ジオン公国軍の水中用モビルアーマー(MA)。型式番号MAM-07。
機体データ
型式番号 | MAM-07 |
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所属 | ジオン公国軍 |
開発 | MIP |
全長 | 40.2m |
全高 | 26.1m |
本体重量 | 324.1t |
全備重量 | 739.7t |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
出力 | 11,000kW |
最大速度 | 30kt |
武装 | 7連装噴進魚雷発射管×2、対空ミサイルランチャー×2、グラブロクロー×2 |
機体説明
MIP社によって水陸両用MSと同時期に開発され、初めて実戦投入された水中用MAである。
ジオン公国軍ではコストの問題から特定の運用に限定した複数のMA開発計画が同時に進行しており、その中で本機が最も早く完成する。
開発は先行していた同じMIP社製のビグロをベースに行われ、開発着手から1ヶ月半という短期間で完成している。
推進には水陸両用MSと同様の熱核水流ジェットエンジンを6基用い、単独で地球一周するほどの航続距離を備えている。
武装は魚雷及び対空ミサイルを装備し、水中・水上の敵どちらにも攻撃可能。この対空ミサイルはブーメラン状の整流板が設置されているため、ブーメランミサイルとも呼ばれる。
また機体左右に装備されているクローアームは直接敵機や敵艦船の装甲を破壊でき、航行時には機体後方に折り畳むことにより抵抗を軽減する。量産機では機首にメガ粒子砲を搭載することが計画されていたが、量産化は実現せず計画のみにとどまっている。
サンディエゴ基地の潜水艦ドックで計3機が建造され、メキシコ湾を拠点とした大西洋上でテストが行われた。
うち1機はマッドアングラー隊に支給され、ホワイトベース隊と交戦し撃破されている。
残りは連邦軍の海上艦隊に対しての攻撃に使用され、マダガスカル沖で終戦を迎え、接収されている。
劇中での活躍
アニメ『機動戦士ガンダム』
第28話「大西洋、血に染めて」に登場。連邦軍のヒマラヤ級空母を一撃で屠り、ベルファスト基地よりジャブローに向かい飛行中のホワイトベースに水中航行で追いつき、潜航したままブーメランミサイルの猛射で追い詰めるなど、MAの力を見せつける。
水中に入ったガンダムとも戦って圧倒、クローアームで捕獲して片足をもぎ取るが、頭部にビームサーベルを突き立てられ撃破されている。
搭乗したフラナガン・ブーンがシャア・アズナブルに対し借用を懇願していたことから、元来シャアに与えられたMAと考えられる。
劇場版『機動戦士ガンダムII 哀・戦士篇』では、ミハル・ラトキエが発射したガンペリーのミサイルにより撃破された。
PS3ゲーム『機動戦士ガンダム戦記』
連邦サイドの一部のステージでグラブロが敵として出現する。ゲーム序~中盤あたりで登場するためプレイヤーが使用可能なMSの性能が低いことが多く、加えて連邦側の水中用MSが少ない(アクア・ジムのみ)ためけっこうな難敵である。
接収されたグラブロが奪還されたものなのか、一年戦争終結後に新造されたものなのかは不明。
コミカライズ版にも同じくグラブロが登場するが、主人公のユーグ・クーロが搭乗したジム・コマンドにビームサーベルを突き立てられて撃破されている。
漫画『機動戦士ガンダム サンダーボルト』
第二部にて登場。クローアームの位置が両翼部分に変更されるなど、デザインは大きくアレンジされている。武装は魚雷発射管のほか、機首の開口部に高威力の大型メガ粒子砲(アニメ版では大型プラズマ砲と表記)を内蔵。更にクローアーム内にもメガ粒子砲(こちらもアニメ版ではプラズマ砲)が搭載されている。
劇中では連邦の水中用新型ガンダムと交戦。武装を破壊し、クローアームで深海に引きずり込むなど善戦したが、大型メガ粒子砲を回避されると同時にビームサーベルを突き刺されて撃破された。
バリエーション
グラブロ試作水中ビット搭載型
型式番号MAM-07-X3。
雑誌企画『MSV-R』に登場。
グラブロのうちの1機を改修して製造された、水中におけるサイコミュ運用の試験機。最大4基の水中用ビットによるオールレンジ攻撃を行うことができる。
クローアームを全て取り外し、空いたスペースに水中用ビット搭載用のパイロンとソナードームを設置。さらに、機体後方には水中用ビット管制のために大型の複合送信システムを増設している。
