JR西日本の新快速
英語表記:Special Rapid Service
概要
1970年10月1日に当時の国鉄が東海道本線・山陽本線の京都駅~西明石駅間で運転を開始した。
その後次第に運転区間を拡大し、現在は最大で敦賀駅(福井県敦賀市・北陸本線)〜播州赤穂駅(兵庫県赤穂市・赤穂線)/上郡駅(兵庫県上郡町・山陽本線)までの区間になっている。
敦賀駅〜京都駅までは、北陸本線・東海道本線(琵琶湖線)経由と湖西線経由がある。
途中駅通過を行うのは、彦根駅(滋賀県彦根市)/近江舞子駅〜姫路駅(兵庫県姫路市)まで。
最高速度は130km/h。国鉄時代は複々線の電車線(内側の線路)を走行、その速さ故の数々の伝説を作った。
- 列車線(外側の線路)を走る急行、特急列車を追い抜くダイヤを作り、実際に追い抜いていたため、国鉄本社がそのことを咎め、大鉄(大阪鉄道管理局)に時間をずらすよう指示したが、パターンダイヤを守るためという建前上の理由で拒否され(本音は国鉄本社への対抗心であった)、逆に国鉄本社が追い抜かれていた雷鳥の時間をずらした。
- 新幹線ができてからも、長い間新大阪駅を通過するダイヤであった。
- 西明石でこだまを追い抜く運用が存在する(2017年3月現在のダイヤの場合、例:こだま 姫路発15:22→西明石に15:32に到着した後18分間停車し15:50に発車する。その間に、姫路駅を15:26に発車する新快速が15:46に西明石駅に到着し、同時刻に発車する。)
現在では原則的に草津駅〜京都駅間のみ電車線走行で、その他の区間では列車線を走行している。ただし、下りの最終である新快速である西明石行きだけは兵庫駅から電車線を走行する。
JR西日本の在来線のイメージリーダー的存在であり、3代目117系以降常に最新型車両が回される。
- 2017年末時点で、48年間で使用車種は6代目である。初代は横須賀線からの転用、2代目は急行用からの型落ち転用であったため除外するものとしても、完全新車の117系から225系登場年までで数えると新車の投入ペースは平均10年少々であり、JR西日本としては異例の世代交代の速さである。
これは元来私鉄王国と言われた関西での私鉄との競争のためで、赤字で経営再建急務だった旧国鉄時代でも例外的に新型専用車両(117系)が配備されるなど、かなり優遇されている。民営化以降、JR西日本が特に新快速に力を入れたため、阪急などの私鉄は軒並み旅客数を減らすことになる。
問題点として、ゆとりのないダイヤが組まれているとされ、ただでさえ終日満員の乗客のため遅延がちで、正常なダイヤ通りで運行していないということが挙げられ、それが2005年の尼崎脱線事故にもつながったとされ、翌年のダイヤ改正では所要時間が伸びている(京阪間がそれまでの27分から28~29分に)。快速が大阪〜京都間で新快速から逃げ切れないのもその一因である。また2017年3月4日には姫路〜野洲・近江今津・米原間を通し運転するすべての新快速が平日も含め12両化され(土休日ダイヤは2011年3月12日に終日12両化)、8両編成時代はほぼ終日満員だったが昼間時は満席程度まで混雑緩和され着席率も向上したが依然として利用者が多いのは変わりなく時間帯によってはかなり混雑している(特に夕方時間帯などは帰宅客などにより平日休日とも混雑が激しい)。
旧国鉄時代には阪和線でも運行されていた(阪和電鉄時代の超特急と同じ所要時間45分であった)が、停車駅が鳳だけだったため乗客数が伸びず、後に熊取と和泉砂川を追加し48分運転となった後、数年で廃止されている。その後1995年に関空方面へ運転される類似種別の「関空特快ウイング」が設定されたが、これも4年後に廃止された。
運行形態
大阪駅を基準とした日中の運転本数は、神戸・姫路方面が大阪〜姫路間4本。京都・米原・敦賀方面は、大阪〜京都・山科間で4本、山科〜野洲間で3本、野洲〜米原・長浜間で2本、長浜〜近江塩津間で1本、湖西線経由敦賀発着が1本である。平日の朝は姫路・神戸方面と京都方面の双方から大阪駅に向かって8分ごとに運転される。夕方には大阪発18時台において姫路・神戸方面へ8本、京都方面へ7本運転。JR京都線・JR京都線直通電車に加え、大阪駅始発の電車があるため。
敦賀に乗り入れる新快速は、朝晩は米原経由、日中は湖西線経由。近江塩津駅で折り返す新快速は米原を経由する。ただし、姫路〜野洲・近江今津・米原間を12両編成で運転する電車を中心に、始発から終着まで直通運転できない車両がある。
223系1000・2000番台と225系0・100番台で運転。平日夕方の大阪発などを除き、最長12両で運転。ただし12両で運転できるのは近江今津・米原〜上郡間のみで、北陸線長浜〜敦賀間と湖西線永原〜近江塩津間は4両、それ以外の区間は8両までしか運転できない。そのため、近江今津・米原・京都・姫路・網干の各駅で12両編成もしくは8両編成の併結と切り離しの作業がある。
使用車両
- 113系 関西では珍しく横須賀色(スカ色)で運行されていた。実は大阪万博の輸送力増強で千葉からやってきた車両である。大鉄局いわく新快速と普通の快速を区別できるようにとのこと。阪和線の新快速でも使われたが、こちらは153系と同色をまとい、スカ色とは逆に関東にそのまま転出した車両があり、民営化を前後して関東でも新快速色の113系が見られた。
