機体データ
型式番号 | MS-06M / MSM-01 |
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所属 | ジオン公国軍→地球連邦軍 |
製造 | ジオニック社 |
生産形態 | 実験機 |
全高 | 18.2m |
頭頂高 | 17.5m |
本体重量 | 43.3t |
全備重量 | 60.8t |
出力 | 951kW |
ハイドロジェット総推力 | 66,000kg |
潜行可能深度 | 500m |
センサー有効半径 | 3,200m |
最高速度 | 45kt(水中) |
武装 |
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機体概要
型式番号MS-06MまたはMSM-01。
初出は『MSV』の企画が始動するより以前に刊行された書籍『劇場版 機動戦士ガンダム アニメグラフブック』で、湿地帯戦用ザク、対空砲装備型ザク、砂漠用装甲強化型ザクと共に「水中用ザク」として画稿が発表された。
「水中用ザク」という呼称も『MSV』などで引き続き使用されている他、登場媒体によっては「ザクマリン」「マリンザク」「水中型ザク」などとも呼ばれる。また、「ザク・マリナー」と呼ばれることもあるが、これは後述するRMS-192Mとの混同によるものである。
一年戦争時、ジオン軍は地球侵攻作戦の中で海洋戦力の拡充を重要視し、地球連邦軍本部ジャブローへの侵攻作戦も考慮した上で水陸両用モビルスーツの開発に着手。その結果開発された機体が本機である。
ザクⅡF型(C型とも)をベースに開発が行われたが、ランドセルの換装による水流エンジンの装備に加え、バラストタンクやハイドロジェットの増設、関節などへの防水用のシーリング、モノアイを覆うモニターシールドの追加などが行われており、更に水深400mの水圧に耐えられる設計が要求された結果、大半が新規パーツに交換されている。
しかし、気密性の高い宇宙用のF型が基礎となってはいるものの、防水のための工作が難航し、更に水中行動能力も決して高くなかった。
そのため、ジオン軍は代案として、設計段階から水中戦を想定した機体の開発に着手し、ザク・マリンタイプの実用化は見送られた。
その後、ザク・マリンタイプは水陸両用MSの水流ジェットエンジン、各種兵装のテストを行うためにMS-06Mの型式番号を与えられた上で北大西洋の潜水艦隊「シーサーペント」に2機が試験機として配備された(型式番号については、水陸両用機のナンバーがMSMに決定した段階でMSM-01のナンバーも与えられている)。
生産数は初期に生産された機体が5機、追加生産された2機のわずか7機。
水陸両用MSとしての性能は決して高くは無かったが、この機体の試験運用で得られたデータは、ゴッグなどの開発につながっている。
実験機としての任を解かれた後は全機が倉庫で眠っていたが、戦局の悪化によって水陸両用MSの数が不足してくると、胸部への180mmロケットポッドの増設による火力強化などの改修を行った上で実戦投入された。戦時中は大した戦果を上げることは無く、2~3機を残して撃破された。
著名な戦歴としては、南太平洋で活動する潜水艦隊「レッドドルフィン」に配備された2機が戦争末期の地中海上陸侵攻作戦に参加しているが、戦果についての記録は残されていない。
同じく太平洋で活動した潜水艦隊「ナーガⅢ」にも、隊長フラナガン・ブーン大尉の乗機として1機が配備されており、水陸両用機でありながらイセリナ・エッシェンバッハによるガルマ・ザビ大佐の「仇討ち」にも参加していたという。
また、「グリーンサイレン」「マンタレイ」の各潜水艦隊にも1機づつ配備されているが、これらによる試験・実戦の記録は知られていない。
戦争中盤の宇宙世紀0079年8月、第603技術試験隊が偽装貨物船「フォルケッシャー号」で行った試作水中ビーム砲「エーギル」の評価試験時にも、ギュンター・ローズマン曹長が操縦する1機がオペレーティングに用いられている。
同機は2度目の試験時に連邦軍のフィッシュアイ2機と母艦である潜水艦と交戦。これらを全滅させる戦果を挙げるが、同機も損傷によるエーギルの自壊に巻き込まれて失われている。なお、この機体がいずれの潜水艦隊の所属機だったのかは不明。
戦後、残された機体は連邦軍が接収の上でニューギニア基地などに配備し、アクア・ジムと共に運用されている。
また、沿岸や島嶼の警備、河川や海洋での復興作業における水陸両用機の必要性を認識した軍事統括局によって、同様に接収された他のザクⅡ系MSのパーツや生産ラインを流用した増産も行われ、マリン・ハイザックの開発などに繋がっている。
