概要
対異星人用の機動兵器開発計画「ATX計画」によってマリオン・ラドム博士によって設計開発がされた機体。
異星人の超技術(EOT)を一切用いずに「圧倒的火力をもっての一点突破」をコンセプトに、ゲシュペンストの試作3機のうち、保管されていたtypeーTを素体に徹底的な改造する事で開発された機体。
陸戦機なのに過給器が搭載されていたり、肥大化した両肩を支えるために股関節の部品が肩関節に使われていたりとその改造範囲は魔改造の領域。
敵軍の正面迎撃を押し通す為に重装甲が施されており、そんな機体を過剰とも言える戦機であるリオンに直線上なら垂直方向でさえ追いつける程の推力によって加速、運動エネルギーを高めて敵に叩きつける「自機を銃弾に見立てた突撃機」がアルトアイゼンという機体である。
だが問題なのは、最新トレンドであるEOT関連技術を「一切使用しない」上に、突撃戦闘に振り切ったコンセプト自体が逆行的で古臭いことから「ゲシュペンストMk-Ⅲ」としての正式採用は見送られた挙句、ドイツ語で「古い鉄(=クズ鉄)」を意する不名誉な名を与えられ、唯一製造された試作機は正に申し子とも呼べるキョウスケ・ナンブの搭乗機となった。
ゲシュペンスト系列であり規格は汎用系PT規格に準じている為整備性は悪くなく、recordATXでは毎度ボロボロになる物のなんとか修繕し次の戦闘にも大抵は参加するほか、新型部品の組み込みも容易く作中ではSRXにも使用された新型アクチェーターに換装するなどマイナーアップデートが行われていた。
初出はパイロットと同じくスーパーロボット大戦COMPACT2(据え置き機ではスーパーロボット大戦IMPACT)。メカニックデザインは斉藤和衛。
性能
高火力と高い装甲値、HPが特徴。
重装甲が売りであるが、機動力を強化すればそこそこ避けてくれるようになる。また、武器の射程が援護攻撃向きなので前線への切り込み役、ボス戦での援護要員として運用できる。
基本武装は全て弾薬消費か無制限なため、EN管理が必要なものはヴァイスリッターとの合体攻撃くらいである。主力となるスクエア・クレイモアは射程が短く、移動後に使えない仕様のため、援護要員として使うのもいいだろう。また、必殺技の「切り札」も射程1なうえに移動後使用が出来ないので、積極的に攻め込みたい場合はキョウスケの精神コマンド「突撃」が重要になる。
COMPACT2では装甲・HPのいずれも中途半端なのでテコ入れが必要。運動性にも手を入れてやらないと攻撃が当たらなくなる。特に敵が強く、強制出撃の多くなる第3部では強化は必須。合体攻撃が無いためENに関しては放置しても全く問題ない。強化パーツが3つ装備できるためV-UPユニットとの相性は良いが、空が飛べないため地上ではミノフスキークラフトが欲しいところ。ビームコートがあるため装甲を伸ばせば多少のビーム兵器の被弾は気にならなくなるほか、実弾武器ばかりなのでオーラバトラーなどビーム耐性のある敵に強く、第1部でのルート分岐や第3部の強制出撃で威力を発揮する。
IMPACTでは性能が改善されスーパーロボット寄りの重装甲ユニットに変貌した。武装に切り札が追加されたため、最大火力が大きく伸びている。それでも3部になると敵味方の強化についていけなくなり始めるので、やはりV-UPユニットなどによる補強が重要となる。
OGシリーズでは換装武装の装備も可能であるため、汎用性の高い射撃武器で短所を補う、移動後使用可能武器を装備させて長所を伸ばす等、活用法は多い。
OG1中盤で機体強化イベントがあり、本作のみビームコートがABフィールドに強化される。
スペック
分類:試作型パーソナルトルーパー
形式番号:PTX-003-001(COMPACT2)、PTX-003C
全長:22.2m
重量:85.4t
動力:不明
基本OS:TC-OS
開発者:マリオン・ラドム
装備
見た目はパイルバンカーだが、それとは似て非なるもの。
杭を相手に突き刺した後、装填されたカートリッジを炸裂させて相手の内部機構を衝撃によって内側から破壊する武装。
アルトの主武装であり、象徴とも言える存在。
巨大な金属の杭と六連装のリボルバー式の弾装を持つ、バンカーとリボルバーの浪漫合体武器で、威力も折り紙付き。ただ、一度に六発しか使えないことと、武装自体が重いこと更にはそのリーチの短さ故に機体速度を乗せた踏み込みで撃ち込む必要がある為、「加速距離」が必要であり、
また、超加速しながら的に点で単発で打ち込まないとならない為、命中させることが非常に難しい。
まさに博打同然、一撃必殺の武装と言える。
三連マシンキャノン
左手の装備。本機の装備では最も射程が長い。
威力こそ他に劣るものの、使いやすさは随一。主に牽制用に弾をばらまく武装。
ただ、ゲーム的にはキョウスケを乗せていると能力とかみ合わないのがネックで、本人も射撃が苦手だとぼやく武装(ただあくまで「格闘」と比較して苦手と言っているだけで、本人の射撃の技量は十分な物を持っている)。
スクエア・クレイモア
両肩ユニット前面ハッチを展開し発射する弾幕兵器。元ネタは指向性散弾地雷M18クレイモア。
チタン合金製のベアリング弾を、至近距離から一斉発射する。
離れ過ぎれば集弾率が低くなって敵にダメージを与えられず、近づき過ぎれば散弾が反跳で自分に跳ね返って来たり爆発のダメージを受けてしまう。無駄に射角が広すぎるせいで流れ弾で味方に被害を齎す危険性もあるなど癖の強すぎる武装。
ゲーム的にも威力はあるがそのままでは移動後使用が出来ない等、クセが強い。
