機体データ
型式番号 | MSA-003 / MSK-003 |
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所属 | |
開発 | アナハイム・エレクトロニクス |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 19.5m |
頭頂高 | 18.5m |
本体重量 | 36.2t |
全備重量 | 55.6t |
出力 | 1,620kW |
推力 | 72,800kg |
センサー有効半径 | 10,020m |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
固定武装 |
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携行武装 |
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機体解説
アナハイム・エレクトロニクス社(以下、AE社)が開発したエゥーゴの量産型モビルスーツ(MS)。型式番号はMSA-003。
旧式化が著しいジムⅡ、高性能だが生産性に難があるリック・ディアスに代わる主力機として開発されており、設計と開発はAE社月面アンマン工場が手掛けた。ジム系の発展型である一方、リック・ディアスや百式と同じくジオン公国系の技術も導入されていたと言われており、連邦系と公国系との技術的融合がなされた第2世代MSである。
各部構造
特筆すべき点として、ムーバブルフレームやガンダリウム合金製装甲など、当時のトレンドとなる技術を多数採用していることが挙げられるが、これは廉価で手堅い技術が用いられるケースが多い連邦系量産機としては異例のことである。これにより、ネモは従来のジム系MSを上回る機体剛性を確保しつつ大幅な軽量化を果たしている。更に、連邦系の構造を導入した百式で培われたノウハウ(部材の応用係数や構造疲労等の練り込み)をフィードバックしたムーバブルフレームはエネルギー消費の効率を更に推し進め、コストを抑えながらも性能は向上しており、高い運動性を本機にもたらした。
装甲としてガンダリウム合金が採用されているが、その種類に関して最初期の機体がガンダリウムβ、それ以降生産された機体はガンダリウムγを使用しているという資料もある(同時期にAE社で開発されたマラサイにも似たような記載がある)。
また、ジム系MSの開発経験がなかったAE社は、本機の開発に際して複数の後期型ジム系MSの設計を参考にしており、最終的に高性能機であるジム・スナイパーⅡの機体構成を踏襲することで、大出力バック・パックや脛部のベクタード・スラスターによる高い機動性と、新兵にも容易に動かせるマイルドな操縦性を両立させることに成功している(オリジナルのジム・スナイパーⅡ開発スタッフが、ネモのバーニア類及び射撃管制システムの発注を受け持ったという説がある)。
分けて配置されたスラスターや12基にも及ぶ姿勢制御バーニアと言った推進器のパーツ構成は宇宙空間での高機動戦闘を本領とするものだが、投入時の戦況から地球降下作戦での運用を見越して脚部フレームに柔軟性や耐衝撃性の高い構造を採用したことが奏功して、重力下における戦闘にもスムーズに対応できた。しかも、大きな改修無しで熱帯(ジャブロー)から寒冷地(キリマンジャロ)に至るまであらゆる環境で難なく行動できる汎用性の高さも持ち合わせており、追加装備を受け入れる十分な拡張性もあるなど、機体の基本性能は非常に優秀である。
前述の通り極めて優秀な操縦性である為、連邦軍からエゥーゴに参加したジム系に慣れ親しんだ正規軍出身のパイロット達には扱い易いと好評で機種転換も容易に進んだという一方、元ジオン軍出身者にも扱い易いと評価され乗り手を選ばない機体となっている(但し、アビオニクスにジオン色が色濃く残っているため、連邦軍規格のMSしか操縦したことがないパイロットにとっては若干癖が強く、それを嫌ってジムⅡに機体を戻す者も僅かながらいたという)。
それでいながら、ロザミア・バダムが搭乗した際にはカミーユのΖガンダムやクワトロ・バジーナの百式等のハイエンド機にも劣らない機動性能を引き出しており、秘めたポテンシャルは非常に高い(それが行えたのが、敵パイロットであり尚且つ強化人間であるロザミアだったというのは皮肉な話ではあるが……)。
