機体説明
型式番号:MA-05Ad
(AdはAmmunition Depot、可搬補給廠を意味している)
本来は、後述する超弩級モビルアーマー“ラング”として完成するはずだったのだが、戦局の悪化により開発未了となり、製作途中だった胴体部分を流用し、武装及び制御ユニットとしてビグロと連結したモビルアーマーである。
また、このビグロは後期型に属する6号機が使用されており、武装や出力、クロー等が改装されている。
胴体部分は、モビルスーツ用の武装を満載した武器庫となっており、モビルスーツやモビルポッドをクレーンを用いて1機ずつ格納し、補給及び応急修理が可能。
そのため、ビグロのコクピット内には通常の操縦系統の他に補給・整備用マニピュレーターの操作系統が増設されている。
本来、その大推力をもって一撃離脱戦法で戦うビグロに、大質量のコンテナを接続したため、従来の利点だった機動性が大きく損なわれた。
そのため、オッゴの移動補給基地として前線に進出し、敵のビーム攻撃に対しては撹乱弾で防御しつつ、上部ユニットの武装で反撃する運用を想定している。
ビグ・ザムのような対ビームバリア(Iフィールド発生装置)は装備されていないが、弩級装甲ブースターを含め艦載メガ粒子砲の直撃にも耐える、耐ビーム装甲で機体が構成されている。
また、ビーム撹乱弾を装備しており本機のみならず、周辺の友軍機をビーム攻撃から守るのも可能となっている。
しかし、本来予定されていた巨大な盾を持つ駆動アームが決戦に間に合わず、装備されなかったため胴体下部に大きな死角を抱えている。
加えて、本体とコンテナ部との切り離しが出来ない欠点もある。
劇中での活躍
ア・バオア・クー攻防戦直前に603技術試験隊に配備された。
当初、搭乗予定だったモニク・キャディラック特務大尉が、弟の戦死により戦闘神経症と陥ったためヨーツンヘイム艦長のマルティン・プロホノウにより、機体の調査中だったオリヴァー・マイ技術中尉が、代わりの搭乗者に指名された。その後、ア・バオア・クー攻防戦にて投入され、防衛エリアの一角である「Eフィールド」の防衛にあたった。
実戦経験が皆無であるパイロットの未熟な操縦にもかかわらず、最初にして最後の実戦において少なくともボール6機、ジム2機、マゼラン級戦艦1隻、サラミス級巡洋艦5隻撃破を成し遂げると、エース以上の大戦果を挙げるのに成功、最終的に撃破されるも、本機体の性能の高さを示した。
同機を確認した連邦軍パイロットが、「赤いモビルアーマー、こんなフィールドに!?」と驚愕しており、機体のカラーリングが赤を基調としたものであったため、赤い彗星ことシャア・アズナブルの機体と誤認したとも考えられる。
この後、連邦軍が建て直しのために一時撤退した隙をついて、実戦におけるモビルポッドオッゴへの補給・修理にも成功している。
また、オッゴがビグ・ラング周辺に集まるのを目撃した別の連邦軍パイロットは、同機を「ドラム缶の親玉」と揶揄している。
漫画版2巻「戦雲に光を見た」にも、ビグ・ラングと思われる機体がシルエットで1シーンのみ登場している。
機体データ
型式番号 MA-05Ad
所属 ジオン公国軍
開発 ジオン公国技術本部
全高 138,0m
全長 203,0m
全幅 139,1m
本体重量 12,000t(ペイロード=9,200t)
全備重量 17.900t
出力 不明
推力 4,600,000kg
装甲材質 超硬スチール合金
武装 大出力メガ粒子砲
ミサイル・ランチャー×8
ガトリング砲×2
30連装ビーム撹乱弾発射機×4
3連装大型対艦ミサイル×2
関連動画
バリエーション
ラング
漫画『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』に登場する超弩級モビルアーマー。
この姿こそが、本来のラングである。
ビグ・ラングの胴体部のビグロ接続ユニットに代わり、新規の頭部を取り付けた外観をしている。
コンペイトウにおける地球連邦宇宙軍観艦式を襲撃する際に、ガンダム試作2号機の偽装も兼ねて使用された。所謂増加ユニット扱いである。
ピケット艦隊を突破して本隊周辺にまで肉薄するが、連邦軍が修復したビグ・ザムに侵攻を阻まれてしまい、艦隊の一斉射撃で撃墜された。
しかし、ガンダム試作2号機の偽装としての役割を果たし、核攻撃は成功した。
余談
劇中で盛大に爆散したはずなのに搭乗していたマイは、幸運にもヅダに救出されて生還している。
これについてはビグロと胴体との接続が甘かったため、ビグロ部分は胴体の爆発に巻き込まれなかったとする説がある(実際に映像では胴体が大爆発しているが、ビグロが誘爆したかどうかは胴体からの爆炎でよく見えない)。
そうだとするなら、ヅダを始めとして機体の欠陥や弱点で悲運な最期を遂げた者を多く見てきたマイが、皮肉にも機体の欠陥に助けられた状態になる。