概要
大阪市交通局(大阪市営地下鉄)の路線として1933年に開業。2018年の民営化に伴い現在はOsaka Metroが営業している。
ラインカラーは大阪の動脈をイメージした赤、ナンバリングは「M」(Midosujiより)。
大阪で初めて開業した地下鉄路線(1933年5月20日。梅田仮駅~心斎橋駅間)で、公営の地下鉄としても初の開業路線(東京メトロ銀座線は当時民営の東京地下鉄道の路線として開業)。
現在は江坂駅(吹田市)から大阪市内を経て中百舌鳥駅(以下「なかもず」。堺市北区)までを繋ぐ。江坂からは北大阪急行電鉄南北線・南北線延伸線に直通し、箕面市内にある箕面萱野駅まで乗り入れている。
日本の地下鉄路線としてはダントツの黒字額を叩き出している。営業係数(100円を稼ぐために何円の経費が必要かを表す数値。100未満が黒字)は東京の顔でもある山手線が48.9なのに対し、御堂筋線は44.0。また輸送人員数でも東京メトロ東西線・千代田線・丸ノ内線に次いで4位であり、公営時代は公営の中でトップだった。以前は上記の東京メトロ各線を抜いてトップだったこともある。
梅田や難波(以下「なんば」)・天王寺・新大阪といったターミナル駅を結んでおり、全ての私鉄・JRの幹線ターミナル、そして新幹線駅に直結していることから大阪の大動脈として位置付けられており(東京で言う所の山手線)、ラッシュ時は約2分間隔で走っているが、千里と泉北という二つのニュータウンに挟まれている為、混雑率は非常に高い。
開業当初こそ1両編成で運転していたが、当時から将来の増結を見越して梅田~なんば間の各駅は開業当時の中型車(※)12両編成分(現在の準大型車(※)10両編成分)、それ以外の駅は中型車(※)8両編成分の有効長で設計された。
結局それでも中津以北・大国町以南はホームの長さが足りなくなったのだが、当時としてはかなり長いホーム有効長を確保していたおかげで最小限の延伸工事で対応できた。
梅田~なんば間はホームの延伸工事は必要なかったが、梅田駅となんば駅はホーム幅が足りなくなった為、後にホームを分離して増設する工事が行われた。
(※)ここで言う中型車は車長が17m級、準大型車は車長が19m級の車両を指す。
伝説の「救難電車」
さて日本で2番目、戦前では東京の営団線(→銀座線)・仙台の宮城電気鉄道(→後の国鉄仙石線、該当区間は国鉄仙台駅乗り入れのため戦後廃止)の市内区間の3本だけ、戦中の1942年に最初の区間が開業した四つ橋線を含めても4本だけの地下鉄路線の御堂筋線だったが、1945年3月13日深夜の大阪大空襲に逢う。この時、地上は阿鼻叫喚の地獄絵図と化したが奇跡的にも御堂筋線への給電系は破壊されていなかった。職員(と言っても戦時動員の学徒や女性ばかりだった)は爆撃がもっとも激しい心斎橋から比較的緩い梅田へ臨時電車を運行することを決断する。直ちに心斎橋駅構内の変電所から給電が開始された(一部駅が地下倉庫として流用されており、その物資の移動の為にこの時給電していたという説もある)。
一方、大阪商人の誇りでもあった立派な市営地下鉄の建物は防空壕代わりになると、焼け出された人々が集まってきた。心斎橋駅などのシャッターが開けられ、避難民が押し寄せるのを地下鉄職員は必死で冷静を保ち電車が来るまで待つように説得した。
少なくとも、心斎橋から梅田へ2本の電車が走った。これにより多くの人が命をとりとめたと言う。ほかにも、天王寺へ逃がす列車に乗ったという証言も残されている。
本来、営業時間外は駅は閉鎖されるのだが、駅員を説き伏せて開けさせた、憲兵が駅に入るよう指示したなど、駅によって状況は異なった模様。
ちなみに銀座線も避難場所としては活用されているが、先んじて行われた10日の東京大空襲では給電系を立ち上げる機を逸しこのようなエピソードには恵まれなかった。
なおこの御堂筋線の「救難列車」のエピソードだが、公式にはその記録は残っていない。というのも当時の大阪市交通局が1945年8月の終戦直後、戦争末期の市営交通の記録を廃棄してしまったためである。
1997年には毎日新聞の報道や大阪交通労働組合による調査によって、2007年にはフジテレビによってそれぞれ証言の採取や検証が試みられたが、結局どちらでも運行側からの決定的な確証は得られなかったという。
駅一覧
なんば、あびこ、なかもず各駅は案内表示に倣ってひらがな表記としたが、正式駅名は漢字の難波、我孫子、中百舌鳥である。
駅番号 | 駅名 | 読み | 乗り換え路線 | 備考 |
---|---|---|---|---|
↑北大阪急行電鉄箕面萱野駅まで直通運転 | ||||
M11 | 江坂 | えさか | ||
M12 | 東三国 | ひがしみくに | ||
M13 | 新大阪 | しんおおさか | ||
M14 | 西中島南方 | にしなかじまみなみがた | 阪急電鉄京都本線(南方駅) | |
M15 | 中津 | なかつ | ||
M16 | 梅田 | うめだ | ||
M17 | 淀屋橋(市役所前) | よどやばし | 京阪電気鉄道京阪本線(淀屋橋駅)/中之島線(大江橋駅) | |
M18 | 本町(船場西) | ほんまち | 四つ橋線/中央線 | |
M19 | 心斎橋 | しんさいばし | 長堀鶴見緑地線(心斎橋駅)/四つ橋線(四ツ橋駅) | |
M20 | なんば | なんば | ||
M21 | 大国町 | だいこくちょう | 四つ橋線 | 四つ橋線とは下り同士、上り同士が同じホームで乗り換えられる |
M22 | 動物園前(新世界) | どうぶつえんまえ | ※あいりん地区(釜ヶ崎) | |
M23 | 天王寺 | てんのうじ | ||
M24 | 昭和町 | しょうわちょう | ||
M25 | 西田辺 | にしたなべ | ||
M26 | 長居 | ながい | JR阪和線 | |
M27 | あびこ | あびこ | ||
M28 | 北花田 | きたはなだ | ||
M29 | 新金岡 | しんかなおか | ||
M30 | なかもず | なかもず |
運行系統
日中は4分間隔。うち半数が新大阪または中津~天王寺間の区間列車で、それ以外はほぼ大半が箕面萱野~なかもず間を通し運行している。このほか、ラッシュ時には我孫子(以下「あびこ」)発着列車もある。
江坂駅を始終点とする列車は少なく、地元でも箕面萱野が御堂筋線の始発駅と認識されている。
使用車両
平日の終日は6号車(中百舌鳥側から6両目)が女性専用車両となっており、該当車両は一部を除き広告によるフルラッピングを行い区別を図っている。
自社車両
(※1960年代以降にデビュー)