だが、装甲と機動性を重視した代償として武装に十分なコストを割けなくなり、装備の殆どを流用品に頼ることになってしまった。特に、主兵装であるビーム・ライフルに火力が課題であった筈のジムⅡと同型のものを採用せざるを得なくなった結果、他陣営の量産機に比べて攻撃力に劣ることは否めなかった(但し、ネモ自体は高い装備互換性を持っており、Ζ計画を含めたAE社規格の武装や連邦軍規格の武装のみならず、ジオン系の装備をも殆どを装備することが可能である。つまり、あくまでエゥーゴの厳しい財政事情に基づくコストリソースに問題があっただけで、機体の火力的ポテンシャルが低いわけではない)。また、ガンダリウム合金製装甲は堅牢ではあったが希少材質であり、消耗必至の量産機としてはコストパフォーマンスが悪かった。
AE社とエゥーゴは協議の上でカラバへの供給を決定し、MSK-003として陸戦仕様の本機の増産に踏み切り、大量調達によるコストの引き下げを狙ったものの根本的な解決には至らず、しかもその後のバリエーション開発に行き詰まりを見せてしまう。結局、それらの問題点が災いする形でグリプス戦役後は生産ラインを閉じられる悲運に見舞われる。さらに、エゥーゴやカラバのメンバーの殆どが地球連邦に吸収された際には、残存していたほぼ全機が接収されたものの、性能向上の改修や直接的な後継機にはあまり恵まれないままジムⅢやジェガンが配備されて相対的に旧式化していった。
それでも、その良好な操作性や空間機動性能は高く評価され、一線を退いた後も首都ダカール等一部の基地で運用された他、コロニー警備用機や訓練機として末永く活躍したと言われている。実際、配備先ではベテランパイロット達が高い技量で新鋭機との差を埋め合わせつつ使用したことが示されており、現場における信頼は非常に大きかったことが窺える。また、反連邦組織による運用とはいえ、U.C.0110年代にも稼働が確認されているのは、その信頼性の一つの証左とも言えるかもしれない。
ネモの設計の優秀さと、運用により蓄積されたジム系量産機に関するノウハウは、AE社にとって大きな財産となった。後にAE社が生産する傑作量産機・ジェガンの高い汎用性の下で機動力に重点を置く機体構成は、ネモの影響を色濃く受けている。また、ネモのジェネレータは安価かつ安定度が高かったことから、ヌーベルジムⅢの後期生産型に流用された他、ジェガンにもその改良型が用いられている。
決して目立つ機体ではないものの、ネモをしてグリプス戦役期における最もバランスのとれたMSとする評価は至極正当なものであり、技術的な側面に限れば、ネモは第2世代MSとして新世代量産機のリファレンスを創り上げたといっても過言ではない。
機体カラー
機体色はグリーン+濃紺、カメラアイはマルーンとジム系には珍しい配色であるが、これはエゥーゴのシンボルカラーが緑であったことに由来する。U.C.0087年のカラーバリエーションとしては、アーガマに配備されリック・ディアスと同じ赤系統に塗装された機体が存在する。さらに、エゥーゴを追撃するブラン・ブルターク少佐がガルダ級輸送艦スードリを制圧した際に一緒に鹵獲したと思われる機体が確認されており、連邦軍のジム系正規カラーである赤と白に塗り直されて運用されている。また、逆にネモのカラーリングで運用されたジムⅡの存在も確認されているが、エゥーゴ部隊内での統一を図ったものか、あるいは機体数の水増しを狙ったカモフラージュかは不明。
運用
本来はマラサイとの連携を想定しており、マラサイを主力機とした上でネモは高機動性を活かして拠点迎撃や最前線での露払いなどを行う強襲型のサポート機となる予定だったが、マラサイがガンダムMk-Ⅱ強奪に絡んだ政治的取引でティターンズに供給されてしまったため、ネモはエゥーゴにおける主力機として本来マラサイが担う筈だった役割を果たすことになる。本来の用途から若干外れた運用ではあったが、その優れた機体性能は用兵のズレをものともせず、マラサイの穴を十二分に埋め合わせた。
さらに、ジオン系技術も使用されている利点を活かし、本機のパーツの一部を用いてゲルググをレストアするエピソードも語られている。この機体は偽装の為にゲルググに見せれば良いとされ、出来上がった機体はジュピトリスのメカニック曰く「玩具」と評される不完全な完成度であった。この原因は、ムーバブルフレーム導入前のゲルググをレストアする際に、ムーバブルフレームを採用したネモを使ったためだろう。もっとも、エゥーゴ側の目論見通りにメカニックの目を誤魔化せているため、「偽装」は非常によく出来ている。
