概要
垂直に立てた弁当箱のように平べったい箱型の、効果範囲が一方向かつ扇状に広がる不思議な地雷。指向性散弾地雷とも言う。
一般に連想される地雷のように地面には埋めず、足を突き刺して立てる、木に括り付けるなどの方法で、炸裂面を攻撃したい方向に向けて設置する。
只<FRONT TOWARD ENEMY(敵に向けてください。)
↑上記の文章は本当に「敵に向ける側」に書いてある。
箱の内部は手前側に薄くのばしたC4爆薬と硬い外殻、敵に向ける側に700個の鉄球が詰まっている。構造自体は単純であるため、コピー品の製造やゲリラ等が自作することも容易。
ワイヤーやリモコン等を介して信管を作動させ起爆すると、外殻に反射された爆発が前方60度ぐらいの方向にだけ鉄球を吹き飛ばし、50mほどの射程で散弾のように敵兵を殺傷する。
普通の仕掛け爆弾や対人地雷は爆心地を中心に360度全方向を攻撃してしまうので、攻撃方向を限定できるクレイモアは陣地を防御する際などに使いやすい。
とはいえ、爆風は起こるし外殻の破片などが飛んでくる危険もあるので、ベアリングの散る正面以外にも後方は半径15mほど、前方は半径100mほどが危険エリアとなる。このため複数使用する場合はある程度離して設置する必要があり、マニュアルでもきっちり指示されている。
初期のものは安全ピンを取り外した後の信管が強い衝撃で誤作動を起こす場合があり、除去作業は危険を伴っていたが、後に安全面は改良された。
埋めるタイプの地雷と違い、基本的には「置いてある」だけなので比較的発見されやすいという欠点もある。
草木でカモフラージュするなどの対策はできるが、隠密潜入してきた敵に発見されたものがこっそり逆向きにされ、設置した側が被害に遭ったという笑えない例もある。
もし忘れてしまったなら、クレイモアはお前の方を向いていると思え。 ―― 詠み人知らず
地雷なの?
「クレイモア地雷」「散弾地雷」と書かれることも多いし、ワイヤートラップなど引っかかったら自動で起爆するタイプの仕掛けと組み合わせると、うっかり通りかかった民間人などまで無差別に殺傷してしまうので対人地雷禁止条約の規制対象になる。
しかし、見張りの兵士を付けてリモコンなど手動で起爆する場合は「相手を確認した上で攻撃する」形になるため対象外となる。これで民間人を誤射したら運用していた者の過失責任を問われる事にはなるが…。
創作におけるクレイモア
基本的には事前に準備しておく陣地防御用、待ち伏せ兵器なので、敵を誘い込む使い方を熟知したプロの軍人や傭兵やトラップ使いのようなキャラクターが使用している事が多い。
しかし元コマンドーの筋肉モリモリマッチョマンは悪い奴らの施設をこれで吹き飛ばし、第三次大戦をおっぱじめた。
クレイモアにも1kgほどの爆薬が入っている為、一応爆発は引き起こせるが…たぶん破壊工作用の大型C4等などを使ったリモコン爆破と混同した演出である。
M18そのものではないが、伊達や酔狂じゃないロボは、これの巨大バージョンを両肩に内蔵していて、近距離から散弾の雨を叩き込むという攻撃が可能。
サバゲー用として、BB弾を発射するトイモデルが発売されたこともある。バネの力で飛ばすタイプや、内蔵したシリンダーにガスガン用のガスを充填して弾を放出するタイプなどがある。
類似品
- M5 MCCM
Modular Crowd Control Munition。訳すなら「規格化群衆制御弾」みたいな感じになる。
基本的な構造はクレイモアと同規格だが、散弾がゴムなど威力の低い素材になっている低致死性兵器(絶対に死にませんとは言ってない)の一種。使う側が区別するため、裏側だけ違うデザインになっている。
軍隊同士の正規戦ではなく、暴徒化した群衆を食い止めたりするためのもの。車両の横に積んでおいて対人近接防護用に使ったりもされている。
- FFV013(Fordonsmina 13)
スウェーデン製。クレイモアがひとつ2kgもないのに対して、こちらは20kg以上ある対車両用の大型散弾地雷。日本の陸上自衛隊もライセンス生産で配備している逸品。
たまに「自衛隊もクレイモア持ってる」などと言われるが、実際はこれを誤認しているパターンが多い。
日本は対人地雷禁止条約の参加国なので、これも無人トラップとしては使われず、センサーなどを組み合わせた「障害システム」を構築して敵勢力を阻止する。
一般公開される総合火力演習では「並べた風船をまとめて吹っ飛ばす」といった展示が行われていた。