─機雷に接触しても無傷だったゴッグのパイロット、コーカ・ラサ曹長
機体データ
型式番号 | MSM-03 |
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所属 | ジオン公国軍 |
開発 | ツィマッド |
生産形態 | 量産機 |
頭頂高 | 18.3m |
本体重量 | 82.4t |
全備重量 | 159.4t |
出力 | 1,740kW |
推力 | 121,000kg |
装甲材質 | チタン・セラミック複合材 |
固定武装 | メガ粒子砲×2、アイアン・ネイル×2、魚雷発射管×2、マルチプルランチャー(フリージーヤード)、フォノンメーザー×2? |
概要
型式番号MSM-03「ゴッグ」(GOGG)は、『機動戦士ガンダム』シリーズに登場するジオン公国軍の量産型水陸両用モビルスーツ(MS)。
ツィマッド社が開発。試作機たるプロトタイプゴッグを経て、水陸両用モビルスーツとして初めて量産化された機体である。「ゴック」は誤りとされるが、当初は劇中の呼び名も公式の表記も「ゴック」だった。冒頭のセリフもよく聞くと「ゴック」と呼んでいる。
機外の水を冷却剤として用いる水冷式核融合炉を搭載したことで、ジオン公国軍の量産型MSとしては初めてメガ粒子砲を装備した機体となった。メガ粒子砲以外にも、格闘戦用の腕部アイアンネイル、頭頂部マルチプルランチャーから発射する魚雷や機雷を無力化するゲル状物質フリージーヤード、腹部に設けられた魚雷またはミサイル発射管など、様々な火器・装備を有する。腕部はフレキシブル・ベロウズ・リム(直訳すると「柔軟な蛇腹の四肢」)と呼ばれる多重関節機構を採用、伸縮機能も持つ。バックパックには2口の大型ノズルを備え、頭頂部を機首とするミサイルのような短距離ジャンプ飛行も可能。
膨大な水圧に耐えるための厚い装甲と強靭な機体構造を持ち、その頑強さは機雷が直撃してもパイロットに「なんともないぜ!」と言わせるほど。ベルファスト基地への攻撃では61式戦車を中心とする守備隊を蹂躙し、対モビルスーツ戦闘では格闘戦用のアイアンネイルの強度と相まってガンダムのハイパーハンマーを正面から受け止める活躍も見せた。
しかし、バラスト水も兼ねる大量の冷却水を積載するため地上での動きが鈍く、冷却システムの仕様上、陸上での作戦時間が限られていた。このため、上陸侵攻作戦などで多くの戦果をもたらしたものの、水陸ともに高い性能を示した第2期開発計画での水陸両用MSであるズゴックが量産されるにつれ、急速にその座を譲ることとなった。それでもその高い潜航能力と水中での作戦行動時間の長さから、海洋での通商破壊作戦で活躍したとされる。
漫画・アニメ『機動戦士ガンダム サンダーボルト』では、一年戦争時の物よりも大きく角ばった体のゴッグが登場する。
巡航形態
腕部フレキシブル・ベロウズ・リムは伸縮可能となっており、水中潜航時は縮めた腕をショルダーアーマー内に格納しアイアン・ネイルで蓋をして、頭頂部を船首とした巡航形態に変形できる。最高船速は70ノット(約130km/h)。資料によっては脚部も伸縮できるとされる。
この機構から、ゴッグはジオン系初の可変量産型MSとする与太もあったりする。
武装
メガ粒子砲
腹部中央に2門並列搭載された本機の主兵装。「キアM-23型」とされる。出力は1門あたり2.8MW、拡散ビーム砲とされることが多い。
ジオン系量産型MSでは初めて搭載または装備されたメガ粒子砲で、エネルギーCAP技術を用いないジェネレーター直結方式。ジェネレーター近傍の腹部に搭載した事で取り回しに難があり、かつ技術的にも未成熟だったためズゴックのメガ粒子砲より出力や収束率が劣っており、陸戦では遅れを取ったとされる。劇中描写から連射能力もさほど高くは無く、収束率は可変にも見える。
アイアン・ネイル
フレキシブル・ベロウズ・リムを介して取り付けられた鉤爪状の巨大マニピュレーター。これでハイパーハンマーを受け止めたシーンは有名。水中でオプション装備を携行する困難さから、巨大な鉤爪で敵機装甲を切り裂く攻撃を行う、ほぼ純粋な格闘戦用の装備になった。以後のジオン系水陸両用MSでもゼー・ズールに至るまで、同様の格闘戦武装が装備されている。地上での格闘戦や施設破壊以外に、艦船の船底を破壊して撃沈する用途もあった。