- 117系 かつての名車流電モハ52系の再来と言われる車両で、初めて新快速用に新製投入された車両でもある。2扉転換クロス車両で、デザインは鼻筋の通った非貫通型で、化粧板は木目調であるなど高級感を演出しているが、これは阪急や京阪が同等の車両を走らせていたことからの対抗である。東海と西日本の両方で新快速に使われた唯一の形式。
- 221系 民営化すぐに投入された3扉転換クロス車両。この車両の投入以降周辺私鉄の大きな脅威となる。新快速の定期運用は2000年3月に撤退し、以降は京都近郊や宝塚線運用に転出したり、琵琶湖京都線・神戸線運用でも専ら快速(高槻または京都以東と明石以西は各駅停車)として運用されている。
- 223系 現在の新快速の主力車両で初めて130km/h走行を可能にした。新快速用だけでなく、ローカル用やディーゼル車までこのコピーと言える車両が普及した。
- 225系 2010年末より運用開始した最新型車両。しかし、これは実質的な223系の増備であるため223系以前のように、新快速の全列車を短期間で同一形式に置き換えて車種を統一することはしていない。223系同様、各駅停車用やローカル用にこのコピーと言える車両が普及した。
このほか、207系・321系・521系がルミナリエやワールドカップ輸送のため臨時新快速として運用された事がある。
JR東海の新快速
英語表記:New Rapid Train
概要
民営化後の1989年3月11日に東海道本線の蒲郡駅〜大垣駅間で運転を開始した。
現在は「特別快速」の次に停車駅の少ない列車として位置づけられており、東海道線名古屋地区の主力優等列車として、最大で浜松駅(静岡県)〜米原駅までの区間で運転されている。途中駅通過を行うのは、豊橋駅(愛知県)〜岐阜駅(岐阜県)まで。西日本の英語表記が「Special Rapid Service」なのに対し、こちらは「New Rapid Train」(特別快速の場合は「Special Rapid Train」)である。米原駅では新快速・特別快速どちらも「Special〜」と案内されるが、日中に乗り入れるのは朝と夕方の時間帯の一部のみで、それ以外の時間帯では英語表記が同じである事によりまぎわらしい為、乗り入れはしていない。
最高速度は120km/h。車両は基本的に313系で、一部列車は311系が使用される。かつては211系0番台や117系も使用されていた。新快速の上位に特別快速、下位に快速(早朝深夜の一部は区間快速)という位置付けになっているがいずれの列車も速達レベルは高く京阪神地区の新快速並みの速度で走行する。いずれも終日6・8両編成で運転されるが京阪神地区の新快速同様混雑が激しく近年は8両編成の列車が多くなっている。
名古屋駅でのリニア中央新幹線工事による徐行運転や貨物列車ダイヤとの兼ね合い等々あって所要時間が増加し続けており、豊橋-名古屋で所要時間50分を切る列車が消滅(信号待ち連発で70分近くかかる便もある)し、上りは名古屋-岐阜で20分を切る列車が皆無となった。後述の豊橋-名古屋を最速46分で走破した特別快速でも58分かかる列車が発生している。
余談だが、1999年ダイヤ改正で新設された先述の特別快速は新快速が停車する大府駅を通過し、西日本で言うところの高槻駅と芦屋駅を通過する新快速(2003年消滅)に相当する。221系と同世代の311系を必ず使うスジも現存し、走行区間こそ違えど、221系時代の高槻・芦屋通過の新快速の疑似再現(?)となっている。
その他
- 関東地区に投入された特急型電車185系は当初、117系に準じた転換クロスシートが使用されていた(加えて外観も走行性能も117系に似ている)ことから「有料新快速」と揶揄されたことがある。
- 阪和線用の103系の方向幕には「新快速」の表示が実装されていた。これは阪和線での新快速の復活を見越したものと考えられるが、結局実現しないまま撤退を迎えている。
- 2019年3月16日、JR西日本は223系1000番台の4両編成のうち2編成のクハ222形を改造し、有料着席サービス「Aシート」を導入した。正真正銘の「有料新快速」の登場だが、運行区間は、平日は野洲-姫路間と野洲-網干間1往復ずつ、土日祝日は野洲-姫路間2往復。「Aシート」があるのは、12両編成の野洲寄りから4両目の9号車。空いている席から自由に選び、席に着いたら車内改札時に車掌に着席料金500円を支払うシステムとなっている。有料座席エリアでは通路に立ってはいけない。
- 2023年3月の改正で、Aシートを増発するという旨が発表された。当然(?)今までの編成だけでは足りないので車両を増やすわけだが、プレスリリースのAシートについて書かれている箇所に掲載されているイメージ画像を見ると、なんとそこには片側2扉の225系が写っていた。そして2023年1月、近畿車輛にて片開き2ドアのAシート車両を組み込んだ225系700番台が公開された。
- スピード狂には好まれる種別の1つでJR西日本、JR東海共に早く出す事から愛される列車と言われる。
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