「ボンボヤージュ "良い旅を"って意味です」
CV・モデル:成田凌
概要
『龍が如く8』に登場するフリーのエンジニアとして活動する車いすの青年。
主人公・春日一番とアメリカ行きの飛行機で出会った際に車椅子の補助を受けて知り合いとなり、春日に「ボンボヤージュ」という言葉を贈る。
春日は三田村から、かつて車椅子生活をしていた荒川真斗を思い返していた。
その後、春日がエリック・トミザワからタクシー強盗としてハメられた際に彼の潔白を証明。これをきっかけに春日と意気投合し、愛称として「エイちゃん」と呼ばれるようになった。
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正体
「エイちゃんって呼び方…辞めてもらえます?」
実は英二こそが沢城丈を釈放させた張本人であり、海老名正孝のスパイであった。
かつてジャーナリストであった彼は、「神室町3K作戦」が当時の警視総監と、近江連合に寝返って東城会の情報を警察に流した荒川組による癒着を疑っており、独自に取材を進めていた。
しかし、返って荒川組に目を付けられ、当たり屋による人身事故を起こさせられてしまう。
それ自体は「相手が狙って飛び出したように見えること」「轢かれた相手が軽傷であること」「英二の運転に少なくとも見て取れる不備がなかったこと」の三点から責任度合いは軽微、当たり屋が悪いと言う事で無罪になったのだが、「人身事故を起こした」一点で英二は勤めていた出版社をクビになってしまう。
この出来事の真偽は不明だが、調べた大道寺一派は「当時の荒川真澄がいちジャーナリストを把握していたとは考えづらいが、常に真斗の身を案じていた沢城ならばやりかねない」と予想している。
英二は「荒川組に嵌められた」と主張するも、その根拠を証明するものは何もなく、ここからヤクザを恨んだ彼はブリーチジャパンの人間になり、東京支部長にまで上り詰めた。
なぜブリーチジャパンに加入したのかは明かされておらず、ヤクザ憎しの心、または自分のような人間を増やさないための正義心だったのか、あるいは「3K作戦」を実施した青木遼と荒川組の関係を察知したからなのかも分からない(もしも前者ならば、皮肉にも英二は自分から青木や荒川組の駒となった事になる)。
やがて英二は、星野龍平殺害事件の犯人が沢城ではなく、青木に雇われた外部の殺し屋だったという情報を海老名に教え、これにより沢城は釈放されたのである。
フリーのエンジニア、というのは真っ赤な嘘であり、下半身不随も荒川真斗との共通点からその思い出を彷彿とさせる事で春日からの信頼を得るための演技だった。
それも、春日が不自由のフリを見抜ける可能性を考慮し、局所麻酔を行って一時的な下半身麻痺を実現していた。
更に、多々良ひそかによる初の暴露「不二宮グループの過積載による沈没事故の隠蔽指示」を含む、全ての暴露は彼のプロデュースによるもの。
当然、春日や桐生に関する全ての偏向報道や捏造どころか、真面目に社会復帰しようとしていたヤクザの経歴を暴露して路頭に迷わせたり、堂島大吾らの立ち上げた警備会社を「ヤクザのシノギ」として多々良チャンネルで暴露して潰したのも、英二の差金である。
当初はマトモな暴露動画であったはずが、大解散と前後して執拗にヤクザを標的にしたネタ、それも上記の通りかなり強引かつ傷口に塩を塗るのような内容が増え、その事に不信感と罪悪感を持った多々良ひそか……正確にはそのキャラクターを演じていた不二宮千歳はチャンネルを辞めたいと溢すも、「お前が破滅させた連中にお前の個人情報をばら撒く」と脅す事で傀儡にし続けていた。
物語中盤、茜達を発見した春日達を騙す罪悪感に耐えきれなくなった千歳に正体を暴露されるも、一歩早くバラクーダ首領のドワイト・メンデスに連絡を取っていた英二は、春日達も拠点にしていた大道寺一派のセーフハウスをバラクーダの構成員に襲撃させ、黒幕の情報を流したウォン・トーと立ち塞がった花輪喜平を射殺し、ラニという少女(正確には彼女が持つ、前パレカナ代表の遺書と本物の教祖の証)を回収して立ち去る。
その後は追いかけてきた春日達に「衝撃反応型の爆弾」と称して催涙グレネードを持たせたラニを突き飛ばして翻弄したり、茜を始末するために山井一派を切り崩すなどの悪辣な手段で妨害をする。海老名が星龍会を解散させ、ブリーチジャパンとして再編するに伴い、英二はその副代表に就任。