しかし、その後の戦闘でエネルギーを使い果たす寸前にもかかわらずヤザン・ゲーブルのハンブラビをタックルで撃退するなどの活躍を見せた。
なお、この描写からかネモはジオン系であると考察するファンもおり、マスターグレードキットの説明書においても公国系の技術をベースとし、その技術系譜による機体であるとも記載されている。
武装
ビーム・ライフル
型式番号BR-S-85-C2
ボウワ社が開発した連邦軍制式採用のビーム・ライフル。出力1.9MW。
フォアグリップを標準装備するショートレンジタイプのビームライフルで、最大で24連射のバースト射撃が可能となっている。本機と並行してビームスプレーガンの生産ラインを転用する形で、デラーズ紛争後に大量生産された。本機以外のジム系モビルスーツやジムⅡ及びガンキャノン重装型等も使用している。
エネルギーの供給が本体供給式(内蔵E-CAP式と同一)から変更されていないため、継戦能力の短さというウィークポイントを抱えているものの、リチャージ時間が短く速射性と連射力に優れている。小型で取り回しが良く、構造の徹底したユニット化によってメンテナンス性が高くローコストというメリットもあり、大量生産されていることからパーツの調達も容易である。
ネモが使用する場合は、本体のエネルギーサプライドライバーに改良が加えられたことでこの装備の運用性能はジムⅡより向上しており、実戦ではそれなりにパイロットの支持を得ていたという。
型式番号XBR-87-D
ガンダムMk-Ⅱに採用されたビームライフル。Eパック方式を採用しており、またそのEパックにライフル自体の駆動動力供給機能を持たせた独特な仕様で、ライフル本体のスイッチコンソールでの出力の切り替え機能が初めて採用されたビームライフルでもある。ただし本ライフルに採用されている変更機能はあくまで、「粒子使用量の変更による出力調整」であり、ヴェスバーの様に射出されるビームの性質が変わる物ではない。弾数はパック1つに付き通常出力2.6MWで7発、最大出力6.07MWで3発撃てる。
取り回しを重視したやや小ぶりなサイズのビームライフルでもあり、フォアグリップや照準補佐用のセンサーも小型な物が採用されている。
漫画『機動戦士ガンダムF90FF』にてエゥーゴ残党の「エグム」所属機が使用。
ビーム・サーベル
出力0.4MW。リア・スカートに2基を装備。
エゥーゴ用モビルスーツの標準白兵戦用装備であり、同型のものをリック・ディアスや百式も装備している。
こちらもジム・スナイパーⅡを参考にした配置かと思われるが、柄は横向きに装備されている。
頭部バルカン砲
連邦系MS共通の60mm炸裂弾を使用する牽制・防禦射撃用の機関砲。
専用シールド
本機唯一の専用武装。ガンダムMk-Ⅱやガンダム試作1号機の様に近接戦時の取り回しを考慮した伸縮機構が採用されている。対ビームコーティングが施されている他、上部の突起は打突武器『シールドアキュート』としても使用でき、裏面には装備類を増設可能なマウントラッチが配されている。
なお、初期の機体には配備が間に合わなかったのか、ジムⅡのシールドを装備した機体も確認されている。
クレイ・バズーカ
型式番号AE/ZIM.C-BAZ-531。
旧ジオン公国の大手兵器企業ツィマッド社が、アナハイム社へ吸収合併されて誕生した企業AE/ZIM社によって開発された口径300mmのMS用ロケットランチャー。ダブルカラム弾倉を採用しており、装弾数は8発(マガジン7発+1発)。元々は敵機の鹵獲等を目的とした粘着榴弾などの特殊弾頭を運用する為に開発された装備で、名称も粘着榴弾着弾時の様子が粘土を叩きつけたように見えた事が由来となっている。戦時での通常弾種は「HEAT弾」であると一部資料で解説されている。エゥーゴ所属のモビルスーツで多く使われたが、第一次ネオ・ジオン抗争後はハイパー・バズーカが改良されて再び採用されたため、連邦軍の新型機には引き継がれる事は無かった。
劇中でリック・ディアスカラーの機体が使用した他、カードゲーム『ガンダムウォー』でノーマルカラーの機体が装備した姿が描かれている。
ハイパー・バズーカ
連邦軍ご用達でお馴染みのブラッシュ社で開発された連邦軍制式採用の大型ロケットランチャー。一年戦争後に開発されたカートリッジ式マガジンを採用したモデルのため継戦能力が向上しており、通常弾と散弾の撃ち分けが可能。マガジンの交換は操縦桿での操作とは別にパイロットによる音声入力にも対応しているような描写が存在する。