クリティカル率が非常に高く、射程が2ある。スキルや強化パーツでクリティカル率を上昇させると、高確率でクリティカルを叩き出す。そのため熱血や魂によるダメージ上昇の乗らない援護に向いており、特にスーパー系の射程1の必殺技との相性が抜群に良い。
COMPACT2では射撃武器。OGsでは全体攻撃になったため援護には使えなくなった。
ヒートホーン
頭部のツノも武器であり、赤熱化させて突撃する。アンテナや飾りではない。伊達や酔狂でこんな頭をしているわけではない。
その見た目からカブトムシブレードと呼ばれる事も。
本来は固定武装が破損や弾切れなどにより全て使用不能となった際の使用を想定された緊急時の武器だが、何故かパイロットのキョウスケは当然のようにこの武器を接近戦に使用する。
ちなみに、アルトアイゼンのアンテナは両耳のブレードアンテナの方であるり
スプリットミサイル
中射程多弾頭ミサイル。『COMPACT2』『IMPACT』『OG』(GBA版)で装備。
アルトアイゼン背面に装備されている設定だったが、後のシリーズで設定が固まった際に、機体デザインの都合で装備されていないという設定になった武装。
必殺技・合体攻撃
『切り札』
IMPACTから追加された必殺技。作品によって攻撃の流れは様々だが、マシンキャノン、ヒートホーン、クレイモアを次々に使用し、最後はステークを全弾叩き込んで排莢を行う点は共通している。キョウスケの発言から察するに零距離まで相手に接近しないと使用できないようだ。
高い攻撃力を誇り、OGシリーズではバリア貫通能力が付与されている一方、シリーズを通して射程1なのに移動後に使用できない、空中の敵に対する適性が低い(IMPACTでは空中の敵に使用不能)、『切り札』だけあって弾数は1発だけという欠点があり、使い勝手はとても悪い。
また、IMPACTでは最初から使用できたが、OG1では中盤に武装追加が行われて使用可能になる。
ヴァイスリッターとの合体攻撃。通称「ラブラブアタック」
IMPACTではアルトアイゼン・リーゼになるまで使用できず、ヴァイスリッターがライン化すると使用不可になるなど、制約が多い。
OGシリーズではリーゼになる以前(つまりOG1の武装追加後から)から使用可能。攻撃力が高く、敵のバリアも貫通する為、ボス戦では重宝される。
OG2からはライン・ヴァイスリッターとアルトアイゼン・リーゼでも使用できる。
バリエーション
- アルトアイゼン・ペネトレイター
漫画『スーパーロボット大戦OG ディバイン・ウォーズ Record of ATX』の終盤で登場。セプタギン中枢を単騎で破壊するために急造の現地改修が施された形態。R-GUNリヴァーレ戦で破壊された脚部を大型ブースターに換装し、両手にM13ショットガンを携行。左腕に三連マシンキャノン給弾用の大型ドラムマガジン、両肩の上部と側面にクレイモアの発射口を増設(設定画では両肩斜め上部にスプリットミサイルも一発ずつ搭載)している。大推力による超加速力と追加武装による高火力を誇るが、運動性は落ちており(曲がれない、止まれない)、被弾時にクレイモアが誘爆する危険性が増しているので防御力も低下、武装も照準をつけずに乱射できるものばかりというヤケクソのような仕様である。戦闘後は元のアルトアイゼンに戻された。長年正式名称が不明だったが、寺田プロデューサーの公式Xで設定画が公開されたことにより判明した。
火力・装甲・推進力を中心に長所を伸ばした純粋な強化型。
ただし(ゲーム中の性能には反映されていないが)短所も顕著になり、機体バランスが非常に悪くなったうえパイロットへの負担も増している。
「あちら側」の世界において正式採用されたアルトアイゼン。
本来は「こちら側」の世界でもこの名称になる予定だった。
アインストに憑依された並行世界のキョウスケに操られ、異形の存在へと姿を変えた。
夜間迷彩用に青色に塗装されたアルトアイゼン。塗装が違うだけなので性能に差はない。
無限のフロンティアにもダウンサウジングされたレプリカとして登場している。こちらは並行世界のゲシュペンストMk-Ⅲが基になっている。
厳密には派生機ではないが、この機体の四肢とリボルビング・ステークが移植されている。
第2次スーパーロボット大戦OGではソウルゲインによって奪い取られた四肢が未完成だったフリッケライにリペイントを施した上でラピエサージュの部品と組み合わせて移植されている。
- アインストアイゼン
こちらも厳密には派生機ではなく、アルフィミィがアルトアイゼンを模倣した生体兵器。
ステークに撃発装置が無く単なる短剣になっているなど、見た目はともかく性能の再現度は中途半端で、アインストが人間を理解出来ていない事の象徴となってしまった。
アルトアイゼンのコンセプトを継承して開発された後続機。
余談
ゲーム中の性能から接近戦が得意だと思われがちだが、実は接近戦は不得意。
武装こそ一見接近戦向けの物が多いが、アルトアイゼンの真価は「その突進力を活かして距離を詰め、加速力を上乗せして威力を高めた実弾による攻撃」である。要は「加速」が攻撃の起点となるので、十分な加速を得られる距離が無ければその性能を発揮できない、白兵戦用ではなく突撃戦用の機体なのである。
このためソウルゲインのような距離を詰めての接近戦が得意な機体は相性が最悪。特にソウルゲインのパイロットのアクセルはアルトアイゼンの性質を熟知していたこともあり、その弱点を的確についてアルトアイゼンを撃破している(ジ・インスペクターではアシュセイヴァーに搭乗していたが、こちらでも同様にアルトアイゼンの長所を潰す形で撃破している)。