また、そこに乱入しようとした桐生達を「東城会の復興を目論む影のドン」として中身を挿げ替えた多々良ひそかによって暴露、孤立させる(多々良の後任が誰なのかは最後まで不明)。
しかし、ドワイトへ渡したラニがネレ島へ連れて行く直前で春日達によって取り返されてしまい、ハワイへブリーチジャパンこと星龍会の第一陣を送った矢先にブライス・フェアチャイルドも春日達の手により逮捕されてしまい、乗っ取った多々良チャンネルを千歳本人がその実態と真実を暴露、間を置かず海老名も桐生達に打倒され、今度は自身が孤立する羽目に陥る。
これまで自分達が利用してきた国民が今度は自分を追うようになり、ヤクザ達も社会復帰などと言うハリボテの建前で騙されて集められた挙句、ハワイの辺境で事実上一生奴隷の扱いを受けさせられるところだった(ヤクザを恨む彼がヤクザの海老名に協力したのも「全ての極道に地獄を見せる、社会復帰など許さない」という目的が一致したため)事で怒り心頭であり、報復を受けるのも時間の問題であった。
神室町のビルの一室に身を潜めていたが、カメラを持った群衆がすでに自身がいるビルを特定しており、部屋が割れるまであと僅かであった。
しかし、そこへ真っ先に現れたのは、今まで散々利用してきた春日一番だった。
「よぉ!久しぶりだな!エイちゃん!」
「春日!?」
彼の説得で、自身にもう逃げ場がない事を悟り、また0からやり直す気力が徐々に湧いていき、なにより散々信頼を踏み躙った自分をまだ友達(エイちゃん)と呼ぶ春日に根負けし、出頭する事を決意する。
逃亡の最中に英二は足を捻ってしまっており、皮肉にも本当に不自由になった事を自嘲しつつ、春日の肩を借りて共に外に出る。
群衆の目とカメラが一気に押し寄せるも、歩けない英二を背負った春日がその全てを掻き分けて進んでいく。
すぐさまビンや缶などが投げつけられ、それを春日も受ける事になってしまった事に耐えられず「自分がしたことの報いだから置いていけ」と言うも春日は意に介さず、むしろ「嫌われたっていいじゃねえか」と笑ってみせた。
警察署を目前にして、これまで何度か春日や桐生の邪魔をしてきた配信者グループ「万力ジャーナル」の片山に(今度は騙しまくった英二を狙って)立ち塞がられるも、英二を庇う春日は無抵抗で殴られ続ける。
暴力に曝されながら暴力を返さない春日の姿を見て、熱に当てられた群衆は徐々に冷静になっていき、片山も春日の気迫に圧されて尻餅をつく。
もはや邪魔者はいなくなった道を歩き、遂に春日と英二は警察署に辿り着いた。
そして…
「エイちゃん!!!! ボン・ボヤージュだぜ!! ボン・ボヤージュ!!!」
「…意味わかってます?」
「……っへへ……」
「…はい! ボン・ボヤージュ!! 一番!!!」
彼はそのまま警察署の中に消えていく。
かくして、今度こそ一番は、友人を誰かに殺される事なく、生きて罪を償わせることができたのであった。
ただし、三田村の事故の件について最後まで荒川組が関与した証拠は一切出てこないため、本当にただ偶然起きた事故で三田村の逆恨みからすべて始まった可能性も十分あることは忘れないでおきたい。
評価
演技だったとはいえ、春日を冤罪から助け、真斗と被る部分も多く、(そもそも性格上)春日が英二を改心させる事に拘る理由が無い訳ではない。
一方で、多くの裏切りとラニのような小さな少女を恐怖に曝した事から「こいつを殴りたかった」という意見は多い。
※スジモン図鑑には載っているので、もしかしたら何らかの事情でバトルシーンを消されたのでは? と推測するユーザーもいる。殴るのは事務所NGが出てカットされた説など。
偽装していたとは言え、主人公達が身体障害者に暴力を振るう展開はいかがなものか、と思う所があったのかも知れない。特に主人公の春日は元荒川組の人間であるため、そんな彼が武力制裁する描写は荒川組に嵌められて社会的地位を無くした英二に対してのオーバーキルになりかねないため、そういう意味でも絵的にマズかったのだろうか。
後の竹内氏・横山氏に対するインタビューにて、「三田村と春日のバトルは正直悩んだ」「ゲームの作法としては真っ当だが、あそこで三田村とのバトルを入れたら春日が片山たちをはじめとする野次馬たちと同等になってしまう」として、敢えて挿入しなかった事を明かしている。