ゲーム『バトルオペレーション2』ではこちらが使用可能となっている。
ジム・ライフル
型式番号HWF GR・MR82-90mm。
ホリフィールド・ファクトリー・ウェポンズ社製のMS用実弾火器で装弾数は30発。
連邦政府首都のダカールの守備に当たっていた機体が使用した装備で、ジム・カスタムやジム・クゥエルの主兵装として有名。ちなみに本機が使用しているものは市街地やコロニー等での使用を考慮して排莢機構が廃止されたケースレスタイプのもので、主にジム・クゥエルが装備していた。
90mmブルパップマシンガン
型式番号HWF GMG・MG79-90mm。
こちらもホリフィールド・ファクトリー・ウェポンズ社製で、ジム・ライフルは本兵装のバリエーションに当たる。
オーストラリア・トリントン基地配備の機体が使用したが、開発時期が一年戦争末期の兵装ということもあって敵機にはまったく通用しておらず、装備した機体はジオン軍残党の猛攻により大破している。
170mmキャノン
陸戦型ガンダムが装備していた180mmキャノンの後継となる長距離支援砲(ヤシマ重工製かどうかは不明)。
シールド用コネクターと逆手持ちのグリップ部分の二点で保持する独自の形式で運用される。砲弾の口径が縮小された分取り回しが良くなり、射程や威力もむしろ向上した。
なお、劇中ではマガジンを狙撃されて誘爆・撃破されている。
劇中での活躍
『機動戦士Ζガンダム』における初登場は第10話「再会」で、カミーユ・ビダンが月面アンマンでの出撃の際に見掛けて言及している。その後、宇宙世紀0087年5月のエゥーゴによるジャブロー基地攻略作戦以降、既に旧式化していたジムⅡと入れ替わる形で戦線に投入されていき、エゥーゴにおける主力機として活躍。同作戦においては、ガンキャノン重装型に撃破されるもパイロットは脱出するなど、本機体のサバイバビリティの高さを示すシーンもある。ちなみに、同作戦で残存した機体はエゥーゴの拠点等の機密データを消去した上でエゥーゴの地上での支援組織・カラバに譲渡されており、そちらでも主力として使用されている。
ジム系量産機の例に漏れない味方のやられ役としての印象が強く『Ζ』劇中で派手な戦果を挙げる描写は殆どなかったものの、エゥーゴが数的不利を強いられる中で同軍のワークホースとして戦線を支え、可変機が跋扈する過酷なグリプス戦役を最後まで戦い抜き、エゥーゴの勝利に多大に貢献した。
毒ガス作戦のエピソードではカツの搭乗する機体がG3ガスのボンベを破壊、追い詰められていたΖガンダムの危機を救う活躍を見せたこともある。
主なパイロットはカツ・コバヤシ、ファ・ユイリィ、ロザミア・バダム(ロザミィ)。
その後、宇宙世紀0096年には首都ダカール守備隊の機体としてジェガンと同系統のライトグリーン+ダークブルーに塗装された機体や、砂漠地のオーストラリア・トリントン基地にてかつてのジム改と同じサンドカラーの塗装が施された機体が確認されている。その際、従来の武装のみならずジム・ライフルやブルパップマシンガン、170mmキャノン砲など数多くの武装を使用し、その汎用性の高さを窺わせる描写がなされている。また、ダカールでは守備隊所属機が左腕を失いながらもカプールを撃破するなどの奮戦を見せている。しかし、機動力を活かせない防御戦闘に投入されて蜂の巣にされたり、ジュアッグにサーベルを弾き返され腹部に打撃を喰らって撃破されるなど、従来の「やられ役」としての本分も確りと描写されている。
宇宙世紀0116年には、エゥーゴ残党『エグム』が運用している機体が確認されている。
関連動画
バリエーション
ネモ・カノン
型式番号MSA-003(ネモの装備換装機体であるため型式番号に変化はない)。
雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』に登場。
頭部カメラアイ保護用のフェイスカバーの装着により、フェイス・エクステリアがデュアルアイを模したものとなる。実際にカメラアイが新規設計されたわけではないが、ネモ系では珍しいガンダムタイプの頭部を備えた機体である。
従来のバックパックは取り外され、ガンダムTR-1[ヘイズル]が使用した「シールドブースター」を参考にエゥーゴが独自開発した「ロング・シールドブースター」と、これを最大2基装備可能な新型バックパックを装備する。
