ジュリック
じゅりっく
型式番号MSM-06。
雑誌企画『MSV-R』に登場。
ジオン公国軍が一年戦争中に開発した水陸両用モビルスーツ(MS)の最終機とされる機体。
元はツィマット社が水陸両用MSの二次採用を狙いゴッグの後継機として開発していた試作プランだったが、同時期に開発されたズゴックやアッガイの良好な性能ゆえに計画は中断されていた。
その後、一年戦争後半になって改めて試作が承認され、宇宙世紀0079年11月に1号機と2号機がロールアウトした。なお、5機の発注が記録されていることから3号機から5号機も製造されたという説も唱えられているが、実機は確認されていない。
また、開発中断時には基本設計段階だったとも、既に1機の試作機が完成しており、海洋探査開発機器評価会「ETEDO」で行われた模擬戦でプロトタイプアッガイに敗れたことが開発中断に影響しているともされる。
設計はゴッグを基本としつつ、ズゴックやアッガイといった同時期の他社製水陸両用MSの長所を盛り込む形で進められた。
見かけに反して性能は決して低くなく、冷却システムの性能向上によって陸上稼働時間が大幅に増加。腕部にはフレキシブル・ベロウズ・リムを参考にした伸縮機構を備え、陸上での俊敏さを確保している。
また、機体自体もゴッグ譲りの頑強さを備える他、上半身の内部機構にはアッガイと同様にザクⅡとの互換性があり、コスト低減が図られている。
熱核反応炉自体にも改良が加えられ、格闘戦時などに発揮可能なパワーが向上するとともに、ゴッグのものの収束率を向上させたメガ粒子砲を腹部に8門、腕部に2門の計10門装備することが可能になった。ただし、10門すべてを同時に斉射することはできない。
その他の武装として、頭頂部にゴッグと同様のフリージーヤードを、両腕部にズゴックのものを参考にしたアイアンネイルを備えている。
なお、ETEDOに参加した試作機は武装の仕様が後の機体とは異なっており、使用可能な腹部メガ粒子砲は4門に限られ、腕部のメガ粒子砲は命中精度に優れるメガビームカノンとなっている。
また、アイアンネイルを格納することでゴッグと同様に巡航形態に変形することが可能だが、速度こそ優れるものの、水中における機動性はそこまで高くない。
ロールアウトした2機は南米大陸に移送され、仮設基地などで各種試験に従事した。うち1号機は2機のゴッグを伴って試験運用中にジム2個中隊と接触し、約1時間の戦闘の後に撃破されている。残る2号機は一年戦争を生き延び、終戦後に地球連邦軍に鹵獲されている。
なお、本機の存在を確認した連邦軍は、当初はジャブロー攻略用の特務MS(アッグシリーズ)のひとつであると誤認していたという。
尚、森林に遺棄された本機がFSSによる調査中に突如として作動、暴走するが頭部をビーム砲で破壊されて行動を停止、そしてそのコックピットは無人であり、モニターには "STILL GO IT..." のメッセージが表示されていた。何故暴走していたのかは不明である。