海老名もそうだが、本作は全体的に敵側の掘り下げが足りず、それこそ前作の真斗と比べると感情移入がしにくい。真斗は確かに悪人ではあったが、そうなった過去や経緯は十分理解できるもので、だからこそ春日とのシーンは感慨深かったと思うプレイヤーが多かった。
しかし本作の英二と海老名は、両者とも第三者から伝え聞かされた経緯ばかりで、英二に至っては全く自分の過去を語っていない(海老名は終盤で自身の過去を話していた)。もちろん過去が一切明かされない敵も魅力的だが、本作の最後を締める敵役には相応しくないように思える。
と言うのもの、極道の存在で人生が狂った二人を、春日と桐生それぞれのラストに持ってきたのは「ヤクザがやり直そうとしている一方、かつて彼らによって傷つけられた者はどうするのか?」という展開を描きたかったのだと思われる。その答えが、桐生は「もう手遅れだとしても悔いて謝ること」で、春日は「また前を向いてやり直せると伝えること」だった。
もしも本当にこれを描きたかったのだとしたら、やはりどこかで本人に過去やヤクザの悪行を語らせる必要があったように感じる(特に英二はラストのシーンがあるため)。
また、制作は向こうが後だがシリーズ的には前作に当たる『7外伝』で人気が一気に上がった花輪喜平を結果的に死に追いやっているため、非難されかねない心配があるキャラであるが、良かれと思って行動した事を荒川組に邪魔された事は事実であること、最終的には曖昧な最後にはせず春日に支えられて出頭する事を決めたことや、自分を庇って殴られ続ける春日に対して気遣う様子を見せたり最後の展開は気持ちの良かった、と言うファンもいるため、賛否両論といったところではある。
真の関連タグ
ムナンチョ・鈴木…英二と同じく、元は悪人だったが、改心し、自身が犯した過去を知った人間から暴行を受けても報いと感じているという点が共通している。ついでに彼を救った人間は本作のもう一人の主人公である。
獅子堂康生…最初はプレイヤーの味方だったが、裏切り繋がり。
謎な部分(ネタバレ注意)
物語終盤において、唐突に髪が乱れヒゲを生やした姿となるが、シナリオ上の時系列的に不自然との意見がある。
春日が彼を背負って警察署に向かう背景に海老名との決戦を終え、倒れた桐生を搬送するためのドクターヘリが映る(直後ヘリに運び込まれる桐生が映る)事からこれは海老名との決戦直後なのだが、その海老名との決戦が起きるのは海老名からの瀕死の沢城を人質にした挑戦状の動画を叩きつけられて翌日(「明日の午後10時」発言)、そこで春日と桐生は二手に分かれ、春日はハワイ、桐生は海老名の元に向かうのだが桐生が海老名の元へ向かうのは春日がブライスを倒したあと(多々良チャンネルの閉鎖宣言直後)という流れになる。
しかしこの流れの場合仮に英二が第一陣を送り届けた直後、第二陣のために蜻蛉返りした矢先の出来事としてもあそこまで落魄れた見た目になるのはおかしいのだ。
なんせほんの数時間前まで彼は第二次極道大解散の立役者だったのだから、少なくともその時はまだ通常の見た目のはずで、逃げていたのはせいぜい数時間である。
しかし実際は数日近く逃げ惑っていたかの様な風貌になっており、それどころかいくつも住居を転々としたかの様な口ぶりであった。
そこに春日がたどり着いているのもかなり無理があり日本とハワイは行きが7時間35分~8時間50分程度だが、帰りは偏西風の都合上8時間~9時間45分程度であるため、桐生達が決戦に向かう時間(移動時間を考慮しても21時前後)にはネレ島最深部におり、そこから一切の妨害がなく、大道寺一派のプライベートジェットで諸々の手続きを全て省略したとしても日本に辿り着く頃には時差を考慮しても早朝どころかもう昼になる筈であり、それだと陽の低さや背景で桐生が搬送される描写に矛盾が出る。
つまり、本当にあの瞬間だけ時系列がおかしな事になっている。
明らかにシナリオの作成ミスである。
(桐生を搬送するドクターヘリがED構成上の合成(要するに「英二を春日が連れて行く時、実際はドクターヘリなど飛んでいなかった」)とするなら「実際には数日時間が経っている」で済むが、正直かなり強引な考察である)
しかも上記の通り戦う事が無いのにスジモン図鑑に追加される事などもあるため、直接戦う場面やそこからの逃亡、掌返しで迫害されるというシナリオを予定していたが何かしらの都合でカットとなったのだろうか?