ロング・シールドブースターは、単なるロケットブースターとしての機能だけが付与された[ヘイズル]のシールドブースターとは違い、それ自体にメガ粒子砲と稼働用ジェネレーターを内蔵し、MS側のジェネレーターに依存することなく射撃できる。
この装備はバックパックの他、両腕部にも2基装備され、最大4基を装備可能。フル装備時の本機はガンダムTR-1[アドバンスド・ヘイズル]にも似た姿となり、宇宙世紀0086年当時の量産機の中では屈指の加速性能を発揮する。
武装は従来のジムⅡと共用のBR-S-85系ビーム・ライフルを装備するが、ロング・シールドブースターに備えられたメガ粒子砲の存在もあって火力も強化されている。
なお、ロング・シールドブースターはエゥーゴの全てのMSと同じ規格で設計されているため、リック・ディアスにも装備することが出来る。ただし同装備はコストが高く、さらに製造開始がグリプス戦役終盤であったことから極少数しか製造されていない。
主にマキシム・グナー等が搭乗し、グリプスⅡ攻防戦に於いて運用された。なお、グナー機やゾラ隊所属機は黒を基調として赤を要所に用いた塗装となっており、一般機とカラーリングが異なる。
ネモ・ディフェンサー
型式番号MSA-003+FXA-05D。
雑誌企画『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』に登場。
ガンダム[ケストレル]の随伴機として、ケストレルの機動力に追随するべくネモにGディフェンサーを装備した機体。
ネモ本体はGディフェンサー装備の為にガンダムMk-Ⅱと同型のバックパックを装備する。このバックパックの換装は「ジムⅢ計画」に関連してネモの後継機の量産化をAE社が目論んでいるためであり、後々に地球連邦軍と特許問題が発生するのではないかとの推測もされている。もっとも、そのネモが連邦軍に接収されてうやむやになってしまったりする。
Gディフェンサーはコクピット部分が早期警戒ユニットに換装されている特殊モデルで、最初からドッキングされた状態で運用される。また、頭部はセンサー保護用の防弾板を備え、早期警戒ユニットとの連動を想定した専用の物に換装されている。
パイロットはダニカ・マクガイア。
ネモ改(Ζ-MSV版)
『Ζ-MSV』において百式改と共にラフ画で描かれたのが初出。
ネモの発展型で、ビームガンとビームランチャーをバックパックに装備し、左肩側に砲身を配置して背部にウィングを装備している以外はノーマルのネモと同等。
また、従来のネモのビーム・ライフルよりも大型のビーム・ライフルを携行している。
ネモ改(Ζの鼓動版)
型式番号MSA-003N。
読者参加型ゲーム『機動戦士ガンダム Ζの鼓動』に登場。
前述の『Ζ-MSV』版ネモ改とは別機種。こちらはバックパックにリック・ディアスタイプのランダム・バインダーを装備しており、ジェネレーター出力が5%程向上したため、より高出力のビーム・ライフルの装備が可能となっている。
ネモⅡ
型式番号MSA-004。
当初は『Ζ-MSV』におけるネモⅢに付随する設定として文字でのみ記されていた機体であり、画稿・模型等の実像は存在しなかった。
ティターンズの新鋭機に対抗するためエゥーゴがAE社にネモの改良型を発注したが、開発が難航したため、火力支援型であるネモⅢが代替として提案された、という設定となっている。
設定上「外見はネモと変わらない」とされているが、ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威V』において、後述のネモⅢを元にした新規デザインで登場している。
ネモⅢ
型式番号MSA-004K。
『Ζ-MSV』において設定された機体。
開発が難航したネモⅡの代替として開発された機体であり、対艦・対MA戦を想定して左肩側にEパック式のビーム・キャノン(出力5.4MW)を装備している。火力・防御力共にネモを上回る性能を持つ機体ではあったが、ブレックス・フォーラの暗殺によるAE社とエゥーゴ間の疎通混乱が発生したため、1号機のロールアウトは宇宙世紀0088年1月18日(ゼダンの門にアクシズがぶつけられた日)まで遅れている。
漫画『ダブルフェイク アンダー・ザ・ガンダム』にも登場しており、宇宙世紀0090年にガンキャノン・ディテクター、バージムと共にコロニー防衛のために出撃した。
