概要
日本では模型(プラモデル、ガレージキット)や車両、衣料品などに転写し、手書きの難しい企業ロゴや、統一規格の書体が使われる機体/車体ナンバー、戦車や航空機などのマーキングを再現するためのものをデカールと称する場合が多い。
英語で言う「Decal」は日本で言うシールやステッカーの意味合いも含められている。
プラモデルのデカールは模型会社が作る事が多いが、模型の改造パーツメーカーや社外デカール専門企業、ワンダーフェスティバルに代表される当日版権イベントでの販売を目的に、個人で製作するケースも存在する。
種類も様々で、ウォータースライドデカール(水スライド式転写シールまたは水転写式デカール)、ドライデカール(インスタントレタリング)、耐水デカール(水転写シール)、熱転写デカール(衣料用)、シール・ステッカータイプと様々存在する。
プラモデルの場合、前記のマーキング関係の他にも痛車等のキットに付属している物があり、2回失敗(キット付属と説明書切り取りの部品請求分)するとそれまでの作業が台無しになる=プラモ(場合によっては組み込んだ自作部品やアフターパーツ)が台無しになる等、非常にシビアな物だったりする。
自作
データ制作
制作者が自宅のプリンタで印刷なり外部発注するなりしても、元の絵となるデータを調達する必要があり、元となる絵や写真は、軍用機やAFVなどのマーキング(国籍標識や部隊章としてのマーキング自体はパブリックドメインであることが多いが、稀にであるが、伊達家の家紋などのように著作権が設定されてるものも存在する。)ならウィキメディア・コモンズや軍などの公式HP、Twitter(Xを自称するSNS)やInstagram等の公式アカウントなどから正々堂々をパクってきて、ゲームやコミック、アニメ関係のエンブレムであれば、pixivやニコニコ静画などでこれらを公開してる絵師の方々に感謝して、Adobe_IllustratorやCorelDraw、AutoCAD(有償)、Inkscape(フリーソフト)などのベクター画像編集アプチでトレスして、色ごとのレイヤー分けと高解像度化する。
印刷
ウォータースライドデカールの印刷は、一般的なインクジェットプリンタでの製作は難しく、昇華式(インクリボン式)やレーザープリンタが必要であったが、2000年頃にインクジェットプリンタによる印刷に対応したデカールシートが登場した事で、一応は製作可能となったが、白の印刷ができないこともあり、クリアのシートでは切り出した白デカールの上に貼り重ねたり、貼り付け面を白く塗っておく必要がある等、貼れる場所が白地に限定される、白いシートではデザインによっては切り出しづらく白縁が出来てしまう。
一応白インクを使用できるUVインクプリンタもあるが、業務用のものしか存在せず、導入コスト自体が非常に高価かつ、使用しない場合でもノズルの詰まりを防ぐために、短時間サイクルでインクを噴射させる必要があるなど、運用も一般的なインクジェットプリンタと違う面があるため、個人レベルでは難しいってか無理。
なお、執筆者は過去にキ〇コー〇に、デカール用紙持ち込みで、UVインクプリンタでの印刷を依頼しようとしたことが在るが、東海地方の店舗に電話口で問い合わせた際には口頭でOKと言われたが、半年ほど日を置いてIA回答の問い合わせ窓口で問い合わせたところ、デカール用紙は対応不能として断られている。(2023年前半の話)
一方で、昇華式プリンタは、金銀等のメタリックや白等の特色インクを使えるが、解像度の面でグラデーション表現やインクリボンの多重印刷で表現できる色以外のカラーの印刷には弱い上、ホビーユースで使える価格の昇華式プリンタを販売していたアルプス電気(現:アルプスアルパイン)がコンシューマ向けプリンタから撤退(プリクラや産業機器組み込み向けでは、まだ製造されているとか。)、サプライ品も公式ルートでは販売中止になってしまい、今から導入するとしても、ある程度安定して入手できるものは、何かの拍子に出てくる個人/販売店が死蔵してた個体や(MDプリンタ固有の問題でジャンク品となっていることが多い)中古品ベースの象のロケットによる再生品やしか存在せず、Windows8以降主流となった64ビットOS対応ドライバーやサプライ品自体、このグループからしか入手できないため、現在では一種のロストテクノロジー化してしまっている。
ほか、インクジェットで制作する場合、染料インクを使用する機種では、水溶性インクの特性からインクが水分に弱く、顔料式は特性的に水分に強い物うえに、専用機化すれば紫外線反応塗料が使えるようだが、両方式に共通して、保護層が無い為、溶剤には弱く、特に研ぎ出しを行うカーモデルのように分厚いクリア層を作る必要がある場合や強めの溶剤を用いた塗料を使う場合、表面にデカール保護剤を塗るか砂吹き(半乾きの塗料を吹き付けて下地を侵さないようにする方法)でクリアを重ねる等の工夫が必要となる。
なお、ドライデカールはコンシューマ向け(家庭用)インクジェットプリンタでの製作は不可能で、水転写式/ドライデカールをデータ持ち込みで印刷してくれる業者では、溶剤式インクジェットや箔押し、シルクスクリーン印刷等で、少数からの製作を請け負っているところもあるが、こちらも方式によっては溶剤に弱く、クリアで印刷が溶けたり箔の接着剤が溶けて皴になったりといった事が起きる為、使用の際の注意点を確認しておく必要があるほか、一般的なカラーコピーなどに比べて、印刷単価が非常に高い。(ハイキューパーツの水転写式デカールトライアルコースの場合、A4一枚で約1万円)
また、近年では、レーザープリンタやトナー式コピー機、アイロンを使用した、簡易ホットスタンピング(箔押し印刷)と言う物も存在し、すでに自作箔押しデカールを制作した人物も存在している。
使用(対象への貼り付け)
このセクションの文章は、貼り付け対象物はある程度制作が進んでおり、デカールの調達(キット付属/サードパーティー製/自作)は終わっているものと言う前提で記載している。
参考用資料(咀嚼中)
基礎
艶アリ