで農場の警備を行っていると、とんでもない農場経営の実業家。ガトー少佐が聞いたら間違いなくドン引きするであろう。
自身の農場の拡張しか頭になく、他人の迷惑も全く省みない農業バカ。駄目だこのオッサン……早くなんとかしないと……。
だがこんな彼でも家族を愛する心を持っており、息子がいて、後述のパトリシア・エステファンに勝利した際には「子供の為にアッガイを譲って欲しい」と申し出る。
彼のステージには背景にリーオーらしき機体も見え、他にもある程度のMSを保有している模様である。レイチェルとは知り合いであり、彼女がパークウェストと付き合っていた過去も知っている。
後のガンダム作品に、彼と似て非なる人物が登場する事態になった。
搭乗機体はジオング。
マッドサイエンティストで薬物常習者。 元々は信心深い聡明な人間だったが軍に徴用されメカニックとなるも、後にMSパイロットの適性が認められるや、半ば上の命令で戦場に駆り出される内に、いつしか殺戮を求めるようになってしまった。
更に戦場で敵対勢力と交戦を重ねる内に、殺戮で悦に浸るサディストと化す、後述のグロリアとの敗北後はマゾヒストにも片足を突っ込むと、劇中でもトップクラスの危険人物。
グロリアを気に入ったのか、彼女に敗れた後も執念深くモニター越しに見つめる等の行動を取っている。嫌だ何このストーカー……。
他の部署が作ったシナプスを嫌っている。
本名はアンドル・パークウェスト。マーキュリーの上官でありレイチェルの婚約者でもあった。
搭乗機体はクィン・マンサ。
軍の3課が密かに開発を進める戦闘マシーン=サイボーグの思考ユニットで、マリアの駆るサイコガンダムMK-Ⅲに倒されて殉職したパークウェストの脳が使用されている。
但し、ユニットへの組み込む際に、自分が人間のパークウェストであった過去や、家族や恋人等の個人的な記憶は無論、自分がマリアとの戦闘によって死亡した事実まで、あらゆる記憶が表層下に押し込められてしまっている為に、現在の状態では人間であった頃の記憶を取り戻すのは、状況的に考えても非常に難しい。
シミュレーションテストを終了後、現在は実戦テストに励んでいる。
バトルマスター1にてクリア後、マリアの力でパークウェストの記憶を取り戻すと、軍の研究施設を破壊した後、婚約者のレイチェルを求めて軍を逃亡した。
尚、バトルマスター1ではファンネルを使用しないが、2では逆にファンネルを使用できるようになった。
中ボス的キャラ。搭乗機体はビグ・ザム。
破壊と殺戮を繰り返すならず者の大男だったが、マリアに負けて手下になった。
1では典型的な荒くれ者だが、2では時折り幼稚な物言いをする場面も。
バトルマスター1のみに登場する中ボス的キャラ。搭乗機体はノイエ・ジール。
元はある地方の悪徳領主。自己中心的な性格で領民を苦しめていたが、怒った領民の反乱により地位を失った。そこでマリアと出会って配下になった。元悪徳領主故にスミスから嫌われている。
キャラクターが変わっているせいか、1と2ではBGMが違う。
ロイド・ニコルスの娘。父により超感覚化ウィルスの実験台にされるも脱走し、パーク率いる追撃部隊を返り討ちにした。そしてガルスとシュタインを率いて議会軍に反旗を翻す。
自分を実験台にした父を恨んでいる。バトルマスター1ではラスボスを務め、続編の2にもラスボスの前座として登場した。
また、GジェネやTHEバトルなど、他のガンダムゲームでも本作の代表として登場したことがあり、シリーズの顔といえる人物でもある。
搭乗機体はサイコガンダムMK-Ⅲ(THEバトルにも登場)。
後に『SDガンダム GGENERATION』シリーズにも参戦している(このGジェネにおいてマリアの声を担当したのは井上喜久子さんである)。
2の登場人物
グロリア・チェンバレー
バトルマスター2の主人公。
彼女に関する詳細はこちらを参照。
バトルマスター2のみ登場。
見た目は大人しそうな少年であるが、実は後述のシメオンのクローンであり、バトルマスター2のラスボスである。
尚、搭乗機体はハイドラガンダム。
バトルマスター2のみに登場。搭乗機体はアッガイ。
れっきとした男性にもかかわらず、自身の名前がパトリック……の女性系であるパトリシアになっている実状に、本人は強烈なコンプレックスにしており、他者には『パット』と呼ぶように強制している。
外見は筋肉質でダンディーな雰囲気をかもし出そうとしているが、背の高さが子供のピクシーと同じのオッサンである。紛らわしい。
レジスタンス狩りの組織を形成しているらしいが、格納庫のMSが全てアッガイと、アッガイ愛に満ちた漢。
酒と女が好きで、一部女性キャラに勝利した際には、軽く口説くような態度も垣間見える。
搭乗機体はキュベレイ。
グロリアの所属するレジスタンスのリーダー。
スキンヘッドにバイザーを付けている女性……だが、その外見から初見ではまず分からないと思われる。
実は月面側と内通している。
バトルマスター2のみに登場する中ボス的キャラ。搭乗機体はノイエ・ジール。
焔の審判を引き起こした張本人である科学者。自らのクローンとしてピクシーを生み出した。