OVA『機動戦士ガンダムUC』では、トリントン基地に配備されていた機体が出撃間際に上空のザクⅠ・スナイパータイプによる狙撃を受けて撃墜されている(ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』のキャンペーン画像では、このシーンの撃墜数秒前の様子が描かれた他、本機の紹介映像では撃墜時の恨みを晴らすが如くザクⅠ・スナイパータイプをボコボコにしている)。
漫画『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』では、ネオ・ジオン戦争時地球でジュンがこの機体に搭乗、砲戦機でありながら接近戦を行いガルスKを撃破している。またアルバもジュンに襲い掛かるガルスJを撃破した。
パイロットはアルバ・メルクルディ中尉、ジュン・ビオレッタ中尉。
漫画『機動戦士ガンダムF90FF』ではサイド1のバーラトでコロニー公社の汚職に怒った元エゥーゴメンバーが暴動に使用した。
ネモ・ハイマニューバー
型式番号MSA-003HM。
ムック『GUNDAM WARS PROJECT Ζ』に登場。
機動性の向上を目指して試作された機体。宇宙空間での一撃離脱戦法に主眼を置いている。
百式のバインダーをバックパックごと装備している他、肩部および脚部のスラスターにも改修が加えられている。
また、武装として新たにショートバレル・タイプのバズーカが用意されている。
ネモ・ストライカー
型式番号不明。
漫画『ストライカー イン トリントン Ninja of the Torington Base』に登場。
パイロットはトリントン基地で新兵の教官を務めるユージ・アルカナ。
ネモにジム・ストライカーと同様のウェラブル・アーマーを装着している。武器はジム・ストライカーと同じビームスピア、ショート・シールドにクロウパーツのグラップ・シールド。
トリントン基地防衛のためイフリート・シュナイドと戦いを繰り広げた。
ネモ(PMCウィドゥメーカーズ仕様)
型式番号不明。
漫画『機動戦士ガンダム PLACE TO BE』に登場。
パイロットはPMCウィドゥメーカーズ所属のパット・アリソン大尉。
ガンダムNT-1と同じオーガスタ系チョバムアーマーに空挺用のBWS(バックウェポンシステム)を装備。またBWSには2対のビームキャノンが備わっている。
腕部にグレネード装備。ビームライフルはジムⅡのもの。
腕部は固定されずフリーなのでビームライフルの保持をしたまま自由に攻撃できる。
区都の重慶(中国)に撃ち込まれるミサイルの破壊命令を受け出撃した。作戦には2機が参加。
地上での石窟内コントロールルーム破壊作戦成功後、ミサイルに腕のグレネードで攻撃を行い破壊した。
ネモ・リメス
型式番号MSA-003R。
漫画『機動戦士ガンダム ヴァルプルギス』に登場。
パイロットは連邦軍グラナダ基地所属のレント・ナスカ大尉。
頭部は額部にトサカ状のセンサーが追加された他、ガンダムタイプの顎の突起が追加されている。
胴体とバックパックがガンダムMk-Ⅱど同系の物に変更され、プロペラントタンクが2本装備できるようになった。そのため腰にあったビーム・サーベルは廃され、バックパックに移動、ガンダムMk-Ⅱと同型のものに変更された。肩部や脚部、フロントスカートも一部デザイン変更がなされている。
武装として左右膝部に実体剣付きのビーム・ナイフをそれぞれ装備。基地内のため、ライフルとシールドが装備されていなかった(※作者ツイッター談)。
反乱を起こしたアリーゼ・マテバの乗機であるギャプランに偽装したファーブニル(アーマー形態)を止めるためレント大尉機などが起動したが、ファーブニルのほうがパワーウェイトレシオ差が段違いでレント機を除くその場にあった全機が破壊された。
次世代機用のコンペにこの機体を提出するつもりだったようだが、アリーゼ・マテバからはこの機体では無理と言われる始末だった。
バックパックの仕様から、ネモ・リメスにもGディフェンサーの装備は可能とされる。
ネモ・ベラトール
型式番号MSA-003NM
スマートフォンアプリ『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』に登場。
グリプス戦役後半、戦場の主な舞台が宇宙に移りティターンズ陣営が複数の新型MSなどを導入してきたのに際し、エゥーゴ陣営の戦力強化が検討された。
迎撃用として開発されたネモの空間戦闘能力を強化するプランが発案され、エース仕様のハイマニューバータイプ(おそらく上述のもの)に併せて開発されたのが本気である。