もしそうだとするのならば、その流れや、英二を庇い続け、見送った直後に何者かに瓶を投げつけられた春日が限界を迎えて倒れるという描写は青木遼もとい荒川真斗の最期を彷彿とさせ、今度は誰も死なせなかったという対比構造にもなり非常に秀逸な展開になっていた筈であるため、引っかかるものを覚えたプレイヤーが多い。
そもそも、ブライス打倒直後の千歳が真相を暴露するシーンで既に髪が乱れヒゲを生やした無様な姿になっており、まるで彼女に自分の悪事を暴露される前に既に逃亡する身になったのかのようである。
- 実は…(重大なネタバレ注意)
これまで戦闘シーンが無いのにもかかわらず、スジモン図鑑には掲載されるなど、様々な謎を残してきた英二だが、実は有識者の解析により、彼の戦闘用と思われる未使用ボイス(いわゆる没データ)が発掘された事が判明した。
この発見により、その没データである音声を使用し、三田村英二をボスとして戦わせるMODを導入した動画では、以下の台詞が確認されている。
「行きますよ‼︎」「あがいてみろ‼︎」「これはどうだ‼︎」
これらの台詞から、スジモン図鑑に掲載されている事にも説明が付く。
しかし、このMODを導入するにあたり、英二への印象及びプレイ環境によってはゲームシステムに影響を及ぼす可能性があるため、
導入は自己責任でお願いします‼︎
余談
春日が最後に「刑務所なら安全だ」と言って英二を自首させるが、刑務所には元ヤクザや現役ヤクザがうじゃうじゃおり、かなり危険と言える。
桐生一馬、冴島大河なども服役中にヤクザから暴行を受けており、本作でも高部守が刑務所で生死不明の重体に追い込まれている。
何より他ならぬ春日自身も「龍7」の服役中に暴行を受けており、かつて同じブリーチジャパンで横浜支部長だった久米颯太も、「龍8」で逮捕されて塀の中にいる事を忘れているのだろうか。
(そもそも英二と久米は面識があったのかも不明なので、調べようが無いのが現状だが、塀の中でまた良からぬ事を企んでいなければいいのだが…)
英二の罪が日本では名誉毀損しかないとされるので、ラニ誘拐などの大罪はハワイでの事件なので、「(ハワイの)刑務所なら安全だ」ということだろうか……。
発売前は「三田村英二は春日の兄弟説」という考察もあったりした。
「一」番と英「二」という数字が入った名前、真斗と同じく車いすが必要な体、さらに今作は春日の母親を探すのが目的である事から、春日と英二は異父兄弟と考える者がいた。
今となっては、春日の兄弟だったのは海老名で、脚が不自由だったのも英二の演技に過ぎなかったのだが、確かに「英二こそが春日の兄弟」と考えて本編を振り返ってみると、今作の茜の重要度が増すし、同じ父を持った真斗に対して同じ母を持った英二という対比になるし、より春日の活躍が目覚ましいものになりそうな気がする。