搭載されたサイコミュシステムは、オールドタイプの一般兵でも運用が可能な準サイコミュに分類されるものだった。
水中用ビットは魚雷状の「スキップジャック」と呼ばれる試験型のもので、推進にはウォータージェットを使用し、4門の魚雷発射管を備えている。また、無線・有線どちらの方式でも遠隔操作が可能。
試験は一年戦争末期にマッドアングラーで約2週間に渡って行われ、その際に水中用ビットを用いて連邦軍の艦艇2隻を撃沈している。
試験の結果、性能に問題はなかったものの正式採用には至らず、試験機は通常型のグラブロへ再改修されている。なお、この機体が『機動戦士ガンダム』本編に登場したグラブロと同一機体かは不明である。
グラブロ4号機
型式番号MAM-07。
雑誌企画『F.M.S.』に登場。
通常型のグラブロ3機に続き、第2期MA開発計画の実験機として製造された機体。
機体各部の形状が改められるとともに、クローに加えて「脚」に相当する単純な可動肢が追加されており、これらの改良によって水中における格闘戦能力が向上している。
また、この「脚」を可動させることで機体の形態にある程度変化をつけることもできたようで、将来の可変MA開発に用いるための基礎データ収集の役目も担っていた。
試験は宇宙世紀0079年11月下旬にインド洋上のマッドアングラー級潜水艦「ズアイ」で行われており、その際に連邦軍のフロッグ・ボールを5機以上撃破している。
シャンブロ
型式番号AMA-X7。
『機動戦士ガンダムUC』に登場。
ジオン残党軍に所属している水陸両用の大型試作モビルアーマー。第一次ネオ・ジオン抗争のネオ・ジオンの設計案を元にジオン残党軍が6年をかけて建造し、最終的に「袖付き」の技術提供他を受けて完成させた。
機体の基本構造が、同じ水中MAであるグラブロと似通っており、どこかヴァル・ヴァロを思わせる外見から、本機もグラブロの流れを組んでいると思われる。
ゲームでの活躍
アーケード、PS2ゲーム『連邦VSジオン(エゥーゴVSティターンズ)』
グラブロを操作可能な数少ないゲーム作品の一つ。アーケードモードの敵キャラとして登場するほか、家庭用版では対戦モードで使用できる。コストは150(旧ザクと同等)。
飛行可能モビルアーマーのように水中を自在に航行できるが、地上へは出る事が出来ない完全水中用機体。そのため使用可能ステージは4つ(ジャブロー地上、ベルファスト基地、大西洋、太平洋)のみ。シアトルやホンコンシティ等の水場は浅すぎて出撃不可能。
メイン射撃は正面に連射する魚雷、サブ射撃はブーメランミサイル、格闘はクローアーム。
特にブーメランミサイルは威力、誘導性、連射性、リロード速度すべてに長けた高い性能を誇る。魚雷も使いやすくはあるが、敵を正面に捉えなければ当たらないのが難点。クローは攻撃範囲が広いものの相手を掴むことは出来ず、掬い上げるような動作で殴りつけるのみ。
アーケードモードではベルファスト基地に登場。コスト不相応な難敵で、下手に海中へ飛び込んだプレイヤーはグラブロと水陸両用MS部隊の餌食になったと言われている。対戦でもブーメランミサイルを撃ちまくっていれば強いが、陸上へ逃げ込まれると何も出来なくなるのが難点。
ガンダムバトルシリーズ
やはりグラブロを操作可能なゲーム。ジオン側のミッション「大西洋、血に染めて」をSランクでクリアすると入手できる。水中専用なので出撃可能ミッションが極めて少ないが、地形制限解除のシークレットを入手すれば、空や宇宙を飛ぶグラブロを操る事が可能になる。
第一作の頃は攻撃力不足で弱機体だったものの、続編以降は改善され使いやすくなっている。
武器はメイン射撃の水平魚雷とサブ射撃の垂直魚雷(ブーメランミサイル)、格闘のクローは両腕二振りやアッパーが使い分けられるほか、原作通りMSを掴める。SPAは高威力の回転タックル。
ギレンの野望シリーズ
ジオン系勢力で開発可能。高い耐久力や対潜・対空攻撃能力が特徴で、原作通り大西洋の門番に最適。一応地上にも攻撃できるので上陸支援にも活用できるが、拠点制圧は地上・水中共に不可能なのでズゴック等の支援は必須。第二部序盤以降は火力不足でサブフライトシステム搭乗機に圧されがちだが、盾としては相変わらず使える。
関連動画
関連項目
機動戦士ガンダム モビルアーマー アッザム ビグロ ザクレロ ヴァル・ヴァロ ブラウ・ブロ エルメス ビグ・ラング シャンブロ