機動性・姿勢制御能力を強化するためにリック・ディアスのバインダーを装備、百式と同じ形の脹脛や腰部リアアーマーが装備され、足首アーマーの延長が行われている。
武装ではΖⅡと同型のメガ・ビーム・ライフルを採用することで火力強化も図られている。
機動性と火力を底上げした前衛向けの改修がされたことで、戦士を意味する 『ベラトール」の名前が与えられたとされる。
ネモSTI
型式番号RS-81-STI。
雑誌企画『TYRANT SWORD Of NEOFALIA』に登場。
『TYRANT SWORD』における独自設定では、ネモ(型式番号RS-81)は、ジムとガンキャノンを折衷したような万能機を目指してジムⅡより先に開発され、装甲・火力は中途半端で機動性も不十分な駄作機になってしまった機体とされており、問題点の解消を目指した改良型としてネモSTIが開発された。
STIは「スタンダード・インプルーブメント」の略で、単に「ネモ」とも呼ばれる。
ネモSTIへの改良を経ても問題点を解消しきることはできず、後発のジムⅡに取って代わられている。
ネモ・ソード改
型式番号RS・NF-81-STI-SES。
『TYRANT SWORD Of NEOFALIA』に登場。
AE社第13開発局「ネオファリア」が、ネモSTIの堅牢な機体構造を生かして「SEシステム」(暫定的空間粒子消失制御システム)の実験機に改造した機体。
機体名の「ソード」は、ネオファリアが提唱したSEシステムを装備する新機動兵器の総称。ただし、MSの改造機であるネモ・ソード改はソードとは扱われないとされる。
動力源として通常の熱核ジェネレータとは別にSEドライブ・ジェネレータが増設され、バックパックにはSEドライブ・スラスター2基が備えられている。SEシステム関連のユニットは緊急時には強制排除することも可能。
実験機のため基本的には非武装だが、SEドライブでの推進時に生じる力場(SEフィールド)を攻撃に転用することは技術的には不可能ではないと思われる(別のSEドライブ搭載機は同様の攻撃を行なっている)。
製作された3機のうち2機はテスト中に大破し、残る1機はネモ・ソード改プロト3に改造された。
なお、同様にSEシステムを搭載している(と思われる)MSにはディジェSE-Rがある。
ネモ・ソード改プロト3
型式番号SX・NFR-02SE-ⅲ。
『TYRANT SWORD Of NEOFALIA』に登場。
ネオファリアがネモ・ソード改をさらに改造した機体。
外観は新規開発された純粋なソードのものに一層近づいており、本来のネモの面影はほとんど残っていない。
「スレイヴ・ソード」とも呼ばれ、後の改造によって「SEウェポン・システム」の中核たるタイラント・ソード改“アグレス”からの思考制御を受け、無人で行動することもできるようになった。
グリプス戦役中にネオファリアが行った、パプテマス・シロッコ率いる「木星師団」への攻撃時に投入され、アグレスの制御下でデータ収集を担当している。
立体物
『Ζ』放送当時に発売されたのは1/144スケール(旧キット)のみ。
1/100スケールではMGが『Ζ』登場時の成型色で発売。『UC』に登場したライトグリーンのダカール防衛仕様及びサンドカラーのトリントン基地所属機はそれぞれ「ユニコーンカラー」「ユニコーンデザートカラー」としてプレミアムバンダイ限定販売され、どちらにもジム・ライフルが追加で付属するが、ランナーはジム改スタンダードカラーからの流用であるためブルパップ・マシンガンやロング・ライフルにも組む事ができる上に実質的なボーナスパーツとしてビーム・スプレーガンも付属する。また、デザートカラーが使用した170mmキャノンがRE/100ガンキャノン・ディテクターUC版にボーナスパーツとして付属している。
1/144スケールのHGUCでは、Ζ、ダカール仕様(ユニコーン)、トリントン基地仕様(ユニコーンデザートカラー)いずれも一般販売。付属武器がそれぞれビーム・ライフルのみ、ジム・ライフルのみ、ビーム・ライフルとジム・ライフル双方付属と異なる。
ガシャポンでは「SDガンダムフルカラー」シリーズにてラインナップ(※現在、入手困難)された他、「MSアンサンブル」第20弾にてディフォルメモデルとしては久々の立体化がなされた。
余談
- 「新型機が高くつくからと言って前任機の改良型に後を譲るなんて、ある訳ないだろ」と思う方もいるかもしれないが、実は現実でも似たような事例がある。