『サンダーボルト』ではガンキャノン・アクアの装甲を引き裂き、分厚い氷山を貫き、複数の水陸両用MSを一瞬で輪切りにするなど、もはやヒート系武器か何かのような切れ味を見せている。
魚雷発射管
あるいはミサイルランチャーとも。メガ粒子砲の外側に2門装備。
フリージーヤード(マルチプルランチャー)
頭頂部のマルチプル(多用途)ランチャーから発射できる弾体の一種。赤色のゲル状物質を水中に散布するカプセルで、機雷を絡め取って無効化し、ソナーによる機体の探知も妨害する。
フォノンメーザー
詳細は不明だが、側頭部に装備。水中での魚雷迎撃に用いていた光線兵器。
関連動画
バリエーション
プロトタイプゴッグ
型式番号MSM-03-1。
雑誌企画『M-MSV』に登場。
ゴッグの試作機にあたる機体。ツィマッド社内で水中実験機と競作された。
ゴッグに採用された腕部伸縮機構はこの時点では採用されておらず、腕部にハンド魚雷ポッドを装備する。
この他、バックパックや脚部などのフォルムも異なり、腹部とバックパックを繋ぐ動力ケーブルが機外に露出している。特にバックパックは正式型と比較して大きく前方へ突き出したようなユニットが特徴となる。
コロニーで製造された後、地球に移送して試験が行われた。
ハイゴッグ
型式番号MSM-03C。
アニメ『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場。
統合整備計画によって開発されたゴッグの再設計機。
詳細はハイゴッグを参照。
ジュリック
型式番号MSM-06。
雑誌企画『MSV-R』に登場。
ゴッグを元にその後継機として開発されたとも言われる水陸両用MS。
詳細はジュリックを参照。
ゴッグ(F.M.S.版)
雑誌企画『F.M.S.』に登場。
通常のゴッグ(ノーマル・ゴッグ)とハイゴッグの中間型にあたる機体。
全体的な体系や腕部の形状などがハイゴッグに近づいているほか、武装面でも新たにバルカンとロケット弾が追加されている。ジャブロー攻略戦に参加した。
テラフォーマーゴッグ
アニメ『ヤングジャンプ×ガンダム40周年スペシャルムービー』に登場。
漫画『テラフォーマーズ』とのコラボによってテラフォーマー的な外観になったゴッグ。背部に装備された羽による飛行能力を持っているが、その反面水中で活動する描写は見られない。
Gの如く複数機が量産されていたが、U-NASA特注 百式によって一掃されている。
余談
現在サッカー日本代表でGK(ゴールキーパー)を勤める川島永嗣選手には、ゴッグにまつわるエピソードが存在する。
2008年、当時川島選手が所属していたチーム川崎フロンターレは、バンダイがチームのスポンサーになっている関係から、「選手がセレクトしたガンプラを販売する」という企画を行った事がある。
その際、川島選手がチョイスしたガンプラが、ゴッグであった。
また、2010年に行われた、ガンダム関連イベントでの、ガンプラの展示でも、「川島選手セレクトのガンプラ」としてゴッグが展示されている。
更に、某サッカー専門新聞で連載されている漫画では、川島がゴッグで描かれた上、「なんともないぜ」と評される、まさにゴッグなネタが使われたこともある。
ゲーム『スーパーロボット大戦IMPACT』では、「第1話から登場し、ダム湖に囲まれた基地を包囲。自軍には水中用戦力がいないにもかかわらず、湖底からメガ粒子砲(水中適性を持つため、水中での威力減衰無し)で攻撃してくる」という衝撃的な活躍を見せた。のっけから同作の高難度を見せつける門番的存在で、初心者プレイヤーの中にはゴッグにアルトアイゼンやダンクーガ、母艦のガンドールを撃墜されたという者も少なくない筈である……。
このほか、制作にカプコンが関わっているためか、ゲーム『連邦VSジオン』『エゥーゴVSティターンズ』でのゴッグは、特殊格闘がスーパー頭突きそのものになっていた。
関連イラスト
関連項目
機動戦士ガンダム第08MS小隊外伝 TRIVIAL OPERATION
エドモンド本田:上記のスーパー頭突きの始祖。