バリエーション・関連機体
フラナガン・ブーン機
漫画『機動戦士ガンダム フラナガン・ブーン戦記』の主役機。
地球方面軍の司令官ガルマ・ザビ大佐が潜水艦隊「ナーガⅢ」のフラナガン・ブーン大尉に供与した機体。
当初は何の変哲もないザク・マリンタイプだったが、シャアにガルマ戦死の責任を糾弾し申し込んだ決闘で返り討ちに逢った(本来指揮官用ザクに対して有利に立ち回れる海中で負ける完敗だった)後に、損傷した頭部と左腕をどこからか調達したEMS-10ヅダの物で補修している。
水中実験機
型式番号MSM-02。
『MSV』で存在が設定され、雑誌企画『M-MSV』に登場。
ツィマット社がザク・マリンタイプをベースに試作した機体。社内コンペでプロトタイプゴッグに敗れ量産されずに終わった。
詳細は水中実験機を参照。
M-1型
ガンプラ「1/144 RMS-192M ザク・マリナー」(旧キット)の説明書に文字設定のみ登場。
一般的に知られるザク・マリンタイプ(M-2型)以前に開発されたサブタイプであり、モニターシールドやシーリングなどは未実装。耐圧性能はM-2型に劣るが、水中航行速度はM-2型よりも優れる。
戦後は連邦軍に接収された機体がダカール基地に配備され、後のザク・マリナーのベース機となった。
なお、7機のザク・マリンタイプのうち何機がM-1型だったのか、あるいは別に機数がカウントされるのか否かなどは不明。
MIP社水中試験型MS
漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』に登場。
水中での低観測性を重視してMIP社が開発した「特殊戦機」とも言われる水陸両用ザク。音波吸収拡散能力と無音潜航が可能な高い静粛性を併せ持つ他、対MS用魚雷を装備している。
ズゴックの頭部を小型化し首を設けたような扁平な頭部が特徴。なお、モノアイレールはズゴックとは異なり全周囲型ではない。
「見つかりにくさ」を中心とする潜水艦的な能力は優れていると言える反面、元がザクなこともあって基本性能はザク・マリンタイプと同程度であり、他の水陸両用MSのような高い機動性・運動性は持たない。
ユーコン級「U-47」を母艦とする特殊戦部隊に配備されており、地球連邦軍に存在を知られることのないまま宇宙世紀0090年までジオン軍残党として活動を続けている。
元は「MSV-Rモデリングコンテスト」で最優秀賞を受賞した模型作例「MIP社水陸両用MS実験機」(社内コードYMS-04M)で、模型作例の段階では静粛性が高いという設定はなかった。
マリン・ハイザック
型式番号MS-06M。
アニメ『機動戦士Ζガンダム』に登場。
地球連邦軍が接収・再生産したザク・マリンタイプに近代化改修を施した機体。名称は、開発が頓挫したハイザック試作型の水陸両用型(型式番号RX-106M)の名を継承したもの。
RX-106M共々、詳細はマリン・ハイザックを参照。
ザク・マリナー
型式番号RMS-192M。
アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場。
連邦軍開発のザク・マリンタイプ(M-1型)の発展型で、潜水性能を強化するとともにザクⅡの生産ラインを転用し整備性の向上を図っている。地球に侵攻したネオ・ジオンに鹵獲されて用いられた。
詳細はザク・マリナーを参照。
ザク・ダイバー
型式番号RMS-188MDもしくはRMS-188M。
メカニックデザイン企画『ZZ-MSV』に登場。
ザク・マリナーと同様に、連邦軍がマリン・ハイザックを元に開発した水陸両用MS。耐圧ゴーグルを装備しており、深深度での活動能力を持つ。
詳細はザク・ダイバーを参照。
ガンプラ
『MSV』展開時には「水中用ザク」として、『機動戦士Zガンダム』展開時には成型色及びパッケージ変更ついでに「マリン・ハイザック」名義で1/144スケールの旧キットとして発売された。
水中用ザクは、緑系の成型色で通常の塗装パターンと「レッドドルフィン」の塗装パターン及び塗装作例が説明書に掲載されている。マリン・ハイザックでは青系の成型色及び「レッドドルフィン」のイラストのみ掲載された説明書、ティターンズエンブレムのデカールが付属している。
厳密にはプラモデルではないが、B-CLUBからは「MG MS-06J 量産型ザクⅡ Ver.2.0」に組み込むことで1/100スケールのザク・マリンタイプを再現可能なレジン製改造パーツが「水中型ザク」名義で発売されていた。
また、他のB-CLUB製レジンキットとしては、1/400エーギルにも同スケールのザク・マリンタイプが付属している。
関連項目
マリン・ハイザック 水中実験機 ザク・マリナー ザク・ダイバー